見出し画像

修学旅行で話の上手なタクシードライバーさんにどうやったらそんなに話が上手くなるのか聞いたら「相手の気持ちを考えるとこういうふうになれる」的なことを言われて感動した人

それこそ私qbcはインタビューのことを四六時中考えているんですが。
お金をもらってその人を紹介するための記事を作るインタビューがあって、それから社会学や文化人類学で研究のために特定の人達の話を聞くインタビューがあって、あるいは就職の時の面接もインタビューと言ったりする。
私たち無名人インタビューチームのやっているインタビューは、無料で、「人の話を聞く」明確な目的ははっきりしていない。
それは、目的という合理的な思考がノイズになるからであって、例えば3万円もらってインタビューしているのであればその対価分は満足させようという気持ちだったり、逆にお金を払ってインタビューさせてもらっているのであればモトを取ってやろうとがめつくなるかもしれない。
私qbc自身は5万円という金額で(写真無し! 非対面のZOOMカメラなしで!)インタビューをしているし、お金をもらうことに関してはむしろバンバンもっと欲しいくらいなんですが。(100万円くらいもらって旅行しながら2泊3日くらいのインタビューしたいよ!)
でも、お金関係ない、社会的つながり関係ない、ただ「人の話を聞く」「自分のことを話す」ということが面白いと思っているから、やっている。
目的はないけれど、ただインタビュアーには、記事が最終的にどうこうとか、主催qbcの決めたルールがどうこうとかそれ以前に相手のことだけは考えてほしい、主役はインタビューに応募してきた参加者だ、ということは口すっぱく言っている。
結果、その作法さえあれば、比較的均一な質の記事ができていく。
それって、人が本来持っているナチュラルな力なんではないか? と思っている。
他人の話を聞くこと、そして親身に聞いてくれる人が自分の話をしっかりと話すこと。それは、人に備わった自然な力なんではないのか、と。
目的を果たすというシンプルなことを最終着地点にしない、むしろゴールなどない、ただただその人の傍らでそっと耳をそばだててその人の話を聞く人という存在自体が、営々と朗々と延々と続くことを願う。
だから無名人インタビューgo!!!!! go!!!!!go!!!!!
【まえがき:qbc・栗林康弘(無名人インタビュー主催)】

今回ご参加いただいたのは 滴 さんです!

滴@『版画屋歳時記』 


現在:相手にどんなプレゼントを受け取ってもらえるかって考える作業が楽しいというか。

toki:滴さんは今、何をしていらっしゃる方ですか?

滴:今は、会社員をしています。で、趣味の一環として、Twitter(X)・Instagramを用いて、自分の作品を発表をさせていただいております。

toki:差し支えなければ、具体的にどのようなお仕事をしているのか教えていただけますか?

滴:ヒアルロン酸とかを作っているとある工場で、作るために必要な文書の管理とか整備をする仕事をしていますね。

toki:そのお仕事はいつ頃からやられているんですか?

滴:その会社自体はずっと勤めているんですけど、今の部署にいるのは3年間ぐらいですね。

toki:なるほど。滴さんの中で、仕事とプライベート、それぞれどのような存在といいますか、どんなものとして捉えていらっしゃるのでしょう。

滴:仕事は生計を立てながら、多くの方の役に立てる、社会貢献のようなものかなって考えていて。
プライベートに関しても、ある意味社会貢献っちゃ社会貢献なんですけど、やっぱり主軸としては、どちらも自分が楽しいっていうのを一番大事にしております。

toki:ほうほう。仕事とプライベート、どちらでも良いのですが、最近特にご自身の中で力を入れていることはありますか?

滴:最近は、ちょっと難しいんですけど……これを逃したら一生このチャンスはないなっていうものに投資をしている感じというか。
楽しいことが大好きなので。楽しいことを自分から探したり、自分で企画したり。
周りも楽しめるし自分も楽しめるみたいな、「楽しい」っていうキーワードを結構大事にしているかなって思います。

toki:趣味で絵を描かれているというお話もありましたが、そちらはどのような絵を描かれているのでしょう。

滴:絵は、今は静物画。要は花とか物とかがメインですけど、ちょっとイラストよりのかわいらしい絵とか、あとは版画もやりますし、水彩画とか、色の付いた絵が多いかな……。イラストか絵画かって言われたら、絵画寄りかなっていう感じですかね。

toki:描くことは、いつ頃からお好きなんですか。

滴:小さい頃から絵はずっと描いてるんですけど、私はどっちかっていうと、量よりも質を重視する派なので、毎日描いてて描いてて超楽しい!って感じでもなく、描きたいと思った時に描く感じですね。気が向いたときじゃないと絵を描かないタイプです。

