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【無名人インタビュー】飲食を土いじりから始める男

今回ご参加いただいたのは芋男爵A2Cさんです!

▷イントロ

インタビューいただくと、すぐにスケジュール相談のメールを送るのですけど、その後で5分くらい、その方のnoteやweb資料を5分くらい眺めるんですね。
で、まあ分からんなと。人間なんてしょせん分からんよなと。でもまあ、今回のA2Cさんは特によく分からなかった。でもまあインタビューすると分かります。お名前もアツシさんとお読みするんだと話してはじめて分かったし。
「人は見た目が9割」と言いますが、分かりやすいのでよく使われますが、これは、だから見た目が重要ではなくて、人間は第一印象だけで認知することがほとんどだから第一印象なんて持つな、という意味を読み取ることのほうが重要です。
物語が描いた部分から、物語の描かなかった部分を想像すると。

まあインタビューで相対して、話して、分かったなと思い、やっぱでもよく分かってなかったと思ってまた聞く。
飄々とした話しぶりのゆらめきの中で、ひそめた情熱が隠しきれないA2Cさん回、お楽しみください。

1、チョコレート屋からお芋屋に

qbc:よろしくお願いします。

A2C:どうもどうも、よろしくお願いします。

qbc:無名人インタビューのどんなところに興味を持っていただいたのでしょうか?

A2C:一年くらい前にですね、前のチョコレート屋の仕事を辞める前に、そこで働いている人たちにインタビューしたことがあるんですよ。
自分の周りの連中のことを自慢したかった、ていうのが目的だったんですけど。そしたら、僕にしか聞けないようなことがけっこう聞きだせて。
でも、なかなか文字に起こす気力がなくて、今、温めてる状態なんですが(笑)。
そういう時に、インタビューやってる人いるなぁと、qbcさんの記事が目に入って。

qbc:そう。実はテキスト起こしは重労働なんですよね。

A2C:ですよね。

qbc:それでは、どんなインタビューにしましょうか?

A2C:そうねー、あんまりないっすね(笑)テーマもらったほうが喋りやすいですね(笑)

qbc:ええと、では、今現在はどのようなお仕事をされてるのでしょうか?

A2C:大阪の蜜香屋という芋屋で働いてます。

こちらでございます!

A2C:焼き芋屋から始まったお店なんすけど、焼き芋だけじゃなくて、さつまいもを使ったチップスとか芋けんぴとか作ってて、僕は主にそれを販売してます。
元々お店の人とは知り合いで、去年心斎橋の大丸百貨店の店舗がオープンしたタイミングで店舗を任されることになって、去年の9月に大阪にやって来ました。

qbc:おしゃれなお店ですね。

A2C:ありがとうございます。あとは、また全然違った業態も準備しています。飲み食いできるような…例えば芋を使ったビールや、焼き芋のガレットとか、焼き芋喫茶と焼き芋居酒屋を準備しています。

すでに8/19オープンしております! 大阪の方はぜひ足をお運びください。

qbc:その前はどちらで働いていらっしゃったんですか?

A2C:その前は、広島でチョコレートを作っていました。
僕らが作っていたのは、豆の産地別に味わえるチョコレートですね。
コーヒーって、コーヒー豆の産地で味が違いますよね。それと同じで、チョコレートもカカオ豆の産地で味が変わるんですよ。

qbc:おお。

こちらがそのチョコレートのオンラインストアです。

A2C:チョコレート屋やり始めたのも、知り合いだったナカムラっていうやつに「一緒にやらへん?」って声をかけられたのが始まりでしたね。
最初「やらへん」って言ったんですけどね。
別にチョコレートに興味ないなと思ったんすよ。

qbc:はい。

A2C:僕は、酒が好きで。さっき、チョコレート作りをコーヒーに例えましたけど、酒も同じですよね。米の産地で味が変わってくる。
安い酒には色んなものが混ざってしまってますが、米と米麹だけで作った酒であれば、全然味わい違う。杜氏さんによっても違うし、季節によっても違う。
産地別のチョコレートを食べた時に「酒と同じ世界だな!」と思ったんですね。

qbc:なるほど。

A2C:それまでは、チョコレートの世界は本当に興味なかった。別に食わなかったです。チョコ買うんだったらワンカップ買ってるほうが良かったんで。
でも、ある時ナカムラがチョコレートを食べさしてくれたおかげで、俺の好きな日本酒とチョコレートは同じなんだなって思いました。さらに、「食べ物」という世界が、産地で、その土地の土で変わるものなんだなって実感したんです。

qbc:おもしろい!

