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「死にたい」と思いながら生きていてもいいと歌う人

最近は、あわよくば、て考えてます? 漁夫の利です。
寄らば大樹の陰して、玉の輿を狙ってたりします?
時代が冷え切っちまってるんです。インタビューで、平成バブルと令和コロナの大学生の話を比較するんですよ。バブル組はアルバイトしててもチップもらったり、クリスマスは六本木でパーティするんです。令和コロナはアルバイトもオンライン英会話で、恋人と二人で2万のお食事だったりするんです。
まあまあまあ、どの時代にもてっぺんと底辺がいて、まんなかへんの過ごし方があるんですよきっと。
まあね、バブルみたいな経済の作り方がおかしいのか、それともジワジワ堅調がいいのかわかりませんけど、でもね多くの人々がそんなに利巧でない以上、たいていの人たちが扇動されていってしまう以上、なんつか私たちは「景気」という悪魔の掌の上で踊らされているのでは、ないのでしょうか?
嗚呼あさはかなことを書いてしまった。
まあどんな時代であれ、いつの時代であれ、一人一人にまでカメラを近づけていったら、そこにはドラマがあるものですよね。でね、インタビューは、映像のカメラではなく、心のカメラなんですよ。だからDNAのゲノムは映らないかもしれないけど、情緒や記憶っていう厄介者たちは映しだすことができるんです。
今日の無名人インタビューも楽しんでいってくださいませね!!(主催:qbc)

今回ご参加いただいたのは niw さんです!

現在:「死にたい」と思いながら生きていてもいいっていうことを伝えたいですね。

toki:今、何をしていらっしゃる方ですか?

niw:職業的には無職です。ひきこもりです。
何をしているか…そうですね、最近はそれこそnoteとか、ちょうど1週間ぐらい前にちょうど書き始めて。自分が感じてきたことを外に向けて出していこう、発信していこうみたいな気持ちになって。それをするために、このインタビューを受けようと決めました。

toki:noteを始めようと思ったきっかけは?

niw:前々から、自分の頭の中身をアウトプットというか、考えてることを口で喋るのが苦手で。でも、文字っていう形だったら伝えやすくて。
1週間前に、2年前ぐらいに作って、1度投稿したものの消してた音源を、YouTubeに再アップしたんですよね。それでやっぱり、自分の音楽を聴いてくれてる人も少ないながらいるし、それを何年も待ってくれてるっていう人がいるんだなっていうことに気づきまして。
普段、僕が音楽を作るまでの過程みたいなところを一緒に考えて欲しいというか。多分、普通って言ったらあれですけど、社会に生きてる人はあんまり考えてないんだろうなみたいなことを普段考え込んじゃうので、そこをちょっと、気づいてほしいみたいな気持ちで、始めましたね。

toki:「社会に生きている人はあんまり考えてないんだろうな」ってことって、例えばどんなことがありますか?

niw:ちょっとスケールの大きい話になってくるとは思うんですけど、「お金をめちゃくちゃ稼ぎたい」とか、「すごい偉い人になりたい」とかっていうのが、社会全体の流れとしてはあると思うんですけれども。そこじゃなくて、日常生活というか、生活全般を送ること。食べたり、寝たり、周りの人を大事にしたりとか。そっちの方が自分は大事な気がしてて。
そこの基本的な生活のところをないがしろにしちゃってて、その部分がちゃんと成り立っていないのに、自分のやりたいことばかりを優先して生活しちゃってるんじゃないかな、みたいなところがあって。それが原因で心を病んでしまったりとかっていうのがあると思うので。
それは僕自身が結構、元々は自分のやりたいことばかりを優先してきて、最終的に本当にやりたいことが出来なくなった瞬間に、当たり前のことがすごく大切だって気づけたんで。普通の生活というか、普通がいちばん幸福で、全然当たり前じゃないよ、みたいなことを知ってほしい。

toki:なるほど。他に、社会に向けて発信したいことはありますか?

