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短編

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空山非金の短編をまとめたものです。
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#人生観

短編小説「居処不明」

短編小説「居処不明」

  居処不明

 湯気の上る珈琲を音を立てて啜り、口端を上げて、自嘲気味な顔を作る。
 彼はそういう男だった。
「両の足で大地を踏む感覚が薄いのは、此処に居ないから。
 心の拠り所を決め兼ねていて、絶えぬ流れに押し出される儘で、何かに縋る程度の勇気さえ持ち合わせていないからだ。
 だから僕は友に光を見るんだ。
 心の拠り所が見当たらなかったというのは、それは詰まり、家にさえ居場所を見出せなかったか

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