A2C:そう、「おもしろい」と感じたことが「やらん」と言った僕を「やろう」に変えるきっかけになったんすね。
ある程度、土地で味が変わるのは知ってたつもりだったんですけどね。30歳も過ぎてたし、いろんなもの食べてきてたから。
コーヒーも日本酒も好きだったけど、チョコレートにもそういう世界があるってのは知らなかった。よく考えれば当たり前の事なんすけどね。
人参だって、北海道の人参と熊本の人参は味が全然違うし。生産者によってほんとに違うし。
それでまぁ、目からウロコでした。驚くような食べ物がまだあるんだなって感じす。

qbc:私もまさに今、そっかチョコもカカオで味変わるんだよな、そりゃそうだと思ってます。

A2C:産地別のチョコレートに出会って、いかに自分が狭い世界で生きていたのか…みたいなね。
それで、とにかく「おもろいなぁ」と思ったのがチョコレートをやり始めたきっかけで。

また、コーヒーで例えると、ブラジルのコーヒー豆はコクがあるねとか、コロンビアのやつはダークだとか。
それと同じように、カカオ豆も産地・素材が変われば味が違うんすよ。ベトナムはブルーベリーみたいな味がするとか、パプアニューギニアは焼きバナナみたいな味がするとか。
5年ほど、チョコレート屋にいました。
当初、自分たちが欲しいカカオ豆は、流通していなかったから、自分たちでカカオ豆を輸入するために現地の農園を探しに行きました。同じチョコレート屋(ウシオチョコラトル)の連中、各々がいろんな国に出かけたんすね。
僕はタンザニアとパプアニューギニアに行って、農園見つけて契約してきたんすけど。

qbc:すごい。

A2C:画一的な豆じゃなくって、その農園でしか出せない豆ってあるんすよ。「このくらいでいいかな~」みたいな平凡な味のやつは、やっぱちょっと選べなくて。
でも、探し歩いていれば、めちゃくちゃ個性的だなぁ、食べたことねえなぁみたいな、そんな予想ができないような豆と出会うことができるんすね。
僕らは巨大お菓子メーカーなわけではないから、めちゃくちゃに大量の豆がいるわけではないんですね。なので、そういう個性的な食材を少量仕入れていくわけです。

qbc:ものすごく面白いお話ですね。

A2C:そう、ものすごく面白いんです。

2、人生をサバイブするためにどうするか

A2C:子供が生まれたのをきっかけに、大阪に行くことになりました。奥さんが大阪で育った人だったんで「大阪で子育てしたい」ってなったんです。で、子供が1歳になるっていうのと、芋の蜜香屋の新規店舗オープンきっかけで、大阪に来たんすよ。

qbc:はい。

A2C:奥さんの知り合いが多い大阪で子育てするのはいいなぁと思ったんすけど、それで俺が仕事なくなったらね、子育てもクソもねぇなぁと思ったんで、仕事探さないとなぁと。
でも、就活したくないなと思ったんですよね(笑)あんまり言いたくないんですけど。
33歳の頭ぐらい、ちょうどチョコレート屋をはじめる前くらいに就活した時、もうアホほど落ちて。
「まぁ、そんなもんだ」とは思ってたんすけど。
なんで落ちるのかも、だいたいわかるんすけどねー、でちゃうんすよ「我」みたいなのが。だから就活したくないとかではなくて、大阪行って、俺は何がしたいかなと思ったんですね。「土を触りたいな」と思ったんですね。

qbc:土ですか!?

A2C:リスペクトできる農家さんを見つけて、そのカカオ豆を使って、チョコレートを作って、販売して、売ってというようなことは、5年ぐらいやったんですね。
ある程度、そういうのは身に着いたかなと思ったので。
自分が今後、人生をサバイブしていくことにおいて、必要なものなんだろうなっていうことを思ったんすよ。転職先で、どんな成長ができるか、どうやって稼ぐのかなって思った時に、「食物そのものを作る」みたいなことが頭をよぎったんです。
チョコレートは作ってましたけど、食物は作ってないなと。
農園さんはカカオ豆を作ってる人じゃないですか。カカオ豆を輸入するってことで、その人と自分達をつなげる、そしてチョコレートというポップなものに変えて多くの人につなげるっていうね、つなぎ目の役目だったんですけど、だから演劇で言うところのピエロ(舞台作品とお客さんをつなぐ)「チョコレートピエロ」を名乗っていたわけで。
自分自身が食べ物の素材を作ることに興味が湧いてたんですね。チョコレート屋で働いてる時からですけど。