toki:描いた絵はをSNSで発信されているとのことでしたが、発信をしようと思ったのはどうしてだったんでしょう。

滴:きっかけは、実は占いなんですけど、恥ずかしながら。ずっと1人で絵を描いていて、なんか、この絵を世の中に後悔しないことがちょっともったいないなって悩んでいて。その時期に初めて占いを使ったんですけど、占い師さんに相談したら、「あなたはもっと絵を世間に広めなさい」的なことを言われたので「やるかあ」と思って、何となく始めたみたいな。今のアカウントはそうですね。
創作活動とか、絵を発表したりすること自体は、高校生ぐらいのときからやってたんですけど、今の路線で始めたのは3年前です。

toki:そうなんですね。実際に占い師さんのご助言をきっかけに発信されるようになってから、いかがですか?最近の調子といいますか。

滴:調子としては、わりと悪くないんじゃないかなと思っていて。上達してるかどうかで言われたら、ゆっくりですけどは多少はしているのかなって感じていて。
うーん、なんて言うのかな。自分がどういう絵が描きたいかがだんだん定まってきたというか、どういう絵を描いている時が楽しいのかは何となくわかってきたのかなって気はしてます。
でもやっぱり画歴がちょっと浅いので、まだまだのかなってところもあります。

toki:なるほど。そうなんですね、ありがとうございます。
ちょっとお話戻りますが、楽しいことが大好きだって仰っていたじゃないですか。滴さんが楽しいなって感じることって、例えばどんなことがありますかね。

滴:メインは人とコミュニケーションをとること。昔は苦手だったんですけど、今は結構好きになってて。
ちょっと恥ずかしいんですけど、私のスキルというか特技で、相手のことをよく知ってれば知ってるほど、相手が何したら喜ぶかがすごいわかるみたいなのがあって。そういう特技を生かしながら、この人に対してこういうことしてみたらいいんじゃないかとか、こういう提案をしたら喜ばれるかなとか、SNS使うときも、こういう発信をしたらみんな喜んでくれるからなみたいな感じで、考えながら絵を描いたり。自分が描きたい、って気持ちが一番ですけど、そういうところがちょっとあったりするかなって感じですかね。

toki:どうしたら相手が喜ぶか、それを考えることに楽しさを感じているんですかね。

滴:それも好きですし、さいとうなおきさんっていうお絵かき系のYouTuberの方がいて、その方が言ってるのと似たようなことを言っちゃうんですけど、相手にどんなプレゼントを受け取ってもらえるかって考える作業が楽しいというか。誕生日プレゼントを選んでるときの感覚にちょっと似てますね。相手がどんな顔して喜んでくれるだろうみたいな。

toki:なるほどなるほど。最近、誰かにプレゼントをあげられたなと思った瞬間とかってありますか? 具体的な物に限らず。

滴:色々あるんであれなんですけど、逆に自分がプレゼントもらったなみたいな出来事があって。
この間、大学の研究室に社会人研究生になりたいって理由でちょっと遊びに行ったんですけど。そのときに、私が大学生だった頃にいらっしゃった研究生の方がいらっしゃって、その方が「みんながあなたのことを支えてたよね」って言って下さって。
私は、1人で研究してるときもあったんですけど、みんながその私のことを思って支えてくれてたんだなっていうのを改めて噛みしめて。すごく嬉しいプレゼントをもらった気持ちになりましたね。

toki:ありがとうございます。
普段の過ごし方といいますか、ルーティンのようなものがあればお伺いしたいのですが、いかがでしょうか?

滴:これはちょっと改めたいなとは思ってるんですけど、結構仕事で疲れちゃって、課外活動とかやりたいなと思いつつも、叶わないことが多くて。
ただ、ちょっと意識してるのは、自分にとってプラスになる情報をちょっとでもいいから入手することは心がけていて。
本当は読書から情報を得るのが一番いいのかなとは思うんですけど、YouTubeで自分の興味のある料理動画とか、哲学書を簡単に要約した動画とかをみたり、あとはちょっと自分の持病に関するお医者さんのYouTube見たりとか、知識を蓄えるようにしてますかね。

toki:最近はどういう知識を蓄えたいなと思っていらっしゃるんですか。

滴:特に、心理学とか哲学とか。世の中において、普遍的というか、いつの時代も変わらない事実っていうか。自分がもっと知らなきゃなって思うことがたくさんあるので。
例えば人心掌握術みたいな、人の心にも興味があるし、倫理学にも興味があるし、そういうのに興味があります。

