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自分が好きな人と好きなことをして生きていくぜって決めたのでそれを見てもらってこういう生き方があってもいいんだって思ってもらいたい元男装アイドルの人

「好きなことをして生きていく」というメッセージはあなたの胸に刺さりますか?
刺されてしまってもう動き出してます? それとも胸に突き立てられて、血を流したまま好きじゃないことをしていますか?
無名人インタビュー参加者はいつのまにか250人近くになったのですが、お話を伺ったうちの幾人かについて、好きなことをして生きていく、という決意を聞きました。ある人は、例えばコロナをきっかけに自分の好きなように生きようと強く決意していました。ある人は、もうほんとうに自然に、両親がそうだったように私も自然に好きなことしかしないで生きていくと教えてくれました。
生き方に正解はない。無名人インタビューの一つの役割は、この簡素な事実を確認することです。そのために一人一人の話を聞いて積みあげる。量が質を作る。これだけたくさんの考え方があるのだから、どれが正解かではなく、どれが今の自分にフィットしてるのか、ということを確認するために、たくさんの人の話を聞いている。
でも、まあ、時代の中で躍進する考え方というものがあり、今回の参加者の生き方は、個人の活躍を伝える手段が豊富な、今の時代にふさわしいものなのではないかなと。
繊細であることと力強さの両立を感じた今回の無名人インタビュー、をご笑覧くださいませ!!(主催:qbc)


今回ご参加いただいたのは 藤田怜 さんです!

https://twitter.com/CandyRehi

現在:心が消費されることは別にしなくていいんじゃね

qbc:今、何をされている方でしょうか。

藤田:えっと、なんだろう。舞台と占いと。個人のイベントをやっている人です。

qbc:職業で言うと何ですか?

藤田:一言じゃないんですけど、自分が好きな人と好きなことをして生きていくぜって決めたので、それを見てもらって、それで私のことを見てる人たちも、ああこういう生き方があってもいいんだ、って思ってもらう人。

qbc:その好きな人と好きな仕事をしようみたいに思い始めたのは、いつ頃からですか?

藤田:2019年か。もうちょっと前かな、2018年とか。
男装のアイドルをやってて。ちゃんと正直に言うと、なんかこう、舞台やステージに立ってるのはすごい好きなんですけど、状況があんまり好きじゃなくて。
心が疲弊してしまって。なんか、お金と時間と心?

qbc:はいはい。

藤田:お金と時間が消費されるのは、当たり前だと思ってると思うんだけど。なんか心も消費するっていうことを、あんまりみんな自覚が、私も含めてないのかもなって思って。
心が消費されることは別にしなくていいんじゃね、って思ったので。
お金と時間と人の心が消費されていくところを整えるっていうか。そこを自分が納得できる状況にしたいと思ったのが、そういう風に考えるきっかけにはなったと思います。

qbc:お金と時間と心が消費されるっていうのは、今はもう解消されていますか?

藤田:それはもう、今は心が消費されない選択しかしてないので。
たまに間違うときあるけど、ちょっと片足突っ込みそうになったら「あ、やべ」と思ってやーめよ、みたいな。そういう自衛ができるようになったのはすごい大きいかなって思います。
あとは、一緒にいるのが自分で選んだ人たちだから、すごい気遣ってくださったりとか、周りの人が動いてくれるっていうのも、すごく大きくなりました。

qbc:今、楽しいですか?

藤田:楽しい。いや、楽しいって、私の「楽しい」は趣深いとか興味深いっていうのがすごい私は楽しいので、ルンルンウキウキって感じじゃないんだけど。なんか、動的な感じじゃなくて。

qbc:なるほど。じゃあ、どんな感じが一番よいと思える状態なんですかね。
藤田さんの「楽しい」って、例えばディズニーで楽しいみたいな感じじゃないと思うんですね、多分。

