
鬱、ひきこもり、精神的に不安定な状態から、力を抜いて、毎日やりたいことをやり、夢が簡単に実現できるようになった人
運命はあざなえる縄のごとし。不幸なことが起きたから不幸というわけでもないし、幸福な環境だから幸福というわけでもない。
ぜんぶ、その人の見え方が決めているわけでしょう。じゃ、すべてが意のままになるっていうの? なります。なるんです。願えば叶うんです。本当に? ほんとうに、そうなのだろうか? わからんよ。私は知らん。
ともあれ人間は現実という名の鋭い波頭にたえまなく悩まされ続けているわけで、そしてその現実をひいひい言いながら認知するわけで。その、現実への認知っていうのが人ぞれぞれというわけですが、特に子どものやわらかい若い脳みその状態で受けた刺激はその後の人生にも強く影響を与えるというわけで。
現在と過去は変えられないのかもしれない。でも、未来は変えられるでしょうって。
目的のある人間は、たくましいって。
今回の無名人インタビューもお楽しみくださいませ!(主催:qbc)
今回ご参加いただいたのは風見翔さんです!
現在:「楽して」生きる
森逸崎:この度はご出版、おめでとうございます。
それでは書籍を紹介するにあたって、翔さんは今何をされている方なのか、簡単に教えていただけますでしょうか。
翔:今はkindle作家をやりつつ、セミナー講師をしたり、合氣道の先生をやったりしています。あとは、3歳になる娘の面倒を見たり、料理を作ったり。
実は「自分の好きなことをやる」というのが、今回読んでくださっている方に伝えたいことでもあって。実際私も、何足のわらじであろうと、全部好きなことなのでそこは本当に幸せだな、と思います。
森逸崎:一番割合が多いのは、何でしょうか?
翔:本を書いてるときは、執筆活動が一番多かったのですが、最近だとセミナー講師としての活動ですね。
本にも書いたのですが、実はもともと、私自身がうつや引きこもりをしておりまして。そのとき、「そこから抜けるにはどうしたらいいのかな」と、すごく、悩んでいた時期が長かったんです。だからこそ、同じように悩んでいる人へ向けたものを書きたかった。セミナーは、そのメッセージを伝える内容になっています。
森逸崎:セミナー自体は、どのぐらいの頻度で開催されているんでしょうか? オンラインセミナー?
翔:オンラインセミナーですね。執筆に全力を尽くしたかったので、しばらくはお休みしていたのですが、また来月から、出版記念セミナーなど、他にも無料でセミナーを開催することも予定しています。
その中で、「3ヶ月間プログラム」というものを私の友人とやっていこうかなと思っていまして、内容をいろいろ考え中です。私自身が学んできたことを、なるべくギュッと詰め込んだものにしたいと思っています。「いかに力を使わないで自分が望んだものを引き寄せるか」というか、そのように変えるための方法について、そのプログラムで全部伝えたいなと。
森逸崎:書籍のターゲット自体はどういった層なのでしょうか?
翔:元々は私と同じ男性向けのメッセージを書いていたつもりなのですが、読者やセミナー参加者は、意外と女性が多かったですね。内容的にはスピリチュアルなことも多少扱ってますので、女性の方がそういった意識が進んでるのかな、と。
持論ですが、男女は同じ人間ですけど、やっぱり全然違う世界観を有していると思っています。そういった意味で、自分の本は男性の方がわかりやすいかなと思っていたのですが、実際読んだり、セミナーに来ていただけるのは女性が多いですね。
森逸崎:実際に書籍を発売されて、その後の反響や、ご自身の変化などはありましたか?
翔:今のところ、ありがたいことにすごくポジティブなフィードバックをたくさん聞きます。直接、面と向かって「あの本は最低だった」という人は、あまりいないかもしれないですけど(笑)でも、「この部分、このお話がすごく良かった」と具体的に言ってもらえることが多くて、それはすごくありがたいなと思いました。
森逸崎:この書籍を読んだことがない方には、どんな言葉でお勧めしたいですか?
