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「あなたは愛されてるんだよ」っていうことに気づいて欲しいと思う統合失調症の母と自閉症の兄がいる人

ノサックというあんまり有名ではないドイツの作家がいる。
「死神とのインタビュー」というタイトルの岩波文庫があって、無名人インタビューというタイトルは、もしかしたらこの本から影響を受けているかもしれない。
第二次世界大戦の残した苦しみとどうやって一緒に生きるかといったファンタジー小説集で、例えば「死神とのインタビュー」はじっさいに死神にインタビューする話だ。
その小説集の中に、確か「今夜、嵐が過ぎさったら」で始まる童話があって、という話がある。
人間には、苦しみの後に救いがあるという思考の習慣があるのかもしれないなと思う。
たとえば、大量殺戮兵器があったとして、じっさいにそれが大量に人を殺しまくるじゃないか。
で、その後しばらくして、その兵器の技術を安全にエネルギーを生みだす装置として生まれ変わらせようとなった。そのときに、兵器で苦しめられた被害者たちは、「私たちを苦しめた悪魔の力が平和利用されるなら、喜んで協力する」のかもしれない。
そうでもないし、そうじゃないかもしれない。
苦しみを味わったものにしか目指せない場所があるとも言えるし、どんな状態だったとしてもただ生きることを切望する生き物が人間なのかなって。
特に何もしたいと思わない人たち、何かをしようとせめぎたてられる気持ちを味あわなくて、むしろ良かったかもしれないのでは?
ということで本日の翌朝の無名人インタビューお楽しみくださいませ!!(主催:qbc)

今回ご参加いただいたのは はせぴ さんです!

https://twitter.com/hasepiii_

現在:大学の中だけっていうのは、良くも悪くも大学に守られてる環境だなって思ったんですよね

toki:今、何をしていらっしゃる方ですか?

はせぴ:現在昭和女子大学の大学3年生で、経営について学んでいるところなんですが、「大学の中だけで活動していっていいのかな」っていう気持ちがあって、それってすごいもったいないことなのかなって、大学2年生のときから問題意識を感じていたので、今は大学の外で活動していこうと思っています。

toki:ほうほう。

はせぴ:現在はブライダルの学生団体Change Weddingというところに所属して、人事部という部署で面談を主にやっています。
あとは、今はちょっと活動をお休みさせてもらって、10月以降に復帰する予定なんですけど、ユースキャリア教育機構っていう、自分がやりたいことを実現するために経営学を学んでいき、キャリアを考え、自己実現の場を設けてくれてる組織があって、そこで、以前はマーケティングの勉強のような感じでツイッターの運用のお手伝いをしていました。
それから、wetukuアカデミアといって、ブライダルの人材系の企業がやってくださっている、将来ブライダル業界で自分の夢を叶えるための学びの場のような取り組みへも参加しています。
そこでは、ブライダル業界の方からいろんな知識を学んで、そこから自分が思ったことを発信したり、ファカルティっていう大学でいうゼミのようなものがあって、例えばマーケティング学びたい人はマーケティングに配属されたり、結婚式のサービスを学びたい人は、サービスに配属されたり、ウェディングプランナーになりたい人はウェディングプランナーに配属されたりするんですけど、私はマーケティングに配属をされていて、そこでメンバーとどういうチームにしていきたいとか、マーケティングを通して私達は最終的に何を作りあげたいんだろうっていう、ゴールを作ろうとしてる最中っていう感じですかね。

toki:先ほど、「大学の中だけで活動するのはちょっと違うなと思った」とおっしゃっていましたが、大学の中、あるいは外で活動するっていうのは、それぞれ具体的にどんなイメージですか?

はせぴ:そうですね、私の大学って女子大なので、大学の中で活動しても、結局は活動の中心って女性だけなんですね。
この昭和女子大学の、私が所属してるビジネスデザイン学科はめっちゃ優秀な子たちが多くて、本当に私も刺激を受けているし、大学の中だけで培うことができたこともたくさんあるんですけど、ただこれから社会に出ていく上で、女性だけの環境に置かれることって、そんなにないだろうなって思ったんです。

toki:確かにそうですね。

はせぴ:私はブライダル業界に進みたいと思ってるんですけど、ブライダル業界の中にも男性はいるし、自分がプランナーとかになったとして、お話していくのも”新郎新婦”なので、新郎の男性の方ともお話をしていくのも当然だし、そうなったときに、女性だけの会話をして、女性だけで何かを作り上げることに対して、「それって大丈夫なのかな?」という不安を感じました。