qbc:うんうん。

A2C:でもカカオを作るのは日本では大変だし、子供のこともあるし、海外行くにもなぁ…と、いろいろ二の足踏んでて。
さっき言ったように、コーヒーでも日本酒でも、同じじゃねーかっていうことですよね。何か食物を作るとか。そもそもまだ自分なんて、全然何にも知らないから、農業一本でみたいな気合いはなかったんすね。お金も稼がないといけないし。
そうなるとですね、畑とか触って、食の世界のことをもっと知りたいなと。それを知りながら、お金を得ながらできる場所って、大阪でどこだろう? って思ってヒットしたのが「蜜香屋」という焼き芋屋。

qbc:はい。

A2C:ホームページに「土作りにこだわった焼き芋屋」みたいなこと書いてあって。「こだわった」っていうのはどれくらいのことを言ってるのかなと。そう思いながら電話してみたんすね。
「俺、畑したいから。畑持ってるんすか?」って聞いたら、「持ってるよ」って。それ、ええやん! って思った。まぁ、半農ってやつですかね。
土に触れると言うか、その食材にもっと近いところで働くってことで、蜜香屋にやってきたって感じですね。少なくとも食材(農家さん)に対してリスペクトのあるところじゃないと働きたくなかった。

qbc:なるほど。

A2C:知り合いではあったんですけど。愛知で毎年開催されている「森、道、市場」っていうイベントがあるんですけど、そこで1年に1回出会う、顔を見知ってるぐらいの知り合い。

「森、道、市場」はこちら。URLは2020年のですね。

だけど、そのスタイルがどんなものなのかなと興味がありましたし、第一候補として出てきて、電話かけて。
だからもう、チョコレート屋を辞めるのは、一年ぐらい前から決まってて。細かい日程は、焼き芋屋のスケジュール(心斎橋の新店舗オープン)に合わせようかなとか、子供の年齢にも合わせてっていう感じで次の仕事を選んで、ここに至るって感じなんです。
辞めるの、結構、悩みましたけどね。
自分たちで立ち上げたチョコレート工場だし、仕事は面白いし、スタッフの連中のことずっと考えてたから。

qbc:チョコレート屋、面白いですね。個性的というか。

A2C:ウシオチョコラトル(チョコレート屋)のホームページお気に入りです、結構エッジが効いてていいと思うんすけど(笑)

qbc:いやほんと、面白いですね。

もう一回、このサイトです。

A2C:ラクして仕入れりゃよかったんですけど、自分らみたいに小さな規模でやるんだったら、大手と同じ豆を使ってても個性が出ないし。とにかく、豆の質、個性が大事になってくるだろうな、と。
他と差は付けないとなぁって感じですね。そうじゃないと生き残っていけないなっていうのもありましたし、だからもう、必然的にやったって感じですね。情熱とか愛情じゃなくて、生き残るために必要だから。
僕らがやり始めた時、国内には5店舗ぐらいしかなかったっすね。
カカオ豆と砂糖だけで作ってるチョコレート一本でいっている店って。

qbc:あっ。でも、今はあるんですか。

A2C:今はもうめちゃくちゃ増えてます。だから、自分で言うと恥ずかしいですけど、はっきり言って僕らはパイオニアです、日本の中で。

qbc:フレーバーを楽しむ嗜好品なんですね、ほんと。サイトの商品ラインナップ見てそう思います。

A2C:フレーバーというとイージーなイメージになっちゃうんすけど、まあ、簡単に言うとそうですね。味わいが全然違うんです。基本的には産地別に個性を味わうんですね。ガーナとか、ベトナムとか。
ベトナムなんかブルーベリーとかレーズンみたいな味がします。それこそ、ベトナムの中にもいろんな農園があって。
あとは焙煎の仕方とか、発酵の度合いによって味わいも全然変わってくるんですけど。発酵なんかは農園さんがするから、そういったものも指示するというか、むしろそれを伝えるために現地に行くんすね。

qbc:はいはいはい。

A2C:農園さんは、キロなんぼでポーンと売り手に出したらお金がもらえて、お金がもらえるなら発酵なんてどうでもいいやってところが多いんですね。
でも、ウチは意見をがんがん言ったんですね。
ガテマラの農園だと、普段は4日の発酵で出すんですけど、「ウチの納品するのは7日間発酵させてくれ」って。つまり、もう本当に、世の中のどこにも流通してないカカオ豆を使ってるってことです。