翔:なんていうんでしょう、「楽して人生うまくいくよ」ということ、ですかね。力を使うことなく、頑張ることなく、自分の思ったことがそのまま現実に反映される。だから「楽して」人生うまくいく、という表現を使っています。
「楽して」というと、「何にもしないで」というニュアンスで取る人もいますが、それとはちょっと違いますね。逃げたり、本当に何もしなかったら、すごくつまんないと思うんですよね。すごくつまんないし、本当にそうしたい人って実はいないと思うんですよ。言うなれば「一生何もしたくない人」って。人生の中で何かしら、やりたいことはある。
だから、無駄な努力、無駄な頑張りはせずに、自分のしたくないこともすることなく、本当に今やりたいことを淡々とやっていくというのが、私の中では「楽な」という意味ですね。
森逸崎:書籍発売に関しては、どういった経緯だったのでしょうか?
翔:これまで沢山、いろんな人の講座を受けてきたんですよね。
中でも、今回の本の推薦文を書いていただいた関野直行さんという方の講座を受けて、書こうと思い至った、という感じですね。
その人の講座のなかで「本当に自分が好きなこと、ワクワクした気持ちでいるのと、罪悪感を感じたり、『お互いにぶつかってしまったらどうしよう』という気持ちで狭い部屋を歩き回るのとでは、こんなに違うんだ」って、教えてくれた人です。とにかく楽しい気持ちでいると、人生が変わっていくという。関野さんは本当にすごい名セミナー講師ですね。
森逸崎:その方とは、最初はどういったご縁でお会いしたのでしょうか?
翔:最初は、私の合氣道の生徒さんとして来てくれたんですね。
最初は、そんなに強い接点がありませんでしたが、その人から話を聞くうちに、だんだんすごい人だなって思うようになってきて。
今もなお、いろいろ教わってる最中ですね。
森逸崎:あとがきに、その方への感謝を述べられていましたね。
翔:あとがきに書いた人って、事実として、本当にお世話になったなって思ってるんですよね。だから、私は人に恵まれていると思います。
ただ、実は私、20代のときは全く「誰々のおかげで今がある」というふうに思えなかったんです。思い起こすと、ほぼ今と真逆の考え方で生きてましたね。
森逸崎:へえー!
翔:人は踏み台にして上がっていかなくちゃいけないとか、競争に勝つべきだという人生観って非常に大きかったんで。「誰かのおかげで」という感覚がなかったから、誰も助けてくれなかったんだと今は思います。
これについては、環境が私の心に影響したというよりも、たぶん、私の意識が変わったからかもしれません。意識が変わって、「おかげさま」という気持ちも深くなっていったから、結果的に、「あいつが言うんだったら、ちょっと力を貸してやろうかな」といってくれる人が来てくれたんじゃないかな、と思います。
過去:運命的な出会いの連続
森逸崎:翔さんは、10代、20代、どんな子どもだったのでしょうか?
翔:落ち着きがなかったですね。今でいうADHD。それが悪いとは全く思っていないし、ADHDで結構有名な人も多いんですけど。
椅子に座っていられなかったり、人の話を聞けなかったり、先生にボコボコにされたこともありますし。よくいじめの対象になったりもしました。その時に自分が「落ち着きがなくてもADHDでもいいんだ」って思えれば良かったんですけど。
心を病む人間の特徴の一つに、「自分自身のことをめちゃめちゃ否定する」というのがあって。根底、私もそうでしたね。「落ち着きがない自分は駄目だ」とか、「今こういう状態の自分は良くない」ということを、常に24時間、頭の中で自分からメッセージを受けて緊張し続けている感じ。
例えば今こうして森逸崎さんと話してても、その緊張から、「今こう話したことがどう受け取られているんだろうか」とか、「今まずいことを言ったんじゃないだろうか」とか、常にぐるぐる考えてたんですね。
森逸崎:うんうん。
翔:そうすると、森逸崎さんの話も聞けないじゃないですか。それで聞けなくなって、コミュニケーションがままならなくなっていって、どんどん会話がずれ込んでいって、訳がわからないことになってく。
私自身、心を病む人の特徴を持っていたのだと、思います。
そういう人って、結構多いと思うんですね。割と自分自身を根底から否定してる故に、コミュ障になってしまって、人と話がうまくできない。
だから、本当に書籍で書いたように、「自分自身を受け入れる」ということが、一般の人の役にも立つと思います。心を病んだ人に届いてほしいな、というメッセージですね。
森逸崎:なるほど。
翔:だから「どんな子どもだったか」を改めて言うと、「自己否定」の子どもでしたね。
自分を自己否定してたんで、周りの人も、私を否定してきました。いじめって、少なからずそういう自覚があると思います。自分自身で否定してる人に、肯定してる人が寄ってくる。需要と供給がマッチングしてるという感じです。ただ、本人がそれを自覚するかって、かなり難しい問題だとも思ってますけど。
森逸崎:実際に、いじめがあった期間は、何歳から何歳までだったんですか?
