見出し画像

2024年1月29日 さよならテレビ


振り返ると1月は11月や12月に比べると、過ぎゆくのがひどくゆっくりしていました。
忙しくないわけではありません。
予定は沢山あるし、仕事も忙しい、それでも時間の進む速度が年末に比べると遅いのです。
とても不思議な感覚です。
何が影響しているのでしょうか。
1月1日に起きた震災のせいでしょうか。それとも、日々刻々と変わる気温のせいでしょうか。それとも、もっと個人的なことが理由でしょうか。
ひとりだけ、時間の進みがゆっくりなのかと思えばそうでもないようで、周囲の人からも、そういう話を聞きました。
何が起こっているのでしょう。
この一瞬一瞬を味わえといわんばかりの、ゆっくりさは一体何なのでしょう。
これからくる何かへの助走なのか、年末までのスピードが早すぎて元に戻っただけなのか、色々と考えを巡らせますが、
どれも、妄想めいたお話ばかりで、結論は出ません。
「私たちの日常」というものは、すでになくなってしまっていて、
チープなエンターテイメント作品に閉じ込められてしまったように感じます。
「どうやったら、でられるんだろうな、これ」と最近よく思っています。
だって、これがチープなエンターテイメント作品だとすると、この先に待っているのは、庶民がゴミのように死ぬ展開だからです。自分がそういう作品の脇役、いえ、モブキャラなのは重々承知しています。何とか抜けられないものでしょうか。

そういえば、もともとテレビを見ない人間だったのですが、
この1ヶ月、本当に何が面白いのかわからなくなってしまいました。
長くテレビは置いていなかったのですが、
数年前に引っ越した際にテレビがある環境になったので、当初は楽しみに見ていました。
ところが、この1ヶ月はつけても、ものすごく遠い世界の話に感じてしまいます。
グルメ番組、歌番組、クイズ番組、お笑い番組、トーク番組。
そのどれもが、全く違う世界の光景のようで、笑ったり面白がったりすることができません。
真顔で目の端でだけ見ています。
つまらないということではなく、本当に、「自分と関係ない世界」だと感じるということです。
グルメ番組でもてはやされる辛い食べ物や高級食材に興味が持てません。
歌番組では、時代ごとのランキングが多いところに作為的なものを感じます。懐古したい気持ちを煽られるのはあまり楽しいものではありません。
クイズ番組、昔はとても好きだったのですが、何だか無味乾燥に思えるようになりました。
お笑い番組もM1を錦鯉がとったくらいまでは楽しめていたのですが、最近のニュースなどで、色々と思うところがあり、素直に笑えなくなっています。
トーク番組は、1番辛いです。昔は気にならなかった、芸能人の考え方の偏り、独特の内輪うけに興味が持てなくなってきました。こちらの生活とあまりに異なる生活や内輪のルールを笑えなくなったのだと思います。
唯一興味を持てるのはNHKのニュースとドラマです。
あの中には自分の生活のかけらようなものが時々あるような気がします。毎回ではありませんが。

最近テレビをつけていても、
誰かがつけているテレビをさらにモニターで見ているとか、別画面で見ているようです。
「自分が選んで見ている」という感じがしません。
あまりに世界が違うから、かもしれません。
あの明るいライトの下、大笑いしている人たちは、本当に同じ世界、同じ国にいる人なのだろうかと思うことがあります。
自分の肌感覚とあまりに違う明るさ、華やかさです。

まぁ、自分がチープなエンターテイメント作品のモブキャラなのだとしたら、テレビが求める視聴者ではすでにないということかもしれません。
テレビが提案できる未来や喜びを享受できる人間ではもうないということなのかもしれません。

今は、配信サービスも沢山あるので、テレビを見なくても番組を見ることができますし、何も困ることはありません。
もともと薄かったテレビとの関係も、本格的にさよなら、のようです。
そういえば、前回テレビを捨てたのは、東日本大震災がきっかけでした。
ちょうどテレビの映りが悪くなったのもあって、でも何より、震災のニュースが辛くて、テレビを粗大ゴミに出したのです。
今は、NHKのニュースでチラリと映った被災者に、自分のかけらを見出します。すっぴんで疲れた顔をしている普段着の女性の姿に、今日も生きている人はいるのだと少しほっとします。昔より図太くなったのか、見たくないと思うことはありません。
「生きている人がいてよかった」「生活している人がいてよかった」とむしろ思います。
夜9時のニュースを見る以外は、テレビはただの黒い板になりそうです。
電源をオフにしているときに、その黒い画面にぼんやりと映っている、人間が生き延びることに集中したいからです。

今日も聞くのも見るのもうんざりするような悲しい出来事がありました。
これをテレビのニュースやワイドショーで面の皮の厚い人々に取り上げられているのを見るのはあまりにもつらいです。

さよなら、テレビ。


気に入ったら、サポートお願いします。いただいたサポートは、書籍費に使わせていただきます。