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団地が好き

団地が好き。

以前に本で見た、絵本作家の酒井駒子さんの言葉。「わかる」と思った。その当時、わたしはしょっちゅう団地に入り浸っていた。彼氏の家だ。

「ニュータウン」と名づけられた団地は、すでにオールドで、徐々に外壁の塗装工事が行われている最中だったから、見た目には新旧が入り混じっているように思えた。

5階建ての急な階段。彼の家は5階だった。わたしの実家は2階建ての戸建だったから、3階頃からヒイヒイ言いながらのぼっていた。


団地に住んでいたことはない。なのに、なぜだか団地が建ち並んでいる風景を見ると、懐かしい気持ちになる。団地と団地の間を吹き抜ける風のさわやかさだとか、はためく色とりどりの洗濯物だとか、隅にカクカクっとした書体で書かれた棟の番号やアルファベットだとか。

実家近くには団地が本当に多かったから、通学の傍らでいつも見ていたんだよな。懐かしさを感じるのは、そんな思い出が重なるからなのかもしれない。


ドミノのように、団地が並ぶ風景が好きだ。洗練さのない、素朴で飾りっ気のない団地が特にいい。

ハイセンスなマンションよりも、ぐっと人の体温が感じられる、そんな気がする。人が暮らしている雰囲気って、なんだか落ち着くものなのです。

酒井駒子さんの描かれる団地の絵からも、郷愁を受け取れる。絵の中に漂う空気感と、わたしが団地を眺めているときに感じるものとは、どこか似ている。



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