お茶の時間

お茶の時間
益田ミリ・講談社文庫
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文庫スタイルですが中身は漫画です。エッセイコミックで、お茶時間やカフェのエピソードをまとめた、ほっこり系の、それこそお茶の時間のような、のんびりめの作品です。

冒頭のエピソードからして「わかるわかる」って内容な、
「まっすぐ家に帰りたくない日、っていうのが人にはあるのだと思います」
から始まります。初回のエピソードの話題はお茶やカフェがベースじゃないんですけれど、「お茶の時間」という言葉の中には「一休み」とか「ちょっとわくわく」とか「日常の中のスペシャル」とかが全部詰まっているのかもしれません。

わたしが好き…好きというか読んで気になり続けてるこの本のエピソードは、スタバでずーっと勉強している女の子とそれを見てるお母さんの話なんですけれど、小学生の子供がスタバで勉強なんてね、頭に入りゃしないと思うんですよ。ましてや目の前でスマホいじってるお母さんがいてね。スタバ、お店にもよりますけれど案外と椅子カタイですしね。人目だってあるしさ。
そこにお母さんが一言いったりして、著者の同席者さんがそれに対して「違うと思うなあ」なんてこっそり言ったりしてね。
そうなんですよね。こんな感じで、カフェって小さいドラマの集合体みたいな場所だったりしますから、日頃自分が考えないテーマが不意に降ってきたりしますよね。それもあって「カフェやファミレスでなにかする」て人が結構多いんだと思うんですが、カフェって身近にあって数百円で味わえる「非日常」でもあるかなーと思います。わたしもやけにあちこち入っちゃったりしますしね。本とかノートとかあれこれ持っていくんだけど、結局ツイッターとかなろう小説眺めて終わったり。

こう、ネットでちょいちょいとネタになる「隣りにいた女子高生がこんな話をしていた」の構文みたいなもんで、「横からついついなんか言いたくなる話題」てのがなんであんなにあるんでしょうね、「不意に聞こえる話」って。
この本はそういった「ちょっと何か言いたくなる聞こえてきた話」をさらっと読める形に描いてまとめたもので、本自体も厚くないし、ほんと、
「お友達とちょっと茶飲み話する」
みたいな本だなあ、と思います。とりとめのない話も多いんですけれど、なんか手元に置いて好きな時にパラッと適当に読みたい、みたいな、少し発散したいみたいな。こう、文庫冥利に尽きる良い本です。

ほんの5~6年前まではわたくしカフェ不毛地帯に住んでおりまして、
「憧れるなあ…近くにカフェのある生活…」
て思っちゃうぐらいの田舎民だったんですけれど、最近はすっかり近所のカフェ、各チェーン店も個人店も選び放題、みたいな地域に住むことになったので、かつての寂しさはどこへやらの充実のカフェライフを過ごせております。夢は叶うんだ!!
社会人でいわゆるお打ち合わせ訪問などをすることもぼちぼちあるんで、早めに先方ビル近くに着いて、時間つぶしのためにカフェに入る、てのもよくします。カフェって都内は特にうなるほどあるんで、もうお友達というかね。ちょっとした調整にも使えるしいいよね。ほら、読書したりノート書いたりもしますしねわたしね。ツイッター眺めたりね。時間使うの結構得意よ。

私もなかなか宵っ張りの傾向があるので、「あーフラフラしたいわー」って時間にカフェはあいてない、てことも案外多かったりで、それもあって家にお茶っ葉を多く置いてたりもするんです。ほら、外のカフェはコーヒーが大半ですから、家ではお茶にしようっと、ていうシンプルな考えからなんですけれど。これがね、住み分け出来ててなかなかいいですね。つい買いすぎるんですけれど!お茶っ葉って長持ちするからまあいいか、てのが積もり積もるとすぐ「やりすぎた…」になりますよね。
そう思うと、メニューにお茶類が無いわけじゃないですけれど、お茶を多めにメニューに置いてるカフェはまだまだ少ないですね。家で自分で淹れるのもおいしいですけれど、ティースタンド的なものももっと増えるといいなあ。

昨今のコロナ事情もあってなかなかカフェでのんびりしづらかい空気も感じちゃうけれど、なにげにどこのカフェもいっぱいだったりしますよね。
席数制限の影響も多少あれど、やっぱりみんなたまには外で座ってお茶飲んでぼーっとしたいとかあるんだろうなあ。なんか楽しいもんねカフェね。
冷たい飲み物もおいしいけれど、カフェの真骨頂て冬かなと勝手に思ってるので、これからの時期が楽しみですね。色々あるんだよお茶っ葉。楽しみだなあ。

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