toki:はい。

はせぴ:あとやっぱり、大学の中だけっていうのは、良くも悪くも大学に守られてる環境だなって私は思ったんですよね。
2年生の頃にサークルを立ち上げたんですけど、それも学科が支援してくれたことだし、他にも学内のプロジェクトにも参加したんですけど、それは学科がしっかり学びの場として用意してくれた。自分では探してなくて、学科が「こういうプロジェクトやってますよ」っていうふうに声をかけてくれたから、自分がその場に行けたので、その大学とかからの助けがなく、自分から何か行動したり、何か作り上げるっていう経験の方が、会社とか社会から見て、すごくかっこよく見えるんじゃないかなって思ったっていうのもありますね。
そういう理由があって、今は大学の外で活動を中心にしようと思ってますね。

toki:そう思うようになったきっかけは何かあったのですか?

はせぴ:実は昭和女子大学は第1志望じゃなかったんですよね。
志望校に落ちて3月入試で入ったような学校なので、全然知らなかったんですよ。
で、多分就職する上でも学歴フィルターというのは存在しているので、それだったらこの昭和女子大学でしかできない経験をしようっていうふうに思ったんですよね。昭和女子大学ならではの強みを生かした経験をしっかりしていって、それをアピールしていきたいなっていうふうに、大学1、2年までは感じてたんですけど。

toki:はい。

はせぴ:でも、なんか活動をしていくうちに、周りの子たちも、学内でしか活動してない子が多いな〜って思ったんですよね。外でいろいろ主体的にやってる子って、そんなにいないなって。なんとなく話とか聞いてても、大学で用意されたものに参加するっていう子が多いとふと気がついて、それだったら何か外でやってみた方がいいんじゃないかって思ったのが一つです。
あとは、先ほど申し上げたユースキャリア教育機構っていうのがあって、それをInstagramの広告で見つけたんですね。最初は塾の立ち上げを一緒にしませんかみたいな内容だったんですけど、それを見つけて。せっかく自分の大学でしかできない経験をいろいろやっていくっていう目標は達成できてると思うから、それだったら自分の実力とかを外で叶えたいし、女子だけの凝り固まった環境でやっていかないようにしていきたいと感じまして。きっかけは大きくその二つなんじゃないかなって思います。

toki:今色々な活動をやっていらっしゃる中で、一番力を入れているものは何になりますか?

はせぴ:学生団体のChange Weddingが一番力を入れてると思います。

toki:Change Weddingがどんな団体か、簡単に教えていただいてもよろしいでしょうか?

はせぴ:Change Weddingは、ブライダル業界を目指す学生が集まっている団体なんですけれども、「若者から結婚式を通して社会を幸せに」っていうビジョンがあります。社会を幸せにする手段って例えば食を通してとか、教育を通してとか、いろいろある中で、結婚式が大好きだなって思う学生たちが、社会を幸せにする手段として結婚式を選んで、そして、私達は若者なので、その若者から結婚式を通して社会を幸せにしていこうっていうビジョンを掲げて活動をしております。
今やってる活動としては、ブライダル業界の方をお呼びしてお話を伺ったりとか、自分の価値観をどんどん研ぎ澄ませていくっていうところをやっていったりですとか、あとは今後リリースされるんですけど、Change Weddingに所属する学生に限らず、ブライダル業界に興味がある全ての学生たちが情報を得られるようにっていうところで、就活イベントを行ったり、自己分析のお手伝いをしたり、ブライダル業界のことを知れるようなイベントを提供していったり、そういうことをしていきたいなっていうふうに考えています。
あとは、来年の3月に一度、Change Weddingで結婚式をプロデュースしたいねっていう目標があるので、それに向けてちょっと活動していきたいなっていうふうに思っています。

toki:そうなると、はせぴさんも今ブライダル業界に興味がお有りということですかね?

はせぴ:そうですね。ブライダル業界にかなり興味があって。でもブライダル業界というよりは、ブライダルに関わりたいっていう気持ちに近いので、結婚式場の現場にいたいっていう気持ちがすごくあるかっていうとそうではなくて。
例えばゼクシィとかあるじゃないですか。ブライダルの情報とかを出してくれてるようなメディアってあると思うんですけど、私はすごくそういうところにも興味があるので、必ずしもウェディングプランナーになりたい!とか、結婚式の場にいたい!っていう気持ちが強いかと言われると、そうではないです。

toki:なるほど。ブライダル業界を目指しているからと言って、全員が全員、結婚式の現場にいたいというわけではないんですね?

