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激辛料理の激辛を〇〇〇〇でかき消そうとした六花ちゃん【ネタ】

はじめに

どうも、無名博士の墓です。

今回は小春六花誕生祭2023に便乗して投稿した動画になります。

最初に言っておきますが、今回のは完全なネタ動画です。観ていただければ察していただけるかと思いますが何もかもがガバガバなので、結果も全く信用できるような代物ではありません。わざわざ言う程のことでも無い気がしますが、鵜呑みにしないようくれぐれもよろしくお願いします。ほぼフィクションだと思っておいてください。

さて、今回の動画は小春立花誕生祭2023にあたり、私も何か作りたいなと思っていた矢先に、カプサイシンとTRPV1に関する文献を見かけて「メントールとの同時摂取で辛さが相殺されるのではと考えた立花ちゃんがそれを実際に試して悶絶するというストーリーで動画作ったら面白いのでは・・・・・・!」と閃いたのが切っ掛けでした。

原理

唐辛子の辛味は正確には味覚ではなく、痛覚の一種です。
辛味の原因はカプサイシンと呼ばれる成分です。このカプサイシンが口の中でTRPV1と呼ばれるタンパク質(受容体)を活性化させます。そしてこのTRPV1というのは、熱やそれに伴う痛み(ヤケドのような感覚)を感知する機能を持っているのです。そんなものがカプサイシンで活性化されるわけですから、灼けるような痛みが口いっぱいに広がる訳ですね。これが辛さの正体です。疑似的に灼けるような熱を感じているわけですので英語で辛いことをHOTというのはあながち間違いではないのです。因みにこのTRPV1の発見は2021年のノーベル生理学・医学賞の業績にもなっています。

図:カプサイシンの構造式

さて、カプサイシンが疑似的に熱さを感じさせる一方で、疑似的に冷たさを感じさせる物質があります。そう、ミントに含まれるスーッとする成分、メントールです。メントールはTRPM8という受容体を活性化させることであのスーッとした感覚が得られる訳ですね。

図:l-メントールの構造式

この説明を聞いてわかる通り、カプサイシンとメントールは関与する受容体がそれぞれ異なっています。つまりカプサイシンとメントールを同時に摂取すれば、両方の受容体が活性化されて灼けるような痛みと凍てつくような痛みのダブルの痛みが発生して口の中により強烈な激痛が走るのではないかと考えられたのです。
つまり、「疑似的な熱に疑似的な冷涼感をぶつけて辛さ(=灼熱感)を相殺させられるのでは」と確信した六花ちゃんがハッカ油と唐辛子を同時に食べて、灼けるような痛みと凍てつくような痛みダブルパンチを食らう羽目になり悲鳴(exVOICE)を上げて悶絶するというオチにする予定だったのです。

意外な結果

ところが、実際に市販の一味唐辛子にハッカ油をかけて口の中に含んでみたところ、拍子抜けするほど辛さを感じなかったんですよね。再度試しても同じような結果でした。もしかして本当に相殺されてる・・・・・・?
とはいえ、N=1での結果なので信ぴょう性なんて全くありません(しかもカプサイシンによる活性化は何度も続くとTRPV1が脱感作するらしいので私一人で試した場合は再現性もアテにできない)。単に私の体質の問題でそういう結果になったのかもしれませんからね。

図:実際にハッカ油とトウガラシを同時に食べるとどうなるか試している様子

そこで、カプサイシンやメントールに関する文献を更に漁ってみたところ、何と本当にメントールがTRPV1の活性化を阻害する事を示唆した論文が出てきました

https://link.springer.com/article/10.1007/s12576-015-0427-y


それによれば、メントールは鎮痛作用を有することが歴史的に知られていたようで、今回の実験でカプサイシンの受容体であるTRPV1の阻害が確認されたとのことでした。しかもカプサイシンはメントールの受容体であるTRPM8を阻害するようです。まさに相殺。
・・・・・・これじゃあ六花ちゃんを悶絶させられないではないか!!


