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退職金とiDeCoの一時金を同じ年にもらったとき。退職所得は合算?

こんにちは、経営者のための保険代理店ユナイトコンサルティングのnote担当です。

先日、退職金を一回もらう場合の退職金の税務について紹介しました。(経営者の資産形成に退職金は欠かせない?その理由は税務にアリ!
しかし、現在では複数の退職所得を得る機会も増えています。例えば、複数の会社を掛け持ちしたりiDeCoを一時金で受け取るなどが挙げられます。
この記事では、同じ年に2か所以上から退職所得を受け取った場合の税務について取り上げます。

実は、退職所得を受け取るタイミングによって所得税の支払額が変わることがあります。一言でいうと、合算して一つの退職金として考える、とイメージしてお考えください。

またどういった場合に同じ年にもらう必要があるかも述べさせていただきました。ご自身の退職金プランの選択にお役立ていただけたら幸いです。

なお税務や法令は2023年4月現在のものを想定しており今後変更される可能性もあります。また、あくまで一般論ですので、具体的には税理士または所管の税務署へお問い合わせください。

■退職金の一般的な税額の試算方法

退職金を受け取った場合、退職所得金額は以下の式で計算されます。
追記:この点は増税方向で変更が検討されているようです。2023/5現在

  1. 退職所得金額=(退職金-退職所得控除額)×1/2

No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)|国税庁 (nta.go.jp)

2.次に退職所得税額は以下の表で算出します。

別紙 退職所得の源泉徴収税額の速算表|国税庁 (nta.go.jp)

ほかの所得とは合わせない分離課税のため、以上で退職金の税額の試算ができます。

■同じ年に2か所以上から退職金をもらう場合の税務

複数の退職金を同じ年に得た場合、退職所得は合算され、控除額は勤続年数が最も長いもので計算します。
勤続期間が重複しない部分は、長い部分に足して勤続期間にします。
例えば30年と20年がすべて重複している場合には、50年ではなく、30年が勤続年数になります。
ただし、重複した期間が5年であれば、45年が勤続年数になります。

以下は試算の手順です。

  1. まず同年の複数の退職金を合算します。

  2. 最も長い勤続期間で勤続年数を算出します。ただし最も長い勤続期間と重複していない勤続期間がある場合には、その期間を足して勤続年数にします。(1年未満切上)

  3. 2.の勤続年数で退職所得控除を計算します。

  4. (1.の退職金合計額 ー 3.の退職金控除額)×1/2=課税退職所得金額(1,000円未満切捨て)を算出します。ただし、役員としての勤続期間が5年以下の場合には1/2できません。

  5. 4.の課税退職所得所得金額を、前記の退職所得の源泉徴収税額の速算表にあてはめ税額(1円未満切捨て)を算出します。

  6. 先にもらった退職所得を源泉徴収していた場合、源泉徴収税額を5.の税額から引きます。もしマイナスだった場合には確定申告することで還付されます。

ただし、短期退職手当等特定役員退職手当等のように、収入金額から退職所得控除額を控除した残額について「1/2課税」を適用しない退職手当等もあります。厳密にはここでは取り上げませんが、該当する分は1/2せずに退職所得金額を算出し、別の1/2した退職金と合算するのがイメージです。

■同じ年にもらう必要がある場合

同じ年に受け取る必要があるのは以下のような場合が考えられます。

  1. 受取時期をずらせない場合
    退職金は退職時にもらうものですので、いつでもというわけにはいきません。特に従業員には定年などのため選択肢がないことも考えられます。また辞めるタイミングも大切ですので、税務上の優位性よりも、退職金を受け取る時期を慎重に考えることも必要です。

  2. すぐにまとまった現金が必要な場合
    例えば、住宅ローン等借入金の返済や投資に充てる必要がある場合があります。

  3. iDeCo等の運用成果の見通しが悪い場合
    もしiDeCo等の運用成果が下がる可能性が高いと考える場合、今すぐ受け取る方が得策かもしれません。


■まとめ

今回は同年に2か所以上から退職金をもらう場合の税務について取り上げました。まとめますと、

  • 退職金は合算して計算します。

  • 退職所得控除の勤続年数は、勤続期間が最も長いものの期間です。ただし勤続期間が重複しない部分は、その部分のみを勤続期間に加えます。

  • 最終的な税額は、今回計算した税額から、先に受け取った退職金の源泉徴収で支払った所得税額を引いた金額です。

  • 退職金は同じ年に受け取る必要がある場合もあります。

なお退職金は準備をしていなければ手に入らない可能性もあります。一般的に税務上優遇されていますので、この機会に退職金の準備を考慮されてみてはいかがでしょうか。特に経営者の方は、保険で退職金の準備をするということも一般的に行われております。ご興味がありましたら、ユナイトコンサルティングまでご連絡ください。

お忙しい中、最後までお読みいただきありがとうございました。


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■参考

▼国税庁

▼株式会社ユナイトコンサルティングnote