見出し画像

無名人インタビュー:完全自殺マニュアルに興味のある22歳(取材当時)の人

完全自殺マニュアルは、滝山ブックセンターというお店で買った覚えがあります。
中学生の時の友達の家のそばの書店。自転車でよく通いました中規模店。
完全自殺はレジカウンターの前に平積みされていて、にぶみのある白びかりの地に黒い棺桶が置かれていて、たしかその中に血の色で本のタイトルが書いてあったのでは? 千代田線の車内で検索もめんどうな今、私の記憶の中でその本はそのようにあります。
ということでー、POTTAーさん回、楽しんでいただけたのなら本望ですわ。

今回ご参加いただいたのはPOTTAーさんです!

1、生と死と宗教

qbc:どんなインタビューにして行きましょうか?

POTTA:今22歳なんでそんな大したことを知ってるわけではないですし。

qbc:今は何をされている方なんですか?

POTTA:新卒で4月に就職して、5月で辞めて1か月くらい無職やって、今の会社に7月に入りました。
何を話そうかな。noteに書いているんですが「完全自殺マニュアル」という本があって、それの感想本的なものを書いていて、その記事のPV数が一番伸びています。
なので、自殺とかそういう話しようかなと思いました。

qbc:知ってる知ってる。ロングセラーなんだよねその本。

POTTA:もともと生と死とか元々興味があって、小学校ぐらいの時から「人間って死んだらどうなるんだろう?」ってめっちゃ考えてて、大人の人とかは「悪いことしたら地獄に行くの」とか「いいことしたら天国に行けて楽をできる」みたいなこと言ってるんですよね。

qbc:知ってる知ってる。平安時代人も江戸時代人も言ってたからね。令和人も言うんですよね。

POTTA:そのころから、人間って死んだらもう終わりなんだろうな、無なんだなって思ってました。だから、ニュースとかで宗教上の争いがあったりしても、別に生きてたらたらどうせ死ぬんだし、死んだら終わりでいいじゃんみたいな考えがありましたね。
ただ自分自身に死にたいという気持ちがあったわけではなく、淡々と学生生活を過ごしました。そして就職しましたと。

qbc:うんうん。

POTTA:最初、家電量販店に入ったんですよ。そうしたらパワハラがひどくて。
辞める以前に嫌になっちゃって。人間ってどうせ年取って死んでいくだけなのに、何のために生きてるんだろうなと思っちゃって。
で、その時、親とめっちゃ仲悪くなりました。

qbc:怒られた?

POTTA:怒られましたよね。若干引きこもりになりました。
それで、もともと自殺とか死ぬことにめっちゃ興味があるんで、「完全自殺マニュアル」をamazonで買って読みはじめました。
noteを始めたのもこのころで。それで、完全自殺マニュアルの感想文、自分の思ったことを書いたら面白いんじゃないか、と思ってはじめました。
で、読むじゃないですか。そしたら自分はですけど、もうちょい頑張ってみようかなって思ったんですよ。
死ぬ方法を知ったんだから、これを使う前にもうちょい人生がんばってみようかなと。それで就活をまた始めて、2か月くらいで今の会社に決まりました。
人によっては、自殺本が自殺の助けになるって考えている人、絶対いると思うんですよ。

qbc:だろうね。

POTTA:中には本当に死んじゃった人もいらっしゃると思います。でも、自殺する方法を知ってた方が自殺しないですむ場合もあると思うんですよ。
自殺ってニュースとかでも隠すじゃないですか。それが良くない。オープンにしちゃったほうが自殺って減るんじゃないのかなーって思って。そういう人に向けてこういう本の感想を見てもらった方が、がんばろうって思ってもらえるんじゃないかと思って。
実際、受け取り方は人それぞれだと思います。助けられる人の方が多ければ積極的に発信すべきだと思うんですけれど、全員が自殺をやめるわけではない。

qbc:生と死って、まあみんな生きてるし死ぬから、興味ってあるんですよね。こんなにみんなが関係することって他にない。
あと、死んだ後のことが分からない。今のところ宗教で片付けるしかない。