niw:あとは、自分が昔からめちゃくちゃ考えすぎるタイプなので、考えすぎる人に向けて。考えすぎること自体は悪いことじゃないけれど、その結果、自分の頭の中でぐるぐるぐるぐるしちゃって、答えが出ない問題に対して考え込んでしまって、しんどくなっちゃうことってあると思うんですけど。
でも、しんどくなるっていうのも、悪くないというか。究極的なところで言えば、「死にたい」と思いながら生きていてもいいっていうことを伝えたいですね。
ただその、「死にたい」っていう気持ちになったとしても、最終的にその死にたい気持ちっていうのが何らかの手段で解決できるものなんだっていうことを知ってほしいですね。僕自身はあんまり、最終的に、やむを得ぬ事情があって死を選ぶ人とかのことを悪くは思えないというか。逆に、僕から見ればなんですけど、死にたがっている人のなかでも、「その環境はかなり恵まれてるのに」って思うことがすごい多かったりするけれど。それはその人の人生だからっていうかたちで考えていて。

toki:なるほど。

niw:僕自身がやっぱり、双極性障害っていう精神障害があって、かなり気分のアップダウンがすごくて、それに体がついていかないってことが多々あるんですけど。それが原因でベッド中心の生活というか。終末期のベッドで延命治療を受けてるような感覚で半分生きてるんですけど。それでも、たまに「生きててよかった」みたいに思えることがあって。それが、苦しい部分をチャラにしてくれるものだって考えてるんで。
だから頑張れっていうかたちじゃなくて、いや僕も死にたいけど。その死にたい気持ちを持ったままで、ダラダラと生きていきませんかっていう提案をしたいかなって今は考えてますね。

toki:ベッド中心の生活というお話しでしたが、最近の1日の過ごし方って、どんな感じですか?

niw:スケジュールとか決まったものはあまりなくて。気分のいいとき、悪いとき、それぞれの過ごし方があって。
もう悪いときは本当にずっと、24時間ずっと寝たままとか、ご飯食べずに、水も飲まずに、みたいなこともあれば、調子のいいときは、1日のなかで自分のしたいこと、ギター弾いてみたりとか、曲を作ったりとか。自分の考え方や価値観を広げていくようなことを吸収したりとか。そういうことに時間を使ったり。
最近で言うと、人に会うことにも時間を使ってますね。今までは、自分の世界を広げるのが嫌だったんですけど。それをちょっと広げたいなっていう感覚が生まれだしたんで。今は、余裕ができると人に会う時間を増やしてる気がします。

toki:ありがとうございます。noteで、音楽の制作もやっていらっしゃると拝見したのですが、音楽については、ご自身の中ではどういった位置付けですか?

niw:自分の最終的なアウトプットというか。自分の考え方とか気持ちがすごい揺れている中で、自分にとって一番収まりがいい伝え方なのかなっていうふうに捉えてて。
音楽だけが特別に重要ってわけでは自分のなかではあまりないというか。ただ、求められてる表現として、音楽が自分にとっては最適なのかなと思ってやってるところはありますね。

toki:音楽制作をしている時は、どんな気持ちでやられてるんですか?

niw:noteとかを書いてるときと似てるというか、感情的になってる。自分の人生のなかで1番楽しかったこととか、1番苦しかったこととかを考えてるので、かなり苦しいっていう感覚はとてもあって。やっぱり掘り出したくない記憶もあれば、考えたくないような現実の問題とかもあるんですけど。そこをあえて見に行く、みたいなところがありますね。

toki:苦しいけど、続けられている?

niw:そうですね。自分のなかですごく伝わってる感みたいなところが、実感としてあるんだと思います。誰にも共感してもらえない感じではなくて、唯一そこだけは他人と共有できる。これだけはわかってほしい、ところを出せる場所なのかなっていうふうには考えてます。

過去:6月4日。ピンポイントで日付を覚えてるんですけど、突然体が動かなくなって、家から出れなくなったんですよ。

toki:小さい頃は、どんなお子さんでしたか?

niw:僕の親から聞いた話なんですけど、生まれてから物心がつく前までは、すごい明るくて。破天荒というか、自由にのびのび生きてたらしいんですよね。人を喜ばせたり、自分がふざけて人を楽しませるみたいな。
自分の今とは逆の生き方をしてたんですけど、幼稚園に入ったぐらいから、小児喘息になって。結構それもきつくて。幼稚園も、通ってる期間と入院してる期間が多分同じぐらい。だから、幼稚園の最初の方は行ってたような気はするけど、真ん中ぐらいはずっと病院にいました。
だから人との、というか同世代との関わりが極端に少なかったかなって。関わる機会自体がそもそも少なかったなって今では思ってて。小学校に入っても喘息は治らなくて。運動会とかの砂ぼこりが喘息の原因になるんですけど、運動会の時期とかになると、すごく体もしんどかった。
小学生の中盤あたりぐらいから、自分はひとりなんだっていう感覚にすごい襲われて。人と関わらなくなったというか、関わらずに生きていこうみたいな感覚になって。ずっと本を読んでましたね。教室のうしろの棚にある本を読んでましたね。だからもうほとんど、子供の頃に友達と遊んだ記憶っていうのはなくて。多分、本当に数回なんじゃないかな。そのくらい、人との関わりがなかったんですけど。