翔:長かったですね。小学校2年から4年、中1から高2までですかね。長いです。
人生で一番地獄でしたね。
森逸崎:書籍の中で書いてあった「世の中全体に対して強い否定の気持ちがあった」というのはその経験からなのでしょうか?
翔:それは、大きくあります。自分の中で押さえつけられた感情や心、抑圧されたものって、大人になってもずーっとそこに残り続けるんですよね。
セルフイメージって変わることってあるんですけど、それはよっぽど人生上で経験した大きなイベントとか。基本的には、何もやらなければ、そんなに大きく変化しなかったりします。だから、そういう抑圧された怒りとか、グワっと抑え込んだ気持ちですね。
森逸崎:うんうん。
翔:犯罪をするような人って、突発的に人を殴ったりとかキレやすかったりとかするじゃないですか。「気づいたら人を刺していた」とか。そういうのって、おそらく現実に目の前にいる人に対して怒ってる部分よりも、そういった過去にいろいろ抑圧されてきたものを全部引っ付けて、ドカンと爆発させているんだと思うこともあります。
だから人間って、現実、現状をありのままに見てる人というのは、ほぼいなくて。何らかの過去に体験してきたことのフィルター越しであったりとか、自分の中に芽生えているいろんな潜在意識に影響を受けていると思います。
森逸崎:うんうんうん。
翔:例えば、世の中は怖いものだと思ってる人もいれば、世の中は安全で素晴らしいと思っている人もいる。
親がすごく子どもを大切にして、夫婦関係も良くてってやっていくと、やっぱり子どももそれを見て、「世の中って安心できるとこなんだ」という感じで、親の姿や親の考えをそのまんまコピーというか、取ってきて成長するんだと思います。両親のどちらかが世の中に対して恐怖を抱いていたりだとか、怒りに思っていたりだとか、そういった気持ちがあると、それもコピーしたり。あるいは、何か抑圧された気持ちがあると、世の中全てに対して破壊したくなってしまうという、そういう気持ちも出てくるんですね。
だから私も、合氣道に出会わず、こういった気持ちがわからなかったら、たぶん、犯罪をしてたんじゃないかなというような状態だったと思います。
森逸崎:なるほど。実際、合氣道を始められたのは何歳ぐらいからだったんですか?
翔:元々は中学校3年のときからやっていて、別の流派のものを、大学1年生になってから始めました。こちらの方が長く続いて、より多くを学びましたね。
森逸崎:どうして、流派を乗り換えたのですか?
翔:大学1年生から始めた流派は、きちんと体系立てて、より実践的に教えてくれましたね。「相手が自分の手首を持っている場合、自分が力を入れるんじゃなくて、ある方向に力を抜くことによって相手を軽く導き投げる」ということを、理論立てて。
しかもそれが、武道の技術的な体系だけではなくて、「意識の持ち方」とか「心の鍛え方」も含めてだったんですね。
その意識や心ひとつで、全然「技が変わってしまう」ということを知れたのが、とてもショックというか、大きな感動があって。そこからは20年、合氣道もずっとやってきました。合氣道の先生自体は10年くらいやっています。
森逸崎:割とこの流派との出会いが、ご自身の中でも大きなターニングポイントだった感じですね?