藤田:そうそう、それも楽しいだろうけど。

qbc:そういうところで、藤田さんが一番よいと思える楽しさって、どんな感じのことかなと。

藤田:なんでしょうね。心がかき乱されることがないというか。なんだろうわかんない。

qbc:人と接するのが好きな人もいれば、あるいは知的好奇心が満たされるのが好きとか、旅行で新しい風景や知らないことを知るのが好きとか。

藤田:なんかあんまりなくて。自分の状態が良ければよいっていう感じで。
例えば、楽しいだろうなって思って、好きな子と一緒に行っても、楽しい結果が得られないことって、わりと私にはあって。茶道とか習いに行ったりとかしたり、茶道はすごい好きだし、畳一畳でお点前とかすると、めちゃくちゃ調うんだっていうのはわかってんだけど、調わない日もあったりとか。
すごい些細なことをキャッチしやすいから、今日のあの人の一言ってなんだったんだろうとか思うと、調いたくて行ったのに調わない、とかあります。

qbc:なるほど。

藤田:そうそう。だから、自分の状況が別にそれに動じなければすっごい調うし、ガタガタで行っても逆に調ったりするし、すげえいい状況で行っても、ちょっと物事が自分に大きく響いちゃうと、調えに行ったのになんかすっごい心がトゲトゲしたみたいな。
めんどくさい人間なので、そういうのがいちいち響いてきたりとかします。

qbc:どの場所っていうよりも、どの場所でもその可能性があるってことですかね。

藤田:あるある。すっごい仲いい友達とかでも、お互いにコンディションあるし。あー今日いつもの感じと違ったなみたいな。

qbc:なるほど、一緒にいて心かき乱されにくい相手、ってことですね。

藤田:そうそうそう。

qbc:すごいわかりやすいです。では、今、ここって安定できる可能性高そう、みたいな場所ありますかね。今、今注目してるところというか。

藤田:自分が積極的に会いたいと思って会う人と会うと、わりと調うけど、調ったままでいられるけど、ずっとはやっぱり無理なので、そういうときは匂いとか好きなので、お香を焚いたりとか。なんか、ちょっと怪しい方向で、なんか「はあー」って。

qbc:はい。

藤田:あとは、ほっといたりとかします。それか、それが改善されるまで向き合ったりとか。でもそれはわりと昔にしてたことかな。

qbc:それは、いつ頃からそういう風にできるようになったんですかね。自分でケアできるようになったというか。

藤田:高校のときぐらいかな。

qbc:今、一番してることで楽しいっていうと、これって具体的なものはありますか?

藤田:その時の人と状況が大きいので、これがすげえ楽しいとかはないかも。ないかなあ。
でも、占いしてるときに、人と一線引いて。っていうとストーンって切り離したみたいな感じの言い方だけど。お食事と自分の間に箸置くみたいな、なんて言うの、結界みたいなのがあるじゃないですか、そういうのがあると、自分のことと感じたりとかしなくていいから、そういう意味ですごく冷静に人の話も聞けるし、だから、すごく占いっていうのは好きです。

qbc:占いはいつから?

藤田:自分が占いをする方になったのは、2020年の年末ぐらいに、これまで自分が占ってもらっていた方が、数秘術の0期生の生徒さんを募集していて。そのとき、すごい時間に余裕があって、興味があったので。

qbc:はい。

藤田:自分が人に相談されやすかったりとか、なんかそういうことが多くて。
お友達が、年上の人が多いんですよ。年上の人から、私が経験したことがないことについて「アドバイスくれ」とか「話聞いてよ怜ちゃん」みたいなのが多くて。もちろん同年代の友達も少なからずいるんだけど。
私は忌憚のない意見を言うけど、もう一個なんか根拠みたいなのが欲しくて。まあそういうのもあったり。
まあ、不思議な世界ももちろん好きだったし、そういうのがあって、始めた。

過去:本と繊細

qbc:お子さんの頃って、どんなお子さんだったんでしょう。

藤田:えっとね。親から言われてたり、自分で思ってたのは、まず、おこりんぼう。
結構わがままちゃんで、マイペースって言われてた。でも根は優しいよねみたいな感じで、ちょっとフォロー入るみたいな。
そういう感じで、親に言われてたんですけど、もちろんそうなんだけど、なんかあのなんていうの、女版ジャイアンみたいな。若干、番長気質みたいなのがあったので、私そういう人なんだなみたいな。
強いみたいな感じで思ってたんだけど、でも今振り返ると、あの時から絶対繊細だったかもって。

qbc:どこらへんが繊細?

