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はじめてのインド旅行記 ~インドというインドに直面した日~

朝ごはんは路地で売っているカレーとプーリー(小麦粉を揚げた平べったいパン)。シルバーの皿に載せられて運ばれてくる。プーリーの油が、カレーとよく合う。
(今思えば、外のカリカリがないカレーパンだ!)

軽い生地で、あっという間になくなった

その日の予定を彼女と話していると、ガンジス川を泳ぎたいとか。
出国前に、『ガンジス川でバタフライ』でイメージを膨らませてきたらしい。

彼女は、Tシャツと短パンにビーチサンダル、バスタオルを持って宿を出た。
ホテルから歩いて3分のガンジス川へ、向かう。

彼女はガンジス川のほとりに着くと、大きく伸びをした。そして、躊躇なくガンジス川へダイブ!

飛び込むやいなや、岸から少し離れたところまで泳いでいき、私はカメラマン役に徹した。
遺灰、排泄物、生活排水。この世にあるすべてのものが入り混じる母なる川で、彼女は輝いた表情をしていた。

彼女の横では現地の人が沐浴中

せっかくだから、と、私も手と足だけ水の中に入れてみたが、1月の水温は思っていたより冷たかった。不思議と、ガンジス川への警戒心が解かれ、心が落ち着くような感覚があった。

その日は、例の彼に、ヴァラナシ内の寺院や大学に連れて行ってもらった。
真っ赤に塗られた寺院では、僧侶らしい人が、お椀に入った灰を、私たちの額につけてくれた。ビブーティ(神聖灰)という、護摩の時に焚き上げられた木、牛糞、供物などの灰だった。
何かも知らずに喜ぶのも束の間。ここはインド。タダで施しを受けられるはずはなく、僧侶の右手が伸びてきた。

真っ赤な寺院。破壊神シヴァのように強そう。

その日の夜は、少しこぎれいな店で、バターチキンカレーを食べた。
拳のような大きさの手羽元が入った、バターの味を強く感じる、力強い一品だった。
日本で売られているバターチキンカレーは、割と本場の味を再現しているように感じた。

結構こってこて

カフェに移り、温かいドリンクを飲む。
満腹なのに、どうしても飲みたくて、ホットチョコレートを注文する。出てきてびっくり、スープカップサイズのホットチョコレートが私の目の前に置かれた。
1月の北インドは寒い。暖を取るためだけに、ホットチョコレートをお腹に流し込んだ。

その日の夜は、二人ともお腹がいっぱいのまま横になり、就寝した。

深夜、今までに感じたことのない、「お腹がいっぱいすぎてはちきれそう」の感覚が襲ってきた。今までにも、満足感でいっぱいの「お腹がいっぱい」は感じてきたのだが、それとはどうも違う。

こらえきれず、トイレに行く。その後はプライドを守るため記さない。

私の後に、彼女もトイレへ行った。(以降省略)

何故そうなってしまったのかは、言うまでもないと思う。

翌日、私たちは夜行列車でアーグラへ向かうことにしていたが、ホテルをチェックアウトするだけで御の字の状態だった。そんな私たちは、再度バターチキンカレーの店に乗り込んだ。
店に客が来なかったからか、それとも店主のご厚意か。ドリンク一杯だけで数時間過ごしていたが、追い出されることはなかった。

時間が来て、命からがら、オートリキシャをつかまえる。
すべてに感動していたヴァラナシの街も、ただの風景としか思えないほど、私たちは衰弱していた。オートリキシャが切る風が心地よく、このまま体調がよくなるよう切に願った。

運転手は、わたしたちが弱っている姿を見てか、乗るときの2倍の金額を要求してきた。彼女は、その日のエネルギーを全集中させて、約束が違うなら、金は払わない、とすごい剣幕。運転手は、オーケー、オーケー、と、尻すぼみ。彼女の交渉術と強気な姿勢を、この旅を通して学んだ(が、逆上されて、命を奪われる等ということなく帰国できて、本当によかった)。

初めてのインドの列車。遅れてくることも、時間通りに出発しないことも大いに予想できたが、その時の私たちは、寝台で横になれれば、それだけでよかった。
ホームは人で溢れている。大きな荷物を持って、どこに行くのだろう?気分が悪いはずなのに、周りの喧騒は面白かった。

意外にも、定刻ちょっと過ぎで列車が到着し、日本で席を予約していたので、バウチャーを見せるだけですんなり乗車できた。列車とホームの間隔が広い。注意して乗る。
指定の寝台には、二段ベッドが並べられていた。彼女とは同じベッドの上(私)と下(彼女)だった。ベッドの上には、1人につき枕とシーツと掛け布団が準備されていた。それらをそっと足元によけて、横になる。

インドの列車については、事前に熱心に情報収集を行った。遅延は当たり前、タイムスケジュールどおりにいかないのがデフォルト、という情報だけはどのサイトにも書いてあったので、そうなのだろう。

旅程は限られている。車中では寝て過ごそうと考えていたが、インドの国土は広い。1駅乗り過ごすだけで一大事。スマートフォンを片手に、常にGoogle Mapで自分たちの位置を確認する。列車が出発してから5分くらいスマートフォンの画面とにらめっこしていたが、なんとかルート通りに進んでいそうなことを確認したところで、気持ち悪さの波がぶり返し、私たちは眠りに落ちた。

Maki

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