Who am I ? #5
↑こちらが#4です。
よろしければご覧くださいませ。
「あのね。まずなんだけど、昨日のことを覚えてないというか、レオくんは自分のことがわからなくなってるってこと?」
「なんかずっと変だよ、なんかレオくんなのに
自分のことをボクって言っちゃってるし(笑)」
「それに私のこと、君って!
そんなこと、今まで一回も言われたことないから(笑)」
「君って呼ばれるのは、なんかぞわぞわする~」
「君って呼ぶくらいだから、
私のこともわかってないんだよね?」
「私の名前は覚えてる?覚えないかぁ」
「私の名前はね、キノって名前なの」
「あとね…これは覚えてて欲しいんだけど……」
「……私はレオくんの奥さんなんだけど…
わからない?」
(えっ…!?奥さん……?)
(ボクは結婚している……?)
(本当に!?)
(えっ……とどういうことだ!?)
(結婚してんの!?、ってことはここは二人の家ってこと!?)
(いやいや、結婚してないだろ(笑)、そんなことあるかよ(笑)ないない!だって身に覚えがないもん!)
(って、あっ、ボクは今、記憶がなくなっているから、身に覚えがあるかどうかもわからない!)
(どうする!?どう答えるのがいいんだ?)
(やっぱり素直に記憶がないって言うしかないかぁ、
そうしないといつまでもこの状況を乗り越えられないよなぁ~)
(でも、何て答えればいいんだ?記憶がなくなったって通じるのかなぁ?)
と頭のなかで彼女からの言葉を受けて、冷静に考えをまとめていこうとしたんだけど、一向にまとまる気がしない。
ここは素直に彼女に何も憶えていない、記憶喪失になってしまったのだと伝えるしかないのかなぁ~。
などと考えていたんだけど、1つだけどうしても気になっていることがあるので、彼女の質問に答える前に、こちらからもう1つだけ質問をしてみよう。
「ボクは牛丼を食べているというのはどういうこと!?」
「牛丼はみんなも好きだし、誰でも食べるよね!?
だって安くて、早くて、うまいじゃん!」
「牛丼を食べるってそれだけで、ボクがレオだっていうのはどうなんだろう!?」
という彼女に聞いてみた。
すると、彼女は
「あぁ~、覚えていないんだね~!牛丼を食べていることはレオくんだからなんだよ!」
「だって、モネくんは牛丼を食べないから、食べないってことではないんだけど、ほとんど食べないっていうかそれにはレオくんのせいでもあるんだけど、とにかくモネくんは牛丼を食べないの!」
「だからね、牛丼を食べているってことはあなたがレオくんだってことなの!」
「それにさっきも言ったと思うけど、牛丼を食べるときに卵を狂気的にかき混ぜる人なんてそんなにいるわけないでしょ!」
「あと、箸も一瞬だけど、左手使っていたのはレオくんの癖なんだよ!」
「ってなんでまた牛丼の話なわけ!私のこと聞いてるのに~」
「キノだよ!キ・ノ!簡単に忘れる名前だと思う?
そんなによくある名前だとは思わないんだけど」
「ということは、やっぱり私のことも覚えてないわけないんだよ!?」
「本当に私のこと…わからないの…!?」
と答えた。
(彼女の答えを聞いて…、思い出してみる…)
(というか、彼女の答えを聞きながらもずっと頭のなかでフォルダーを開けまくっているのだけど、ほぼ真っ白……)
(また牛丼だ…どんだけボクたちには牛丼が付きまとっているのだろうか…)
(牛丼を食べているからボクがレオで、モネは牛丼を食べない、牛丼を食べないからモネなんだと…)
(そして、モネが牛丼を食べない理由がボクにあるというのいったい…なんで……?)
(どういうことだ!?兄弟で牛丼を食べたり、食べなかったりするって訳がわからなくない!?)
(単純に好き嫌いの話なのか、それとも何かあるのか……)
(そして、さっきからずっと彼女のことを思い出そうとしているのだけど、まったく思い出せない)
(思い出せないというより、消えている?)
(消えているというより、抜け落ちているという方が近いのかもしれない)
(記憶と記憶のあいだに隙間が空いているような状態で、他のことは思い出せるような気がするんだけど、彼女のことは網目をすり抜けて行くイメージ)
(彼女の名前を聞いても、思い出すことは出来ないんだよなぁ……)
(キノなんて特徴のある名前は一度聞けば、忘れることなんてないよね……)
(けど、何にも思い出すことが出来ないんだよなぁ…)
(いつまでもわからないことをわからないままにしておくわけにはいかない)
(彼女には伝えよう……今のボクは何も覚えていないことを、記憶が何もなくて、君のことも思い出すことを)
そうしないと話がいつまでも前に進んでいかないので、自分がレオであるということで、話を進めていこう。
いつまでも牛丼と彼女の話だけでは記憶に結び付くキーワードもエピソードも少なすぎる。
それを伝えたうえで、なぜボクの記憶がないのか、
記憶を取り戻すことが出来るのか、それとも二度とボクの記憶が戻ることはないのかを確かめていくことにしよう。
「あのね……君がボクの奥さんだというのはわかったんだけど……、ボクは君のこと、キノのことを覚えていないんだ」
「というより、君が誰かがわからないというよりも、
ボクは昨日のことも何もかもを忘れてしまっていて、今こうやって話せていることも不思議なくらい、それ以外のことは何も覚えてないんだよ」
「だから、君のことを君と呼ぶことも、牛丼をうまく食べられることも、何もかもが今のボクにとっては不思議なことだけど、自然に出来ている少ない記憶の断片なんだよ」
と、彼女に伝えた。
すると、彼女はビックリした顔はしたんだけど、
すぐに真面目な顔をして、
「やっぱり……本当だったんだね!」
「レオくんはモネくんに会わないと何も覚えていないって」
「レオくんのことはモネくんにしかわからないってことはそういうことだったんだね!」
「きっと、モネくんに会えたらレオくんの記憶は元に戻るよ!」
「だって、二人は繋がっているだから!」
と、返事をしたんだ。
(えっ!?どういうこと!?)
(本当だったんだね!?何が!?ナニガナニガ!?)
(全然わからないけど~!)
(彼女はまた何を言ってるんですか!?)
(モネに会えばわかる?記憶が元に戻る!?)
(なんで!?なんで!?なんで、モネに会えば記憶が戻るわけ!?)
(レオであるボクがモネと会わないと何も覚えていない)
(いったい何がどうなっているだよ~!それをボクに教えてくれよ~!)
❬つづく・・・んだと・・・思います❭
今回はここまで。
#5をリリースすることが出来ました。
レオがレオであること、モネとの関係、
奥さんキノとの話が少しずつ進んできたのに、
またもや牛丼の話(笑)
どんだけ牛丼だよ!
牛丼で人物を見極めるってあります?
でも、食べ方とかって無意識に癖が出ちゃいますからね。
それではまた。次回で。
今回も書評やコメントを書いてくれると、宗田が喜びます。よろしくお願いしますm(_ _)m
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