藤田:靴がちょっと気に入らなかったら履けないとか。足の具合と合わなかったら履けない。足が偏平足なんですね。アーチが一切なくて。で、子供用の運動靴って、土踏まずのとこがちょっとこうぴって出てるっていうか、サポートしてくれてる靴が多いんですよ。
それが、自分が土踏まずがないから邪魔っていうか異物感しかなくて。
気にせず履けばいいんだけど、そういうのが無視できないというか、ちくちくが嫌だなとか、そういうのは大きかったのかな。

qbc:なるほど。

藤田:あと100パーそれはあり得ないんですけど、何十パーかは、人が考えてることがわかるとか。親の機嫌が分かるとか、友達の感じが、声を聞いたらわかるとか。
そういうのから始まって、でもこうしたらこの人は機嫌がよくなる、こうしたらあんまり怒んないかも、みたいなのが、徐々に計算、勝手にされる計算が、そういう感覚ができあがってきて。ほんとにちっちゃいときはわかんなかったかもしれないけど。
なんだろう。今もなんですけど、強い光とか大きい音とか、昔からそういうの、あんまり得意じゃなかったかもとか。大雑把だし、部屋もめちゃくちゃ汚いけど、実は繊細だったんじゃないかな、といまさら思ってます。

qbc:外で遊ぶのは、好きだった?

藤田:中も外もどっちも好きなんですけど、小学校の時は家の前の庭の土をめちゃくちゃ掘り起こして川作ったりとか、蟻の巣を掘り起こして卵集めたりとか。外遊びが多くて、あとはブロックとかそういうので遊んでるとか多かった。
お人形が怖くて、お人形では遊べなかったですね。

qbc:人間関係はどんな感じでしたか? 友達付きあいとか。

藤田:友達ね。いつもいるにはいるんですけど、私、本の方が好きだったんですよ。多分。
小学校ぐらいの時は友達もいるし、遊びに行ってた記憶もめちゃくちゃあるし、友達の家とかもそこそこ行ってたんだけど、小学校高学年、中学年ぐらいから本が好きで、休み時間とかも本読んでたりとかして。
高校生ぐらいになってから聞いたんだけど、小学校の担任の先生が、「怜ちゃんはいつも本ばっかり読んでて、外で遊んだり、友達と遊んだり、あんまりしないんですけど、いいんですかお母さん」って言われたらしいんだけど。
母親は、そういうところはすごいわかってるっていうか、「友達と一生付き合うわけじゃないし、別に良くないですか」みたいな感じで言ってくれてたみたいで。
誰にも止められず、本に。中学校、高校とかずっと本読んでました。友達もいるんですよ、でも継続的な友達はいない。その時たまたま一緒にいた人って感じ。

qbc:本は何を読んでたんですか?

藤田:小学校のときは児童書。
こまったさんのシリーズとかわかります?

qbc:こまったこまったですね。わかります。

藤田:あとはぞくぞく村とか、そういう可愛い児童書読んでたんですけど。

藤田:中学校に入ってから重松清。あと、サスペンスに一度すごい没頭して、東野圭吾をずっと読んでいたりとか。あとなんか怖いの無理だけど、山田悠介。

qbc:あーおにごっこの。世代ですね。

藤田:そうそうそうそう。あと小学校の時はね。高学年はさくらももこ読んでたんだ。
さくらももこさんのエッセーずっと読んでて、

qbc:お母さまの影響ですか

藤田:1冊2冊とか家にあって。
本は、なんか無限に買ってもらえたんですよ。家にもすっごい量の本があって、母親も多分、週に2、3冊とか本買ってたんで。
家にある本も大体全部パラパラ読みして「はいはいはいなるほどね」って。「あ、母はこのような本を読んで、こういう思考に至っているのね」みたいな。

qbc:なるほど。

藤田:それで、大学に入ったら、村上春樹読んだりとか。

qbc:当時好きだった作家っていうか、10代でこの人に一番影響を受けた本はありますか?

