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大学授業一歩前(第25講)

皆さんこんにちは!!ついに第25講にきました。私自身の目標である50講がまで折り返し地点。多くの先生方や先輩、実業家の方にお力をお借りしました。皆さまこの企画に御賛同して頂き、本当にありがとうございます。引き続き「大学授業一歩前」をよろしくお願いします。そして今回は高校で国語を教えてらっしゃる八神夕歌先生に書いて頂きました。お忙しい中ありがとうございました。それでは第25講です!!

プロフィール

Q:プロフィールを教えてください。

A:現在、大阪の高等学校で国語の授業を担当しながら、母校の大学で国語科教育論の授業を受け持っています。専門は『源氏物語』を中心とした王朝物語で、「物語はどのように終わるのか」ということを、場面論(これは時枝誠記が『国語原論』で示した「場面」という概念をもとに、物語の「語り」の構造を言葉から分析してゆく方法です)を軸に読み解くことを、国語の授業の中でも目指しています。

オススメの過ごし方

Q:オススメの過ごし方を教えてください。

A:とにかく言えることは「本を読め、論文を読め、図書館にこもれ」ということです。大学の価値は碩学の知に触れられるということももちろんありますが、それより何より「大量の資料が転がるように揃っている」ことです。大学での読書量はそれからの人生の質を大きく左右します。ゆっくり本を読めるのは大学生までですから、とにかく何でも(特に論文を)読むことです。

必須の能力

Q:大学生に必須の能力をどのようなものだと考えますか。

A:「何が問題なのかを自分で具体化して思考する能力」です。高校まで漫然と過ごし、自分の入れる大学の入れる学部に入学した学生さんも少なくないとは思いますし、私はそれ自体を否定するつもりは一切ありませんが(人生18年でそんなことを具体化できるのはごく一握りの人間です)、しかし、与えられた場で、自分の生きる道を探るためには、まず「問題」を見つけなければなりません。その思考を繰り返すことが成長につながります。

学ぶ意義

Q:先生にとっての学ぶ意義を教えてください。

A:「生きる」ことを後世に承継する、そのためには誰かがどこかで常に「学ぶ」必要があります。学び無き未来はただの本能に支配された世界であり、それは文明の名を冠しないものとなります。しかし、私たちは今ここにこうして「生きて」いて、たとえ自分が死んだとしても、自分たちの未来があることを疑わない(いや、疑ってもいいのですが、疑ってしまったらそこで文明は終わるのです)。学ぶという営為は、生命の同義語なのです。

オススメの一冊

Q:オススメの一冊を教えてください。

A: 辞書です。生徒や学生に私はよく言うのですが、「辞書は引くものではなく読むもの」です。辞書というものそのものが文明の英知の結晶であり、そこに記された言葉とその意味がこの世界を構築しています。当たり前のように知っている言葉でも、辞書を引いてみると面白い発見があります(たとえば「虫」という言葉の意味なんて、いろいろ考えさせられるものがあります)。言葉の根本に立ち返る、これが今の私たちに必要なことです。

メッセージ

Q:学生へのメッセージをお願いします。

A: 自分のやりたいことが分からない、なんで勉強するのか分からない、ということを考えることも多々あると思いますが、その問いそのものがすでに「学び」の入り口にあるものです。誰も人生がどうなるかなんて分からないのですから、何でもいいから学ぶのです。そうして、世界をどれだけ知って死んでゆけるか、これがその人の人生の決算表になると私は思っています。だから、たくさん学んでください。意味は後から必ずついてきます。

おわりに

今回は八神夕歌先生にご協力を頂きました。お忙しい中ありがとうございました。

オススメの一冊は「辞書」ということで、私も早速読み始めようかな。辞書を作るために失明までした方がいらっしゃるという話を聞いたことがありますが、やはり辞書は学問の結晶です。先人の肩を借りて、より高いところから学問を俯瞰するのもとても楽しいと思います。次回もお楽しみに!!

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