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復職と人インタビュー きさい-003 2023/11/09

前回。
このインタビューは、復職しようと考えている人間(当初はそうだった)が、でもやっぱり違うと思って大学院進学に向かうということの、心情を語っているものです。
人の心模様を浮かびあがらせるものでございます。

うつ

——前回のインタビューから、何か変化はありましたか?

きさい:大学院の書類を出して、本格的に大学院行くぞっていう決意を固めました。それから大学の授業を見学させてもらったりとか、気持ちの面でも学生の準備をしてる感じです。

職場の方はしばらくお休み取れそうなので、1月に大学院の試験があるので、それまではお休みしています。

勉強することに関してはかなり前向きで楽しい気持ちになっていて、これからやりたいこととかもいっぱい出てきてるような感じです。

ただ、少し前に手当の申請に時間がかかって、一時的に全然お金がなくなったんですよ。
その時に本当にこれでいいのかみたいな不安が起きて、これから大学行くっていうことは、どっちかっていうとお金を遣うことで、すぐには収入には結びつかないんだって思って、それでダウンしてました。1週間ぐらいですかね、ちょっと調子が悪い時期があったんですけど。
でも手当が振り込まれたら持ち直して、楽しく勉強しようっていう方向に今向かってます。

私、実はうつにはなるべくしてなったと思ってるんですけど。
自分の人生の中で、元々外面はいいけど、その時に無意識に我慢してるみたいな性格で、物心ついた頃から、ずっと外では代表者とかやっていたんですけど。それでみんなから評価してもらこと自体も嬉しくて楽しかったんですけど、不得意なことも不得意と言わずに無理やりやってて。
気がついたら、心が擦り切れてて、突然、簡単な計算とかもしたくなくなるみたいな。

——はい。

きさい:中高生ぐらいからその自覚があったような気がしていて。月1回ぐらい大泣きする時期があるなっていうのを、誰かと話した記憶があるんですよ。
でもそこで泣いてすっきりしたら、涙と一緒に1回ストレスも流れるというか、それでまた頑張れるよねっていうくらいの感覚で波を捉えてました。

親には相談したり、学校でも先生にこれできないですって突然言い出して泣き出すこともあったんですけど、先生と2人だけになったときとか。

社会人になってからは、一人暮らしへの適応がうまくいってなかった時期に波が来て、でもそれはうまく回るようになったら解決して。でも親は心配してその頃から病院行けとは言ってました。
でも病院行けるぐらいに復活する頃には、何ともなくなって病院には行かないでいて。

新卒で入った会社では、だんだん笑ってる時でも頭の中でずっと泣きたい気持ちが巣くってる感じになってきたんですよ。日によっては全然平気なこともあるけど、ずっと頭の中に悲しい気持ちがすぐ出るような。

——涙はどうしてでるんですか?

きさい:嫌なことをその場で自覚するの苦手なんですよね。後からじわじわくるんですけど、今でもすごく覚えてるのが、高校の時に私が美化委員になってすごいしんどかった日があるのを覚えてて。
月1の会員だよりみたいなのを提出しなきゃいけなかったんですけど、そこにコラムを書くコーナーがあって、誰がやる?って私がみんなに聞いたんですよ。

そしたら周りにいる子たちが、俺塾だから書けない、私も塾だから書けない、私今から部活の大会の練習行くから書けないって、次々降りて。よろしくねって、そのまますっと私の前に置いて、みんな帰り支度を始めたんですよ。
その瞬間、私そこでは泣けなかったし、確かに私だけ部活もなかったし塾もなかったので、いっかと思って受け取ったんですけど、それを結構なんか、社会人になってからも腹立つぐらいすごい覚えてるんですよね。

多分、そういうのが遅れて、爆発が来ます。
不条理というか、その瞬間、言い返せなかった分の反動というか。

一方で「自分も無理です」って言えばよかったじゃんって思うし。当時も本当はそれ言いたくて、ぱっと口から出なくて詰まっちゃったんじゃないかなっていうような気はしますね。

私、大学からすごく意識して、自分の駄目なところを出そうっていうのを頑張ってたんですよ。苦手なことは、本当そこ駄目なんだねって笑い話で流してもらえる環境作りを頑張っていて。