はせぴ:そうですね。ドレススタイリストになりたいって考えてる子もいたりするので、全員が結婚式という場にいたいのかというと、そうでもないのかなって思いますね。
ただ、私は今現場でアルバイトしてるんですけど、すごく現場も大好きなので、なりたくないとは全然思ってないんですけど、ただ色々問題意識というか、思いがあるので、メディアだとか、現場ではない仕事に今は興味が向いているという感じですね。

toki:そうなんですね。ありがとうございます。
はせぴさんは、ブライダルのどんな部分に魅力を感じていらっしゃるのでしょうか?

はせぴ:そうですね。ブライダルの魅力というより、結婚式の魅力っていうものに近いと思うんですけど、私は結婚式って「自分に向けられた思いに気付ける場」だと思っていて。結婚式だから、自分の思いを言おうって考える人って多いと思うんですよ。
例えば、実際の結婚式でいうと、ずっと大事にしてた、おばあちゃんからもらったぬいぐるみを新婦さんが持っていて。でもおばあちゃんは新婦さんがそれを大切にしてたって気付いてなかったんですよ、あげたのは覚えてるけど。新婦さんはそれをわかっていて、”結婚式だから”、おばあちゃんにもらったぬいぐるみをすごく大切に思ってるよとか、ありがとうとかそういうことを伝えようと思っていたと思うんですよ。そう考えたときに、結婚式という場がなかったら、おばあちゃんって自分に向けられた愛情というか、くまちゃんのぬいぐるみを大切にしていることに気づくことってなかったんじゃないかと私は思うんですよ。多分、結婚式だから、今伝えようとか、そんな風に考えてらっしゃる方って、多いんじゃないかなって思うんですよ。ご両親へとかは特にそうなんじゃないかなって思うんですけど。
そう思ったときに結婚式という場がなかったら、自分に向けられた愛情にも気付けないんじゃないかなって。例えばお母さんが毎日弁当作ってくれるけど、それに対して毎日ありがとうって言うことってそんなにないんじゃないかなって思ってるので、それを言えるっていうのが結婚式という場の素晴らしさであり、尊さなんじゃないかなって思っています。

toki:ありがとうございます。Change Weddingの活動していらっしゃって、一番やりがいを感じる瞬間だったり、やっててよかったなって思うときって、どういうときですか?
はせぴ:二つあるんですけど、一つは、私人事部に所属をしていて、実は必ずしもChange Weddingって誰でも入れるわけではなくて、希望した人、面談していいなと思った人を入れるような形なんです。そんな堅苦しくはないんですけど、面談を通してその人の思いとかそういうところを知った上で入れるっていう形になっていて。
人事部で面談をしていくときに、すごく入りたいですって言ってくれる子とか、あとは面談をした後に、希望の第一希望に人事部って書いてくれて、「この面談を担当してくれた人がすごく優しくて、緊張してたんですけど楽しく面談が出来ました」とか、「面談をしてくれた方も、印象がすごく良かったので」っていうように書いてくれたことがもう本当に嬉しくて。それ書いてくれた人2人いたんですけど、2人とも私が面談を担当したので、本当に泣きそうなぐらい嬉しかったというか、すごく人事部という部署に所属してよかったなあとか思っていますし、Change Weddingの魅力が伝わってよかったです。

toki:おおーなるほど。

はせぴ:二つ目が、すごくいい仲間に出会えたところで。
ブライダルを目指す子って大体専門学校に行ってしまうので、大学生だとブライダル業界を目指すっていう友達がいないんですよね。
ただ、そのChange Weddingという場は、大学生だけどブライダルを目指す人もたくさんいるし、もちろん専門学生もいるしなので、ブライダル業界を目指す仲間は私以外にもいるっていう嬉しさがあるなっていうのは感じます。
実は昨日、同じ人事部のメンバーを中心にChange Weddingの人たちと会ったんですけど、みんなすごく優しくて面白くて、なんか楽しいんですよね。すごく楽しくてもう話が尽きなくて。普通の友達関係って、良くも悪くも自分の人生ビジョンだとか、思いとか、意識高い系にみられて、そういう話ってあんまりしないのかなあと思うんですけど。Change Weddingっていうのはすごく思いのある学生たちっていうのが集まってるんですよね。熱烈な思いを持ってるけども、でも楽しいときはすごく楽しむっていう、会社の同僚と友達のいいとこ取りみたいな仲間だなって思っていて。
それがChange Weddingで頑張ろうって思える理由なのかなって思います。

過去:統合失調症の母、自閉症の兄

toki:小さい頃はどんなお子さんでしたでしょうか?