toki:ほうほう。

niw:でも年を重ねていって、それこそ高学年ぐらいになったときに、孤立してる仲間同士で友達みたいなものが出来てきて。それがきっかけで、教室の方にも馴染めるようになったというか。居心地は基本的に悪いけど、話し合うときとかには参加できるかたちになりました。高学年ぐらいのときには、肉体的ないじめに遭って。最初は、どちらかというと女子からの、精神的ないじめで、僕は割と精神的ないじめには耐えやすかったので、耐えてたんですけど。
それを耐えてると、男子から暴力的ないじめに日常的に遭うようになって。普通にお腹をドーンって殴られたりとか、羽交い絞めにされて殴られたり、蹴られたりしました。それこそ小学生ぐらいの時期って、遊びなのか、いじめなのか、いじりなのか、何かよくわからない感じで進んでいってると思うんですけど、多分いじめる対象として、ちょうどいいところに僕がいたのかなっていうふうには思ってて。

toki:はい。

niw:それをきっかけに、それまで一旦開いてた人への扉みたいなのがすごい勢いで閉じていったんですよね。もう関わりたくないっていうか。今まで味方だったはずの人間までも、敵になっていく感覚があって。いじめられてるとかは親にも言えず。言えずっていうか、言わなかっただけなのかもわかんないんですけど。なんかあんまり言えなくて。それでも、不登校とかもせずに、学校もただひたすら通ってましたね。

toki:ご家族との関係はいかがでしたか?

niw:普通にどこにでもある家族構成だと思うんですよ。父、母、僕、弟です。おばあちゃんが父方も母方も、両方とも健在で。僕が子供の頃は、父方のおじいちゃんはまだ生きてて、田舎のおじいちゃんみたいな感じで愛のあるちょっかいをかけられて。他にも、川に連れて行ってもらったりとか、自然がいっぱいあるところに、いろいろ連れて行ってもらって。今生きてる人は絶対そんな経験しなさそうな、自然のなかで過ごしてたかなっていう感覚がありますね。

家族についてのエピソードは、弟は、僕が目指す「普通の人」という感じ。結構、昔は荒れてた時期とかもあったんですけど、今は結婚をして、子供もいて。幸せそうに過ごしてます。弟とは良い関係ですね。子供の頃は弟を泣かせたりとかしてたんですけど、それも弟が結婚したぐらいから、立場が逆転して。僕の方が弟感というか、僕が障害のせいで動けないことが増えてきたりして。
今はちょうどいいバランスというか。思うことはいろいろあるけど、それでもお互い幸せそうだから、積極的に関わっています。昔は全く連絡とか取ってなかったんですけど、弟の子供をきっかけに関わるようにはなりましたね。お嫁さんはこんな僕にでも優しいです。

toki:はい。

niw:父親と母親はというと、基本的に2人とも暗くて。すごい暗くって。ただその暗さの種類が違うっていったらちょっと変なんですけど。
父親はすごい神経質で、今の自分に本当に似てるというか、基本的にすごいピリピリしてて。ただ、周りのことを考えてないんじゃなくて、考えすぎたことによって逆にピリピリしてしまうみたいなタイプで。
母親の方の暗さっていうのは、これは今の僕の問題になってることでもあるんですけど、母親は孤独感が少し強そうで。その孤独感のために、結構いろんな人に尽くしていて。できた人なんですよ。子供が言うのもなんですけど、聖人というか、できた人っていう感じで。音楽的な面で言えば、父親は音痴なのにアコギを昔は弾いていたらしくて、母親は合唱部だったらしいです。