toki:なるほど、ありがとうございます。
楽しいことについての質問と少し近いのですが、滴さんは、どういうことをしている時に幸せを感じることが多いですか。

滴:いい香り。何でもいいんですけど、香水とかお香とか、私が一番好きな匂いは日本酒とか麹の匂いなんですけど、そういった自然の香り、まあ香水は自然かって言われたらちょっと微妙ですけど、自然の香りを嗅いだときとか。心を震わすような素晴らしい音楽に出会った時とか。端的に言えば、そういうときに幸せを感じますね。ああ、あと美味しいもの食べたときとか。あとは、ありがたいなって、人とか環境とかに感謝した時とか。

toki:一番最初にぱっと香りの話が出てきましたが、いい香りを嗅いだときっていうのは、どういった気持ちになるんでしょう。

滴:うっとりするっていうのが一番的確な表現かなと思うんですけど。やっぱり香りって脳と直結してる気がしていて、一番効きやすいというか、経路が短そうというか。幸せになるには一番手っ取り早い手段なのかなとは思いますね。

toki:今、幸せを感じることについてお伺いしたんですけど、逆に何か嫌いなものやことは何かありますか?

滴:はい。最近、ちょっと悲しい気持ちになったことがあったんですけど、人のことを考えてない人は好きじゃないですね。
なんか、相手や周囲の気持ちを全然考えずに行動する人とか、悪意を感じる行動とか、目先の損得にとらわれて将来っていうか、全体的な利益を考えない人とか、そういうのはあまり好きじゃないというか。パッと思いつくのはそんなところです。

toki:ほうほう。相手の気持ちを考えない人の何が、滴さんを嫌だなという気持ちにさせるのでしょう。

滴:やっぱり自分の尊厳を傷つけられるっていうか、自分のことをリスペクトされてないっていうか、大切にされてないって思うのがちょっと悲しく感じる要素なのかなあって、今思いましたかね。

toki:そうなんですね、ありがとうございます。
ちょっと質問が変わるんですけど、滴さんは周りの方からは何かどういう人だねって言われることが多いですか。

滴:うーん。あんまりそういうのは人に聞いたことはないですが……真面目とか、そういう一般的なことは言われるんですけど。
ただなんか、大学生のときに就職活動をしてて、私のことをよく言い当ててるなって思った言葉があって。よく就活にある「あなたを動物に例えると」っていうのを先輩と後輩に聞いてみたんです。
そしたら、先輩には「牛」って言われて。なぜかっていうとマイペースだから。で、後輩には、「ふてぶてしいカンガルー」って言われて。理由が、先生って結構上の立場じゃないですか、研究室において。なのに、私が上の立場の人に対しても、バチバチに自分の意見を積極的にぶつけていく姿がなんかふてぶてしいカンガルーに似てるみたいこと言われて、確かになあって。別に相手が誰でも物怖じしないあたりは、私らしいかなって思いました。

toki:ご自身としても、自覚があるんですね。

滴:そうですそうです。

toki:滴さんご自身では、自分のことはどういう人だなっていうふうに思いますか。

滴:なんか、『オペラ座の怪人』っていうミュージカルがあるんですけど、それの怪人とか、あとは『ウィキッド』っていうミュージカルに出てくる悪い魔女とか、そういったダークサイドっていうか、なんていうんですかね、ダークヒーローとまでは言わないですけど。ちょっと心に傷を負ってる変人みたいな。変人だけど魅力的みたいな。
決して明るくはないし、太陽みたいな人物ではないけど、月みたいな人物になれたらいいなあとは思っています。

過去:タクシー運転手さんの話がうますぎて。どうやったらそんなに話が上手くなるんですかって聞いて、返ってきた答えにすごく感動して。

toki:滴さんは小さい頃はどんなお子さんでしたか。

滴:もうとにかく泣き虫で、自己主張が強くて、嫌なことは絶対嫌みたいな。そういう感じで。あと結構、自分で言ってて悲しいんですけど、あんまり友達もいなくて。周りに馴染めない感じの1人ぼっちのかわいそうな女の子って感じでしたかね。

toki:大体いつ頃まで、今おっしゃっていただいたような子どもだったのでしょう。

滴:小2ぐらいまでですね。小3からは結構変わりましたほど

toki:そうなんですね。
ちなみに、生まれてから今日までの滴さんの人生を3章に分けるとしたら、どのようにわかれますか?