はせぴ:小学校上がるまではすごいおとなしくて真面目でした。
保育園に通ってたんですけど、保育園の子たちってすごく天真爛漫というか、もうワーッて遊びたい盛りだったと思うんですけど、私はどっちかって言うと先生と気が合うタイプで、先生と折り紙したりあやとりしたりっていうそういう時間が結構好きだったし、言われたことに対して真面目に取り組むっていうのが好きでしたね。

toki:小学校上がるまではというお話でしたが、それ以降は何か変化があったのでしょうか?

はせぴ:そうですね、小学校2年生ぐらいまではそういう真面目でちゃんとやって、結構先生と話すことが好きだったって感じだったんですけど、小学校3年生のときスッゴイ明るい誰とでも仲いいめちゃくちゃ面白い友達に会って、その友達に会ってから自分もこういう子っていいなって思いになったんですよ。「なんか明るくて周りを元気にする存在っていいな〜」って、漠然とした魅力を感じて。
自分の母もそういう性格だったんですよ
。どっちかっていうとすごく明るくて、何かこう面白いこと言いまくるみたいな感じで。
その2人に対するちょっとした憧れを持ってからは、自分もちょっと明るくなりましたね、それからは。

toki:それ以降、その性格に変化とかってあったりしましたか?

はせぴ:表面的な性格は多分、明るく元気でハキハキみたいなところはあんまり変わらないかなとは思うんですけど、でも自分の思考がすごい深まったりとか、考え方が変わったタイミングはあったかなと思っていて。

toki:はい。

はせぴ:ちょっと暗い話にはなるんですけど、中学校3年生の時に、私の母が統合失調症っていう精神の病気になりまして。様子がおかしくなっちゃったんですよね。簡単に言うと。普段言わないようなことを言うようになっちゃったんです。
私にボディーガードをつけるとか、そういうことを言っていて、高校1年生になってからそれがすごく酷くなっちゃって、私にも学校行かないで欲しいっていうようになったりとか、昼間なのに電気も真っ暗にして、カーテンもずっと閉めるとか、近所の方みんな敵だとか、そういうことを言うようになってしまって。
両親が離婚をして、私と兄と母だけという状況になりました。兄は自閉症で、できることもすごく少なくて。そうなったときに、普通にいろんなことができるのって私だけしかいないっていう状況が生まれて。そうなったときに「自分がいろいろしなきゃ」とか、「自分がしっかりしなきゃ」ってすごく考えるようになって。

toki:ほうほう。

はせぴ:正直それまでの私って割と自分勝手だったんじゃないかなって思うんですけど、そうなったときに人に信用してもらえるにはどうしたらいいだろうとか、自分を見つめ直す機会が多かったんですよね。自分1人しかいないっていうのもありますし、母の関係で関わりがシャットアウトされたってのもあるので、自分はこれからどうしたいんだろうとか、もう本当に本当に自分の深いところまで見つめ直す期間だったので、その時が。
なので、それがあってからはすごく謙虚というか、自分の今いるポジションっていうのをすごく客観的に見れるようになったりとか、自分の奥底にある想いに気づけるようになったようには思います。

toki:お母様が統合失調症になったのが中3の時ですよね。当時は、お母様のことを、どのように思っていたんでしょうか。

はせぴ:とにかくつらい。ずっと思っていました。本当に。孤独感がすごかったです。
母って、それまではすごく自己肯定感を高めてくれる存在だったんです。すごく褒めてくれるし、私がクラスの子とかに、他の子は下の名前の呼び捨てで呼ばれてるのに、苗字に「さん」付けで呼ばれて、疎外感を感じてたときも、「それは私が大人すぎるからよ」と励ましてくれるような、温かくて強い、そんな存在だったんですよ。常に味方でいて、愛情を持って接してくれる存在だったんですけど。
統合失調症になってからは、「あんたどうやって生きて行くの」「何も仕事できないくせに」とか、本当に心無い言葉を言うようになってしまって、唯一味方でいてくれた存在が、味方じゃなくなっちゃったっていうつらさがその時はあって。