toki:なるほど。

niw:ただ、関わりの度合いで言うと、自分は母親よりも父方のおばあちゃんに育ててもらった感覚がちょっとあって。学生時代とかも、ほとんど母親代わりになってもらって。
母親は仕事もできる人で、学歴とかは多分そんなになんですけど、すごい出世していって。努力すれば認められる人なんだろうなって感じてますね。でも、父親は周りのことを気にするんですけど、いろんなことをしても、あんまり報われないというか。両親ともに身を削るタイプなんですけど、それの結果の現れ方が違うっていうところがあったりで。
その子供なんで、いいところのバランスもあるんですけど、悪い部分もすごい引き継いじゃって。それが今、家系的にも続いてきてるというか。おばあちゃんたちもどちらも明るくはないというか。どちらかというと暗くて、人のために何かするみたいな生き方をしてきた人なんで。多分その遺伝子がすごい凝縮されたのが僕なんかなっていうふうに思ってますね。

toki:ありがとうございます。
先ほど、小学校高学年になってから、人と関わりたくないと思うようになったところまでお聞きしましたが、その後、中学校や高校での生活はいかがでしたか?

niw:中学生に入ってからは、仮面をつけて生活しようって思って。いい人ぶってたというか、クラスのみんなから愛されて、仮面上は多分すごくいい人に見えて。
君がいてくれるからクラスがまとまってるね、みたいなことをどの先生にも言われてきて。勉強に関しても、自分は勉強自体が楽しいと思えるタイプだったんで、進んでやっていて、学力的にもすごいよかったんですけど。
でも、やっぱり仮面をつけてる分、内心で全然違う感情が渦巻いていって。そこが徐々にたまっていって、中2ぐらいだと思うんですけど、自分と自分自身の意識みたいなのが離れていく感覚が一時期あって。自分を上から見てるみたいな。ちょっとこれ伝わりにくいと思うんですけど、強いストレスがかかったときにその状態になってしまってて。
そうやって、精神的な不調をすごい感じてはいたんですけど、なかなか医療にはたどり着けなくて。ちょっとおまじないというか、近くにイタコさんみたいな人がいて、その人にお祓いをしてもらって、その人の言う通りにすると、知らない間に治っている、みたいなことがありました。

toki:はい。

niw:高校に上がるタイミングで、偏差値が高いところに入学してしまって。半分受からないと思って受けたんですけど、なんか受かっちゃって。自分がいけると思ってなかったところに受かったっていう喜びはあるんですけど、そこにいる、環境に恵まれた人たちと自分が、根本的に違う世界の中で生きてきたんだな、という風に感じてしまって。
6月4日。ピンポイントで覚えてるんですけど、もう突然体が動かなくなって、家から出れなくなったんですよ。それがきっかけで、精神科に通うようになって。そこで最初に言われたことがすごい印象的に残っていて。「今、死にたいですか?」みたいな質問をされたときに、すごいしっくりきたというか。もうなんか、正にそれですっていう感じで答えていて。自分のその気持ちにもびっくりしたというか。自分って今死にたかったんやな、って感覚になって。
そこから、正直あんまり覚えてないというか。苦しすぎて覚えてないのかわかんないんですけど。

toki:そうなんですね。

niw:その次の年に、違う学校の入試を受けて、高校1年生をもう1回やり直すみたいなことになって。その頃からすごく音楽の熱が高まってて、しんどかった期間に曲を作り始めたというか。今まで勉強に割いてた時間をそっちに全振りした結果、狂ったように音楽を作ってたっていうか。
高校時代もほぼほぼ、勉強よりも音楽を優先してやってました。学年が上がるときも、毎回お前留年するぞみたいな脅しがあったくらい。卒業の前も、もうこれ多分卒業できひんのじゃないかなって、自分では思ってたんですけど。学校側がうまいことやってくれてなんとか卒業できました。

toki:そこから音楽制作が始まったんですね。

niw:その後が、すごいダラダラと生きてて。自分が音楽をちゃんとやりたいのか、大学に進学したかったのか、ただダラダラとしたいのかがわからなくなって。もう好きなことだけしてたんですよね。高校卒業の1年前ぐらいにも精神的にまたしんどくなっちゃって、その流れでその次の1年とかもダラダラしてて。
それを見かねた母親にすすめられた大学に入学したんですけど、そこでも学力的に全く問題なかったんですけど、人間関係にかなり疲れてしまって。自分ひとりだけがカリカリ勉強してて、まわりはずっと遊んでる、みたいなところでいたので、大学自体も1年ぐらいで辞めちゃって。
大学辞めたのをきっかけに、バンド活動にも1回ちょっと集中するかたちになって。そこからは2014年から、数年間バンド一本でやってたというか、音楽だけをしてて。バイトもやったりやめたりをすごく繰り返して。社会のなかでやっていけないなっていう実感だけが積もっていってしまって。

