マガジンのカバー画像

夕刊UNI 有料版note

100
noteで売れているエッセイだけを集めました。 追記型マガジンです。
¥500
運営しているクリエイター

2014年8月の記事一覧

花やしき

小学生のころ、毎週日曜日の朝ごはんは近所にある喫茶店「花やしき」に家族で行くのが決まりであった。 モーニングセットには小さなロールパンをこんがりトーストしたものに、ゆで卵とマヨネーズを混ぜたものと胡瓜の薄切りをはさんだロールサンドと美味しいドレッシングがかかったミニサラダが付いていた。 なによりワクワクしたのは、家族一人一人、お客さん一人一人皆、違う柄のカップに美味しい紅茶や良い香りのするコーヒーを淹れてくれるところであった。 お店の奥さんが高級な食器を一組ずつ、少しず

有料
200

お盆あれこれ

フォロワーのみなさま、故郷への里帰りをしているようで大変なようですがとても羨ましく思いながら、皆さんの故郷レポを読ませてもらっています。 うちの実家の両親は、父が三男、母も三女。 しかも父の兄弟は11人も兄弟がいながら、長男夫婦には子どもはおらず、母の兄弟も長男は離婚し、亡くなった二人の姉は生涯独身であったため、亡くなったご先祖さま、とりわけ私たちの大好きだった祖父母、伯母たちのために集まる場がないのである。 子どものいない老夫婦の父方の伯父の家には皆が遠慮して集まらない

有料
200

終わらない歌

ブルーハーツの『終わらない歌』ってご存知だろうか? 私の生きる原動力の歌である。 高校時代はブルーハーツに夢中であった。 「何がそんなにえーの!こんなうるさいのが!」 母にキーキー言われても全く無視して、部屋中がブルーハーツのモノクロのポスターで埋め尽くされていた時期があった。 なにがって?やはりあの熱さ。あと、直接ハートに響くあの歌詞が最高なのであった。 甲本ヒロトさんの書く詩には、優しさと辛辣さ、哀しみだけではなく、幸せのゆくえのようなものが詰まっており、つま

有料
200

不眠症ちゃっかり

ちゃっかりが二階から降りてきた。 「ママ~!ちゃっかりなんか寝られへんねんけどね、今、ネットで一生懸命”絶対に眠れる方法”検索しててん。そしたらね、なんと!ピンクは眠りを妨げる色ですやって!ちゃっかりの部屋ピンクの壁紙やん!無理やん!」 また変なこと言い出した。この子はなんでいつもこう不思議なことを突然言い出すのか? 「じゃあさ、ピンクの壁紙の反対側向いて寝ればいいんちゃうん?」 適当に返事をしたのだ。すると、こう返事が返ってきた。 「あのね!それがね!その絶対眠れ

有料
200

火加減

匙加減、塩加減、味加減、水加減、火加減。 料理の加減は様々である。 とりわけ火加減はとても大事だと思うのである。 弱火で炒飯なんか作ろうものなら、炊き込みごはんの油まみれ版みたいなけったいな意味不明の料理が出来上がるし、唐揚げだって火加減を間違えたら外は焦げ焦げ、中は生生な危険な一品が出来上がる。 家を建てるとき、住宅会社の担当さんから、 「unimamさん!これからはオール電化ですよ!絶対お得なんですよ!」 と熱心にオール電化を勧められた。 いやーどうする?お

有料
200

営業用と悪魔

近所の某チェーン経営のスーパーで日々の買い物をしている。 昨年オープンしたばかりのお店である。 近所には古びたスーパーがあった。年輩のおばちゃんたちが楽しくお客さんと軽口をたたけるような、あったかい雰囲気が漂うお店だった。 しかし、この新しいスーパーが近くに出店したことで、いよいよ経営が苦しくなったようで昨年末に閉店してしまったものだから、この新しいスーパーしかご近所でお安いお店がなくなってしまったのである。 この新しいスーパーにはスーパーレジ店員がいる。 おたふく

有料
200

みやこ旅館

両親の故郷である淡路島に、毎年夏休みになると半月ほど帰省していた。 母方の伯母が住む家が親戚が集まる合宿場のようになっていたのだった。 この伯母の家を親戚はみな「みやこ旅館」と呼んでいた。 みやこ旅館には最大20人以上の身内が集合し、寝泊まりをしていたのだった。 朝は、一斉に皆で起こされ、近所にある焼きたてのパン屋さんに各自が好きなパンを選ぶためにぞろぞろ並んで買いに行く。 昼になればお好み焼き屋の「おるめさん」へ”にくてん”を食べに行く。 夕方からはみやこ旅館を