toki:はい。

はせぴ:あと、母は自分が病気じゃないって思ってたので、「私は病気じゃない」ってずっと言ってて。でも病気なのは結構確実で。そうなったときに、「どうしたら母を楽にさせてあげられるんだろう」っていうことはよく考えていました。
自分もすごくつらいけど、母もつらいのは一緒だと思っていたので、どうしたら母をもう少し、良い気持ちにさせてあげられるかなっていうように思っていて。それは毎日考えていたし、あとはとにかく、自分が兄と母のことを支えていくってなったときに、どうやって私は生きていくんだろう、どうやって助けを求めていけばいいんだろうとかすごく考えていて、そのときに自分の人生をどう描いていこうっていうのを深く考えていたんじゃないかなって思います。

toki:「私はどうやって生きていくんだろう」と考えるようになって、その後、高校生活はどのようなものになっていったのでしょうか。

はせぴ:中学のときとかと比較すると、何て言うんですかね、私、プライド高かったんですよ、中学校3年生のとき。でも、いい意味でそのプライドがだんだんなくなっていったなって感じてて。すごく客観的に自分を見て、自分に向いてることは何だろうっていうのをその時考えていたので、自分に対するマイナスの評価とかも全然受け入れられるようになって。
中学生のときはそれに対して無理やり蓋をしてたんですけど。できてない自分とかもすごく認められるようになったので、そういう意味では中学校のときよりも高校の方が人に好かれるようになったように感じますね。

toki:なるほど。ありがとうございます。
少しお話は変わりますが、お兄さんのことについてお伺いしたいと思います。ツイッター拝見したのですが、「きょうだい児」って言葉を目にしまして。障害のあるご兄弟がいる人のことを「きょうだい児」と言うのでしょうか。

はせぴ:そうですそうです。

toki:子供の時とかって、お兄さんとはどういう関係でしたか?

はせぴ:そうですね。小学生の頃ぐらいまでは、結構ずっと喧嘩をしてるような感じ。多分、一般的な兄妹と変わらない感じだったと思います。
ただ、普通の兄妹よりもちょっとコミュニケーションの取り方とかは変わっていたなっていうのは感じていて。兄は、この人はこうだなとか人の気持ち関係なくやっちゃうところあるので、私が修学旅行で買ってきたお菓子全部食べちゃったりとか、お気に入りの雑誌べちゃべちゃにしちゃうとか、そういうのがあったりしたので、もう常に喧嘩って感じだったんですけど。

toki:はい。

はせぴ:でも、中学生の時にふと、「怒っても仕方ないな」ってちょっと思ったんですよね。この子はもうね、私がどうあがいてもやっちゃうんだって感じ。良くも悪くも諦めると言いますか、仕方ないことなので。
もう仕方ないことだなってちょっと割り切って接するようになってからは、兄に対してちょっとした愛情も生まれだして、私の持ってたおやつとか食べちゃっても、「まあね、おいしそうだよね、わかるよ」と考えるようになった。。
そういう意味では、中学から今までに関しては、兄に対してちょっとおいおいって思うところもあるんですけど、愛情持って接することができてるなあと感じてます。

toki:そうなんですね。
それから、大学受験の話になるんですけど、今入られた大学が第1志望じゃなかったとおっしゃっていましたが、受験がうまくいかなかった時に、当時はどういったことを感じていらっしゃいましたか?

はせぴ:そうですね。受験がうまくいかなかった要因は、勉強不足だったこともあるんですけど、環境要因も少なからずあって。
高校3年生のときは、実はその後いろいろあって父と2人暮らしをしてたんですね。母は病気があったので、入院したりとか、観察期間とか、看護師さんがちょっと来てくれるみたいなそんな感じだったので、一緒に暮らすのは違うかなと思ってて。
父は、母と離婚してから再婚してたんですけど、その方が結構ヒステリックで、何だろう、もう「感情的!」って感じだったんですね。