藤田:10代の時はね。2冊あって。重松清さんの「きみの友達」っていう本と、次のがすごい人生の役にたったんだけど、物語じゃないんですけど、植木理恵先生っていう心理学の先生がいらっしゃるんですけど、その人が書いた白クマのことは考えるな、「白クマのことだけは考えるな」かな、その本がめちゃくちゃすごくて、私にとってすごく良くて。

qbc:はい。

藤田:高校の時とか中学校ぐらいから若干あったんですけど、小学校の時もあったかな、女の子にあることないこと言われたりとか、ちょっと仲間外れにされたりとか、そういうことが結構あったんですけど。
結構ショックだったりする時期があって。人の心理とか元々すごい興味があったので、心理学はよく読んでたんですけど。その当時、ホンマでっかTVに植木先生が出てて、そこから植木さんの本をよく読むようになったんですけど。嫌なことを考え続ける、芯の芯まで考えて自分の心が今何パー怒ってて何パー悲しくて何パー嬉しいみたいなのを全て書き出したりとか、そういうところまで考えると、考えなくてよくなるから忘れることができる、という本だったんですよ。
嫌な感情にこんなに向き合っていいって考え方が、当時あんまりそんなに私の身の周りにはなかったから。嫌なことがあってもニコニコ笑ってればいいみたいな、そういうポジティブ信仰がすごいあった時代だったってちょっと思うので、そこにすごい感銘というか、「ええそう!」みたいな。
で、高校生のころに実行したりとかしてました。

qbc:きみの友達は?

藤田:中学校のときに読んだ本で。なんでしょうね、子供のときとかに感じる感情が全部入った本って感じ。
短編集で、主人公の一人の女の子を中心とした、いろんな子どもたちの視点から書かれてるんですよ、物語が。こうみえるけど、この子はこういう性格だからこうなってるけど、実はこう思ってて、これが悲しいとか。
そういうのがいろんな人からの気持ちで書かれてるので、それがちょこっとずつ自分に当てはまるっていうのが、まあ、簡単に言うと、推せる。

qbc:いつ頃から、芸能のお仕事ってされてたんですか?

藤田:芸能は、ワタナべエンターテイメントカレッジっていうところに通っていて、それは大学一年で中退して、入ったんですよ。
2年制に入ったので、2年間勉強とかして。その時からなんかちょこちょこ舞台やってたから、それも含めるとそこからかもしれないけど、活動的には。
でも、実際に事務所に入ってとかなったのは、いつだろう。22歳の年に決まって、23歳の年とかだったので、6年くらい前からが本格的にちゃんと仕事としてっていう感じです。

qbc:どういうきっかけで芸能界に入ろうと思ったんですか。

藤田:普通に働くの嫌だなって思ってて、昔から。勉強も別にしたくないし、そんなには。興味がなくて、あんまり。
で、うちはテレビでドラマとか見させてもらえなかったんですよ。それで初めてちゃんと最初から最後まで見たドラマが「女王の教室」だったんですね。で、女王の教室って小学校のお話で、私と同い年の子たちが、同い年の志田未来ちゃんとかがやっていて、私、家でちょっといい子演じてたので、謎に「家でしてるのと一緒じゃねーか」って思ってて。ずっと「え、いけんじゃね」って思ったんですよ。

qbc:なるほど。

藤田:クラシックバレエもやってたので、舞台立ったりとかするのは、好きで。
だから、そういう理由ですかね。
あとは身近に舞台があったんですよ。なんでかわかんないんですけど。昔から。
青森なので、実家が。おっきいホールにおっきい劇団が来てくれるんですよ。宝塚とか四季とか、わらび座さんとか。それを多分、ほとんどこぼさずに観にいってるんですよね。いつからかはわかんないんですけど。なので、舞台がすごく身近にあった。
バレエの発表会も、その同じおっきいホールでやるから、自分がそこに立つことにあんまり違和感がない。そこしかホールがないので。多分千人とかのホールに、違和感なくて。

qbc:とはいえ、大学をバツっとやめるっていうのは、すごいパワーだなと思います。

藤田:私、中3から高卒まで毎年宝塚受けてたんですよ。
これは、まじ負け惜しみだと思ってもらっていいんですけど、最終ちょい前ぐらいで、いつもいいところまで選んでもらってんだけど、なんで受かんないんだろうと。
で、最終のとき、手伝ってくれた上級生の方が、先生が来たら走ってドア開けたりとか。宝塚って年功序列とかすごいし、先生は絶対みたいな。そういうのを、数年間はなんかすごいなって思ってたけど、途中でこれ見てて「私やりたくないな」って思ったんです。
なんか、年上だからって尊敬できるとは限らんよな、みたいなのがずっと多分あったんだけど、それを自覚してしまって、なんと受験の日とかに。
それで私「ここ入りたくねー」みたいに思って。それできちんと落とされて落ちたんですけど。

