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2023大学ラグビー番外編:U20日本代表対U20ウエールズ代表の試合を勝手に数値化して見てみた

みなさんこんにちは
悔しい敗戦から一夜明け、レビューを書いている今本です

今日は6/29に行われたU20日本代表対U20ウェールズ代表の試合についてレビューしていきたいと思います
悔しかったですね

メンバー表から見ていきましょう

交代に関しては秋のシーズンが開幕したら埋めていきます
また、ウェールズ代表の4番にイエローカード、日本代表の12番にレッドカードが出ています

次にスタッツです

渋いと言えば渋いスタッツですね
順番に見ていきましょう

ウェールズのアタック・ディフェンス

ウェールズのアタックシステム

素晴らしいくらいにボックスキックでの競り合い、もしくは蹴り合いに持ち込もうとしてましたね
9番のHughes選手が清々しいくらいに蹴っていたので感動しました
強い雨天もありそのような判断に至ったと思うのですが、精度も比較的高くウェールズの選手が再獲得したり日本の選手がミスをしたりとウェールズにとって良い方向に転がっていたので、判断としてはよかったと思います

システムについても見ていこうかと思うのですが、如何せん10シェイプを構築している回数が極めて少なく判断が少し難しかったです
1−3−2−2チックな構成をしているのかと思うのですが、断定はできません
根本的にフェイズを重ねてとるタイプのアタックをしているシチュエーションも少なかったので、他の試合も見ていく必要がありそうです

ウェールズのキャリー

基本的に9シェイプで組み立て得ていたので、キャリーのうち約1/3が9シェイプに立ったFWによるものとなっています
雨でパスが乱れるのを嫌ったんですかね

キャリーそのものの強さはフランスほどは感じませんでしたね
良くも悪くもウェールズらしいキャリーだったというか、特にタイトファイブ(PRとLO)の選手に関しては頭を少し下げて相手との接触面を減らすようなキャリーをしていたのが印象的です
リーグワンだとGR東葛のジェイク・ボール選手や横浜Eのコリー・ヒル選手がウェールズ代表のLOなのでその傾向が強いですね

9シェイプに関しては走り込んで勢いをつけてのキャリーというよりかは、受けて・走るといった形だったので上記の通りそこまで脅威にはなりませんでした

Other Carryも多くはなっていましたが、ファンブルしたボールのキャリー(カテゴライズしていないキャリー)などが多かったりしたので今回のような数値になっていたと思います

ウェールズのパス

後半にかけてBKライン上でのパス回しは増えていましたが、前半だけを見るとBKラインが絡むアタックとなっていたのは1, 2回と極めて少ない回数となっていました

パスの回数を見ると、そこまでカテゴライズを細かくしていないこともあり、Other Passが最も多くなりました
実際システマチックにパスをしている様子もそこまでなく、後半になってようやくアタックに勢いをつけるようなパス回しが見られたという形でしょうか

オフロードもそこまで多いわけではなく、一応カウント上は前後半合わせて4回とフランスに比べるとはるかに少ない数値となっていますね
26回のフランスが多すぎるような気もしますが
コンタクトと関連づけて考えると、頭を下げたりスクエアにコンタクトしたりと、あまりその後の繋ぎを意識したようなキャリーが少なかったのが印象的でした

ウェールズのキック

ツッコミたくなるくらいBoxが多かったですね
SHから蹴ればオフサイドに立つ選手が少なくて済むので、プレッシャーをかけるという意味では効率的ですが、多すぎて逆にパターンが読めるという良し悪しのありそうな戦略でした
32回中16回とちょうど半分がBoxだったのでその多さが際立ちますね

キックの精度自体は先述したようにとてもよかったと思います
少しだけ短めに見えることも多かったですが、外に出す・競り合うという場合分けにおいてちょうどいいキックを蹴っていることが多かったように見受けられました
とはいえ多かったですけどね

ウェールズのディフェンス

ほとんど崩されていなかったので、結果としては高評価といったところでしょうか
FWの選手同士のバトルというところでは強いタックルを示し、BKの選手も(おそらく回数は少なかったですが)いいタックルを見せていました

ミスタックルもBump-Offされたというよりも足元の悪さでスリップしたようなものだったので、回数自体が少なかったことも考慮すると、気にするほどではないかと思います

ただ、タックルの姿勢が少し高めだったのが気になる点であり、各選手がどのカテゴリーでプレーしているかは調べ切ることができていないのでなんとも言えないのですが、カテゴリーによっては反則としてカウントされそうなものもあったので(実際現行のルールに沿ってイエローを取られていました)、注意が必要かもしれません

日本のアタック・ディフェンス

日本のアタックシステム

傾向としてはパスを細かく繋いで比較的外を使ってゲインを図っていくような印象を受けました
雨天なのでうまくハマっていなかったことも多くありましたが、意図としては個人的にはそのような見解を持っています