3、有名になる弊害

qbc:「この世界の片隅に」とコラボしたりしてますね。

A2C:そうですね。映画に出てくる呉の海苔屋ともコラボしたりして。

qbc:いいですね。ギフトにすごくいい。ストーリーが強いから。ゴディバをあげるよりも楽しい。

A2C:そうっすかねー。大体の人はゴディバの方が喜びますよね。名前が通っている有名なものの方が喜ばれちゃうっていうね(笑)
ウチの場合、ストーリーが長すぎて、みんな飽きちゃうんです(笑)
誰もが知っている高級ブランドが、かっこいいっす(笑)
世間ではね。

qbc:なるほど。全てのモノにストーリーはあるんだけれども、「有名だから」というストーリーがいちばん受けると。

A2C:最近ちょっと、やっぱりそうなんだなと思うことがあって。
蜜香屋で出してる「中崎ポテト」っていう商品があるんすね。サツマイモをスライスしたチップスに芋の蜜がかかっているんすけど、もちろん、めちゃくちゃ美味しいんですよ。
普段から人気なんすけど、テレビで「それ」が紹介されたらしくて、もう、「それ」ばっかり注文が来るみたいな。

qbc:テレビはまだまだ強いですからね。

A2C:これは、蜜香屋のホームページの通販と本店で買えるんですけど。
大丸の百貨店には「中崎ポテト」売ってないんですよ。「ニューケンピ」という芋けんぴと焼き芋しかない。
で、テレビで紹介されてから、「ここは置いてないですか?」という問い合わせがめっちゃ来るんすよ。それはいいじゃないですか。別にね。
でも、店頭に来て、「置いてないんだ」って帰っちゃうんすね。
その有名人が食べていた、テレビで紹介されていた「それ」以外興味ないんだと思うと…なんかね。

qbc:そうですね…

A2C:でもその中でも、「これも食べてみようかな」って買ってくれる人も、もちろんいます。
その人は、自分の選択をしたって感じですよね。誰かに言われたことだけ(流行り)を追うだけじゃなくて、きっかけはテレビだったかもしんないすけど、そんじゃあこっちの芋けんぴも試してみようっていうのは、自分の意志で動いているってことですよね。好奇心と言うか。
美味しいモノに出会いたいのか、有名なモノを手に入れて満足したいのか、まぁ後者なんだろうなっていう方が多くって。その選択の仕方もったいないなー!って思ってます(笑)

qbc:なるほどね。

A2C:もっといろんなものを自由に選べるはずなのに、そこの線引きだけなんだと思うとね。まぁ、いいんですけどね、アナタの人生だから。その人の求めてるモノがそれなんで。価値観ってやつですね。

qbc:蜜香屋さんは、ブランドのストーリーとか、デザインとかが上手ですね。素敵な会社。

A2C:ありがとうございます。きっとみんな喜びますよ! みんなね、めちゃくちゃ考えてやってるんで。

4、食品業界のエンターテイナー

A2C:ウシオだと、「チョコレートピエロ」って名乗って、ふざけてたんすよ。

qbc:そういえば、蜜香屋さんのインスタグラムで警備員の動画を見て。動画映えするなぁと思いながら見ておりました。

A2Cさんです!!

A2C:ずっとふざけてたんでね、いつでも、ふざけるのは得意分野かもしれないですね~。
僕、気を遣ってふざけてるんで。
ちょっと何か喋ったら、「めっちゃ真面目やん!」って言われるから、喋ったらダメなんすよ(笑)

qbc:演劇をやられていたんですか?

A2C:18歳から25歳までですね。
お芝居に打ち込んでた時期に培ったものが、仕事にもおふざけにも大きな影響があると思います。
今伝えたいことを、自分の体を通して表現することなんで、自分でしか表現できない方法ではあるんだけど、みんなに伝わるようにというか、共感できないと感動も生まれないわけで。この表現が、その人にとってフィットしないのであれば、別の表現で伝えないといけないとか。
手塚治虫の「火の鳥」と同じですけど、テーマは同じで表現や設定が違うんすよね。切り口だとか。これで伝わるまで、やり続けるって感じですね。

qbc:なるほど。

A2C:自分が一般的にどういう風に見られてるかとか、そういう部分は、ある程度のテクニックもあるでしょうけど、とにかく、現在の僕は師事してた演出家からめちゃくちゃ影響を受けてるって感じですね。
その事をnoteに書こうと思ってもじもじしてたんすよ(笑)

qbc:考え方が文系ですかね?