qbc:はい。

藤田:そういう気持ちもあって。で、別に大学行かなくてもいいから、私は東京に行ってなんとかなるかみたいな。もともとのん気な性格なので思ってたんだけど、母は東京に行ってもし事件に巻き込まれて殺されたりしたら無職ってニュースに出るから、無職はやめた方がいいんじゃない、って言われて。東京出るなら大学行ってくんない?って言われて、行きました。
それで、大学1年の6月にはもうワタナベに通うって決めてました。

qbc:じゃあ勉強するつもりはゼロだった?

藤田:いや、自分のすごい興味ある栄養学を選んだので楽しく勉強してました。
心理か栄養かで迷って、高校全く勉強しなかったから、できるもので勝負しなきゃいけなくて、推薦とかもなくって。
心理だったら植木先生が良かったんですよ。でも慶応でしか教えてなかったんです、しかもちょっとだけ教えに来るみたいな。
そして慶応、今から無理だなと思って。11月とかなんですよ考えていたの。でも栄養なら私多分行けるなって思ったから。大妻に行ったんですけど、大妻の栄養だったらノー勉強で入れるって思って。栄養で行きました。

qbc:なるほど。

藤田:栄養学めっちゃ興味あったんですよ。家に栄養の本とかすごいいっぱいあったので。大学の授業が超面白すぎて。全部最前列で受けて、全部メモして。
授業が面白すぎて、ほぼほぼ。選択授業とかもすっごい楽しくて。全部の授業、全部先生の目の前で受けて。もう私と先生だけその場にいるみたいな授業とか結構あって、超質問したりとかして。なんだあいつってみんな思ってたと思うんですけど。

qbc:あれ、でもワタナベさんにお世話になるって決めてたんですよね?

藤田:はい。だから、誰も私が大学辞めると思ってなかったし、誰も私が芸能系だって知らないから。1年生の最後の日の試験終わって「私今日で辞めるんでありがとうございました」って。みんなびっくりしてました。

qbc:なるほど。なんで、宝塚だったんですか?

藤田:なんでもよかったんですよ。

qbc:なんでもよかったんだ。

藤田:母が兵庫出身だったので。親戚が「バレエやってるんだったら、宝塚か吉本行きや」みたいな感じだったんですよ。ずっと言われてたから「へえー」みたいな感じで。
qbc:女の子だったら、アイドルって選択肢もあったかなと思って。

藤田:お芝居をとにかくやりたかったんですよ。

qbc:あー女王の教室、天海祐希さんか。そうか。
どうなんですか、お芝居することについては。

藤田:すっげえ難しいです(笑)。

qbc:芝居自体が難しいってこと?(笑)

藤田:芝居自体も難しいですし。
「その人の気持ちなんてわかんねえよ」って思います。自分は、自分でしかないじゃないですか、やっぱ。
いろんな人に話聞いたりとかして、このときはこうだったとか聞いてもやっぱ、聞くのが自分なので、解釈も自分だし、結局、客観も主観だし、みたいな。
そうなった時に、あの、不安が出てくる。
もちろん最後は、これで行くしかない、と思うし。でも答えを決めたけど、その答えを決めちゃうことが、これでいいのかな、とか。
何も知らない時の方が自由に、自由っていうか、こうだと思うみたいな、一本で行けたから。

未来:てめえの人生はてめえで決めろって言ってます

qbc:未来についてお聞きします。5年後、10年後。死ぬときには人からこう思われていたいみたいな。未来というと、どんなイメージをお持ちでしょうか。

藤田:ほとんど何も考えてないですね。

qbc:うんうん、はい。

藤田:このあと、自分の選択が自分をどこに連れてってくれるんですか? みたいな(笑)。

qbc:(笑)

藤田:なんて言うんだろ、鳥さんに紐をつけて、私はふわふわ浮いて楽しいなと思って、そういう気持ち。
この鳥さんたちがどこに連れてってくれるのかな、みたいな気持ち、なんです、いつも割と。
だけど、良し悪しで言ったら、よいことが起こる、謎に。なんかあんまり、大変なことはもうあんまりないんじゃないかね、っていう風に思ってます。なんなんでしょうね。あんまり悪い想像はない。ないですね、ほぼ。ほぼゼロ。

qbc:それは、5年後こうなっていたいっていうのがないってこと? 例えば自分の劇団を持ちたいとか、そういう。

藤田:ないです。

qbc:なるほど。

藤田:変ですかね。

qbc:いや、そんなことないです。

藤田:結構、います?

qbc:割合で?

