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2023大学ラグビー番外編:U20日本代表対U20アルゼンチン代表の試合を勝手に数値化して見てみた

みなさんこんにちは
暑さにやられてる今本です

今回は7/9に行われたU20日本代表対U20アルゼンチン代表の試合についてレビューしていきたいと思います
何度も思いますが、悔しかったですね

まずはメンバー表から

次にスタッツです

それでは順番に見ていきましょう

アルゼンチンのアタック・ディフェンス

アルゼンチンのアタックシステム

9シェイプに3人、10シェイプに2人入っていることが多く、基本的には1−3−2−2的に捉えても良いかもしれません
また、中心となるのは9シェイプに立った選手のキャリーであり、FWの選手の力強さに基準を置いたプレイスタイルであることが予想されます

それに合わせてアルゼンチン側としてはセットピースが安定しているのが極めて大きかったですね
スクラム、ラインアウト共に成功率100%と、セットピースになったらミスなくアタックまで繋げることができていました

アルゼンチンのキャリー

後半にかけて特にそうですが、日本に比べてもDefenders Beatenが多かったのが特徴的ですね
ステップで相手を外すというよりも走り込む、もしくは一歩の踏み込みで日本選手をBumpーOff=弾き飛ばすようなコンタクトをしているのが印象的でした

数を見ていくと全体で100回弱のキャリーを起こしており、3割ほどが9シェイプでのキャリーになっていました(セットピースからの1stフェイズも含む)
中央エリアとエッジエリアでのラック形成の回数はそこまで変わっておらず、シェイプに当てはまらない中央エリアでのキャリーが全体の2割ほどでしょうか

9シェイプが中心になっていることもあり、9シェイプでのキャリーが多く、かつ強烈なものとなっていました
平均的に体の強い選手が多く、たまにダブルタックルを受けることはあってもわざわざ受けにいくような位置にキャリーはして行かないようなイメージで、選手を挙げると特に5番のElian選手や8番のChivassa選手が印象に残っています
トップチームでいうとパブロ・マテーラ選手のような強さを感じましたね

足場は悪かったですがそこまでスリップしていたり踏み込みづらくしているイメージはそこまで感じられず、相手とのコンタクトの一瞬で強く体を当てている様子が見受けられました
主に強さを感じたのはFWでしたが、BKにも強い選手が散見されており、特に強さを感じたのは12番のGonzalez選手や23番のValarolo選手が強かったですね
2人はランナーとして優れているのはもちろんですが、ヒットの際の姿勢の作り方がうまく、足を踏み込む瞬間とコンタクトの瞬間がうまくあっているような印象を受けました

アルゼンチンのパス

前後半で少し様相は異なっており、前半はバックドア=FWやCTBの後ろに立った選手への深いパスやバックスラインへのパスが多く合計も多くなっていて、後半は合計数も少なく9シェイプ以外のほとんどが多くても2〜3回とバリエーションが減っていたことが見て取れます

後半はシンプルになっていたのでディフェンスする日本にとっては少しやりやすくなっていたのではないかとも考えることはできていますが、実際は後半の方がDefenders Beatenが多くなるという結果となっていました
キャリーの項目でも述べましたが9シェイプに立つ選手には体の強い選手が多いため、9シェイプに集中することでよりディフェンスを弾くシチュエーションが多くなったのかもしれませんね

パスの質を見ても極端にレシーバーの足を止めるようなパスはほとんど見られなかったため、比較的パスの質も高いということができるかと思います
あえて一言述べるとしたら9シェイプからのバックドアへのパスに際してFWの選手が視線や体の向きが次のれそーバーの方に向くのが早く、ディフェンスしやすい状況になっていたことでしょうか
とはいえ「ディフェンスしやすい」と「ディフェンスできる」はまた別の話なんですけどね

アルゼンチンのブレイクダウン

アタックの観点からいうと、他のチームと比べてオーバーが1人で完結するラックが多いように感じられました
日本がそこまでブレイクダウンに人数をかけずにディフェンスラインを充実させるのに人を割いていたこともあり、アルゼンチン側としても容易にラックからボールを出すことができていましたね

ディフェンシブな面から見るとアルゼンチン側は少しブレイクダウンに絡んでくる回数が多かったように思います
明らかに日本が多く人数をかけているときは捨てていましたが、タックルをした選手のロール・起き上がりも早く、効果的なタイミングでプレッシャーやジャッカルをすることもできていました

ただ、レフリングにも関わってくるところなので難しいのですが、ジャッカルを狙う選手が完全に手をついてボールに対してアプローチしていたのは気になりましたね
ペナルティにはならずともグレーゾーンといえばグレーゾーンのところなので、アタック側が沸点の低いコーチであれば怒り出していたかもしれません

アルゼンチンのディフェンス

タックルの質は、こう言うのもなんですが、日本のアタックシステム・選手のタイプから見ると少し低めかなと感じました
つまり、点数の差やスキルの差から見ると若干タックル成功率が低めであるように思います