大学のサークルの新入生歓迎コンパで、いや私本当忘れっぽいんですよって、こいつはそそっかしいキャラっていうのが固まった時には、すごい成功を感じました。
なので鍵とか預けられなかったですし、こうやっていけばいいんだっていうのを思ったんですけど。
ただ、どんなシチュエーションでもうまくいくわけではないですね。サークルのようなコミュニティだったからうまくいったっていう感じです。

——なぜ言い返せないんですかね。

きさい:その場で言い返せた経験があんまり思いつかないんですよね。
その場から人がいなくなった瞬間に、頭の中でこう言えば言い返せたんじゃないかって、ぐるぐる頭の中を回り始めるみたいな感じで。

でも、それはそれで美徳だって友達に言ってもらったことがあって。その子は反射的に言い返しちゃうので、絶対喧嘩になるって。
その結果として嫌な奴ってレッテル貼られたこともあって。

だから怒る前に一旦止まれるのは偉いと思うって言われたんですけど。
でも私としては、それで損してきたっていう感覚があるので。

最初の職場でも、サークル戦法で駄目なところを出して行こうとしたんですけど、またまたーみたいな感じで信じてもらえなくて、結局、結構重要な役を任されがちで、すごいキャパオーバーで駄目になっちゃったんですよ、私。

今転職してきたところでは、飲み会で雑談の種としてそういう話をしようとしたら、いや後ろ向きすぎるって、もっと自分のいいところ出していいよって言われて、それもやっぱり環境次第で、全然正解ではないんだなって思ったっていう。

——想像してほしいのですが。それではどういうキャラクターであれば、言い返せそうですかね。

きさい:今ぱっと思い浮かんだのは、ノリのいい関西人の姉御だったら楽だろうなって思いました。
仕事が回ってきた時に、私も忙しいって、かわいく笑える感じで言えて、タスク振り直せる人がいたら、場も和むし、自分も無理しないで済むしいいなって思いました。

人と意見の相違を感じた瞬間に、固まっちゃうんですよね。
学説同士で議論するとかは、それが当たり前って思ってるから、相手の意見を1回受け止めた上で自分の意見を出すみたいなスムーズにできるんですよ。

でも、もっとハイテンポで行われる人間関係的な会話の時は、固まっちゃいますね。考えすぎちゃいます。
多分受け取った瞬間に、3回転ぐらいするんですよ頭の中で。相手の言葉をそのまま取った時の意味と、善意的に解釈しようとした場合、本当はどういう意味で口にしたのかみたいな。
それがぐるぐるぐるっと回ってそこで止まっちゃうみたいな感じですかね。

——人生で、イニシアチブを取るほう、取られるほう、どちらが多かったですか?

きさい:圧倒的に自分がイニシアチブ取ってきた側だと思います。
でも、話を思いつくのが早いので喋る量は多いんですけど、イニシアチブという意味だと、そういう考え方で会話を捉えてなかったかもしれないですね。

私、前に出ることが多いんですよ。けど進行役ゆえに損してる感じがあるというか。
誰もやりたくなさそうなものが、誰もやりたくないままずっと机の上に放置されてるんですよ。これそろそろ先生がイライラしてるから怒り出すぞっていう段になって、仕方がないから自分がそれを手に取って、これ誰がやるって聞いたら、みんなから押し付けられて結局自分に回ってくるみたいなイメージですかね。
みんなやりたくないから黙ってるっていうシチュエーションが耐えられなくて。

周りに自分と似たような性格の人が集まってる環境だと、すんなりすっきりいくのでストレスないんですけど。今の会社は職種がディレクターなので、皆さん自分で線を引いて進めるっていうのが習慣づいてる人とか集まってて、平等に進んでるイメージです。

——なるほど。

きさい:とりあえず自分が何とかすれば何とかなる場面をたくさん経験してきちゃって、それが負の成功体験だったんだなって思いますね。

終わりに

私もうつになったことある。
それ以来、怒りっぽく成りました。
我慢してたら自分がもたない。

制作:qbc(無名人インタビュー主催・作家)

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