藤田:うん

qbc:そういう意味では、インタビューしていての感覚値ですけど、震災もあったしコロナもあったしで、未来の予測が立ちにくいから、今まで計画を立ててたんだけど、立てるのをやめたという意見の人は、いました。

藤田:あー。

qbc:藤田さんの場合は、でもそういう傾向の人たちとは別で。
基本が「好きなことを好きな人たちとやろうよ」だから、鳥さんっていうのは友達で、好きな人たちをイメージしてるのかと思うんですけど。
そしてその人たちと一緒に好きなことをする、それの繰り返し。その連続で過ごされるっていうのが、感覚としてあるんだろうなって思いましたけどね。
インタビューなんで、今私の見立てを言うと過度な誘導になっちゃいますけど。

藤田:言語化がすごい! すてきです。そうかも。そうそう。(笑)
だから、これから会っていく人とか、これから出演する舞台とかで、この人に会ったら私はどういう風になって次どういう良いことが待ってるかな?みたいな気持ちです。
でも、この人に会ったから、次、絶対にじゃあこの人のやってるおっきい舞台に立たせてもらってとか、絶対そうなるぞみたいな、がっつく感じはあんまりない。

qbc:昔はありました?

藤田:昔は今よりはあった。

qbc:例えば宝塚に受かろうとかは、そういう気持ちですよね。

藤田:そうそう。それが幸せだと思ってたんですけど、別にそれなくても幸せあるなーみたいな。私は人から注目されることが幸せだと思ってたんです。けど、人から注目されるって、もちろん嬉しいんだけど、パワーにもなるんだけど、「大変じゃんこれー!」みたいなこともいっぱいあるので。

qbc:それは、事務所契約のときのこと?

藤田:私、人の助けになれれば助けたいんだけど、なんでしょうね、依存は違うと思っていて。私はあんまり依存されるのが得意じゃないから、周りに依存傾向の人はすごく少なくて、すごいさっぱりしてる方が多いんですけど、それでもやっぱいて。
いるし、それが悪いって言ってるわけじゃなくて、依存されてるときにその人の助けになってたらいいんですけど、最終的に助けじゃないよなー、って思って。最終的に全部責任取れない。
ってなったときに、もっとよい関わり方、自分にとっても相手の人にとってもよいやり方があるよなって思ってて。そういうときに、占いってめっちゃいいよな、って思います。

qbc:なるほど。

藤田:全然、別に、占いなしで、話聞くだけでもいいんですけど、

qbc:占いについては、私も近しい人が占い師なので。まあもともと嫌いじゃいというのもあって、わりと知っているほうだと思うんですけど。
やっぱり占いっていうひとつの考え方が、間に入ってくれることによって、すごいスムーズになってると思います。これは言い過ぎかもしれないですが、藤田さんの場合、小説とか物語とか本も、多分、そういう役割だったと思うんですよね。

藤田:え、どういうこと?

qbc:例えば植木理恵さんの本を読んだ相手とは話しやすいと思うんですよ。

藤田:あ、そう、そうそうそう。
私、多分この年代にしては、情報数が多いんですよ。本の数だけ。だから私、持ってる気質みたいなのもあって、言ってること全部わかるってなるんですね。
全部わかるし、全部わかるってことは全てにノーが言えてしまうんですよ。
あ、この考え方、それ私的にすごいと思うけど、なんていうのかな、その考えを潰そうと思ったら全然全部潰せるっていう。こういう例があったから、あ、それ無理だよ、とか。全部潰せるんですよ。だから、全てを信じていて、全て信じてないっていうか。