toki:はい。

niw:だからあんまり、周りが音楽を続けるのか、就職をきっかけにもうちょっとそこから離れて普通の生活をするのか、みたいな選択で悩んでるときも、僕はあんまりそこは悩まなかったっていうか、自分にはちょっと就職っていうかたちでは社会にいれないなっていうところが強くて。バンド活動していくなかでもしんどいことはいろいろあったんですけど、自分なりには達成感をもって終わりを迎えましたね。それが2017年とか2018年だったと思うんですけど。
ただ、そこから完全に自分の生きる軸みたいなものを失ってしまって。本当に無というか。虚無感の中でずっと生きてましたね、その時期は。それより前の段階から、自分の中には虚無感しかないなみたいな感覚はあったんですけど、それを本当の意味で、心の中だけじゃなくて、障害の影響で近くの仲間に酷いことを言ったりしてしまって、関わる人が本当にいなくなったりとかっていうことが起きて。本当にもうただただ寝ることで、嫌なことから逃げる生活をしてましたね。
とりあえずがそこまでぐらいが、ひとつの区切りかなっていうふうに思いますね。

toki:それで今に至るという。

niw:そうですね。学校に行けなくなったりとか学校を辞めたりとかっていうことをすごい繰り返してたんで、鬱の症状としては、元からかなりひどかったんですよ。ただ、それがもっともっと深刻になっていってしまって。気分の乱降下がすごい激しくなっていって、徐々に他人にすごい迷惑をかけるようになってしまったんですね。気分が下がることでバンド活動ができなくなる迷惑もありますし、気分が上がりきって人に当たり散らしたりとかが出てきてしまって。それがきっかけで、そこからの数年間、精神科を何回も何回も入院したり退院したりを繰り返してて。ここ2年間ぐらいでやっと、入院はしなくなって、家でも過ごせる感じにはなってきて。
そこで、自分の今までの生き方を見直して。自分から全てがなくなってしまった中で、何を大事にしていけばいいのかを考えて。それで、一番最初に話した、「自分のいちばん近いところから大切にしていく」っていうところに行き着いて。それで、健康のこととかに気をつかうようになったりとか。精神的にも無理をしてしまう性格なので、自分が行き過ぎないようにセーブをかけていくっていうことをするようになったりとか。

toki:そういう背景で、冒頭の「当たり前を大切に」というお話が出てきたんですね。

niw:周りはすごく、お金がないお金がない、みたいなこと言ってて。多分、食事もちゃんと取って、必要な楽器も買って、バンドをやっていくうえでの付き合いもやってる上でお金がないって言ってたと思うんですけど。僕は変にストイックだったというか。楽器だけをちゃんとしておいたら、周りの付き合いみたいなところとか、自分の着るものとか食べるものに関してはかなり抑えて生活してたんで。
今思えば、ユニクロとかGUとか、そういう服よりも安い服を着てたと思うんですよね。雑貨屋で買えるような、すごい変な柄の服とかを着てたりとかしてたんですけど。そういうところが今とは違うかなって思いつつも。自分の中では本物志向みたいなところがあって。人間関係があるから音楽が認められるみたいなところは、嫌だったというか距離を置きたかったっていうのがあって。ストイックに音楽に向かってた。もう音楽だけに特化してたような感覚は自分としてはありますね。

未来:「死にたい」って言ってる人間として矛盾しているように聞こえると思うんですけど、長生きしたいです。

toki:5年後や10年後、死ぬときまでにでも、なんでもいいんですが、どうなっていたいとか、こんなことをやりたいとかっていうものは何かありますか?

niw:自分がすごい苦しかったときに、助けてもらったりとか、見捨てずにいてくれた人たちとかが、かなり少数ですけどいるんで、納得できる人間関係があるので、その人たちにちゃんと返していきたい気持ちが強くて。
それと並行して、音楽がきっかけで自分のことを知ってくれた人は、自分の過去とか、生い立ちとかを、感じられる部分があると信じてるので、そこを悩んでる人たちも、生きられるようにしたいっていうのがあって。
生きやすくする、みたいなところとは、またちょっとベクトルが違うというか。生きやすい社会づくりっていうのは、自分自身としては、それはどうなんかなっていうふうなところがあって。生きやすいというよりは、生きづらくても、その状態のままでも生きていていいんだという考え方というか、そういう社会になっていくように、自分が活動していきたいなっていう気持ちはありますね。

toki:今、やりたいことをお伺いしたんですけれども、どんな人になりたいかでいうと、いかがですか?