滴:中3、大学の時は絶対にターニングポイントがあって。あともう1個あるとしたら小3の時ですかね。

toki:なるほど。では小3の頃のお話からお伺いしていこうかと思います。それまでは、あまり周りに馴染めない子どもだったというお話がありましたけれども。

滴:はい。小3からどんなふうに変わったかっていうと、授業中に先生が、何か質問ある人みたいな感じで聞いても、誰も手挙げない中、1人だけずっと手を挙げたり、委員長とかやるタイプになったんです。
で、何でそういうふうになったかっていうと、ある日急に、みんな黙って何もしてないけど、先生が貴重な時間を割いて授業をしてくれてる中、何も聞かなかったらもったいないじゃんみたいなことを思うようになったんです。時間や機会がもったいないって。なんでそう思ったかは全然覚えてないんですけど。

toki:突然、意識が変わったと。

滴:そうですそうです。

toki:へえー。そうやって考え方が変わってから。滴さんから見える景色とかって、何か変わりましたか?

滴:明確に変わったのはやっぱり、消極的・内向的な性格が外向的な方にだんだんシフトチェンジしていったというか。友達も少なかったけど、ゼロではなかったかなみたいな感じで。いじめられはしてましたけど、なんだかんだ嫌われ者ではなかったかなあみたいな。質問とずれちゃってますかね、でもそんな感じです。外交的な方向へちょっとずつ変わってったかなっていうのが答えです。

toki:そこから、中学校は公立と私立、どちらに進学されましたか?

滴:私立ですね。中高一貫で。
親が、私の何かタイプからしたら中学受験させても大丈夫やろみたいな理由で、中学受験をすすめてくれて、私はあんまり勉強好きじゃなかったんですけど。そんなに頭の良くない私立中高一貫になんとか合格して。
そこでわりといい成績を取り続けてました。そんな感じですね。

toki:中学校に進まれてからは何か変化とかってありましたか。

滴:中3のターニングポイントの話をすると、修学旅行行ったときに、1つの班にタクシーの運転手さんが1人ついて、案内をしながら京都市内を回ってくれるみたいな感じだったんですけど、そのタクシー運転手さんの話がうますぎて。
どうやったらそんなに話が上手くなるんですかだったか何だったか、とにかくそんな感じのことを聞いて、返ってきた答えにすごく感動して。「相手の気持ちを考えるとこういうふうになれる」的なことを言われたんです。
相手の気持ちを考えて接するのが大事なんだってそこで思って。

toki:ほうほう。

滴:何でそこでそんなに感動したか、今になって考えてみると、知らなかったから感動したというよりかは、多分自分の中ではモヤモヤした潜在意識の塊というか、もともと大事にしていることとして自分の中にはあったんですけど、それをタクシードライバーさんがうまく言語化してくれて、「すっきりした」っていう感覚の方が近いのかなと思って。
それですごく感銘を受けたというか。人の気持ちを大切にしようっていう思える大きな軸ができたなって思ってます。

toki:なるほど。そのタクシー選手の運転手さんの言葉に出会う以前から、自分も無意識だったけれどもそれを大事にしていたということですかね。

滴:そうですね。

toki:そこで言語化されてすっきりしてから、何か変化ってあったりしましたか?

滴:ちょっと質問とずれちゃうんですけど。中1中2で交換日記をしているときに、自己中って思われたくないみたいなことをずっと書いてたんです。多分それは裏を返すと、相手のことを大事に思いたい、相手のことを考えられる人になりたいということだと思うんですね。
今は本当に死ぬほど相手の気持ちを考えながら接するようになっちゃって逆に良くないところもあるのかもしれないんですけど、タクシーの運転手さんの言葉に出会ってからは、より相手のことを考えて行動することができるようになったのかなって思います。

toki:元々大事にしていることではあったけれど、運転手さんの言葉に出会ったことで、自分の中でさらにその信条が明確になったんですね。

滴:そうですね。

toki:そこから高校へ進学されて、高校時代は何をしている時が楽しかったですか。

滴:高校のとき一番楽しかったのは、自分が小さい頃に発売された「風のクロノア」っていう大好きなゲームがあるんですけど、それ用のTwitterアカウントを作って、勉強がおろそかになるくらい、そのゲームのアカウント運営にどハマりしちゃって。あまりにもレアなゲームだったので、そのゲームが好きな人と交流できるのが嬉しすぎて。イラストを描いてちやほやされたり、オフ会とかにも参加したり、好きな人たちと好きなことを語り合って、それが死ぬほど楽しくて、高校で一番楽しかった思い出っていっても過言ではないかなみたいな感じですね。

toki:そうだったんですね。オフ会って、会ったことない人と初めてリアルで顔を合わせたり、色々な人とコミュニケーションをとったりするわけですよね。当時はそういったことに対して、不安だったり抵抗みたいなものはなかったんでしょうか?