toki:はい。

はせぴ:その人が父と2人暮らしをするまでは良かったんですけど。大晦日になんか突撃してきたんですねいきなり。私”髭男”が好きなんですけど、髭男が紅白に出るって知って、それのために予備校でも頑張って勉強して、「やっと帰れる!楽しみ!」みたいなときに父から電話がかかってきて、帰ってきたら警察沙汰になっていました。

toki:おお…。

はせぴ:私、もうそれに一抹の不安を感じたというか。それまで平穏に父と一緒に暮らしてたのに、これからもこういうことがあるのかなと思って。
その出来事があってから、予備校に行くのがちょっとトラウマになってしまって、家に帰ることも予備校に行くことも何もかも怖くなっちゃって。家帰ったらいるんじゃないかとか、そういう気持ちになっちゃって、それが影響して、大晦日から1月2月の受験の大事な時期も全然勉強もしなかったし、家に引きこもることばかりだったなっていうのを感じますね。
それが多分影響してたので、大学に落ちてても正直あんまりショックじゃなかったというか、仕方ないなって思っちゃってました、正直。

toki:過去のお話をお伺いして、一般的にあまり経験しないような出来事をたくさん経験されてきたのではないかなと感じたのですが、そういった出来事を、はせぴさんはどのように受け入れてらっしゃるんでしょうか?

はせぴ:正直、その当時はめっちゃつらいんですけど、1回そのときが過ぎると、何か自分の糧になるなっていうのをすごい感じたんですよ。
なので、その経験があったから自分は強くなれたなって思うし。それが自分自身を下げる要因にはならないなって思ってるんですよね。母が統合失調症だとか、兄が自閉症だとか、確かにそういうことによってつらいなって思ったことはあるけれど、でも経験が自分を下げるネガティブなことにはなってないし、むしろ私は統合失調症の母と自閉症の兄と暮らしたことによってめっちゃ成長できたし、考え方が変わって自分を好きになれたことってたくさんあるので。

toki:はい。

はせぴ:強くなれたなっていう嬉しさがあるので、当時はつらいんですけど、今思えば、経験してよかったかも!と考えられています。
多分今後もそういうことがあっても、つらいけど、でもこれが自分の成長の糧になるかもなとか、もっと自分は強くなれるんだろうなとか、そういうことを考えられるようになるんじゃないかなって思います。

未来:目の前にいる人をすごく明るくしてあげたいっていう気持ちがあるんですよね。1人でも多くの人をめちゃくちゃポジティブにしてあげたいというか。

toki:最後に、未来のことについてお伺いしていきたいのですが、将来どうなっていたいとか、こういう人になりたいとか、そういったものがあれば教えてください。

はせぴ:どういう自分になりたいっていう点でいくと、人生のターニングポイントって絶対あると思うんですけど、ターニングポイントに差しかかったときに、私の人生を聞くことによって、「この人めっちゃおもしろいな」とか、「この人めっちゃ強いなあ」とか、「こういう人いるんだ」とか、勇気や元気が出たり、励ましになったり、そういう存在になれたらいいなと思って。自分のキャリアとか人生がそういうふうになったらいいなって思ってますね。

toki:ほうほう。

はせぴ:あとは、やっぱり私はすごくブライダルが好きなので。多分10年後くらいには、今学生団体で一緒にやってる仲間が結構偉い位置にいるんじゃないかなと思って。マネージャーだとか、そういうところにいるんじゃないかなって考えたときに、自分も何かそういうポジションに、新しく入ってきた子を支えられる存在にはなりたく思ってます。
それから、結婚式の価値をより多くの人に届けていきたいっていうのがあるので、いい結婚式が溢れる世の中になってほしいし、自分もしていきたいし、いい結婚式を作れる人っていうのをどんどん増やしていきたい気持ちがあります、10年後には。
今、結婚式を挙げる人って半々だって言われてると思うんですけど、それが7割8割くらいの人が結婚式挙げてくれるようになったらちょっと嬉しいです。私、結婚式を諦める人を減らしたいですね、とにかく。

