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9月14日の手紙 「鵼の碑」を買いに

拝啓
そちらは涼しくなりましたか?
こちらはひどく、湿度が高いのです。

気温はずいぶん、秋らしくなってきました。
それは認めましょう。
しかしあまりにも湿度が高いのです。
エアコンのない場所に立っていると、
じわりと汗が吹き出してきます。
息がしにくい、酸素が薄いように感じます。
肌には、汗と湿った空気がまとわりつき、着てている服から汗の匂いが立ちあがってきます。
服の布地の向こうから、自らの体温と汗が染み出してしてギョッとします。体温の熱さで身体の端々の結び目がほどけて、ぐずぐずと、崩れていきそうです。
不快です。
エアコンが効いている部屋に飛び込むと冷たくさっぱりした空気に触れて、身体が、しっかりした形にまとまるような気がします。
しかし、少し身体を動かす、話をするだけで、汗がじわり。すぐ、不快感は逆戻りです。
汗をかくというと爽やかなイメージですが、湿気による汗とベタつきは、ただただ、ステータス異常です。
我慢などせず、エアコンをつけるべきだと思いました。

また、こまめに麦茶は飲んでいるのですが、汗をじわじわないているので、すぐ脱水状態になってしまうようです。珍しく、ペットボトルのレモネードを買って、一気に飲んでしまいました。
夜の家事をする前にサクレという、レモンの輪切りが乗ったレモン味の氷菓を食べたこともありました。
水分と塩分、クエン酸を欲していたのでしょう。
とにかく喉が渇きます。水分はまだまだこまめにとったほうが良いし、塩分も必要そうです。

さて、こんなじっとりした今日9月14日ですが、
良いこともありました。

今日は、京極夏彦作の百鬼夜行シリーズ「鵼の碑」の発売日です。
17年ぶりの新作です。
仕事帰りに本屋へ駆け込みました。
本屋に行くのにこれほどワクワクしたのは、十二国記の新刊が出た時以来です。あの時は台風が来ていて、台風の中、本屋に走ったのでした。頭上で暗い灰色の雲がすごい勢いで流れているけれど、まだ雨は降り始めていない道を覚えています。とにかく雨が降る前に本を入手したくて必死でした。
さて、今日は仕事が終わるまで、「鵼の碑」のことは考えず見事乗り切りました。
そうして、やってきたというのに、本屋の入り口あたりには見当たりません。レジの前もぐるりと歩き回りましたが置いてないのです。
まだ、本屋に届いていないというのか?そんなわけはないでしょう。
本屋の中をうろつくことしばし、ようやく、新刊の陳列台の隅っこに数冊置いてあるのを見つけました。
我が近所の本屋は不遜にも、京極夏彦ブースがあるわけでも、百鬼夜行シリーズのブースがあるわけでもなかったのです。
17年ぶりですよ、百鬼夜行シリーズですよ、ご存知ないのですか?と不安になります。

最近の若い方はもしかしてご存知ないのかしらとも思います。
いやいやそんなわけは…ないと思いたいです。

頭の中で、そんなことを考えながら、レジに向かいました。
噂通り、そしてこれまで通りの分厚さです。
さすが、鈍器本と言われるだけある。
個人的に思い出のある新書版を買いましたがハードカバーも格好良かったです。
ファンはどちらも買うものでしょうか、もしかして。
新書版にら、ピカピカの帯がついていて、
写真を撮ろうとすると、自分自身が写ります。
結局、帯より上の写真を撮りました。

待ちきれず、ぺらり。
電車の中でページをめくってしまいました。
冒頭の様々な古書からの引用で胸がいっぱいになります。

高校時代、隣の理系クラスの友人から貸してもらってどれほど衝撃を受けたことでしょう。その後、分厚い本を幾冊借りたり、買ったり、徹夜で読み、一睡もしないまま授業を受けた日を思い出します。
必死になって読みました。読書が好きでもストーリーが面白くても、さらりと読める量ではなかったから、がりがりと、かじりつくように読んでいた気がします。
あの頃、鍛えた読書量が今の自分を支えているような記さえします。人より本を読んだという力で、ここまでやってこれたという気がするのです。
今はあれほど必死には読めなくなってしまいましたけれど。
最初に貸してくれた友人、元気だろうか、
どこかで研究か医者でもやっている気がします。
どうか、そうであって欲しいです。

さて百鬼夜行シリーズ
魅力的なキャラクターの数々、登場するので、友人の中でも誰が好きかはばらけたものでした。

実は
木場修が1番好きです。
人間らしいからです。
四角い箱みたいな男に、柔らかな感性があるというのが、とても良いと思います。
だから、「狂骨の夢」が最も好きなのです。

さて、木場修は出てくるでしょうか。
明日は仕事なので、三連休に読み耽るつもりです。

感想はまた今度。
それでは。


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