滴:多少はあったとは思うんですけど、なんですかね。怖かったっちゃ怖かったのかもしれないけど、親が守ってくれてるって安心感があったから、そんなに怖くなかったかもしれないというか。あ、別に親同伴で行ったとかそういう意味じゃなくて、親に教育をしっかり施されていた感じですかね。

toki:そうなんですね、ありがとうございます。
そこから大学に進学されたかと思うんですけど、進学先はどういう考えで、どういった進路を選ばれたのでしょう。

滴:進学先は、東京農業大学醸造科学科というところなんですけど、醸造科学科って、日本で唯一の学科なんです。そもそもまず、なんで東京農業大学にしようかって思ったかっていうと、当時進路にすごく悩んでいて、生物がとにかく好きだったんで、生物系の何かがいいなとは思ってたんです。
で、模試を受けたときに、東京農業大学って大学をたまたま知って、なんか面白そうな大学があるなみたいな。それでネットで調べてみたら、偏差値もちょうど良さそうで。
実際にオープンキャンパスに行ってみたら、学生さんみんな真面目そうだなって印象を受けて、ここだったら私でも馴染めそうだなと思って、農大に決めました。

toki:ほうほう。

滴:で、どうして醸造科学科にしたかというと、日本で唯一っていう文字に惹かれたんです。面白そうじゃん、絶対と思って。お酒が好きだったとか調味料が好きだったとかそういうのではなく、「日本唯一」っていう文字に負けたみたいな感じでした。

toki:へえ~。生物がとにかくお好きだったというお話だでしたが、具体的にはどういった部分が好きだったんですか。

滴:やっぱり自分の体の代謝とか、仕組みについて知るのも好きだし、動物や植物の起源というか、仕組みを知るのも好きだったし、そういった自然なものに結構慣れ親しんでいたので、そういう細かい知識を吸収するのがすごく好きでしたね。

toki:実際に、醸造科学科に進学して、勉強をしてみていかがでしたか?

滴:最高の4年間を過ごせましたね。
別に授業にすごく真面目に出てたわけではなかったんですけど、友達がにすごく恵まれて。やっぱり周りの同じ学科の方々も、お酒が好きとか、食べることが好きとか、面白いことが好きみたいな人が多くて。要は自分に似てる人が多くて。友人関係に恵まれて、すごく楽しい4年間を過ごすことができましたね。

toki:特に大学生活の中で印象深い出来事ってありますか?

滴:一番嬉しかったのは、自分の誕生日が2月20日なんですけど、ちょうど卒業論文の追い込み時期なんです。そんな忙しい時にも関わらず、みんながケーキ買ってきてくれて、全力でお祝いしてくれて。人生でこんなに、家族以外の人に自分の誕生日を祝われたのは初めてだったので。本当に死ぬほど嬉しかったですね。

toki:素敵なエピソードですね。ありがとうございます。
その後、大学4年間勉強されてからは、どういった進路を選ばれたんでしょうか?

滴:本当は酒蔵とかお菓子メーカーとか、食品メーカーとかに就職したかったんですけど、あんまり就活がうまくいかなくて。
秋頃になってやばいやばいってなってる時期に、大学の企業セミナーでやってきた会社が募集をしてて。「専門性の高いことをやってます」っていう文字に惹かれたんです。そこも何かまた、言葉に惹かれてなんですけど。じゃあ私も専門性を高めたいなみたいな理由で入りましたね。

toki:なるほど。日本で唯一の学科のお話もそうでしたけど、その道を極めるみたいな部分に惹かれていらっしゃる印象を受けて。それはどうしてなんですかね、いろいろ学んで幅を広げていくって選択肢もあるじゃないですか。

滴:そうですね。ジェネラリストになってほしいって親は願ってたみたいですけど、私はどっちかっていうとスペシャリストは、専門家の方が惹かれるんですよね。
なんでかなあ。やっぱり、研究とか、その道のことはその人に聞けみたいな。そういう世界が好きなんですけど。細かい知識とか持ってる方がかっこよく見えるからみたいな。体系的な知識を持ってる人って、なんかかっこよく見えちゃうみたいな。
ジェネラリストを否定してるわけじゃないんですけど、幅広くできる人も素晴らしいんですけど、私は専門家の方が好きです。

toki:そうなんですね。
そうして、専門性に惹かれて会社に就職されて、働いてみた最初の方はいかがでしたか?

