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2023大学ラグビー番外編:U20日本代表対U20イタリア代表の試合を勝手に数値化して見てみた
みなさんこんにちは
第三者ながら昨日の敗戦を噛み締めている今本です
今回は7/14に行われたU20日本代表対U20イタリア代表の試合についてレビューしていきたいと思います
重ね重ね悔しかったですね
詳細は後述しますが、身体能力に関しては極端な差はなかったように思えるぶん、悔しさが増します
それではまずメンバー表を見ましょう
![](https://assets.st-note.com/img/1689379776778-XWm1yasDTn.png?width=1200)
今回は分析講座を書く過程で過去の試合もメンバー表をチェックしたので、それもまとめてみました
![](https://assets.st-note.com/img/1689379994493-0JG8hmjkKJ.png?width=1200)
最も赤いものからピンクにかけてスターティングメンバー5回〜3回と色付けしています
リザーブに入っている回数は割愛していますが、こう見るとスタメンは適宜入れ替えながら、主力になる選手数名が5試合出場とうまくコントロールしていることが見て取れますね
次にスタッツです
![](https://assets.st-note.com/img/1689380315218-xmJTa1OFha.png?width=1200)
差は感じませんでしたが、実際スタッツを見てみるとチラホラと影響が出てきていそうなところがありますね
順番に見ていきましょう
イタリアのアタック・ディフェンス
イタリアのアタックシステム
9シェイプに3人いたところまでは把握することができているのですが、10シェイプには2人いるかどうかという感じの印象までしか捉えることができなかったです
基本的には9シェイプを起点にして前に出て、SHの攻撃的なムーブからの外展開や効果的なサイドチェンジなどを絡めてバランスの良いアタックをすることができていると思います
SHのCasilio選手はサイドチェンジやブラインドサイドへのアタックなどの判断がよく、少しプレッシャーを受けることもありましたが非常に良い選手であるように感じました
キックのチョイスとしては比較的バランスが良いということができ、主にBoxを用いて競り合いの土俵に持ち込むことが多かったのかなと思います
ただ精度が少し難があったのか少し伸び気味な雰囲気もありましたね
イタリアのキャリー
バックローの選手が特に強烈なキャリアーでしたね
7番のOdiase選手、8番のBotturi選手選手がランナーでもあったので、身体能力を発揮していました
キャリーの数を見てみると、前半は9シェイプを中心に組み立て、後半はバランスよくキャリーをしていた印象でしょうか
FWの選手に好キャリアーが多く、効果的なアタックになっていました
また、アウトサイドBKに関しても優れたランナーが多いためか、シェイプを除くと中盤よりかはエッジでのキャリーが多かったように感じます
注目すべきはBK3の選手のランニングスキルですね
3人ともステッパータイプというべき選手タイプであり、爆発的なスピードはなかったとしてもステップでずらしたり大きく外すことができるような選手が揃っていました
特に11番のBozzoni選手に関しては鋭角なステップも緩やかなステップも踏むことができ、かつスピードコントロールにも優れていたため、相手が間合いを取りづらいようなランニングをしていたように思います
イタリアのパス
今回目立った特色はなかったので数値を主に見ていきましょう
キャリー・パス比を見ると7:8くらいなので、キャリーの比率が高いということがわかりますね
実際の印象としてもイタリアはキャリーのバランスが良かったこともあり、パス回数にはこだわっていなかったように思います
パスの種類としては前後半で少し様相が異なっていたでしょうか、後半の方はバックスラインへのボール供給が増えていた印象ですね
数だけを見ると前半が3回、後半が9回と3倍になっています
ただパス回数そのものも前半が32回で後半が50回で1.5倍になっているんですけどね
イタリアのディフェンス
イタリアのディフェンスは1対1の場面での強さを遺憾なく発揮していましたね
特に7番のOdiase選手は献身的かつ低く入るタックルとチョークタックルを使い分けるような器用さも兼ね備えており、非常に印象に残った選手だったように思います
また、タックル成功率を見ても精度は高く、試合全体を見ても9割越えと高い成功率を示しています
全体的に見ても日本にDefenders Beatenを許した場面も少し多かったですが、どれも致命傷とまではならずに二の矢、三の矢になるタックラーがしっかりと入ることができていたため大きな問題にはならなかったように感じました
ディフェンスシステムそのものは極端に前に出てくるわけでもなく、少し前に出てスライド気味にディフェンスをしているような印象ですが、一人一人のディフェンスレンジが広いこともありしっかり日本の懐に入ってくるような鋭いタックルを見せていました
日本のアタック・ディフェンス
日本のアタックシステム
システム単体で見ると1−3−3−1のような印象を受けましたが、うまく整備されていない時もあったため、断定できるほどの印象は感じませんでした
ただ、基本的に9シェイプは3人で10シェイプに3人置いているようなイメージが強かったです
少し気になったのはエッジまで行かずに折り返してアタックをする際に折り返しのFWのポッドが整備されていないように見えたことですね
おそらくSHの判断で折り返していたりしたのだろうと推測しますが、結果としてポッド内の幅感・距離感が噛み合わずにサポートが遅れたりしていた時が少し見られました
もちろん常に完全に整備された状態でアタックできるわけではないですが、それを鑑みてもポッドの整備は今回は観戦側からすると少し物足りなかったかな、と感じています
