膀胱のベストパフォーマンスとは?
「トイレ」を通して社会をより良い方向へ変えていくことをコンセプトにしているNPO法人日本トイレ研究所を運営している加藤と申します。
最近、話題になっているClubhouseという音声SNSで、毎週金曜日の夜にトイレや排泄について専門家と一緒に話をしています。トイレや排泄のことはなかなか日常の話題にならないので、情報がアップデートされづらいと思っています。ですが、かなり大事なんです。
泌尿器科医の松下千枝さんが教えてくれた「膀胱のベストパフォーマンス」というのが、とても面白かったので、今回はその内容を簡単に説明します。松下さんの了解を得ています。
緊張と緩和の連携
大まかにいうと、排尿は交感神経(集中や興奮)が優位のときに溜めて、副交感神経(リラックス)が優位のときに排出します。このバランスが大事です。
排尿に関しては、膀胱はゴム風船のような臓器なので、そこにオシッコを溜めていきます。私たちが何かをしているときも膀胱はせっせと仕事をしてくれています。このとき膀胱の風船部分はゆるんでいて膀胱の出口はキュッと締まっています。適量が溜ると尿意をもよおすので、今度は、膀胱の出口を緩め、膀胱自体は縮むことでオシッコを押し出します。絶妙な連携です。
膀胱のベストパフォーマンスとは?
排尿は膀胱に適量を溜めて、しっかり出し切ることが大事です。膀胱に溜める量が少なすぎるとしっかり出し切るのが難しくなります。ちょっとした尿意ですぐにトイレに行くと、あまり出ませんし、またすぐにトイレに行きたくなります。
緊張するとトイレに行きたくなるのは、緊張による作用でしっかり溜っていないのに尿意を感じてトイレにいかないといけないと勘違いしてしまうからです。
一方で、長い時間溜めすぎると膀胱が伸びてしまうので、出す力が弱くなりダラダラ出ることになってしまいます。
一言でいうと、いい感じに溜めて一気に出す、ということになるのですが、そうは言っても簡単ではありません。松下さんの言葉を借りれば「膀胱との対話」が大切だそうです。「対話?」ですよね…
この対話をするときに役立つのが「排尿日誌」です。回数、尿量、すっきり感などを記録することで、コントロールできるようになります。また、専門医が排尿日誌を見れば、膀胱が小さくなっている、尿を適切に濃縮できていない、睡眠が浅いなど、様々なことが分かるので、とても役立ちます。
新型コロナウイルス感染症によるストレス
最近は新型コロナウイルス感染症による生活スタイルの変化でストレスを感じている人も多いのではないでしょうか。ストレスを感じると交感神経の働きによる緊張で、頻繁に尿意が起きるなんてこともあるかもしれません。
個人差がありますが、1日の排尿回数が8回以上だと頻尿で、1回あたりの排尿量は150~200ミリリットル以上が正常となっています(日本泌尿器科学会)。まずは、自分の膀胱がベストパフォーマンスを出せるように、現状把握することをおすすめします。
排尿のベストスタイルは?
ちなみに、排尿のときの姿勢についても複数の医療従事者にお聞きしているのですが、立ってすると腹圧がかかりやすいという意見もあれば、座ってする方がリラックスできるので排尿しやすいという意見もあります。
また、和式トイレにしゃがんですることのメリットとしては、尿漏れ予防のための筋肉を鍛えることにつながることがあげられます。
やはり、自分の身体と対話しながら、膀胱のベストパフォーマンス、排尿のベストスタイルを知ることが大切ですね。
2月19日【Toilet Room】のご案内
最後にご案内です。2月19日(金)21時からClub Houseで「【Toilet Room】なかなか聞けないトイレの話」というトークの場を設けます。テーマは「コロナ禍における痔・便秘・膀胱炎(仮)」です。
医師の松下千枝さんも参加予定です。一緒によりよい予防や対応法を考えましょう。
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