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【舞台・ライブ】来た、見た、書いた6

6月もいくつか舞台やライブを見た。それについて書き記しておく記事です。
ネタバレかもしれないようなことも気にせず書いています。



「女の友情と筋肉THE MUSICAL-幸せの上腕二頭筋-」


仕事やらなんやらでだいぶつかれていたので、とにかく楽しいもの、そしてできればばかばかしいものが見たい、と、当日引換券を買ってステラボールまで見に行った。村上さん演出なら楽しいだろうというのと、下の記事で触れているウラシマさんがアンサンブルとして出られていたのも理由。

わかりやすすぎる歌詞、飛ぶ表現は台車、肌色タイツでの裸表現、やたらと規模のでかい展開の話を最終的に物理解決。これこれ、これが見たかったんだよというばかばかしい演出が続き、嫌でも元気になる。無理にスケジュールどうにかして見に行って本当によかった。
メイン3人のうち1人にガチで筋肉がすごい人を入れていることで、あと2人も本物に見えてくるのはうまいなあ。メインビジュアルの伏線が回収されてすこし感動してしまった。
イオリたちの衣装が何パターンか用意されていて可愛かったな。お笑い枠ではないあくまでも普通の、ただ行動の影響が異様に大きくなってしまうだけの女の子としての描かれ方が徹底されていたのはすごく好感が持てた。

原作者さんが出されていたお花、かわいい



劇団おぼんろ第24回本公演「聖ダジュメリ曲芸団」


シアターミクサにて。おぼんろの公演は過去2回見てどちらもぼろぼろに泣かされた記憶がある。白塗りに道化のような独特のメイク、世界観のある衣装や美術、それだけでも興味を惹かれるのだが、今回は別作品で見たことのある役者さんがかなり多く出演されていて、あの人がおぼんろの舞台に出たらどうなるんだろう、という興味も加わった。

大きな絵本の見開きのような舞台セット

今回は予想以上に笑いどころが多く、劇場で一体になって楽しんだな、という感想だ。客席からは子供たちの笑い声も聞こえた。生きるためのどうにもならない必死さと愚かさが結果的に物事を最悪の方向に進めてしまうのは前に見た作品と共通している点で、もしかしたらこの劇団のテーマのひとつなのかもしれない。ただ、そうして訪れる死がそこまで悲しいものとして描かれないのが今回の作品の特徴。道半ばで死んでしまった彼らに対して湧くのは、あーあ、死んじゃった! という諦めや残念な気持ちで、ギリギリ悲しみまではいかない。意図的に、絶妙なところで笑いを入れることで死に対する恐怖や絶望感を軽くしてくれている。
そんな中、中盤の横井翔二郎さんの演技は冗談で済まないような底知れない怖さがあって、特に印象に残っている。



ミュージカル「GIRLFRIEND」


過去何作品かで見ていた吉高志音さんが出られると知り、チケットをとっていたもの。サイトも何も見ず、役者は2名のみ、恋愛がテーマ、という2点以外にはなんの情報もないままシアタークリエに入った。ステージ上にはガールフレンド、をかたどるネオンが光り、90年代アメリカの雰囲気が既にある。ステージの奥に人影が見えて、つまりこの舞台、ライブ演奏なのだった。バンドメンバーは4名、だからなのかどうか、キャストが2名でもさみしい感じがしない。

90年代、アメリカの田舎町が舞台


不思議なもので、最初のウィルとマイクの電話のシーンだけで、なにも明確な言葉はないのにこれがこの2人の間の恋愛の話なのだとわかった。芝居の力はすごい。それからも物語には大きな起伏があるわけではなく、少しずつ距離感を掴んだり、打ち解けて話せていったり、いくらか積極的になったり、という、普通すぎる恋愛が描かれる。というか、周囲が普通じゃなく扱ってしまうだけで、2人きりでいるときの彼らの恋愛がごく普通なのはあたりまえなのだ。
トリプルキャストの他のバージョンを見ていないのでこれが吉高さん版のマイクの個性なのかどうかわからないのだが、学校の人気者であるマイクも背伸びをしているだけで中身はまだまだ不器用な子供なんだな、というのがちょっとした立ち振る舞いから伝わってきて、がんばれ、という気持ちになる。