体の強さ単体で見るとアルゼンチン側の方が強かったと思うので、真っ向勝負に関しては強さを示していましたね
ただ、その割に少しずらされたりした場面も見受けられたので、9位決定戦に回ってくるのもある種納得というか、これまで見た北半球のチームと比較するとそのままでは上位に食い込めなさそうな雰囲気も感じました

日本のアタック・ディフェンス

日本のアタックシステム

今回の試合ではSOを起点にバックス展開を中心に組み立ているような印象を受けました
アタックシステムとしてはそこまで細かく10シェイプを使っていたようには見られなかったので断言は難しいのですが、おそらくは1−3−3−1かと感じています

試合展開や日本のアタックスタイルから想像するとアルゼンチンとのFWでの真っ向勝負を少し避けているかのような印象を受けたのが正直なところです
BKでの展開を中心にすることで相手の強みからコンタクトエリアを少しずらし、1対1の戦いを主戦場とすることで日本の細かいランニングスキルの土俵で戦おうとしたのではないかと愚考しました

キックという観点から見ると、SOが楢本選手(茗溪魂)なこともありLongよりかはPuntを多めに使っているように思いました
日本のスタッフの方々がどういうイメージで分析をされていたのから計りかねますが、競り合いを多くしてロングキッカーを多く輩出しているアルゼンチンの若手選手と長い距離で蹴り合いをすることを避けているのかなと勝手に想像しました

日本のキャリー

キャリーの強さを単体で見ると、残念ながらアルゼンチンの方が上手だったように思います
また、これに関しては妄想に近い想像でディフェンスにも当てはまることなのですが、アルゼンチンの選手の方がスリッピーで脆い今回のようなグラウンドで走り慣れているのではないか、と思えるほど足場の悪さにうまく対応することができていませんでしたね

回数を見ていくと基本的には9シェイプが最も多い数と、トップに関してのみ一般的な傾向と近いものを示しています
それ以外を見ると、比較的エッジでのキャリーが多いでしょうか
理由を想像すると、ゴール前や自陣から積極的に外へ回すことが多かったからだと思います
中央エリアでのキャリーも多かったですが、これに関しては意図的というよりも相手のプレッシャーを受けて意図せずに中央でキャリーせざるを得なかったという印象の方が強いかと

キャリーの質に関してアルゼンチンと比較すると、自分の一番強い姿勢で相手とコンタクトすることがそこまでできていなかったように思います
特に9シェイプに入ったタイトファイブの選手について、頭が下がっていたり背中が丸まっていたりと、姿勢という面で相手との勝負で同じ土俵に立つことができていなかったように感じました

ただ、ランナーという観点で見ると15番の矢崎選手や14番の御池選手といった好ランナーがチャンスメイクをする場面を多く見ることができたため、見ててとてもワクワクしましたね

日本のパス

パスを見ると、回数的にはバックスラインに絡むパスが最も多く、後半のバックスライン上でのパスに関しては全体の1/3、前半について見ても1/4と多くを占めていることがわかります
また、バックドアへのパスも前後半合わせて13回と、少し多めということができるかもしれません

これはアタックシステムの項目で示したような意図があるように感じていますが、逆にいうとFW戦の部分でうまく戦うことができていなかったように感じています
CTBが入る場合も含めたポッド内でのパスも総合的なパス回数の割に3回と極めて少ない数となっており、FW戦の部分ではずらすのかキャリーで戦うのかといった点で自分にはあまり意図を見て取ることができませんでした
そもそもCTBがポッドに入るような組み立て方はしていないですしね

日本のディフェンス

何よりもタックル成功率の差が痛かったです
兎にも角にも一回の被Defenders Beatenやミスがスコアに繋がる国際大会のような場面では今回のような試合展開では戦うことができないと改めて実感しました
とはいえ、それでもちょっと看過できない数値でしたね

足場がスリッピーということもありいつもに比べてもうまく踏み込むことができない場面が多かったように思いますが、ポジショニングやミスマッチを生み出すことのないようなコンビネーションでカバーすることも可能かとは思うので、最後の一戦に期待していきたいですね

まとめ

残留を決める上では非常に重要な試合であったということができると思いますが、その試合を落としてしまった意義というのはとても大きいと思います
それこそ、関係者やファンが思っている以上に大きな意味を持っていることもあるかと思うので、その重要性をファンも含めて認識していく必要があるかもしれませんね

ただ、そういったことや結果から過剰に選手やチームを貶したり悪く言う必要性はゼロです
私達は所詮ファンでありそれ以上でもそれ以下でもないので、良くも悪くも何をいってもチームは変わりません

これまでの試合後にも見られたコメントですが、必要以上にチームを悪く語ったり「〇〇がダメ」「〇〇がいれば」みたいなことを言う方も少なからず見受けられます

試合に関わらない第三者である我々は語ることはできても批判することは少し筋違いのように思うので、自分も含めて気をつけていきたいと思います

今回は以上になります
それではまた!

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