システム単体を見ると1−3−3−1的なシステムを基本に表裏やキックパスなどボールの繋ぎ方にバリエーションを持たせたアタックをしていたように思います
それがスリッピーな環境にうまく適応していなかったワケですね

あと気になった点としては相手のハンドリングエラーやターンオーバー後に少し焦りすぎな気もしました
基本的な方針としてターンオーバーしたら外に運ぶ、もしくは裏に蹴るというのがどのチームでも一般的かと思うのですが、今回のようなスリッピーな環境下ではもう少し落ち着かせて次のアタックシステムに繋げて行ってもいいのかな、とは思いました

日本のキャリー

回数だけを見ると9シェイプが少し突出していますが、バランスは良いかなと思います
雨天の割にエッジまで運んでキャリーをしていたりもするので、その辺りに強めの意図を感じました

キャリーの強さに関してはまだまだ世界との差はある様に見受けられます
言い方は少し悪くなってしまうのですが、U20のカテゴリーでは上の下くらいに位置するウェールズの様な国を相手に対等なキャリーでは、より強さのある強豪国相手にはなかなか厳しい試合展開になっていくのかと思います
あまり比較する試合がないので難しいのですが、フランス戦ではそれはもう壮絶な展開でしたからね

姿勢に関しても頭を下げるヘッドダウンでのコンタクトが少し多めな印象を受け、危険性が高い様に感じています
実際接触面積も狭く勢いをつけることができるとともに体重を乗せることもできることから海外でも好まれるキャリースタイル(ブランビーズのヴァレティニ選手とかが顕著な例ですね)ではあるのですが、頭頸部がコンタクトの最前線になることから、危険性は極めて高いように思います
みなさんは真似しない様にしましょうね、というやつです

日本のパス

良くも悪くもOther Passが多かったですね
バリエーションが豊かということもできますが、映像と照らし合わせて数値を見ていくと意図的にOtherになる様なパスをしているちうよりも偶発的に・仕方なくOtherになる様なパスをしてしまったというシチュエーションの方が多かった様に思います

今回はSHが高橋選手、SOが楢本選手と筑波大コンビでHB団を組んでいたのですが、うまくいかない場面も多かったとはいえパスワークはうまくコントロールできていた様な気もします
2人ともパス距離やバリエーションに幅があるのでアタックにも幅が出ていましたし、必要なところで必要なパスをしていた様な印象です
茗溪魂ですね

日本のキック

少しだけコメントを載せるとすると、楢本選手のキックのバリエーションが多かったのはとてもよかったと思います
茗溪魂ですね(2回目)

ただ、シチュエーションにおけるオプションの中で最適解を選ぶことができていたかというと少し微妙な場面もあったので、これからより判断を洗練させていくことでキック自体の質も判断の質も向上させていくことができると思います
キッキングのプレースタイル的には花園Lのクーパー選手に近いひらめき・インスピレーションを感じるので、その判断がより精度の高いものになっていくのを注目していきたいと思います
茗溪魂ですね(3回目)

チーム全体で見ると、押し込まれていたシチュエーションも多かったので結果としてはLongが多いという状態にはなっていたと思います
ポゼッション的には互角か少し押されていた程度だと思いますが、テリトリーに関してはかなり押し込まれていた様にも感じるので

日本のブレイクダウン

基本的にはオーバーの選手が2人以内で完結させることができていたのでよかったと思います
ラック自体が少なかったというのもありますけどね

とはいえ、姿勢を見るとラックを安定させているというよりかはなんとか耐えている、またはほぼ倒れ込んでいて次の動きへの反応が遅いといった場面もあり、完璧とまでは言えなかったのではないかと感じました
フォローの選手のタイミング自体は極端に遅いというほどでもなかったと思うので、あとはその時の姿勢ですね

日本のセットピース

今回の試合を語る上でここは外せないですね
スクラムが強かった!感動した!という感想です

小学生みたいな感想ですが、外国のチーム相手にここまで日本のスクラムが押し込むのは久しぶりに見た様な気がします
強すぎて逆に相手ボールになるというお茶目な場面もありましたが、ある種の強みを見せた場面でした

ただ、ラインアウトは後半の2本のノットストレートがもったいなかったですね
敵陣深くに入って、かつ手応えのあったであろうモールのチャンスだったので惜しいことをしました

まとめ

重ね重ね悔しい結果でした
後半のラスト10分でトライを立て続けに取られたというのが何よりも悔しいです
そこまではほぼ互角に戦うことができていたので、なおさら

そう入っても人数的不利の中そこまで失点を抑えることができたのは素晴らしいことであると思います
この感覚を次のニュージーランド戦に活かす姿を見てみたいですね

今回は長くなりすぎましたがこのあたりでそれではまた!

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