火加減

火加減

匙加減、塩加減、味加減、水加減、火加減。

料理の加減は様々である。

とりわけ火加減はとても大事だと思うのである。

弱火で炒飯なんか作ろうものなら、炊き込みごはんの油まみれ版みたいなけったいな意味不明の料理が出来上がるし、唐揚げだって火加減を間違えたら外は焦げ焦げ、中は生生な危険な一品が出来上がる。

家を建てるとき、住宅会社の担当さんから、

「unimamさん!これからはオール電化ですよ!絶対お得なんですよ!」

と熱心にオール電化を勧められた。

いやーどうする?お得やってよ!と夫に聞いてみた。

すると、もともと料理が私より上手だった彼は、

「あかんで!オール電化は!だって火加減わからへんやん!どうやってドカ弁やちゃっかりに料理のコツ教えるの?」

こう言って珍しく自己主張したのであった。

それを聞いた担当さんは、こうおっしゃたのだ。

「あー!前に担当させてもらった方で同じようなご意見の方がガスをお選びになってました!それにガスが嫌になってオール電化に工事する場合は比較的簡単に作業できます!オール電化からガスへの工事は配管が通ってないから、大掛かりな作業が必要になりますからね!ガスでいきましょう!!」

こうして無事工事が終わり新居に入居してはや4年。

5年生だったドカ弁は中学3年生になり、1年生だったちゃっかりは5年生になった。

思えば大きくなったものだ。

が、体ばかり大きくなり、大飯喰らいで、オシャレには無頓着なドカ弁の夏休み中の定番スタイルは、名前入りの学校の体操服である。おいコラである。

一日中、ゴロゴロとそのスタイルで過ごし、まるで干物女そのものである。

ちゃっかりはといえば、おしゃればかりに気を使い、あとはなーんにもせずご近所のお友達と遊んでばかりいる。

女の子二人いてこの有り様。料理を教える機会などなかなか訪れない。

だいたい、ドカ弁は15歳にもなって、サッポロ一番塩ラーメンすら鍋で作れない馬鹿者である。

まったく、親の顔が見てみたいものだ。

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