A2C:そうですかねー。
文系に憧れがあるのは絶対なんですけど、なに系かわかんないす。
本読んだり、音楽聴いたり、映画は、まあ好きで、作品の意味を自分なりに解釈して。
それらを表現するモノの一つが、言葉かなと。

ちょっと、noteみたいなことを、会社のLINEでもやってたんすよ。
LINEにもノートがあるじゃないっすか、LINEグループに。そこにですね、僕の戯言みたいな感じで、いま会社で起こっている問題に対する意見を経験と照らし合わせて文章にして載せてたんすよ。

qbc:うんうん。

A2C:今、結構若い年代の人達と一緒に働いてるんですけど(10歳くらい離れていたり、ヘタしたら20歳! 離れている)、よく知らん人同士ではコミュニケーション取れないじゃないすか。
例えば、以前のチョコレート工場でこういうことがあってこういう風に解決したとか、こういう風に失敗したとか、というようなことを残しておきたいなと思ったんすよね。
誰も見ないにせよ、自分の中で整理ができてアウトプットになるし。
会社のLINEなら、いやでも、見てくれるかなとか。
で、その時のネタを使いながら、note始めたって感じですね!
だから、ちょっと真面目なトーンになっちゃってるのかも、これいまのnoteの課題っす。

qbc:なるほどねぇ。

A2C:やっぱ言葉が好きなんでしょうね。読むの楽しいなって感じなんですよ。
今も鞄がパンパンのくせに本を持ち歩いてます(笑)

qbc:なるほど。

A2C:休みの日とかにね、本を読む時間が好きなんすけど。
それこそ、無名人インタビューじゃないですけど、どこの誰かは知らんけど、この人と気が合うな、とか、気軽に出会えるのはnoteの良さかなと。

でもまだnoteでどういう風にコメントすればいいのか、機能的に使いこなせていない部分が沢山あるのですが、「読んでるよ~」って思ってます(笑)

qbc:A2Cさんのnoteですが、面白いですよ。映画のお話とか。

映画の話はこれ!

A2C:映画の話が多いです。最初に投稿したのも「映画館の話」で、でもまあ、結局全部「愛」について喋ってるんですけどね!
映画の僕なりの楽しみ方と言うか、サブスクで見たりもするんすけど、ちょっと足りないっすね。「映画館に行きたいなー」という気持ちがあって、しゃあなしでサブスク。

qbc:なるほど。

A2C:もっと暴露しちゃうと、そもそも、noteでもなんでも良かったんですけど、ヴィヴィアン佐藤さんっていう方がいて、仲良くしているんすけど、「大阪で元気にしてますか?」って、僕にお手紙が来たんすよ、突然。感動しちゃって。

唐突に出てきたヴィヴィアンさん。

qbc:手紙!?

A2C:そう、大丸百貨店に手紙が届きまして。
実は、ヴィヴィさんへのアンサーのつもりで書き始めたんすよ、noteは。
ヴィヴィさんからは手紙と、シネマ雑誌(キネマ旬報)の切り抜きも入ってたんすよ。
ヴィヴィさんはキネ旬に連載を持ってるんすけど、連載とは別に「これも書いたんです」っていう大林監督(尾道の映画館)の話が書かれた切り抜きが送られてきて。
手紙っていうのもいいし、映画、自分が好きなものに対して考察したことを言葉にして伝えるということの魅力をですね、再発見したんすね。

qbc:うわ、素敵だなぁ。

A2C:最近、ホームページとか、新店舗のための申請書とか、PRとか、そういうのばっかり考えてたんですよ。
それでも、文字にするという行為は楽しかったんすけど、もっとマイセルフなモノを書きたいなという気持ちになったんすね。
で、アンサーのつもりで。

だから、僕のnote は自己紹介より先に「映画館に足を運ぶとは」という題材なんです。
返事書きたいなと思いながらも、こっ恥ずかしくって。もともとヴィヴィさん宛に書いたモノを公にできるようにアレンジして。

qbc:公開書簡みたいな感じで素敵ですね。

A2C:ちなみに「お返事アップしました」ってことはヴィヴィさんには言ってないっす。

qbc:言わないの?(笑)