翔:もう、めちゃめちゃ大きかったと思いますね。この合氣道との出会いがなかったら、本当、どうなってたか。さっき言っていた犯罪者になってたか、どこかで野垂れ死んでたかも知れないというぐらい。
森逸崎:具体的に合氣道のどんな部分が、自分にいい影響を与えたと思いますか?
翔:私がもともと合氣道を始めたきっかけは、「いじめっ子をぶん投げたい」という、非常に素敵な願いから始まったんです(笑)
ただ、合氣道を習っていくうちに、心の落ち着け方とか呼吸法とか、瞑想法とか、そういったことをやっていくうちに、「うわ、自分の心ってすごい波立っている(安定していない)な」って気づいていったんですね。それはもう半端ない波立ちの仕方をしていて。
最初は相手を投げることを目的にしていたけど、そもそもの自己否定の原因ってこれじゃないかなって思い始めて。
森逸崎:うんうん。
翔:自分の潜在意識を見ることで、いわゆる人間関係がうまく行かなくなるような思い込みを、私自身がたくさん持っていたことにも気づいたんですね。「どうせ人に嫌われる」とか「どうせ私の話なんて誰も聞いてない」とか。
それを全部なくしていったら、非常にフラットな感覚に変わっていった。そうすると、いじめられなくなってきたし、それどころか、対人関係が苦手だったけど、逆に対人関係がうまくなって、それなりに誰とでも話せるようになれました。
だから、合氣道との出会いは、自分の中でも非常に大きなターニングポイントです。
森逸崎:他の武道も選択肢としてたくさんある中で、最終的に合氣道に行き着いたのは、どうしてだったんですか?
翔:ある種、運命的なものですよね。
合氣道って、もともと「大東流合気柔術」というところから派生して生まれた武道なんですね。それが戦国時代から続く門外不出の武道といわれていて、お殿様とか、そういった偉い人にしか伝えてはいけないとされる秘伝中の秘伝の武道だった。その武道の特徴は「力を全然使わない」、今の合氣道に通じる部分ですね。
森逸崎:へえー。
翔:ある日、兄貴が大東流のビデオを見ていて、小さいおじいさんが大柄な男性をポンポン投げているのを見て、最初は「胡散臭いな」と思って見ていたんですけど、なかなかに興味を持って。
その大東流はほとんど道場がないので、調べてみたら家の近所に合氣道の道場があったので、それで始めてみたというのがきっかけですね。割と、「力を使うことなく最大限の結果を出す」というのが、たぶん私の人生の運命的なメッセージなんじゃないかなと思ってます。
他の武の格闘技って、だいたい力を入れるというのが前提ですので。力を入れて筋力トレーニングをして相手を倒すというというのが目的ですけど。
合氣道は、力を抜いて自分の心を見ていて、相手に勝つことが目的ではなくて自分自身の心を見つめ直すというような武道なので。
森逸崎:自己否定の感情は、その流派に出会った大学3年から、どのくらいの期間で、肯定的になっていったのでしょうか?
翔:否定の感情が薄れていったのは、稽古を始めてからずーっとですね。
ただ、私も人の心をパカっと開けて覗き見たことがないのでわかりませんが、おそらく私はもう、人の何倍も否定的な気持ちがすごく強いし、今もまだ残っているところがあります。でも、少しずつ時間をかけて、自分の思い込みを剥がしていくことができました。
森逸崎:「思い込みを剥がす」のは、どんなタイミングで、何があったのでしょうか?