niw:やっぱり人生が深く沈むまでに、仮面をつけて生きてきたっていう感覚、人から嫌われないように嫌われないように生きてきた実感があるので、嫌われてもいいというか、嫌われても当たり前。嫌われても、関わっていく人たちにとってはいい方向に進んでいくならそれはそれでいいんじゃないかなっていう感覚で人と関わっていけたらなっていうところは今はすごく感じてます。

toki:ありがとうございます。現在のパートで「たまに、生きててよかったと思えるときがある」とお話しされていましたが、niwさんはどんな時に「生きててよかった」と感じますか?

niw:やっぱり音楽が、自分の表現の最終的なかたちだと思ってるんで。自分として納得できていなくても、納得できていたとしても、どちらの状況でも、聴いてくれる人に本当の意味で、自分が思ってることがちゃんと伝わって、伝わったなっていうのが最近すごい感じられて。そういう瞬間ですかね。
自分が今までいい人ぶってたところがすごいあって、いい人ぶってる分、精神的に不安定になってたので。でも不安定でも、最終的にできた音楽としては別に良いものができてるから、まあ人はどうでもいいってところが伝わった瞬間がやっぱ、自分の中では1番嬉しかったですね。

toki:今、何の制約もなく何でも自分の思い通りになるとしたらどうしたいですか?。

niw:制約っていうところでいくと、精神的な病気っていうのがすごい自分を大きく縛り上げてるものなので、そこがなくなったとしたら、全力で音楽をやったりすると思いますね。自分の体調を壊してしまうところでもあるんですけど、本当に、命かけてもいいって思えてるというか。
聴いてくれる人の数とかすごいどうでもよくて、聴いてくれるひとりひとりの質というか、聴いてくれる人だけが救われるようなものを作っていきたいなっていう感覚はあるので。だから多分、全然セーブせずにバンドをやってるんじゃないかなっていうふうに思いますね。

toki:これから一番楽しみなことはなんですか?

niw:多分、「死にたい」って言ってる人間として矛盾しているように聞こえると思うんですけど、長生きしたいです。長生きして、自分が頭の中で考えてきた未来が現実にはどうなるのかを見届けたいなって。
長生きするためには1日1日を大事にして生きていかないといけないんで。やっぱ矛盾してるんですけど、1日1日を大事にして生きていきたいですね。

toki:そうやって1日1日を大事に積み重ねて、自分がどうなっていくのかを見るのが楽しみ?

niw:そうですね。最近は感情がかなり揺れてるんですけど。でもそれはそれで楽しんでるというか。人生が充実してる感覚っていうのがすごいあって。だから、苦しいことを避けるばっかりじゃなくて、あえて苦しいところに挑戦していくっていうのも、人生の充実感を高めるのには大事なのかなっていうふうに思ったりはします。
音楽を完全にやめてしまってから、自分の中の虚無心がすごく大きくなってしまって。その時間が勿体なかったなっていうふうに今では思ってるので。だから、そこの部分を取り返すっていうのじゃなくて、それよりかは未来の方向に向けて、変えていけることを少しずつ変えていくっていうかたちで長生きできたらなって思ってます。

toki:なるほど。ちなみに今、自分の人生の満足度を最大で100%とするなら、何%ぐらいになりますか?

niw:多分僕、基本的にバンドが解散したみたいなタイミング、そこが100%で、そこからはずっと延長線みたいなかたちで捉えてるんで、満足度としては、良くも悪くも100%というか。
生きてること自体を楽しんでる気がします。すごい苦しいんですけど。生きていくこと自体がすごい苦しいんですけど。満足度としては今が楽しいかなっていう。

toki:苦しみも生きることの一部として捉えられているんですかね。

niw:そうですね。基本的に、苦しいことからはもう逃れられないっていうか、それが生きる定めみたいに感じるので。そこは一旦置いといて、どうやって生きていたら自分が楽しいかみたいなところを考えて行った方が、充実度としては上がるんじゃないかなっていうふうに今考えてます。

toki:ありがとうございます。毎回、もしもの未来について質問しているんですけれども。
もしも、高校生の時に「今、死にたいですか?」と聞かれていなかったら、そこで自分の気持ちに気づけていなかったら、その後の人生ってどんなものになっていたと思いますか?

