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片道の新幹線
新大阪を出る時、餞別だとたくさんの物をもらった。両親、友達、バイト先。餞別の大方はウォッカとコーヒーで、皆僕の嗜好をよくご存じで少し嬉しくなる。
車内販売でコーヒーを衝動買いした。高速で流れる街並みの遠くを眺めて、世話になった人達の顔をひとり、ふたり、思い出してみる。この中で、もう二度と会えない人は何人いるのだろうか。
例えば、その人物と今後の人生で金輪際顔を合わせないとする。すると、最後にさよならした記憶像が、僕にとってその人物の遺影となり、葬式ということになる。逆も然り。思い出し反省する、少しは相手の最期にとって相応しい顔を僕はしていただろうか。もう少しキメ顔でさよならを言えばよかった。そんな野暮なことを考えながら吸い上げる330円のアイスコーヒーは薄い。
曇り空を突き進む新幹線。新横浜、品川を出て、次の駅は、
上京用に作ったアップルミュージックのプレイリスト。丁度最後の曲はくるりの、
蜂の巣みたいだ、
あなたと出会えたこの街の名は、
東京。いざ。
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