翔:本格的にそれを始めたのは、確か、新卒で入社した会社を退職して、引きこもっていたときですね。きっかけは、やっぱり私自身の尊敬するメンターである本田健さんの存在。
その方のセミナーとか通信コースとかを当時勉強していて、「潜在意識」というものについて、引きこもりのときにより深く学びました。
引きこもったときに「自分の中には観念がたくさんあって、それとは真逆の観念というものが、この世界にはある」ということを本田健さんに教わったんです。
「あ、そうか、自分にはこんなにたくさん否定的な観念があったんだ」ということがわかって、認知してから徐々に手放していったということを、引きこもりのときにしていました。
森逸崎:どんな手法で手放していったのでしょうか?
翔:たくさん本を読みましたし、あとは当時よくやってた手法としては、とにかく「紙に書く」ということですね。紙に書いていって、自分が普段感じていること、考えていることを何でもいいので書いていって、そこで上がってきた感情的がグワって持ち上がってきたのであれば、それを手放していく、ということをやってました。
今でこそ、いじめられていた時代のことは笑いながら話せますけど、当時は、いじめのことを思い出して気持ち悪くなりましたし、吐きそうになってましたし、涙も出てきたりしていました。それくらい、そのできごとと「苦しい」という感情がつながっていたんですね。
森逸崎:うんうん。
翔:それって、普段生活してると凍らされてて何も感じなくなってますけど、実際に紙に書いていくことによって、当時の情景とかむかついていたこととか全部思い出していきますので、そういったことを、自分で手放していきましたね。
森逸崎:引きこもり始めたのが25、6歳のころですよね。その前の話、大学生活はいかがでしたか?
翔:楽しくもなく、苦しくもなくという感じですかね。当時は、合氣道ばっかりやってましたね。本当に、サークルとかね、今にして思えば、本当にたくさん遊んでおけば良かったなって思うんですけど。何のサークルも行かず、ひたすら道場ばっかり行ってましたね。
大学の卒業式が終わった後も、すぐ道場へ行っていました(笑)
森逸崎:すごい(笑)
翔:道場にいる生徒さんの中で、道場から家までが一番遠かったのが私だったと思います。電車で片道1時間半、車でも1時間半ぐらいですかね。それでも、毎日誰よりも早く、誰よりも多い回数を通っていました。
森逸崎:そこまで熱中できた一番の理由って、何でしたか?
翔:やっぱり、「自分の心が変わっていく」という実感が、すごく嬉しかったからだと思います。技が上達するというのも、もちろん楽しかったですし、「こんなに全然力を使わなくても、人って倒れるんだ」というのが面白いなと感じたというのもありましたけど。
でも、上達していけばしていくほど、やっぱり心。世の中ってこんなに静かなんだってことがわかっていったのが、一番嬉しいことでしたね。
森逸崎:「静か」ではない状態って、どんな状態ですか?
翔:なんでしょうね、24時間、目の前に霧がかかっている状態ですね。霧がかかっていて、聞こえてくる音声とかも、聞こえてはいるんですけど、水中のようにくぐもって聞こえるというか。目は開いてるし耳も聞こえてるけど、感じ取れない。常に思考が頭の中でぐるぐる回ったり、今日起きた後悔とか、こんなこと言わなければ良かったとか、そんなことがふっと頭に浮かんできて、頭をポコって自分の心の中で殴ったりとか。
森逸崎:うんうん。
翔:あるいは、「これからこんなことが起きたらどうしよう」という心配なことを考えたりとかして。だから、常に意識が「今」にないから、ご飯食べてても味がよくわからないんですよね。ご飯の味がわかったのって、私、20代後半とかじゃないですかね。本当に、「あ、世の中の食べ物ってこんなに美味しいと思えるんだ」というのがわかったりとか。夕日を見てきれいだなとか、海を見てきれいだなとかって、普通だったら思うじゃないですか。当時、心が静かではない状態だと、心が歪んでしまって、そういったものがよくわからなくなっちゃうんですね。
森逸崎:うんうん。
翔:合氣道は「心を落ち着けていく」ということをやっていくので、それでだんだん自分も静かになっていったというのが、実感としてありました。その実感が非常に面白いなって思いましたね。
だから、そのためだったら往復3時間くらいかけても苦にならなかった。今思うと馬鹿だなーって思うんですけど、冬に往復2時間かけて海岸線をバイクで移動したりもしていました(笑)
森逸崎:すごいですね(笑)
翔:しかも、突風がブワーっと吹いているじゃないですか。ある種、心が凍ってたんですよね。だから、冷たいとすらあんまり感じなかったですよね。冷たい、寒いとは思ってたんですけど、「辛い」と感じる気持ちもない。
森逸崎:なるほど。
合氣道に熱中した大学生活を送ったあと、最初に就職した職場はどんなところでしたか?