A2C:何も言ってないっす。それが面白いだろうな、とか思って。ヴィヴィさんにお返事を送るなら、キネ旬に載った時かな、紙媒体が好きだし。もしくは誰かに求められて書いたとき、他者に認められたものを自慢したいかなあ。いや、もう単純に返事書けよって話なんですが、なんか、恥ずかしくって、結局。

qbc:そこも含めて、素敵ですね。

A2C:僕は「誰かに楽しんでもらいたい」というのがあるんで、それがないと動けないって感じですね。
だからいつも、文章の中に誰かを思い浮かべてはいますね。あの人だけが反応すればいいや、ぐらいで。これ、昔からそうでした。
生徒会長やってたんすけど、生徒会長の挨拶ってあるじゃないすか。
いろんなイベントの時に、先生の挨拶も、今までの生徒会長も国語の先生から渡された定型文で挨拶なんてするからおもんないっしょ。
僕は、面白いことを言おうと心掛けていて、そうじゃないと自分が挨拶する意味ないでしょ。あと、生の声を届けたいから、毎回、その日、その場所で感じたことを挨拶として喋っていました。
その挨拶の中に、自分の知り合いと今ハマっている何かとかを掛け合わせて、それを例えに出したりして、知り合いにだけウケて。そういうことで満足してましたね。
大勢の人に向けて話すんすけど、今日はあいつのあのネタ使おうかとか、そんな感じです。「誰か」にウケるだけでいいんです。みんなの好きなものには応えられないから。

5、シンプル is 成長

qbc:お仕事などを含めて、今後noteをどう使いたいですか?

A2C:どんどんシンプルになっていきたいっすねー。売りモノとか、「美味しい」に限らず、良いなと思ったモノを共有したいって感じですかね。
商品もnoteのフォロワーさんも、爆発的に広がらなくてもいいんすよ。かゆいところに手が届くじゃないすけど、ピッとする人を見つけたいっていう。その人たちと関わりたいっていう。
それが今後のnoteの使い道かもしんないっすね。
全部合う人なんていなくていいんで。全部合わないっすもん。あぁいうとこが好きだなぁとか、一瞬でいいから、全部がそれのきっかけにしたいなという感じではあって、文章読んでいる時間が「ちょっと楽しい」とか「ちょっと悲しい」とか。そういうのを共感できるなら、それだけで良くってっていう感じでありますね。あとは、自分自身が書くの好きなんだなって、実感できるので、もう少し、自由に書くって感じですかね。

qbc:1番好きなことってなんですか?

A2C:女の子からキャーキャー言われることっすかね。あ、今のはジョークっすよ(笑)

qbc:あ、なんだ(笑)

A2C:成長が見れるってのがムチャクチャ好きですね。
若いとか若くないとか、自分とか他人とかじゃなくて。

自分の成長が見れる時ってのもゾクゾクしますし、周りのできなかった連中ができるようなっただけで結構、泣けてきちゃう。
「成長」が現在のテーマかもしれないですね。成長したくって土いじりをしてるんで。花が咲いて実ができて、また枯れて、そーゆーの目の当たりにすると泣けてきちゃう。
やったことがないことに挑戦する。挑戦するというのは、成長したいと思っているからじゃないかなあ。それが、サバイブすることにつながるだろうしって気持ちです。
ちなみに、よく「無駄なことは一切ない」みたいなことを聞きますけど、無駄なことはいっぱいあると思います(笑)めちゃくちゃしてきました、無駄なこと(笑)「無駄なことはいっぱいある」それが生涯のテーマですね、なんじゃそら。

▷アウトロ

A2Cさんかっこいいですね。スタイリストでした。自分の様式を持っている。使うフレーズ。Instagramに残る映像。考え方。振る舞い、行動。
「手紙」のエピソードなんてその最たるものだし、行ってしまえばカッコつけすぎではないのか、なんて思ったりした。でもスタイリストの奥には繊細な情熱が隠れていたようにも感じた。照れ屋さんは、万全に姿かたちを準備する。「チョコレートピエロ」。お道化ているということがぴったりなのかもしれない。
有名であるという分かりやすさと反対には、無名であるということの理解の手間がある。
「人は見た目が9割」というのは、そっちのほうが分かりやすいから。分かりやすいというのは、すぐに判断がつくから尊ばれる。でも、それだけじゃあね。
隻手の声と。
(編集協力:虹倉きり

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