また、今回最も勝敗に影響を与えた点として、「エリアは取れているしポゼッションも互角、相手ゴール前まで行くことができているのにトライにつながっていない」いう点がとても気になりました
いわゆるAttacking 22m Entryと表記されることの多い項目ですが、日本は今回の試合で結構な回数敵陣の22mよりも奥に入ることができていました
しかし実際に奪うことのできたトライは4回と、極めて「もったいない」ということができるかと思います
日本のキャリー
キャリー・パス比はキャリーに比べてパス回数が1.8倍前後と、今回の試合についてもパス回数の方が割合として多いということができると思います
キャリーの回数自体はそこまでイタリアとも変わらない数値を出していたので、振り返ってみると一つ一つのキャリーの質が重要だったように思いますね
キャリーの種類別の割合を見ると、今回は前半に関して9シェイプの割合が最も多く42回中17回となっていて、他とかなりの差をつけていたりと少しこれまでの印象とは異なる様子を示していました
これまでの試合でも9シェイプは最も多いアタックシェイプということはできていたのですが、そこまで突出した数ではなかったので意外でした
キャリーの最後に質を見ていきましょう
FWを見ていくとコンタクト時の姿勢、特にコンタクト時の足の運びがイタリアやこれまで見てきた他の国との違いになるかと思います
具体的にどれほど違うかまでは言及できませんが、日本はコンタクトする場所(主に肩)から垂直に地面に想定した座標と、足の位置が結構離れていたように思います
つまり、相手にもたれかかるような姿勢かつ2歩目3歩目が踏み込みにくい体運びをしていたということですね
他の国は、もちろんそもそもの体の作りや強さの違いがあると思いますが、コンタクトした瞬間からの2歩目以降が日本と違ってしっかりと踏み込むことができていたと思います
そのため、コンタクトからぐいっと押し込んでいくことができるわけです
次にBKを見ていきましょう
ランニングセンスそのものを見ると大きな差は感じません
あえていうのであればボールレシーブ→ステップ→キャリーまでの一連の間合いが違うように感じました
ステップの質は海外と比べても遜色ないレベルにまで達していたように思いますが、ステップを使うシチュエーションと距離感にはまだまだ伸び代を感じました
日本のパス
先述したようにパス回数の方がキャリーよりもかなり多いというのが日本の傾向ですね
今回の試合も傾向と違わずパス回数はかなり多かったです
回数を見てみても、もちろん9シェイプへのパスが最も多かったのは事実ですが、一度バックスラインへボールが回るとバックスライン上でパスを繋ぐ回数が多かったということができるかと思います
また、パス回数の割にOtherに分類されるパスは比較的少なかったような印象を受けています
そのぶん少なくとも意図に沿ったパスが多く発生したということができますね
パスの質に関しては、過酷かもしれませんが世界で戦っていくには質のアベレージをさらに高めていく必要があるかと思います
バックスライン上で回す際のパスの質に関しては相手の勢いを殺さず、バックドアへのパスでは表裏のどちらを使うか惑わせるようなパスの質がより一層求められていくように思います
日本のブレイクダウン
ディフェンシブなものについてももちろんですが、アタッキングブレイクダウンに関しては今回の試合でかなり課題に挙げられるように感じています
ジャッカルされた回数こそ多くなかったものの、キャリーした選手に対するサポートの選手がキャリアーよりも前に出てしまったがためにサポートやオーバーが遅れ、ターンオーバーされかけるというシーン自体は何度も見受けられました
2人のオーバーで完結しているシーンがほとんどでしたが、どちらかというとかなりギリギリだったというか、イタリア自体そこまでプレッシャーの質が高くなかったことも影響しているかと思います
Twitterでも述べましたが、今回の課題の一つはブレイクダウンのサポートプレイヤーの質にあるかと思います
特に、ポジショニングがズレた選手がより早くサポートに行こうとする姿勢がそこまで見受けられず、しっかり後ろに帰って低く入ると言った基本的な部分や、アグレッシブにかつ正確にラックに入るという様子が見られなかったのは少し残念に思います
日本のディフェンス
タックルの質に関してみると、この数値ゆえの結果ということもできるでしょうか
最終的な成功率が8割を下回るようだと、どれほどポゼッションを持っていてもどのカテゴリーでも勝つことは難しいと思います
イタリアのキャリアーも悪くはなかったですが、これほどの数値になるほどの脅威は感じなかったので、単純に自分たちの精度の部分の課題ということができるかもしれません
全体的に少し受け身というか、悪い言い方をしてしまえば「体を張ることができなかった」ということもできるかと思います
足元に入ることは少なからずできていましたが、足が死んでいるように見えるシチュエーションもあったため、押し込まれるシチュエーションも多かったように思います
ディフェンスのシステムに関しては極端に崩された印象はなかったのですが、タックルの質の影響もあってか結果的にビッグゲインに繋げられていたように感じます
まとめ
今回の勝敗を分けた要因としては「ペナルティの数」「そこから敵陣に入った後にトライまで取り切ることができるか否か」という点にあると思います
その点ではイタリアは最終的なアウトカムがトライで終わることが多く、日本はその逆で取り切ることができなかったといえますね
気持ちは外からは図りかねますし、日本の選手が気持ちを込めていなかったというわけではありませんが、少なくとも気持ちをパフォーマンスにはうまく繋げることができていなかったように思います
あとは今回見えた現在地を来年の大会でのパフォーマンスへと還元することができるかどうかが重要な要素になってくるかと思います
本当にお疲れ様でした
それではまた!
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