POTTA:だから、宗教自体を信じるのは別にいいですよ。もちろん。

qbc:いや信じてない方が少数派なんだよ。日本の方が特殊。信じないのも自由なんだなって。

POTTA:日本がおかしい。おかしいって言い方もあれなんですけど。宗教があるほうが世界的にみたら多数なんですよね?

qbc:宗教あるのが普通。日本も宗教がないわけじゃないけど、なんか宗教が特別扱いされてる。
現実には、人間の理解を超えたり解決できないものがたくさんあるじゃない、それをいったん宗教というカゴに入れて解釈しよう、ってことです。社会をまとめるための技術ですよ。
そもそも、神様がいるという感覚を持っていることじたいが、人類が社会的動物である証拠みたいなものだと思うけど。

POTTA:ある意味、人類最大の発明かもしれないですよね。神様っていうのを作ったのは。

qbc:最大かどうかは分からんけど、アイデアの一つだね。

POTTA:説明できない部分を神様っていうのを作って説明させてるんですもんね。

2、自殺とは

POTTA:自殺に興味ない人って絶対にいないんですよね。興味ないふりはするけど、心の奥底ではみんな興味を持ってますから。

qbc:まあね、不安の正体は死が根源にあるからだ、って考え方もあるくらいだからね。死とは変化だから、変化自体を人間は恐れるんだと。
まあシンプルに、理解できないものは怖いけど。

POTTA:でも、俺もいずれは死について放置するんだと思います。正直言うと、結婚しちゃったり。「しちゃったり」っていう言い方は良くないですけど。

qbc:結婚しちゃうと考えなくなるって、どうしてそう思うの?

POTTA:結婚して子供たちができたら、人生の主人公は子供に移ると思っているんですね。そこからは人生の中心にいるのは息子か娘になって、自分はもう脇役でしかない。
脇役は脇役らしく子どもをサポートしてあげるべきだから、自殺とか考えずに子供の人生のことについて全力を注いであげるべきっていう考えが私にあるんですよ。
だから、子どもには苦労させたくないなっていうのはありますし、習い事したいとかプロ野球選手、プロサッカー選手になりたいとかそういう夢をもってんだったら、できるかぎりサポートしてあげるべきだと思うし。
勉強して大学に行きたいって言うんだったら、ちゃんと大学までの資金とかそういうのちゃんと出してあげなきゃなっていう思いがあるんですよ。
だから、そしたら自分の考えを捨てて、多分子供のために全力を注ぐっていうふうに思ってるんですよね。

qbc:なんだめっちゃヘルシーじゃん!

POTTA:別に病んでるわけじゃないっすよね。
興味はあるけど、自分の人生は人生でちゃんと歩んでいかなきゃいけないものだから。ちゃんと結婚したらそれなりの責任が伴うって考えなきゃいけないなって思ってるんですよね。

qbc:なんだ。インタビューにも希死念慮みたいな人は何人かいたけど。まあドラッグとかで歯止めが効かなくなって、みたいな人もいたかなあ。

POTTA:薬か。薬を使うと考え方も変わる気がしますよね。

qbc:そりゃ変わっちゃうよ。脳も変形するし。アルコールでも変形するけど。
「完全自殺マニュアル」の次に「人格改造マニュアル」が出るんだけど、それにロボトミー手術が出てきたはずなんだよね。ヒステリー患者の脳を一部破壊するって手術。

POTTA:読んでみたいです。読むと思います。

POTTA:コロナになってから自殺は増えてんのか減っているのか。どうなんだろ?

qbc:データみたことあります? 自殺率。

POTTA:ちょっと今調べてます。

qbc:5月の連休明けが多いんだよね。

POTTA:これかな。

速報値はまとまってるんですが、資料としてまとまっているのはこちらですね。

POTTA:全体的に減ってて、最近は割と横ばいなんですよ。
平成10年に急増してるんですが「これは経済生活問題による中高年男性を中心としたものであり、バブル崩壊後の社会経済的状況の悪化による影響が推測されます。実際、この間に借金自殺や過労死といった問題がマスメディアによって報道されています。銀行の経営悪化や銀行の貸し渋りをもたらして、多くの中小企業経営者が多重債務者となり、あるいは企業の契約が大量消費被雇用者も一人当たりの仕事量は著しく増大することでうつ病などを引き起こした可能性があると考えられる」てありますね。

qbc:リーマンショックとか、小学生? 小学生の時のリーマンショックってどうだったの?