というわけで、急遽キャロライナ・リーパー(世界一辛い唐辛子)入りの激辛調味料をAmazonで購入したわけですね。これなら本当に多少辛さが阻害されたとしてもスコヴィル値がクソ高い唐辛子でゴリ押せば少なくとも話の整合性は取れてヤラセではなくなる筈ですからね(ネタ動画の辻褄合わせにそこまでする必要があるかはさておき・・・・・・)。

図:今回用意した激辛調味料。直接食べると辛いというより痛い。

そんなこんなで動画の構成を当初と変更し、「メントールを摂取するとカプサイシンの受容体であるTRPV1の活性が阻害される事を知った六花ちゃんが、『じゃあメントールをキメれば激辛料理を平気で食べられるようになるのだな!』と思い至り、普通の一味唐辛子とハッカ油で試してみたところ確かに辛さが弱まった気がしたので調子に乗って次にキャロライナ・リーパー入り激辛調味料で同じ事をやったところ案の定辛さが勝って悶絶」とう流れにしました。

図:激辛スパイスの中身はこんな感じ。トウガラシ以外にも岩塩などいろいろ入っています。
図:激辛調味料にハッカ油を垂らす様子。

ただし、自分で試してみた感想なのですが、キャロライナ・リーパー入り調味料の方も、ハッカ油と一緒に摂取すると格段に辛味が弱まったような気がしてなりませんでした。やっぱり本当に相殺されている?
正直被験者何人か用意して有意差が出るか判定してみたい所ですが、倫理的な問題がありますし、統計的に有意な結果が出せたら多分動画より先に論文を投稿することになるでしょうね。普通に研究課題として。

上述の通り、かなり辛さが弱まったように思えたとはいえ、それなりに辛さは残っていたように感じましたので、「まあ辛いの苦手な人だとこれでも十分辛すぎるレベルだろう」というのと、「そもそもこんな実験をしてる時点で六花ちゃんは辛いのダメっぽさそうだよね。公式設定とかに言及無いけど」という大変都合のよろしい解釈により、最終的に六花ちゃんには悶絶してもらうことにしました。あと「いい加減な実験モドキで出た結果を根拠に安易に『辛くなくなったよ!!』と流布するのはあまりよろしくないけど、もしこの結果が本当に正しかったら『私が最初に発見したんだ!!』と言い張れるようにしておきたい」という臆病な自尊心と尊大な羞恥心によるカスみたいな自己顕示欲も理由としては小さくないですね。

余談

因みにエタノールはTRPV1の活性を増強することが知られているそうです。そのため、悶絶している六花ちゃんに対して別のキャラクター(フリモメンを想定)が「カプサイシンはエタノールに溶けやすいから度数の高いお酒を飲ませて口内のカプサイシンを溶出させれば即座に辛味が止まるのでは・・・・・・?」という思い付きで六花ちゃんに焼酎か何かを飲ませたところTRPV1が更に活性化されて六花ちゃんを更なる地獄に叩き落とすという二段構えのオチも考えたのですが、そもそも未成年という設定のキャラクターに酒飲ますのはまずいだろということで没にしました。あとさすがに可哀想すぎますしね。

それとハッカ油とトウガラシを同時摂取すると口の中はメントールでスースーするのに顔中から汗がダラダラ出るという脳がバグりそうな怪現象が発生して面白かったですよ。もしハッカ油が本当に辛味(TRPV1)を阻害していて、それでもなお汗が出ているのであれば、カプサイシンによる発汗はTRPV1とは別の受容体が関与している可能性がありそうですよね。果たしてその辺りの先行研究はあるのでしょうかね?

最後に

以上が言い訳になります。
今回はネタ動画とはいえ些か牽強付会な内容になってしまい、果たして公開してしまって良いかどうかは結構悩みました。最終的には「ガーゼにしみこませたクロロホルムで気絶させるというサスペンスの手口が許されるならこれもまあ許容範囲でしょうwww」と考えるに至り、あくまでもガバガバなネタ動画(フィクション)であることをなるだけ強調した形で公開に踏み切りました。問題ありと判断されたら非公開にする予定です。
それにしても、我ながら生誕記念作品とは思えない酷さの動画ですな・・・・・・。来年はもっとお祝い動画感ある動画を作りたいですね。
最後になりますが小春六花ちゃんの生誕記念を心よりお祝い申し上げます。

参考文献

Masayuki Takaishi, Kunitoshi Uchida, Yoshiro Suzuki, Hiroshi Matsui, Tadashi Shimada, Fumitaka Fujita & Makoto Tominaga, Reciprocal effects of capsaicin and menthol on thermosensation through regulated activities of TRPV1 and TRPM8, J. Physiol. Sci., 66, 143–155 (2016)

TRPV1 (Wikipedia), https://ja.wikipedia.org/wiki/TRPV1, 2023/5/17閲覧

カプサイシンに関する詳細情報, 農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/capsaicin/syousai/ , 2023/5/18閲覧

新村 芳人, 進化のじかん(45)五感の遺伝子をめぐる冒険 温度編(1)
 ー「辛い」は「熱い」ー, 現代化学, 626, 17-19 (2023)

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