有料
200

たまごのおっさん

自分が子どもの頃はまだ活気があった淡路島の漁師町。 当時は、漁師さんが釣った魚で売り物にならないサイズの雑魚もんの魚は魚をさばくおばちゃんたちが買い取り、あちこちの路上に座り、まな板と出刃包丁を置いて新鮮な魚をさばいて、安く売っているのをみかけたものであった。 そんな中でも自分の記憶にものすごく残っているおじいちゃんがいる。 ”たまごのおっさん”は当時で80代後半くらいのおじいちゃんだったと記憶している。 おじいちゃんをなぜ”おじいちゃん”と呼ばずに”たまごのおっさん

有料
200

おるめさん

淡路島の伯母の家「みやこ旅館」での合宿中のお昼ごはんは、おるめさんとこの”にくてん”が定番であった。 なぜ毎日のように、おるめさんのお好み焼き屋に行っていたのだろう? 色々思い出してみて、あ!と思いだした。 昼前になると、みやこおばちゃんが子どもたちにこう言って声をかけるのだ。 「おまえら、これおるめさんとこに持って行って焼いてもらい!」 各自が手分けして持たされるのは、丼に山積みされた大量の冷やごはんであった。 大人たちは夜、子どもたちが寝た後で毎晩酒盛りをして

有料
200

しげやん

淡路島の伯母の家「みやこ旅館」での合宿中の楽しみのひとつに、あてもんをしに駄菓子屋に通うことがあげられる。 夏は、各自おこづかいを親戚のおっちゃんやおばちゃん、おばあちゃんからたんまり貰えたので、みな、気が大きくなっていたのだった。 駄菓子屋に行くと、どうしても当てたいあてもんの数々が並んでいた。 一等はガンダムの人形とか、りかちゃん人形のドレスとかでそれはもう子供にとってはむちゃくちゃ欲しいものが店の棚の一番奥の一番高い場所に飾られていたのだった。 1回100円。良

有料
100

551と岩屋音頭

大好きだった伯母の「せっちゃん」が亡くなって8年になる。 とても太っていて、ご飯なんかモリモリ食べて、喫茶青山でクリームソーダ―をかけつけ2杯飲むようなワイルドなおばちゃんだった。 すごく頭がよくて、計算が早く、わりかしケチなのに、自分と、ドカ弁には非常に気前がよく、4000円のたらこを土産に買ってくれるような、おもしろい人だった。 551の豚まんが大好物で、歌はへたくそなのに、「ここに幸あり」という歌が好きだったようで、よく口ずさんでいた。 そんなせっちゃんが病に倒

有料
200

YA-YA-YA

これは某歌手の歌のタイトルではない。 淡路島って知らない人はいないと思う。 その淡路島のごく小さな漁師町で頻繁に使われる方言なのである。 例えば。ある集団のおばあちゃんたちがJRに乗り込んできたときのこと。 仲間が乗っている車両に時間を合わせて海峡大橋が繋がっている駅から乗車してきたおばあちゃん2名。もとより乗っていたおばあちゃん3名がめでたく合流したようだ。 「やーやーやー↑せんどぶりやの!!」 「やーやー↑ちょっと肥えたけ?」 「やー↓あんた、よーいわな!!

有料
200

国会議員先生と夏祭り

地元の小さな神社で毎年行われる夏祭りが今年ももうすぐやってくる。 この夏まつりは「桜の木」でも書いたあの桜の生きている神社で行われるのだが、古くから住む地元のご長老をはじめ、NEWファミリー世帯まで関わって手作りで開催する祭りである。 この夏祭りには地元選出のけっこうアレな立場の国会議員先生、地元密着型の県会議員先生が必ずやってくるのである。それに加えて、毎年落選されている元国会議員先生もやってこられるのだ。 地元の顔役の方々は花代といって祭りを開催するための協賛金のよ

有料
200

防災センター

今日は久々の管理事務所シリーズをお届けしようと思う。 地下にある防災センターにはとても優しい保安員のおっちゃんたちがいる。 おっちゃんたちはとても穏やかだが、元自衛隊員の方なんかも多くて、なんでもできるワイルドな男たちなのであった。 例えば。地下の従業員休憩室に大きなネコのようなサイズのネズミが現れ、従業員の女の子たちの悲鳴が管理事務所まで響きわたったことがあった。 事務所横の通路から女の子の悲鳴と共にドンドンドン!!!という振動が聞こえてきたのだ。そう、大ネズミが猛

有料
200