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チームを伸ばす10の視点①「リーダー」~責任感と気配り

 チームが伸びるかどうか。そのカギはリーダーの指揮のとり方次第で、チームはその姿を変えていく。
 リーダーが備えるべき特質には二つの側面がある。チームを引っ張っていく側面と調和をもたらす側面。そこで、この二つに大別して、チームを伸ばすリーダーのあり方について紹介したい。


志高く、行動の人たるべし

 リーダーは責任感強き人でなければならない。
 チームを目標達成まで牽引(けんいん)するのはリーダーの強い決意である。決意は一つひとつの行動に表れ、チーム全体に伝播(でんぱ)する。
 反対に、人任せのリーダーではいけない。口先で号令をかけていても、心に責任感がなければ誰もついてこないだろう。
 さらに、リーダーには、チームの一人ひとりが楽しく生き生きと活動できるように心を砕(くだ)く責任がある。メンバーの無事故や健康を守るのもリーダーの責務(せきむ)と心得るべきだ。
 次に、リーダーは率先の人でなければならない。
 つねに先頭に立ち、真っ先に行動を起こす。そうしたリーダーの必死の背中をみて、メンバーは奮い立つのだ。人を動かすのは言葉ではない、行動である。
 また、リーダー自らが最前線に立つことによって、現場の情報を身をもって知ることができる。打ちだした方針に誤りがあった場合は、自らの体験を通して修正をすることができるのだ。
 そして、リーダーは勇気の人でなければならない。
 課題や難問を前にリーダーが怯(ひる)んでしまえば、チームはそこで前進を止めてしまう。越えられそうもない山であっても、体当たりで突破口を開こうとする勇気が難局を打開するカギだ。
 また、問題が生じたときに、「悪いものは悪い」と指摘するのにも勇気が必要だ。相手に嫌われることを怖れて何も言わないのは、結局は保身である。相手の成長を信じ、誠意を尽くして語れば、かならず相手の心に届くはずである。

いつも元気で


 リーダーはつねに成長を心がけるべきである。
 長く活動していると、知らず知らずのうちに惰性に流されているものだ。惰性はチームから活力を消し去り、活動を空転させてしまう。忍び寄る惰性から逃れるには、現状に安住せず、成長を目指す以外にない。自らの成長がチームの成長に直結していることを、リーダーは肝に銘じておきたい。
 次に、リーダーはつねに元気であるべきだ。
 リーダーに元気がないと、チーム全体が意気消沈してしまう。たとえ苦境にあっても、楽観主義に徹していく。そうした明るさがメンバーに安心感を与えていくのだ。
 体調面や心理面で不安を抱えていれば、いくら明るさを装ったとしても“カラ元気”だと気づかれてしまうだろう。ゆえに、リーダーはつねに規則正しい生活を送り、心身ともに健康であることを心がけたい。リーダーにあっては、健康管理も義務である。
 さらに、リーダーはつねに賢明であるべきだ。
 時代は激しく動いている。その渦中にあって、誤りなく進むべき道を示すためには、時代の先を読み取る“知恵”が必要である。
 知恵は単なる知識や頭脳の明晰(めいせき)さではない。知恵は責任感から生まれる。チームが目標を達成するにはどうすればいいか、また、メンバーに敗北の苦しみを味わわせないためには、どういった手を打つべきか。責任感から生まれるこうした熟慮(じゅくりょ)と思索のなかから、知恵がわいてくる。
 ともあれ、リーダーが備えるべき特質はテクニックや策ではなく、志(こころざし)と行動である。

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どこまでも「誠実」たるべし


 豊かな人間性のリーダーが求められている。
 チームの力といっても、結局は一人ひとりがどれだけ力を発揮できているかにかかっている。よって、リーダーはメンバーが活動しやすいように、どこまでも心を砕(くだ)かなければいけない。
 焦点は「一人」である。目の前の一人をどこまでも大切にすることである。
 そのためにも、リーダーはメンバーの話を聞くことを心がけたい。とかく上に立つ者は、自分の意見を一方的に話してしまうものだ。しかし、それでは相手の考えもわからなければ、深い納得も得られない。
 ときには腰を据(す)えてじっくりと話を聞くことで、相手の性格や考え方がわかり、その人に応じた話ができるようになる。また、一歩深い信頼関係を築くこともできるだろう。
“経営の神様”松下幸之助氏は昼食時などの何気ない雑談を通じて、自らの経営哲学を教えたという。また、そうしたリラックスした場であったがゆえに、部下も自らの意見を述べることができた。
 上司と部下といえども、基本は一対一の人間関係である。リーダーは威張るのではなく、相手を尊重する心を忘れてはいけない。
 次に、リーダーは細心の気配りを心がけたい。
 疲れてはいないか、風邪をひいているのではないか、食事はしっかりとっているか等々、細かいところに気がつく、人情の機微(きび)を知ったリーダーでありたい。
 たとえば、何かイベントを行う際も、参加者の立場に立って企画・立案すべきである。メンバーに無理を強(し)いるようではリーダー失格である。「一将功成り万骨(ばんこつ)枯る」という言葉があるが、リーダーの栄達のためにメンバーを動かすのは言語道断である。



謙虚さを忘れない


 次に、リーダーは良識ある行動を心がけたい。
 忙しいからと待ち合わせ時間に遅れたり、約束を破るようでは信頼を得ることはできない。
 また、言葉づかいひとつにも注意すべきである。言葉には、その人の心が表れるものだ。無神経な言葉でメンバーを傷つけることがないよう、丁寧な表現を身につけたい。
 次に、リーダーは公平さを心がけたい。
 自分の好き嫌いで評価を下すようでは真のリーダーとはいえない。深い洞察力を持ち、全体観に立って物事を判断していく聡明なリーダーでありたい。
 次に、リーダーは謙虚さを心がけたい。
 リーダーは、ともすれば権威主義に陥りやすい。たとえ善人であっても、役職を得た途端に人が変わったように独善的になる人もいる。立場や肩書きがあるから、メンバーはその人の言うことを聞いている場合も多い。それを自分の実力と勘違(かんちが)いするところに独善は生まれる。それだけ、役職や肩書きには魔力があるのだ。
 ゆえに、権威主義に陥(おちい)らぬよう、つねに自戒する必要があるだろう。いい結果が出たときはメンバーの功績とし、悪い結果のときは自らの責任と受け止める。そういった姿勢を保ち続けるべきだ。
 ときには、自分の意見に反対する者が現れるだろう。そんなときでも、決して感情的になるのではなく、意見にじっくりと耳を傾けるような包容力を身につけたい。
 そして、なによりもリーダーは誠実さを心がけたい。
 誠実さに勝る武器はない。励ましの言葉ひとつとっても、決して手を抜かず、誠心誠意の真心から語ることだ。
 ともあれ、現代社会においては命令では人は動かないと知るべきである。リーダーはメンバー一人ひとりに、安心と希望と自信を与えることである。そうした納得と信頼の土台があって、はじめてチームの力を伸ばすことが可能になるのである。

Check Point!
▢ 率先して行動しているか?
▢「悪いものは悪い」と言えるか?
▢ つねに成長しているか?
▢ 疲れた顔をしていないか?
▢ 健康管理を心がけているか?
▢ よく話を聞いているか?
▢ メンバーの立場にたってチームの予定を立てているか?
▢ 約束は絶対に守っているか?
▢ ついつい威張っていないか?


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