おふたりとも素晴らしかった


ストーリー上での描写が抑えられているぶん、歌のシーンに彼らの感情が凝縮されいる感じがして、あのくらいのバランスが自分にはちょうどよかった。バンドメンバーも彼らの思いにそっと寄り添ってくれている感じがある。比喩ではなく実際にバンドメンバーの近くで歌ったりもする、いい演出だと思った。
ウィル役の島太星さん、わたしは初めて拝見したのだが、朴訥とした空気感に安定した歌声ですばらしかった。
このnoteを更新した今時点でまだ公演をやっている。他のキャストさんのパターンもきっとまた別の雰囲気で面白いだろう。ぜひ。



舞台「ト音」


以前同じ制作チームが手がけた「プロパガンダゲーム」を見てとても面白く、今回この公演があると知ってチケットをおさえた。
紀伊國屋ホールのロビーに入ると、広い空間を活かして、メインビジュアルと同じセットが組まれていた。フォトスポットらしい。濃い緑が黒板の色だと気づくのに少し時間がかかってしまった。


ポスターからは内容が想像できない


ト音は高校生の物語だが、やはりこの年齢になると教師側に思い入れがちになる。めんどくさい学生だな〜、と少しイラッとしつつも、でも、あのヒリヒリして痛々しい感じが高校生だよな、と思う。
黒板を使って展開する藤くんと秋生くんのシーンは何かミュージカルでも見ているかのような気持ちの高まりがあって、見終わってから振り返ってみるとあのシーンがやっぱり一番好きかもしれない。途中、かなり最悪な展開を想像してしまったのだが、さすがにそこまで絶望的な話ではなくてほっとした。考えすぎだった。とはいえ色々な問題が解決しないまま、それでも日々が続いていくラストはすこしつらい。
千葉くん役の長江崚行さん、本当に、彼がキャスティングされていることで千葉くんの魅力に大きな説得力があった。いいキャラだったなあ。彼の最後あたりの台詞のおかげで、ビターな終わり方に爽やかさが乗っかった感じがする。



さまぁ〜ずライブ14


映像で見たことはあってすごく好きだったのが、今年ライブをするということで行ってきた。東京芸術劇場プレイハウス、わたしはここに毎年野田地図の公演を見にくる。それ以外の演目を見たのは、もしかしたら初めてだったかもしれない。

ほんとに見れるんだ…と感無量になった

ロビーに並ぶお花の数々にもしみじみする。内村さん、出川さんのお花が入口目の前に並んでいてよかった。

さまぁ〜ずのライブは構成がだいたい決まっていて、オープニング映像、コント、コントの間に挟まるしょうもない動画、歌ものコント、全体に散らばっていた設定を回収する最終コント、という感じ。冷静に考えると伏線回収でもなんでもないのだが、なんとなくみんなの話がまとまったな、みたいな読後感がある。たぶん騙されている。
余計な告白をひとつすると、わたしは趣味で小説を書くにあたって、書いた短編を複数並べてひとつの話として本にするというのをよくやるのだが、実はこのライブの構成に多大な影響を受けている。

今回はローニオというバンドが一応の軸になっていて、メインビジュアルはそのバンドのボーカルとファン。つぶやきシローが出てくるのも、重複ネタも、それっぽいBGM流して口パクするネタも、おなじみのネタは全部やってくれた印象がある。逆にいえば新鮮さは皆無だったわけだが、たぶん劇場に来ている誰もがこれを求めていた。プレイハウスまで来ていつもと同じことをしている。同じことをしつこくしつこく繰り返してしっかり笑いを取れるのがさまぁ〜ずの実力だ。
あ、重複を「ちょうふく」と読むようになったのは進化と言えるかも。
以前いとうせいこうフェスに行った際、会場周辺にメガネで細身でほんのりいとうせいこう感のある男性が大勢いたのが印象に残っているが、今回はキャップにカラフルなTシャツにスニーカーの三村風の男性が大勢いて、リアルのライブやイベントはこういうところも楽しい。


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