滴:だめだめでしたね。向いてなくて、最初の職場が。全然だめでちょっと体調崩しちゃったりとかして、結局異動になったんですけど。
持病の関係もあり、2個目の職場もだめで、今の職場はあの3つ目なんです。
そこは結構ウマが合うというか、自分のこだわりの強さとか、人に気を遣ったりするところがいい方向に働いてるので、そこは良かったのかなって思います。

toki:自分を活かせる職場に巡り会えたんですね。

滴:そうですね。

toki:ここまで、過去のことをざっとお伺いしてきましたが、ご自身の過去について、これは話しておきたいということがあればお聞きしたいのですが、いかがでしょうか。

滴:やっぱり、自分の興味のあることについて勉強することがすごく大事だなって。醸造科学科に進んで、それをめちゃめちゃ思って。
自分の興味あることを探すのってすごく難しいことなんですけど、やっぱりいろんなことに挑戦してみることってすごく重要だなと思います。失敗してもいいから、膨大な経験値を積んで、取捨選択していくこと。お金も時間もかかりますけど、無駄じゃないのかなって私は思います。

未来:自分の夢にもう1回挑戦してみたいなって。本当はずっと会社員として働いて一生終えるつもりだったんですけど、それはやっぱりもったいないなあって思うようになりましたね。

toki:今から何年後のことでも構わないんですけれども、
こういうことがしたいとか、こういうふうになりたいとかそういった未来に対するイメージとかって、今何かお持ちですか。

滴:いつか貯金が貯まったら会社を辞めて、一応2年後ぐらいにって思ってるんですけど。前の大学の研究室で助手のアルバイトをしつつ、バーとか、飲食店、何でもいいんですけど、できれば良いお酒を扱っているお店でお酒の勉強しつつ、ゆくゆくは研究をしながら、「花酵母」っていう酵母があるんですけど、はいその花酵母で作ったお酒を出すお店をやりたいなって。
かなり信頼できる人にしかまだ言ってないんですけどそういうことをやりたいなって思ってます。

toki:へえ〜。その将来像を思い描くようになったのはいつ頃ですか?

滴:めちゃくちゃ最近ですよ。

toki:そう思うに至った背景をお伺いしても良いでしょうか?

滴:9月の末に、あのホームカミングデーっていう、大学の卒業生たちが集まるちっちゃいパーティーみたいなのがあって。
そこに4人のパネリストの方がいらっしゃったんですけど、どの方々のお話も面白くて。Facebookで、そのうちの何人かと何人かとお友達になったんです。
そのうちの1名の方が、マルシェみたいなのをやるから、その出店者を募集しているって言ってたので、私出たいですっていうメッセージを個別に送ったら、電話をしてくださって。30、40分くらい。
そのときに、本当の自分の夢って何だろう、その夢を叶えるためにはどうしたらいいと思う? みたいな話をしてくださって。ちょっとまだ具体的に何かを実行できているわけではないんですけれども。
その方に刺激されて、自分の夢にもう1回挑戦してみたいなって。本当はずっと会社員として働いて一生終えるつもりだったんですけど、それはやっぱりもったいないなあって思うようになりましたね。

toki:そうなんですね。そこで浮かび上がった夢というのが、花酵母のお酒を出すお店、という。

滴:そうですね。本当はお酒作りたいんですけど、効率とか予算とか考えると、ちょっと難しいので。そしたら、もう既に作ってるところはいっぱいあるんで、そういったところのお酒を集めて、いつでも提供できるような状態にした方がいいのかなって思ったりしてます。

toki:どうしてその夢が、やりたいこととしてぱっと思い浮かんだんですかね。

滴:元々は大学時代の友達とこういうことがやりたいみたいなことを言ってたんですけど、その夢をずっと忘れてたんですよね。社会の荒波にもまれて、忘れ去っていたんですけど、それをホームカミングデーで出会った方々によって、思い出させられたみたいな感じですかね。

toki:ありがとうございます。
少し質問変わりますが、死ぬまでにやっておきたいこと、これをやらないと死ねないなと思うことって何かありますか?

滴:ぱっと浮かんだのはドイツのクリスマスマーケットに行くこと。スペインのサグラダファミリアに、完成したあとにいくとか。手軽に叶えるならクリスマスマーケットかなって勝手に思ってるんですけど。
そう、私クリスマスが大好きで。クリスマスの特別な雰囲気が好きで。寒いのに、温かい気持ちになれるあの空気感が大好きで、本場の空気感を体験してみたいなって思いますね。

toki:なるほど。ありがとうございます。
今、具体的にやりたいことについてお聞きしましたが、自分の内面について、こういう人でありたいとか、こういう人になりたいとか、そういったイメージってなにかお持ちですか