toki:はい。

はせぴ:あと思いついたことなんですけど、最近「きょうだい児」って言葉を掲げるようになって。私自身も高校1年生のときに結構孤独を感じたというか、つらい思いをたくさんしてきたんですけど、そういうときにどこに助けを求めたらいいか、当時は全然わかんなくて。とにかく1人でやれること全部やんなきゃって思っちゃって。そう思ったときに、何も考えなくても助けを求められる場っていうのが欲しいなって思ったんですよね。
チャイルドラインとかあるじゃないですか。実は私、電話したことあるんですけど、全然繋がらなくて。「あそこで誰か聞いてくれたらよかったな〜」ってちょっと思ったんですよね。
なので、何かあったときに、気軽に立ち寄れる場所でもいい、気軽に話を聞けるメディアとか電話とかメールとか、何でもいいんですけど、そういう場があったらいいなって思ってます。
特にこの場合は、きょうだい児とか、精神病を持つ親がいるとか、そういう家庭内でちょっと苦労することがあるような子たちにフォーカスして、そういうことができたらいいなっていうのはすごく感じてます。

toki:そうやって将来いろいろやっていく中で、大切にしていきたいこととか、これだけは譲れない価値観みたいなものってあったりされますか。

はせぴ:そうですね、私は結構、根本としてすごく人が好きなので。目の前にいる人をすごく明るくしてあげたいっていう気持ちがあるんですよね。1人でも多くの人をめちゃくちゃポジティブにしてあげたいというか。
私は結構、自分の糧になるなと思って過去の出来事を乗り越えてこられたんですけど、ただそう考えられる人って少ないのかなっていうのを、同じきょうだい児の方のツイートを拝見して思ったんですよね。それを見たときに、そういう目の前にいる人たちを絶対暗くしたくないなというか、ネガティブな気持ちにはさせたくないなって思ったんですよね。
その人たちが前向きになれるような働きをしたい、何か将来に対して明るい気持ちを持って過ごしていけるように...絶対していきたいなって思ってます。とにかくポジティブにするっていうのが、私の考え、常に考えてることで、それは結構譲れないなって。

toki:はい。

はせぴ:あとは今就職活動をしていて、いろんな会社を見ていくんですけど、ナンバーワンになりたいとか、自分たちがこうなりたいとか、社会から認められたいとかそういうのではなくて、どっちかっていうと社会とか目の前にいる人とかお客さんとかにビジョンが向いてる会社の方は私が好きで。
なので、何か評価されるっていうよりかは、評価してあげる認めてあげるっていうところはスタンスとして大事にしたいし、Giverというか、もらうよりも与える人でありたいと感じてます。

toki:目の前にいる人を明るくしたいとか、ご自身が、与える側でいたいとかっていう、人に対する強い思いって、どこから湧いてくるのでしょうか?

はせぴ:それは多分、自分の過去がすごい影響してるなって思っていて。
私は1人で生きていこうという気持ちが強かったんです、元々。でもつらいことを1人で頑張ろうとしちゃった結果パンクしちゃったことが割とたくさんあって、それでも友達にはちょっと話し辛くてみたいなことってあって。そのときに誰かが手を差し伸べてくれたら本当に嬉しかっただろうなって思うのが一つ。あと、統合失調症になる前の母親が、すごく自己肯定感を高めてくれたというか、今、自分が前向きにいられるのって、そうやって母が育ててくれたおかげだというのをひしひしと感じるんです。母が私にたくさんの愛情を注いでくれたからこそ、今の自分がいるなと思っているので。

toki:はい。

はせぴ:そう思ったときに、私もそういう存在になれたら、自分みたいに自己肯定感が高くて、自信で溢れてて...みたいな人が増えてくれるんだって私は思ってるので。
そうですね、やっぱり私はもっと幸せな人で溢れてほしいと思ってますし。もっとポジティブで前向きな人で溢れたら、もう超超最高の世の中になるなって思ってて。そうするにはもう、私は十分母から愛情をもらって育ってきたと思ってるので、それだったらもう与えようていうふうに思ってるっていうところはあります。

toki:はせぴさんは、お友達からどういう人だって言われることが多いですか?

はせぴ:そうですね。でも結構真面目だねと言われます。あと明るいとか、前向きとか、自分に自信があるとかよく言われますね。しっかりしているとか。

toki:そういった印象に対して、ご自身ではどう思われますか?
はせぴ:でも真面目っていうのは割と嘘なんじゃないかな。正直思います、部屋とかめちゃくちゃ汚いので(笑)。
責任感が強いとかのほうが近いと思いますね。私はチームでやることに対してめちゃくちゃ責任を感じるタイプで、自分の仕事量が少ないことに対してめちゃくちゃ申し訳なく思うんですよ。グループワークするときに。自分が何もできなかったりすると、すごく申し訳なく思って。なので、多分そういう姿勢とかをみんな見てるのかな〜って思ってます。

toki:毎回インタビューで、もしもの質問っていうのをしているんですけれども、もしも中学生の頃に、お母さんが統合失調症になっていなかったら、その後の人生ってどういったものになっていたと思われますか。

はせぴ:正直、今の自分よりも、自分勝手だったんじゃないかなと思います。

toki:自分勝手っていうのは、はせぴさんの中ではどんなイメージですか?

