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芸人さんのお芝居が見たい!


【告知】
4/28(日)、15:00〜23:00まで池袋で友達のシンさんと1日カフェというか、お茶会というか、そういうイベントをやります。どなたでもいらしてください。
10分20分冷やかしに来るでも、がっつりお話するもよし。詳細はこちらの投稿から。
→イベント終了しました!ありがとうございました。



去年、2023年に見た舞台で断トツに面白かったのが「吸血鬼すぐ死ぬ」だったのだけれども、見る前から楽しみにしていたのが、芸人のウラシマさんが出演することだった。ウラシマさんは以前からお芝居に出られていて、わたしは劇団番町ボーイズ⭐︎さんの舞台で何回か拝見していた。最初に見た時はビヨンセの役をやっていた。意味がわからない文章になっているが、事実なので仕方がない。そのウラシマさんがヴァミマ店長役で出るというのが大変楽しみだったのだ。
そもそもそのビヨンセが出ていた舞台というのが、「吸血鬼すぐ死ぬ」の脚本演出と同じ、村上大樹氏の脚本演出舞台だった。そのときからの縁でのキャスティングだったんだろうか。内情は知る由もないけれど、そういったわけでわたし個人的に楽しめる要因がものすごく多い舞台だった。

兼役が非常に多い舞台で、ウラシマさんはめちゃくちゃ活躍していた。芸人さんらしい面白さだけでなく、キャラクターの再現性も高かった。なんなら可愛かった。

特に2.5次元で起こりがちな現象として、「舞台上にスタイルがよくて顔が整った役者さんしかいない」というのがある。それは長所でもあるのだろうけど、演劇において身体的な個性というのはとても大事だ。脚が長い、顔が小さい、という以外の特徴がある役者さんが、その特徴があるからこそ輝く。
ウラシマさんの丸みがある体の感じや決まりすぎない表情、芸人さんならではの、立ち姿からにじみでる微妙なおかしみ、そういうものが本当に魅力的だったし、演じるキャラクターにがっちりはまってもいた。


ブロマイドも集めてしまった。笑顔がかわいい



そんな「吸血鬼すぐ死ぬ」の主演の山本一慶さんのコメディ舞台「Run For Your Wife」も見に行った。芸人のピクニックさんがとある警部役で出演されていて、彼がまたとてもよかった。どこまで素なのかわからない感じや、なんなら少し不安になるくらいの間の取り方は、本業の役者さんとはやや違うメソッドによるものなのかもしれない。(これは他の芸人さんのお芝居でもよく感じることだ)ポーターハウス警部、かわいかったな。この舞台もとても面白かった。


芸人さんのお芝居はかわいい。
いくつか作品を見て、共通してそういう印象になっている。


今年3月に「天才バカボンのパパなのだ」を見たのは友達に誘われたのがきっかけではあったのだけれど、芸人さんがメインで出る演劇をもっと見たいと思ったというのもある。
主要キャラクターである署長、巡査、バカボン、そして途中から出てくる重要キャラの4人が芸人さんだった。一応、主演は署長ということになるだろう。演じていたのは男性ブランコ浦井さん。
ジェラードンかみちぃさんのバカボンがものすごいクオリティだったことの印象、うるとらブギーズ佐々木さんの巡査が「こういうやついるわ…」という概念のかたまりみたいだったことの印象はかなり強いし、エルフのはるさんの一見まともそうで大分やばい感じはパンチがあった。
そんな中、浦井さんはものすごくアクが強いわけでもなく、なんともいえない良さがあった。言葉にしがたい、しみじみとした良さだった。どこか物悲しさすら感じた。


昨日「鴨川ホルモー、ワンスモア」でまた浦井さんを拝見した。署長とはまた全然違う大学生役(!)だった。でも大学のゼミとかサークルとかって何歳なんだか全然わかんないような人普通にいるしなあ、と思うとわりとリアリティがある。
相方の平井さんもまた別角度から「こういう感じのなんか変な人、大学のときクラスにいたな…」と思える。平井さんはすごかった。台詞飛んだんだろうか、と不安になるほどの間をとって、ただちょっとした顔つきや立ち方だけで観客席に大きな笑いを起こしていた。芸人さんの技術を見た、と思ったし、あの間に耐える度胸がすごい。
かもめんたるのう大さんは、サークルの先輩役でかなり出番が多かった。ずっと本気半分くらいの感じで喋っていて、用意された台詞であの感じを出すのって職人芸のような気がする。相方槙尾さんはびっくりするくらい可愛かった。


あとはミュージカル「スウィーニー・トッド」に出ているこがけんさん。先に書いた方々と比べると、芸人ならではの感じは抑えめにして演じられていたと思う。完全に「嫌な奴」に振り切ったお芝居をされていたが、でも、やっぱりどこかユーモラスで、憎みきれない感じがある。
この作品はストーリーのわりに終盤までそこまで殺伐としすぎず、少しポップな空気感が漂っている。端々の演出からいって意図的にそうした空気が作られていたと思うのだが、その印象のひとつを彼が担っていたような気がする。


芸人さんには愛嬌がある。親近感のわくおなかまわりや体のバランス、そういうところに愛らしさがある。これは見た目のばっちり整った役者さんには出せない魅力だと思う。そういう身体性は替えがきかない。
これは見た目だけの話ではないかもしれない。お芝居そのものについても同じことが言えそうだ。しっかり作り込みすぎていない(ように見える)感じが、本業の役者さんとは若干異なるリズムを生んでいて、それがなんとも言葉にしがたい面白さに繋がっている気がする。

来月、う大さんが脚本をやっている2.5舞台「歌舞伎町シャーロック」も見に行く予定だったりする。演劇で活躍する芸人さんに今後も注目したい。


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