翔:福祉系の会社でしたね。
選んだ理由は完全に、親の観念。親にとってのいい仕事ってなんだろうと考えて、「安定して、クビにならない仕事」ということで。福祉の仕事だったら親は喜ぶだろうなって、なんとなく選んだのが福祉の仕事だというだけですね。大学が経営学部で福祉の仕事なんて、めちゃめちゃですけどね。
森逸崎:その後1年で退職されたんですよね、その後自分の中で明確に、「もう大丈夫だ、変化したな」って思えたときってありましたか?
翔:どうでしょう、私、30代前半とか中盤ぐらいまでは、本当に「普通の人間になりたい」と思っていて。「なんで私は精神的にこんなにおかしいんだろう」、「子どものときに辛い体験をして、なんで大人になっても辛いと思い続けなきゃいけないんだろう」って。
過去のことはフラッシュバックするし、さっき言ったように、目の前のものはぐにゃぐにゃ曲がって見えるし。
だから、普通の人間のことを学べば学ぶほど、全然私と違うんだなって思って、すごいショックを受けていました。早くそういう普通の生活というか、普通の人間が感じているような心の状態になりたいと思ってたのは、30代中盤のときもそうでしたね。
森逸崎:へえー!
翔:30代後半になってようやく、思わなくなっていったのかな。普通の人か、もしくは普通の人よりも心穏やかになっていたというのは、多分割と直近、30代後半くらいからです。
森逸崎:その中で出会った人、書籍の中で「心のメンター」と書かれている方たちからは、どのような部分に感銘を受けたのでしょうか?
翔:健さんもそうですけど、「頑張ることなく経済的に豊かになる」というメッセージが、やっぱり魅力的に思えましたよね。
感銘を受けたということでは、健さんも関野さんも同じですけど、全然力が入ってないし、毎日楽しそうだし、そう。「楽しむという感性」を持っているんですよね。
どんなに大変な状況でも、普通の人だったらつまらないなと思う状況だったとしても、楽しいところを見つけて、いつもワクワクした状態が続いている。
例えば面白いなと思ったのが、関野さん、1回熊本で地震に被災したことがあったんですね。その時4階とかに住んでて、断水状態になったんですって。でも、そのときの自分の状況を、本当に楽しそうに話すんですよ。
「断水になってて、いい筋力トレーニングになったんだよ」とか(笑)
森逸崎:わお(笑)
翔:水を一気に1階から4階まで走って運んでいって、すごいトレーニングだったって。
関野さんって、70歳近いんですよ。普通の人の感性だったら、「なんてついてないんだろう」とかね、愚痴って当たり前な状態なんですよ。
楽しさを見出すことが完全に身に付いていて、それが癖になっている。
それがすごく、私にも欲しいと思いました。その感性が身についてしまったら、成功しようが失敗しようが、人生、完全に幸せしかないですよね。
森逸崎:うんうん。
翔:それともう1つは、やっぱり会話をしていて、私の思考を解決に導く「あーっ」と思うひとことが随所で言えること。
こんな考え方なかったなというような。すごいそのひとことがきっかけで、自分が事実だと思っていることがカチャカチャカチャって、歯車が組み変わるような感じの言葉が出てくる人ですね。ちょっと具体的な言葉は思い出せないですけど、それくらい、色んなところで感じます。
森逸崎:その経験をされた翔さんだからこそ書ける、具体的な思い込みの剥がし方や、意識の変え方については、今回出版された書籍の中に全部記載されているという感じですね?