はせぴ:自己主張をして、人の気持ちをあまり考えられない。何か、そういう人になってたんじゃないかなと思います。
あと何かやりたいって思うことがあってもその理由は薄っぺらいというか、やりたいって思うことに対して、その志望動機じゃないですけど、そういうのは全然深堀ができないというか、なんか浅い人間になってたんじゃないかなって思います。

toki:今の自分自身は、はせぴさんからみてどのように映っていますか?

はせぴ:私はすごく自分の考え方が好きなんですよね。課題だなって思うところもあるんですけど、例えばアルバイトしてて不満があったとき、それを不満で終わらせるんじゃなくて、例えば自分がこの会社で店長だったらどうしようとか、経営者だったらどうだろうとか、お客さんだったらどうだろうとか、色んな視点から自分の不満を見つめるんですよ。いろんな立場の人の気持ちを理解してから、自分の不満を受け入れるようにしてるんですよね。
その思考ってすごくなんか好きだし、自分が例えば経営者やお客さんという自分とは違う立場だったときに、そういう考えを持ったスタッフがいてくれるって嬉しいことなんじゃないかなって思ってるので、多角的な視点から自分の考えとか存在を見れる、今のその自分の考え方はすごく好きです。

toki:インタビューも終盤になってきたんですけれども、今回受けてみていかがでしたでしょうか?

はせぴ:すごい楽しかったです、正直に。よかったです。
一般人ですから、何かインタビューされる機会ってそんなにないなあっていうふうに思うんですけど。何もないからというふうに思うんですけど。でもなんか、自分の深いところまで聞いてくれるって嬉しいことだなあというふうに、素直に感じましたね。

toki:ありがとうございます。最後に何か言い残したことや、もっと話したかったところなどありますか?

はせぴ:結婚式についての話のときに少し触れたかなって思うんですけど、「あなたは愛されてるんだよ」っていうことに気づいて欲しいんです。
自分が人に好かれている自信がない人って結構多いんじゃないかなって思っていて。でも私、結婚式の場面見てて思うんですけど、意外と愛されてるんですよね人って。意外とみんな、その人のことを大事にしてるから、写真撮ったり動画撮ったり、メッセージを一人一人に書いてあげたり、そういうことしてるし。だから、自分が人に好かれてるかなっていう自信がない人でも、意外と愛されてるんだよ!っていうことを、伝えたいなって思いました。

toki:素敵なメッセージをありがとうございます!

あとがき

今回のインタビューを通して、「どんなことも糧にできる人が1番強い」という教訓を得たような気がしています。

この文面だけでは伝わらないと思うのですが、はせぴさん、その語り口と、話している内容とのギャップがすごいんです。決して誰もが体験するわけではないハードな出来事を、とても明るい口調でお話しされるんですよね。インタビュー中、このギャップはなんだ?とずっと気になっていた私ですが、はせぴさんの一言で、その疑問が解消されました。

「その経験があったから自分は強くなれたなって思うし。それが自分自身を下げる要因にはならないなって思ってるんですよね」

人生、嬉しいことも悲しいことも、色々なことが起こりますが、その全てを、余すことなく自分のエネルギーに変えていける人は、強い。
どんな経験をしても、それがあったからこそ今の自分がいると考えられるようになれば、その先の人生って、とても楽しいものになるような気がします。

そうやって、あらゆる出来事を自分の糧に変えていくことができる、「自家発電型」の人間になっていきたいなと思ったり。
さらに、発電したエネルギーを、他の人にも分けてあげたりできたら、もっと素敵ですよね。

人生に対する並々ならぬ受容力と、人に対する大きな愛をもった大学生へのインタビューをお届けしました。
はせぴさん、ありがとうございました!

次回の無名人インタビューもお楽しみに。

インタビュー担当:toki

編集協力:生きにくい釘

#無名人インタビュー #インタビュー #自己紹介 #きょうだい児 #ウェディングプランナー

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