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同時通訳者のカバンの中

同時通訳者のカバンの中
関谷英里子・祥伝社
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先日書いた
「同時通訳者の英語ノート術&学習法」
https://note.com/unisindo/n/n1676cabd69f3
の流れで、通訳の人のスキルぱねぇな、と、他の方の御本も読んでみました。こちらの本は先のものより、さらに実際の仕事の説明が細かくされていて、通訳という仕事をより深く知ることが出来ます。

面白いのが「カバンの中」という題材を軸にして、その実は年代・習熟度別の勉強の仕方を丁寧に紹介されている本だった点でしょうか。
読んでみた後に表紙のキャッチコピー(ツールを使いこなせば英語力3割アップ)を見たら「ああー」と思うんですが、学習指南本だと気づきづらいですねこれ。学習指南、てほどカタいものではないんですけれど、実践極まりない最前線の通訳業務で磨き上げられた持ち物紹介と日頃の学習習慣、経緯を惜しみなく紹介されているので、通訳とまで過酷な仕事ではないにしても、英語学習に本腰を入れる人には大いに参考になるかと思います。
別途紹介しているiPhoneやiPadを使ったもののように
「ちょっと情報が古くなっちゃってて使えないな…」
とはならない内容でそこも参考にしやすいんですが、逆にこちらの学習は本格的すぎて「すこしライトな感じがいいんだよな…」て人にはいささか過酷なトレーニングばかりかもしれないです。

内容の章立てはまず出だしに「今の私のカバンの中」つまり現役で通訳最前線にいらっしゃる方の日常から始まって、2章は「学生時代のカバンの中」つまり英語初心者の持ち物と学習方法、3章で「会社員時代のカバンの中」、4章で「ビギナー時代のカバンの中」、5章で「ラジオ講師時代のカバンの中」、と、どういった経緯を以て直近の状況が出来たのかが追えて大変勉強になります。ラストに補足的に6章「同時通訳者のスマホの中」もありますし、巻末に本文内に使った英単語や英文の索引もあって非常に親切でしかも読みやすいです。文章自体が上手なのもありますが、いずれの持ち物がどういった理由で必要か、など、説明も丁寧にされていて自分の学習に取り入れやすいです。

これまで紹介した本はいずれもそうなんですけれど、やはりといいますか、学習てのは少しずつだとしても日頃からマメに行う、というのがベストな模様ですね。それにしても学習系に関してはほんとオンライン世界になってバンザイ、だなあ。
最近の学習としてはやはりストリーミング(サブスク)が外せないですが、今回ちょっと調べてみて面白かったのが、画面で気軽に字幕や音声切り替えられるのってネトフリとHuluしかないんですね。
アマプラは字幕版と吹替版をそもそもメニュー時に選択しないといけないし、他も例えば英語音声英語字幕、みたいなことが出来なかったりするんですね。これは知らなかったな…不便なのはアマプラぐらいだと思っていた…
なので、英語学習の人で音声も字幕も英語・日本語切替を好きにしたい人は、こういった部分も考慮に入れて契約したりツールを利用する必要がありますね。あとは再生機器さえあればDVDやブルーレイがいっそ便利になるのかもしれないな。

一応ブラウザの拡張機能で英語学習に特化したものもあるわけなんですが、これ逆にブラウザで映像見ないと使えないわけなんで、日常的にどれぐらいブラウザでサブスク見る人がいるかですよね。個人的にはこの拡張機能、辞書だの説明だのもついていて大変有意義とは思うものの、少し日常使いはしづらいかなと思っています。例えばオンライン学習の際に利用とか、よしっ勉強するぞ!て意識の切替でPC前にすわる、てのが儀式な人などはいいかもしれないですね。逆に出先でちょっとヒアリングしようとか、単語覚えようみたいな人だと(特にスマホでは)文字情報かなり見づらいかな。

ほか、Twitterで見かけたんですけれど、東京外語大学が文法も発音も会話も学べる『完全無料』のeラーニングを公開してるそうで、これも紹介しておこうかと思います。これかなりの言語数をカバーしているので、学習言語が英語に限らないですが、語学の学び方は経緯は似ているでしょうしね。
http://coelang.tufs.ac.jp/mt/
ちょっと話がそれました。

読書中に少し安心…安心というか親近感を得たのが、現役で毎日英語に触れている通訳の人でも、英語の本を読むのに日本語の本の何倍ものエネルギーが必要とあったことです。それぐらい母国語でない語学のスキルを得るのは大変なんですよね。そのため、こちらの本ではいかに「自分を少しでも英語に触れる日常に誘導するか」についても丁寧に説いています。そうだね、定期購読はまずは封をあけないとね。そして言葉というのは使ってこそなんですよね。

先日「野口英世」の感想文も書きましたけれど、
https://note.com/unisindo/n/n0fdb2bb94c90
日本語と英語でこんなにひいひい言ってるのに、英世、8カ国語使えるとかどうなってんだ…て震えつつ、ふと「日本人のマルチリンガルといえば南方熊楠だよな」て調べたら、南方熊楠は18~19ヶ国語(22ヶ国語という説もある)ほど使えたんだとかで。ちょっとなにいってるかわからない……言語系強い人はなんか…脳がそういう作りをしてるてことなんかな……もちろん使える言語の程度差はあるんでしょうけれど、なんかコツのようなものがあって、どこかでそれを掴むんでしょうかね。もちろん並外れて学習をしたその先なのでしょうから、まずは学習をいっぱいするところからか。

こちらの御本、姉妹本として
「同時通訳者の頭の中」
というものもあるそうで、気になる人はぜひぜひ。

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