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ウタそのものの唄。~映画「ONE PIECE FILM RED」

「ONE PIECE FILM RED」 3週目にしてやっと見てきました~。

DOLBYのポスターだっただけで見たのは2D

説明もいらないでしょうけど、尾田栄一郎氏の「週刊少年ジャンプ」連載漫画を原作にしたアニメ「ワンピース」の新作映画。
今回は、海賊シャンクスの娘・ウタを主人公に、麦わら一味、シャンクスの赤髪海賊団、海軍が入り乱れての物語になっております。

公式サイトよりあらすじ引用。

世界で最も愛されている歌手、ウタ。素性を隠したまま発信するその歌声は“別次元”と評されていた。そんな彼女が初めて公の前に姿を現すライブが開催される。色めき立つ海賊たち、目を光らせる海軍、そして何も知らずにただ彼女の歌声を楽しみにきたルフィ率いる麦わらの一味、ありとあらゆるウタファンが会場を埋め尽くす中、今まさに全世界待望の歌声が響き渡ろうとしていた。物語は、彼女が“シャンクスの娘”という衝撃の事実から動き出す。「世界を歌で幸せにしたい」とただ願い、ステージに立つウタ。ウタの過去を知る謎の人物・ゴードン、そして垣間見えるシャンクスの影。音楽の島・エレジアで再会したルフィとウタの出会いは12年前のフーシャ村へと遡る。

ONE PIECE FILM RED 公式サイトより

で。
私、別にそんな熱心な「ワンピース」ファンではなくてですね。アニメは見てないし(見たくないわけではなく、あまりに長寿すぎて今更見られない、が正解かも)、原作も97巻でしたかね、ワンピースが歌舞伎になったときに読んだところまでしか知らないです。
それでも見てみようと思ったのは、今回の映画の主役・ウタの歌唱パートをAdoが担当し、主題歌挿入歌含め、全編、Adoの唄だらけだから、でした。
好きなんすよ、Ado。「うっせえわ」がきっかけのにわかファンですけど。

そんな私でも充分、物語も含めて楽しめました。
いや~DOLBYでもう一回見たいかも。冒頭からラストまで、ひたすらAdoでした。ここまで楽しめたのは、当初案じたような歌と役との乖離がなかったからだと思います。台詞部分の声優さんは別にいて(名塚佳織さん)、この方の声が明瞭でパワーがあってかわいい分、Adoのどっちかといえばガナリ系、狂気系の声とはアンマッチな気がしてたんですが、映画の中ではまったくそれはなかった。
Adoの声、すごく物語性が強いんですよ。
アルバムを先に聴いててバラエティには富んでるけどどうもバラつくなーと思ってたのが映画を見て納得。サントラとして聴くべきでしたね。
アルバムで聴いて一番、違和感のあった「逆光」なんて、ああそういうことだったのか、とむしろ物語との融和の高さに感嘆。
ラスト近くで、演技しつつ歌っている場面があって、その表現力にはほんとびっくりでした。ああ、心を歌うんだな、この人、って思った。それを表す技術がまたハイレベルなんだけど。

ストーリー的にはシャンクスの話でもルフィの話でもなく、ウタの話で、それもおそらくはAdoに歌わせる目的が先にあったのでは、と思えるほどに、歌、ウタ、歌が満載でした。
前評判では評価が割れていたんですが、それはウタに比重がかかりすぎてたせいかもしれませんね。ルフィとシャンクスの物語への関与が低くなっていて、特にルフィはかなり割を食ってました。この辺、いわゆる「麦わら一味」が好きな人には物足りなかったかもと思います。

全体に荒唐無稽な設定と表現で、特にウタの作ろうとする「新世界」の設定には大きく矛盾を感じはするのですが、まあ、そこらへんはワンピースだしな!!って感じでねじ伏せてありました。あんまり細部にこだわらないのが正解かも。そもそも悪魔の実の設定からして、なんでもありだもんな~。
ウタの世界を表現するCGはまあド派手ですごかったし、バトルシーンでも最後のシャンクスとルフィの場面の筆致には凄味すら感じました。目と耳はすごく楽しかったです。

ウタのバックボーンはおそらくもっとあって、120分程度では描ききれなかったんだろうと思いました。
紆余曲折あって結果は「和解」なのですが、過去の思い出だけで人はつながったり信じたりはできないので、今のルフィのことをウタがしっかり信じられる展開が欲しかったです。ルフィ、寝てるか、転がってるか、呑気にウタに喧嘩売るか、だけで、今のルフィがどういう海賊を目指してるのか、どういう闘いをしてるのか、シャンクスの麦わら帽子に恥じない男になってることをウタが理解して、それで解決に繋がってほしかったなあ…。
それを経て、ラストシーンはルフィの台詞で終わるのですが、あの台詞は田中真弓さんも難しかったのでは…と思いました。

シャンクスは無双でした。無双でないと困るんだけど(笑)
池田秀一さん、声にかなり加齢が感じられるようになってて、つったってそりゃもう御年72歳だし!しょうがないんだけど、ふっと、オリジナルメンバーで見られる期間もそんなに残ってないかもしれないな…と正直、感じました。

映画版らしく豪華に、懐かしい顔ぶれがバンバン出てくるのは楽しかった。ゾロとサンジも相変わらずだし、チョッパーはかわいいし。
チョッパーと同じくらいサニー号がキュートでした(謎)。
終盤のウソップとヤソップがバトルのキーマンになる場面は痺れちゃいましたねえ。勝平さんは声が老けないな、それにしても。
あと、ゴードンというエレジアの国王役が津田健次郎さんなんですが、フランケンシュタインみたいな風貌なのにツダケンのせいでめちゃくちゃイケメンに覚えてしまう、ツダケンマジックすごかったです。しゅき。

MOVIXさいたまはこの気の入りよう。
ブルックが大好きなのである
おっきくなったね、ルフィ
ウソップ、かっこよかったわよ
等身おかしいけどまあもうシャンクスだからよし!

残念だったのは、これだけシネマ側が宣伝に力を入れ、1日10回くらい上映してる割に、土曜昼間の回で半分も入ってなかったこと。
うーん。来週からまた特典配布があるからみんな控えてる? ポケモンに負けた? 
たとえば、鬼滅の刃無限列車編のときのような、SNSだけではない、実際に映画館が何か高揚してるような感じはありませんでした。
興行収入はいいみたいですが、ウタの比重が高すぎてほかのキャラクターファンが何度も通うという感じにはなっていないのかもしれませんね。

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