滴:私の好きなアーティストさんの曲に「正攻法」って曲があるんですけど、その歌詞の中に「まっすぐでいい まっすぐがいい」っていう歌詞があって。その歌詞を聞いた時に本当に、めちゃめちゃ感銘を受けて。私も素直でいいんだ、みたいな。人を傷つけることをしないとか、間違ったことをしないっていうのは大事ですけど、でもやっぱり、自分らしく振舞うっていうか、自分らしさを忘れないというか、自分のありのままでいるっていうのは大事にしたいなって。

toki:はい。

滴:そうだ、ちょっと話が戻っちゃうんですけど、周りの人にどんな人かって言われるか、すごく「まっすぐな人だね」みたいに言われるんで、その純粋さは忘れたくないなと思います。

toki:ありがとうございます。
滴さんは、何度かお話しされているように、相手がどうしたら喜んでくれるかとか、人の気持ちを考えることをすごく大切にされていると思うのですが、そもそも滴さんがそこまで相手の気持ちを考えようと思える理由といいますか、根源って何なのでしょう。

滴:他人へのリスペクトを欠かさない、というのは親が言った言葉なんですけど。特にちっちゃい頃から言われていたとかでもなく、わりと大人になってから言われたんですけれど。
私もわりと弱い立場の方のものなので、いろんな人がいますけど世の中。できるだけ相手に寄り添ってあげたいというか、尊重してあげたいというか。
相手に貢献できるんだったら私がいくらすり減ってもいい、はちょっと言い過ぎですけど、そういうところはちょっとあるのかなって思います。

toki:人のことを考え過ぎて、苦しいとか辛いとか、そういったマイナスの感情が起こることはないですか?

滴:よくありますけど、特に自分にとって、これは嫌だったなとか、これは変な気持ちになるなっていうことがフラッシュバックすることが最近あって、それで今すごく悩んでるんですけど、誰にも話せないし。
でもそれはそれでもう自然現象なんだからしょうがないかなと、もう開き直って逆にそれを楽しむぐらいの気持ちでいるというか。まあ、悩むこともいっぱいありますけど、それは自然現象なんだからしょうがないなって思うようにしてます。

toki:最近になってそう思えるようになったんですか。

滴:前はやっぱり、弱い自分が受け入れられないとか、ああいう言動した自分が許せないみたいなことはよくあったんですけど、そのとき考えた自分の自己責任の上での行動なんだから、もうしょうがなくない? って思うようになったというか。
全部責任を感じながら行動しているというか、後悔するような選択をしないように基本的には生きてるので、もちろん後悔することもありますけど、うん。なんか、そんな感じですね。

toki:そうなんですね。わかりました。
このインタビューの中で、「楽しい」って言葉が何度か出てきたかなと思うのですが、「いかに楽しいか」っていう視点で人生を捉えた時に、今の人生の満足度ってどれくらいになりますか。最大を100だとすると。

滴:今ぱっと思ったのは85ぐらい。残りの15って何なんって話なんですけど、やっぱり大学生になってからはすごい楽しかったですけど、それまではあんまりぱっとしてなかったので。
でもそういう期間も必要なのかなって。100とは言えないけど、15も別にないがしろにすることはないというか。そういう15の部分も見つめながら、大事にしていきたい、尊重しないとなとは思いますね。

toki:どうなったらより100に近づきそうですかね。

滴:もっと世の中の仕組みを知るというか、もっと賢く生きなきゃなとは思ってて。今自分はちょっといろんなことに悩んでて。
今は、すごく楽しい代わりにお金がないってことにすごく悩んでて。お金を貯めるなり、バランスを取るってことに気をつけるなり、節制に気をつけたり、それに必要な具体的なスキルとかも身につけていかないとなって思ってて。
それ以外にも知るべきことはいっぱいあるんだろうなとは思うんですけど。そうですね、バランス感覚を身につけていきたいなと思いますね。

toki:なるほど。わかりました。
毎回、インタビューでは皆さんに「もしもの未来」についてお聞きしているんですけど。滴さんには2つのもしもの未来についてお伺いしたくて。

滴:はい。

toki:まず、もしも「日本で唯一」に惹かれて進学した醸造科学科が、全く自分に合っていない、興味が持てないという状況になっていたとしたら、その後の人生ってどういったものになったと思いますか?

滴:想像できないですけど……そういうのを経験したことないんで。学生のときずっとバイトが楽しくて、塾講師とか科学実験教室のアシスタントとかやってたんですけど。バイトを頑張ってたので、もし学科が合ってなかったらもっとバイトに明け暮れてるか、もしくはバイトで正社員になるみたいな道を選んでたかもしれないかなあ。教育の道に進んでいたかもしれないですね。

toki:ほうほう。ちなみに滴さんの、物事の選択の仕方として、「これが好きだ」と決め打ちして飛び込むか、好きかどうかははっきりわからないけど、やってみたら好きだったとなるか、どちらの方が近いですか?

