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詩ことばの森(77)「父というもの」

父というもの

父というもの   にあこがれた
まだ若いうちに   亡くなった父
早すぎると   友だちが泣いていた
友だちは   幼いわたしの腕をとり
がんばれと   励ましてくれた

やがてわたしも   人の子の親となり
父親の役割を   することになった 
父親らしさとは   何であろうか
親となったわたしの   大きな課題であった

それは   たとえば大きな木だろうか
あるいはまた   広大な山だろうか
父というものに   あこがれて 
父というものが   わからずにいた

でも約束したのだ   自分が父親であると
まだ見ぬ世界と   未来を湛えた
生まれたばかりの   小さな瞳に

そのこと以来   父親の役割を探りながら
父親であろうとする   わたしがいる


森雪拾

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