POTTA:身近なところでいうと、おじさんがクビになりましたね。建築系の会社に入ってたんですよ、当時。クビではないですけど、辞めさせられたみたいな感じで。

qbc:それはクビだよね。

POTTA:父親と母親にはそんなに影響なかったですね。

3、太田出版

qbc:私、リーマンのころ、仕事辞めてニコ生で遊んでたから、世の中のことなんも分からん。

POTTA:俺、ニコニコは知らなくて、でもYouTubeは知ってました。鉄道の動画めっちゃ見てました、小学校のとき違法アップロードの動画も結構見てましたね。著作権とかそこまで言われてなかったですもんね。

qbc:今は厳しいよね。広告主が厳しい。

POTTA:アニメの違法アップロードめっちゃいっぱいあったんで、ネット動画黎明期くらいじゃないですか。後、おもしろフラッシュっていうのがめっちゃ流行ってて。

qbc:同じこと聞いた! 20歳前後のインタビューだとたいてい出てくるんだわ。ボーカロイドとかは聴かなかった?

POTTA:中学生入ってからじゃないですかね。知ったの。
自分の世代はちっちゃいときからパソコンがあったんで、小学校のときに、俺はやってないですけどネットゲーム流行っててめっちゃはまってる子とかいました。
その子はタイピングむっちゃくちゃ速いです。「意外とネットゲームって役に立つ」って言ってました。

qbc:ネットゲームって、意外と協調性とかチームワークも学ぶんだよね。

POTTA:うちネットゲーム禁止だったんすよね。パソコンはあったんですけど。
DSはやってよくて、母親は50代ですけど、その世代だと、ゲームは任天堂かソニーみたいなイメージがあるみたいで。DSやプレステはオッケー、ネットは怪しくてやばいやつみたいなイメージだんじゃないかと。
だからタイピング能力上がってないです(笑)

qbc:ちなみにお父さん、お母さんって何歳くらいの方ですか?

POTTA:昭和43年くらい……なので50前半くらい。

qbc:私の10個上か。POTTAーさんって好奇心が強くて、考えたりするのが好きな人なんですかね?

POTTA:そうですね。知りたいなと思ったら調べたりとか。自分の考えを落書きみたいな感じでバーって書いてnoteにあげて、みたいな感じになってますね。

qbc:なるほどねー。パワハラの会社は見切りをつけて正解でしたね。
今後noteでこうしていきたいとか、自分の人生こうなったらいいなとか、そういうのあります?
「生きて死ぬだけだ」みたいなこと言ってましたけど、子供が生まれたら変わるって言ってましたし。どうなっていくのかなって。

POTTA:自分の知らないことってたくさんあるじゃないですか。そういうのを新しく知っていくのは楽しいです。こういう世界もあるんだなーって。
今、自分が興味あるのが自殺とか死ぬことですね。それ以外のことに興味が出たらもちろんそれ以外のことについてnoteにも書くだろうし。
単純に自分の考えてることをnoteに載せて、純粋に読んでほしいんですよね。
だから、趣味なんですけど、完全に趣味と仕事は別だって考えてるほうなんで、仕事は仕事で辞めようとも思ってませんし、なんなら出世したいです。

qbc:ほんとヘルシー。

POTTA:「完全自殺マニュアル」の鶴見済さんの本をまた読んでいきたいですね。この方にちょっと興味が出てきて。

qbc:なるほどねえ。出版された当時、ニュースにもばんばん出て、話題になったんだよね。物議を醸してさ。これ、文庫版でてないんだね。

POTTA:でてないですね。俺の持ってるの、2019年10月に発行されてます。初版が1993年ですよ。特に改訂なしで2019年。

qbc:え、改訂なしなんだ。まだ太田出版?