niw:多分、僕自身はもうその段階で自殺の方向に向かってたんじゃないかなって。
タイミングとして、その瞬間だけすごい死にたかった時が、人生のいろんな箇所であるんですけど、うまいこと逃げられてきたから、ただ生きてるっていう感じなんで。なんかあんまり「もしあのとき、自分の気持ちに気づけなかったら」とかっていうふうに考えないというか。
今もあんまり自分のことってわかんないです。実際。周りのことはよくわかるのに。周りの気持ちとか、こうしたらこの人は良くなるのになとかっていうことには気づけるんですけど。自分のことがやっぱ全然見えないんで。そうなると、他の人が言ってくれる言葉、本当に見てくれる人がかけてくれる言葉っていうのが大事に感じますね、今は。

toki:今までかけられた言葉の中で、一番強く印象に残ってるものって何かありますか?

niw:かけられた言葉か。学生の頃だと思うんですけど、自分が仮面をつけずに、本心で付き合える友達に、「死にたいんやけど」みたいなことを言ったときに、「とりあえずめちゃくちゃうんこブリブリ出したらいいねん」みたいなことを言われたんですけど。
そんな、もうめちゃくちゃふざけてるな、あいつみたいな、こいつ何も考えてないんじゃないか、みたいなところが、逆に考えてくれてたんかなっていうふうに今になって思うというか
やっぱ考え込んじゃう人って、身近な、なんでもないことにあんまり気付けてなかったりするんで。今思えば、みたいなところではあるんですけど、そういうくだらないことというか、こいつ考えてんのか考えてないのかわからんみたいな言葉をかけられることの方が、自分には救いにはなってます。

toki:すごく印象的な言葉ですね。ありがとうございます。
そろそろインタビューも終盤になりますが、最後に何か言い残したことや、もっと話したかったことがあれば、お願いします。

niw:僕自身としては、生まれてから割と一貫して、人生の中で考えてることがあって。それが、なんのために生きてるのかとか、自分自身と真剣に向き合うことだったんですけど。
だからそういうところもちょっと、自分の中でも深く自分と向き合ってみて、自分を出すのが苦手なタイプではあるんですけど、またこういうインタビューとか、noteとか音楽とか、何でもいいんで、いろんなかたちで自分を引き出していけたらなとは思ってます。
なのでまた、無名人インタビュー的なものも、1回だけじゃなくて何回も受けたいっていうところがあるので、今日はインタビューしてもらってよかったなと思ってます。

toki:何かのお役に立てていたら幸いです。では、これでインタビューを終わらせていただきます。ありがとうございました!

あとがき

今回のインタビューで、個人的にとても興味深かったのは、niwさんが「生きていること自体を楽しんでいる」とおっしゃっていたこと、それゆえに苦しみさえも生きていることの一部に内包され、そう捉えることで楽しみへと変わるということでした。

「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見れば喜劇である」。
チャールズ・チャップリンの有名な言葉ですが、niwさんの考え方はまさにこの言葉とリンクしているような気がします。
生きていれば、苦しいことも、悲しいことも、死にたいと思うことも、たくさん起こるけれど、一つ一つの出来事は”瞬間”に過ぎなくて。切り取られた一瞬だけを人生と思わずに、そのさまざまな感情で彩られた一瞬が集まることによって、自分の人生が作られていくと捉えれば良いのだなと感じました。

時に、辛いこと、悲しいことで目の前が埋め尽くされてしまうこともありますが、それも人生という長編演劇の演出の一部に過ぎないと捉えるようにすれば、私たちはもっと気楽に生きることができるのかもしれません。
このインタビューの編集中、遠く離れた客席から自分の人生という演劇を観賞しているniwさんの姿がなんとなく思い浮かびました。ぜひ「長生き」して、ご自身が主演の演劇を、長く長く観続けていただきたいなと思います。
niwさん、ありがとうございました!

それでは、次回の無名人インタビューもお楽しみに。

インタビュー担当:toki

編集協力:あおい

#無名人インタビュー #インタビュー #自己紹介 #音楽 #双極性障害

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