qbc:すべてがイエスで、すべてがノーですね。

藤田:そうですそうです。それをこう、うまく伝えるのに、占いはすごい大事。
だから宗教の本とか読んだとしても全部信じるし、全部信じてなくて。今この人にはこれが必要だからこうだね、ていうのが、そうですね、占いが引き出しになってますね。

qbc:なるほどねえ。

藤田:私、依存されるのがやっぱりしんどいし、責任を持てないじゃないですか。
最初に言った、お金でも時間でも、精神でも。100パーセント責任を持つなんてことは絶対に無理なので。タイムマシーンも今ないし。タイムマシーンがあったらできるんですけど、無理じゃないですか。
だから占いに来た人たちに、占いではこう出てます、ただ私は話聞いた感じ、私の意見はこうですって、私の意見を聞きたい方には、私の意見も言うし、でも最終的にお前が決めろって言います。
こっちは、占いはこう出てますってことは教えられるし、私の意見も言えるし、おそらくこうした方がいいと思うけど、責任は持てないので、てめえの人生はてめえで決めろって言ってます、いつも。

qbc:占いのお客さんは、おいくつくらいの方が多い?

藤田:今は、ファンの方が多いので、20代から30代の方が多いんですけど。結構ね、年上の世代の方と話すことも多いので。
例えば、何してる人なのみたいなときに、舞台やってるとか言うのが私恥ずかしいので、占い師ですーみたいな感じで言うと「マジ? 何占い?」って結構すっごい興味を持たれる方が多いです。だから、今後そっちも増えるような予感もしてます。
どう思いますか?

qbc:え、私の意見? インタビュー中は、基本言わないようにしてるんだけど。
面白いと思いますよ。どんどん受けてみたらいいと思いますよ。
子どもの頃や、感受性のことを聞いて「あ、なるほど」って思いました。繊細な感受性ではあるんですけど、子どものころは女版ジャイアンって言ってましたが、結局繊細だけどでもタフなんですよ。
芸能界に入っていってるし。相談を受けていても、相手に引きずられたりするけど、それでも潰れるんじゃなくて、占いとかで武装して続けようとしているじゃないですか。

藤田:あーなるほど(笑)。

qbc:それは全然違いますよ。辛い苦しいって言って、それすらも言えなくなって、もう何も考えられなくなって、起き上がれなくなる人がいっぱいいるんです。
でも立ち上がって挑んでってるじゃないですか。どんどんそっちへ前へ深く進もうとしている。やっぱ違うんですよ。
辞めるって選択肢もあっただろうし。もう完全に引っ込んで私はもう誰とも接しないですみたいな。それをやらないっていうのは、違うんですよ。

藤田:聞いてて繊細だとは思いますか?

qbc:繊細っていうのは、感受性のレーダーが繊細だよねっていうことであって。受けとったあとが弱いかどうかとは別の話ですよ。

藤田:おお! なるほどなるほど。

qbc:繊細なレーダーを持っている。繊細な心も持ってると思うんですよ。でもそれとは別に、タフネスがありますよ。

藤田:ああ、それはあると思う。確かに確かに。そうなんか、謎のめげない心がありますよね。

qbc:繊細なレーダー、繊細な心、タフネスは一緒にならないみたいな先入観が世の中にあるかもしれないですけど、そんなこと全然ないですから。

藤田:あそっか。すごい、今日良かった。
確かに、自分がそのお芝居とかで、この人すげえなって思ったり、下手くそな部分もすごく多いので、この人たちは私のことどう思ってんだろうとか、色々と思うこともあるんだけど、それに負けずに、自分が心地よく芝居に専念できる状況を、自分も作ろうと思ってるんですよ。
こういうふうに考えたら、私はくよくよしないで、人のことも気にしすぎずに、できるっていうのを、今探してるのかも。探してます。

qbc:うんうんうん。

藤田:なんか旅。

qbc:鳥さんが連れてってくれる旅ですね。このインタビューでは、もしもの質問をしていて。

藤田:おおー。

qbc:わりと現実的な感じの質問で、事務所契約のアイドルグループ活動がなかったら、どうなっていましたかね?

藤田:えっと、もうちょっと、純粋に物事見られてたかもしれないです(笑)。

でも、今思うのは、占いやってわかったもあるけど、人間には、よいところと、良くない部分があるんだなって。

qbc:あ、過去に出会った人を占ってる?