滴:圧倒的に前者ですね。なんでかっていうと、私は興味があることないことが極端なんです。興味があることはまっしぐらだけど、興味がないことはとことん興味ないっていうタイプなんで。興味がないことや苦手なことをやってみようとは全然ならないタイプなんで。もう諦めるみたいな。そこもあまりよくないのかもしれないですけど。
興味があるから頑張れる、好きだから頑張れるみたいなところは、今まであったと思います。

toki:選んでみて、「やっぱり違った」ってなったことって、今までありませんでしたか?

滴:今ぱっと思ったのは英語とか。興味が持てなくて大学生のときはそれで大変でした。
ただ、英語の中でも興味のあるディズニー映画を見てみるとか、英語のディズニーの歌をいっぱい歌ってみるとか。広く見たらその分野にはもしかしたら興味がないかもしれないけど、その分野の中でも興味があることを頑張って探すみたいな、そういう工夫、努力はしてます。

toki:ああ、なるほど。楽しむ工夫をされているんですね。ありがとうございます。
では、二つ目のもしもの未来についてお伺いしたいんですけれども、もしも中学3年生のときの修学旅行で、タクシーの運転手さんに出会っていなかったとしたら、その後の人生ってどんなものになっていそうですか。

滴:そんなにめちゃめちゃは変わらないとは思いますけど、人間のあり方としては多分変わらないと思うので。
でもやっぱり、タクシードライバーさんに出会ってなくても、どこかでは出会いそうな言葉というか。相手のことを考えるって割と普遍的なことだと思うので。
でもどうかなあ、今まであんま聞いたことないかも。そのタクシードライバーさんの口以外からそういう話を。意識してないだけなのかもしれないけど、記憶にはないんで。
もっと自己中になってた、とかそういうのではないけれども、もうちょっといい意味でも悪い意味でも、自分勝手な状態で過ごしてたというか。ここまで細かい気配りみたいなのは、意識して生活できてなかったというか。スキルとして伸ばしていこうと思ってなかったのかもしれないというか。それを自分の得意なことだなって認識する機会を逃してたかもしれないなって思いますね。

toki:ありがとうございます。
そろそろ1時間経ってしまうんですけれども、インタビューの最後に、振り返ってみての感想、ひとりごと、思うところなど、なんでも構いません。何か言い残したことはありませんか。

滴:よくインタビューが自己分析になった、みたいなことが書かれている気がするんですけど、はい自己分析というよりかは、改めて対話していただいたことによって、自分が大事にしている信念を、自分でも認識できたというか、大事なことが思い出せたというか。色々ありましたけど、すごく楽しかったです。ありがとうございます。

toki:ありがとうございます、何かお役に立てていたならよかったです。
では、これでインタビューは終わりになりますが、よろしいでしょうか。

滴:はい。大丈夫です。

toki:では、1時間ありがとうございました!

滴:ありがとうございました!

あとがき

滴さんは、人からもらった言葉や受け取った気持ちに対する感度がとても高い方だなと私は感じました。
タクシーの運転手さんや、ホームカミングデーで出会った方のお話を聞き、人から自分に向けられた言葉を正面から両手で受け取り、自身の糧にしていくような、そんな心の柔らかさ、人に対する丁寧な姿勢があるなと思ったのです。

滴さんご自身が、相手のことを考え、どんな贈り物をしようか思案することを大切にしていらっしゃるからこそ、自分に贈られたものにはとても敏感で、一つ一つに敬意を持とうとしていらっしゃるのだろうな、と勝手に想像していました。

最近人に与えたプレゼントを聞いた際、真っ先に、逆に自分がもらったものについてお話されていたのも、とても人柄があらわれているなあと思います。
「まっすぐなひと」と言われる所以を垣間見ることができました。

滴さんの夢が叶う日が来ることを、心より願っています。
楽しみにあふれた、温かく優しい道のりがこれからも続いていきますように。
この度は、ご参加いただきありがとうございました!

最後までお読みいただいた方、いつもありがとうございます。
次回の無名人インタビューも、どうぞお楽しみに。

【インタビュー・編集・あとがき:toki】

#無名人インタビュー #インタビュー #自己紹介 #会社員 #クリエイター #絵画

マガジンで過去インタビューも読めますよ!

インタビュー参加募集!

この記事が参加している募集

いただいたサポートは無名人インタビューの活動に使用します!!