POTTA:太田出版ですよ。「永遠の0」も出版したとこですね。

qbc:え、「永遠の0」って太田出版なんだ。「クイックジャパン」みたいなの出してたところが。そうなのか。
太田出版は、山田花子の「自殺直前日記」も出してたでしょ。

POTTA:それ、俺買おうかなと思ってました。

お笑いやってる山田花子さんとは別人です。

qbc:良い本ですと! 自殺の本というとちょっと違うけど。山田花子のマンガも読んだほうがいいよね。
まーでも、太田出版ってサブカル会社ってイメージだったんだけど、「永遠の0」なんかも出してるんだね。ある意味「永遠の0」もサブカルなのかもしれないけど。

POTTA:俺は「完全自殺マニュアル」太田出版って書いてあってどんなんだろうなーって検索したら、「永遠の0」出してるとこで。すげーなーと思って。

qbc:私はサブカルの印象しかなかったからな。

POTTA:感覚の違いありますね。

qbc:そうね、知った切り口がぜんぜん違うから。
自殺に急に結びつけるわけではないけど、生きてると、こうやって長く生きてないと分からん感覚もあるんだって最近思う。
自分より20歳離れてる若い人だけど、ネットの話だと同時代感覚で話せるとかさ。
私は昭和53年生まれで、「完全自殺マニュアル」を中学か高校のころに読んでるんだけど、それが版も変えず未だに読み継がれている、しかもその話題で今22歳の人と話してるなんて、やっぱり面白いよ。
あいみょんとスピッツ似てるとか。40代の両親が聴いてた音楽を、10,20代の子供も聴いてるんだよね。私もビートルズとか井上陽水とか聴いてたもん。
エヴァだって親子コンテンツになったよね。

POTTA:なるほど。ところで、普通に質問なんですけど、noteってどんぐらいの年代の人が多いんすかね?

qbc:インタビューで時々そういう話するけど、20代後半から40歳いかないぐらいまでがメインなんじゃない? 若い主婦層とか。
あとTwitter好きじゃない人。アメブロの広告が嫌な人。

POTTA:俺も炎上が嫌だからTwitterやだなーって思ってます。
一歩間違えたら、めんどくさいことになりそうだなって。普段使いとしてはいいですけどね。あまり意見を書きこむ場としては適してないのかなという感がありますね。

qbc:それでは、最後に言い残したことがあればお伺いします。

POTTA:読んでくださってる方に言いたいのは、自殺をすすめている訳じゃなくて、むしろどちらかというと反対派なんですけど、こういう自殺方法があるよっていうのを知識として知っておくことで、今後の人生において、「もし本当に何かあったら自殺しよう。だけど今は頑張って行こう」と思ってもらいたいんですよ。
決して自殺をすすめている訳じゃないってところを強調したいです。

qbc:死ぬことについて考えないと、生きることも真剣に考えないからね。
自殺から入ったからどういう話になるかと思ったんですが、思った以上にポジティブでした。ありがとうございました!

POTTA:ありがとうございました。

あとがき

じっさい二十歳下の人と話すのは楽しい。
ものの見方がちがう。
今回のPOTTAーさんは、とっかかりが自殺の話だからメンタルヘルスの話になるのかと思いきや、サブカルチャー混じりの展開になった。
ことほどさように、世の中に絶対的に暗い話があるわけではなく、ある対象をどうとらまえるかはその人次第なんだわ。
缶ジュースを見て号泣する人もいれば、棺桶を見てお腹がすく人もいるかもしれぬ。
私は歌舞伎町に行くと職質されてカバンの中身を見られて、デジカメが出てきて、中のデータ見られたらヤバイなと思ったけどそこまではされなくて、なので良かった、ということを思いだす。徹夜でヒゲをそらずに早歩きで歌舞伎町を歩いてはいけない。これは警句。
まったね次回ねー!!

編集協力:こふくさん

マガジンで過去インタビューも読めますよ!

インタビュー参加募集!

この記事が参加している募集

いただいたサポートは無名人インタビューの活動に使用します!!