藤田:もちろん見ましたよ。

qbc:答え合わせしたんだ。

藤田:何が良くなかったのか知っといた方がいいじゃん。
で、見て、ほんとは、私も心がすさんでたし、同じく向こうも心がすさんでたから、こんなに嫌だったのねって思ったり。ただただほんとに頭の良すぎる人とかもいましたけど。
でも、私も悪い面が出ていたときだったから多分意地悪だったと思うし、今みたいなハッピー女じゃないから穏やかじゃないし、向こうも穏やかじゃないしで、その悪い面がお互いに見えてただけなのかもしれないなって。

qbc:なるほど。じゃあ、質問をちょっと変えると、占いはしてませんでしたか?

藤田:ああー、してなかったかも。てかその職業やってなかったら、占い行かなかったかもしれないです。いろいろ辛かった時に、占ってもらってたんですよ。

占い師さんはいろいろ話を聞いてくれたりとか、でもその占いの言う通りにもしないし。

qbc:はいはい。整体通ってたけど、自分でも整体できるように整体勉強するみたいなね。
ほんと、苦しみを無駄にしないタイプだなと思います。

藤田:ほんと中高とか、結構仲間外れされたけど、アイドルになったときに、「この歌を歌うために私いじめられたんだ!」と思いましたもん。「あーよかったマジでーみんなの痛みわかるわかる」みたいな気持ち(笑)。

qbc:なるほどね(笑)。演歌歌手みたいに人生経験積んでたんですね。
最後に、言い残したことがあればお伺いしています。

藤田:今まで色んなインタビューをしてもらったことはあったんですけど、やっぱいいことしか言えないじゃないですか。そういう時には。今回話させてもらった、中学高校の時に女子にいじめられたよとか言えなかった。
でも、全員それぞれ幸せになってほしいなっていうのは思ってます。
「マジムカつくな! こいつもう二度とと会いたくない」って人とか結構いるけど、どっかで幸せになってほしいなって思ってます。
ちょっと良くまとめすぎですか?

qbc:いや、そんなことないですよ。占いをしたり本を読んだりして、いろんな人間のパターンを知って、さらに人生経験でもいろんな人がいるなって感じた結果ですよね。
結局この人とは仲良くなれないけど、そのこととその人が幸せになることとは関係ないっていうのを、ちゃんとできるようになったんですよ。
自分以外の考え方をめちゃくちゃものすごい量を知らないと、なんていうか、自分と他人をうまく切りわけられないんですよね。他人の幸せを願えない。今時の言葉で言えば、自分軸と他人軸をきちんとわけて考えられている。

藤田:うん。私は関係ないけど、幸せになってねって。

qbc:この感覚は、わかる人とわからない人がいるんですよね。

藤田:誤解されるんですよね。こういうことを唐突に言うと。、(笑)

qbc:唐突に言ったら、そう思われるかもしれないですね。
それでは、時間です。ありがとうございます。

藤田:ありがとうございます。

あとがき

女性インタビューでときどきあるんですよね、やわらかい感じで話しているのだけど、ふとした瞬間に確かな意思表明のような、語勢も語気も強い言葉が出る。
今回で言えば「てめえの人生はてめえで決めろって言ってます」というところ。
船が錨をおろすように。
繊細という言葉が氾濫しつつあるのを感じていますが、繊細と弱いとは似て非なるものだと思っています。確かに感受性が豊かでいろいろなものに敏感に反応してしまうと精神が疲れやすいし、また勝手に思いめぐらせて傷つくことも多いでしょう。でも、それと、例えば意志が弱く物事を何も実現できないというわけではなく。
本の話が多く出たのであとがきにも本を載せておきましょう。「内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力」という本です。

内向的で繊細な人たちの可能性について書かれた本。
内向型というと弱弱しく何もできないかのような印象を与えてしまうかもしれませんが、違って、単に内向型の人はそうでない人に比べて何かをするのに準備が長く必要だったりするだけです。
何もできないことを標榜するための言葉ではない。
多様性の海の中で、内向的な性質を持った可能性が最大限に引きだされる未来を夢見ています。
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インタビュー担当:qbc

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