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あなたは、誰に、どうなってほしいか? #8

こんにちは、アンノーンブックス編集部です。

これまでお伝えしてきた、レゲエ・ユニット「MEGARYU」のボーカリスト、RYUREXさんによる初著書のタイトルは『何度だって生き直せ』

7月30日の発売を前に、6月23日からクラウドファンディングもいよいよスタートした。

こちらを読んでいただければ、なぜRYUさんが今、本を出版しようと思ったのか、なぜクラウドファンディングをやろうと思ったのか、その理由が理解できると思う。ぜひ、目を通していただきたい。

ちなみにこのクラウドファンディング「netsuryo」は、僕らアンノーンブックスによるサービス。

出版業界でいえば、ベストセラーが生まれる要素にはいくつかの共有項があるのだが、その最たるものが「著者の熱量」だと僕らは考えている。

出版業界に限った話ではない気もする。熱量の高い人間は、とにかくアクションを起こす。考えるよりも先に動く。

厳密には、考えていないというより、すでに自分の基準があるため、それに沿って反射的に動いているのだ。今回のRYUさんもその一人だ。

だから僕らアンノーンブックスは、そんな熱量の高い人間を、僕らにしかできないやり方で応援できないかと考え、「netsuryo」を立ち上げた。今後も注目しておいてほしい。

さて、少し前置きが長くなってしまったが、今回はいつも僕ら編集者が悩みに悩み抜いて決めることになる「本のタイトルまわり(表紙や帯)」について、お伝えしていく。

*  *  *

僕たちが、書店やwebで本と出会った時、「この本、読んでみたいな」「これは自分に必要のない本だな」などと判断するのにかかる時間は1秒もかからないという。

ということは、わずか1秒で読者の手にとってもらえるような本づくりが必須、ということになる。

そのためには、本の顔となるタイトルまわり(表紙)がとても重要だ。帯なども含めた表紙まわりのコピーで読者の心をつかむことができなければ、その本に書かれている内容がどれほど素晴らしくても読んではもらえないからだ。

タイトルを決める時、僕らが大切にしていることがある。それは「何の本なのか?」ということをしっかり伝える、ということだ。

それはつまり、最低限次の3つを意識することでもある。

1.  誰が
2.  誰に
3.  どうなってほしいか?

1.  誰が

これは著者にあたる。今回の本ならRYUさんだけれど、「RYUREX」という人物が、これまでにどんなことをしてきて、何ができて、どんなことを説得力を持って読者に伝えられる人物なのか、を伝える。

この「誰が」を明確にするということは、著者のことを知らない読者に対しても「この本を読んで得られること」を瞬時に理解してもらうためでもある。

そして、タイトルまわりには、著者のキャラクターを表現することも効果的だ。今回の本に関しては、人間好きで、どんなことにも熱量高くぶつかっていくRYUさんが、本の前に立っている人に向けて語りかけてくるようなタイトルがふさわしいのではないか、と僕らは考えた。

2.  誰に

これはもちろん読者ということになるのだが、問題はその中身だ。出版業界ではこれをターゲットというのだが、近年はペルソナでなければ成果につながりにくくなっているように思う。

ターゲット=年齢や性別、居住エリアといった属性でマーケティング対象をくくった実在する集団。
ペルソナ=職業や家族構成、趣味嗜好など特定の人物像を設定したもの。実在しなくてもよい。

本書は、いわゆるターゲットということになるのだが、ターゲットというのは一般的に2020年から拡大しはじめた新型コロナウイルスだが、以降、その影響を受けていない人は今の日本にはほぼいないはず。

そうやって、これまでの働き方を変えざるを得なくなったすべての人たちに読んでほしい本になっている。

3.  どうなってほしいか?

「どうなってほしいか?」は、今回そのまま『何度だって生き直せ』というタイトルになっている。

イギリスの自然科学者で進化論を唱えたダーウィンは、「もっとも強い者が生き残るのではなく、もっとも賢い者が生き延びるものでもない。唯一、生き残ることができるのは、変化できる者である」という言葉を遺したと言われている。

激動の時代を自分らしく生き残っていくために必要なのは、“変化できる者”になるスキルだ。そして、それこそが「生き直す力」であることを伝えたい。

この本を読めば、どんな時代が来ようとも対応できる生き直す力を身につけることができるようになる。

もうひとつ付け加えるなら、あなたが本を出版したいと思った時、上記を自分ごとに置き換えたらいい。

あなたは、誰に、どうなってほしいか?



……文章で説明すると、スムーズかつロジカルにタイトルが決まったように思えるかもしれない。ところが実際は、何週間もかけてひとつのタイトルに絞り込むという作業を行っている。

ちなみに、アンノーンブックス代表の安達は、「タイトルを決めるのは数。数の稽古を積むしかない」という。

どんな本であっても、まずはタイトル候補を100本、ひねり出す。そこから数週間で20本を選び、20のタイトルをそれぞれ紙に書いて壁に貼り、最後の数本までふるいにかけていく。「誰が、誰に、どうなってほしいか」をつねに問いかけながら。

結局、本のタイトルには正解、不正解がない。だからこそ、読者の心に一瞬で深く刺さり、意味のあるものを選んでいく。これが僕らの、本のタイトルへの向き合い方だ。

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