翔:そうです。ぜひ、過去の私のように今悩んでいる方、困っている方にこそ、手に取っていただきたいです。
森逸崎:では、無名人インタビュー読者のみなさま、書籍はこちらからぜひチェックを。
未来:力を抜いたまま夢を引き寄せる
森逸崎:もし、過去のご自身に声をかけるとしたら、何てかけますか?
翔:なんでしょう、「まあなんとかなる」ですかね。まあ、なんとかなるよ。今、思い詰めたり死ぬことを考えてるかもしれないけど、まあなんとか幸せに生きる人生ってあるから、まあ、大丈夫だよという感じのことを伝えたいですね。
森逸崎:5年後10年後、または死ぬ直前に、翔さんご自身は、どういう心の状態でいたいですか?
翔:ワクワクできたらいいですよね。ワクワクできて、「やり切ったなー」という気持ちになれば嬉しい。
でも私は輪廻転生を信じてる人間なので、今回の生で学ぶこととかやることは、やり切ったという気持ちで死ねるといいかなという感じですね。
森逸崎:「やり切りたい」の中身として、直近でやっていきたいことがあれば、ぜひ教えてください。
翔:やっぱりセミナーをしていって、いろんな人にメッセージを届けたいというのがありますかね。遡っていくと、私の今回の人生の目的というか、魂レベルで好きなことは、やっぱり「自分のような心を病む人間であったりとか、精神的に行き詰まった人でも本当に幸せになることはできるし、力を抜いたままでも夢を引き寄せることはできるんだ」ってことを、伝えることだと思ってるので。
その人数が多ければ多いほどいいってわけではないですが、なるべく多くの人が、囚われから自由になっていく手伝いができれば、やり切ったなという感じになれるかなって思いますね。今回の書籍は、まさに、そのメッセージを伝える手法の一つでしたね。
森逸崎:最後に、もしもの未来という質問をさせていただきます。
もしも翔さんが、昔から自分で心の状態を認知し、対応できる状態だったとしたら、今、どんな人生になってたと思いますか?
翔:えーなんだろう。全然病んでなかったら、ということですよね?
森逸崎:そうです。
翔:全然違うでしょうね。めちゃめちゃ遊びまくっていたんじゃないですかね(笑)
森逸崎:何して遊んでました?
翔:何でしょうね。スポーツしたり、その日暮らしというか、ものすごく遊んでたかな。わからないです。それぐらい砕けてた方がいいかもしれないですけど。
そんなこと、人生で全然考えたことがなかったですね。面白いですね。
まあでも、その「病んでいる自分」がいなかったら、今こうして心については学ぼうとしなかったし、武道もやってないし。普通に勤めてとかいう人生を歩んでいたかもしれないし、もしかしたら事業で成功してたという未来もあるかもしれないし、何とも言えないですよね。どんな人生歩んでたんでしょうね。
ただ、言えることは、病んでなかったら楽でしょうね(笑)
森逸崎:(笑)
ありがとうございました。最後に言い残したことは、何かありますでしょうか?
翔:特にはないです。
森逸崎:では、こちらでインタビューを終わりにします。今日はありがとうございました!
あとがき
インタビュー前に書籍を拝読しました。読んで、より一層翔さんのパーソナリティの詳しい部分を知りたくなって今回、インタビューにて過去をたくさん深掘りさせていただきました。答えにくい部分もあったかと思いますが、回答いただき感謝です。
書籍の中で「気」の字を全て「氣」と書かれているんですよね。「きがまえ」に「米」、エネルギーが八方へ放出している様子を表すようです。
合氣道で心の向き合い方を学び、多くのメンターの存在によってさらにブラッシュアップしていった翔さん。出会った方々から常に学ぶ姿勢を持ち、その感謝を忘れないようにしたいものです。これからも応援しております。
5月14日(土)・15日(日)に出版記念無料セミナーをするそうです!
ご案内はこちら
インタビュー担当:森逸崎 海
編集協力:有島緋ナ
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インタビュー参加募集!
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