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歌がプロ級に上手くなった私?!でも実は・・・

タイトル:(仮)歌がプロ級に上手くなった私?!でも実は・・・

▼登場人物
●宇田井益代(うたい ますよ):女性。30歳。歌が超ド下手。とにかく歌が上手くなりたいと思い続けている。春奈の大ファンだった。
●只野友香(ただの ともか):女性。30歳。歌がかなり上手い。益代の友人。
●並河浩平(なみかわこうへい):男性。30歳。歌が超上手い。会社の人気者。
●森永春奈(もりながはるな):女性歌手。昔は一世風靡したシンガーソングライター。享年58歳。歌が超絶上手い。しかしプライベートの事情で自殺する。
●詩尾亜夏瑠(うたお あげる):女性。30代。益代の「絶対歌が上手くなりたい」という純粋な願いから生まれた生霊。
●メンバー:会社の同僚でカラオケ仲間。男女を含む5~6人の感じで。本編では「男」「女」と表記。

▼場所設定
●PS企業:一般的なIT企業のイメージで。益代や友香、浩平が働いている。
●バー「トランス」:お洒落な感じのカクテルバー。亜夏瑠の行き付け。
●GBカラオケ:益代らがいつも行くカラオケ店。一般的なカラオケのイメージで。
●カラオケ店「ステップモーション」:亜夏瑠が益代におススメするカラオケ店。実はこのカラオケ店で、その昔、森永春奈がよく歌の練習をしていた。部屋番号は7。

NAは宇田井益代でよろしくお願いいたします。

メインシナリオ~
(メインシナリオのみ=4152字)

ト書き〈ニュース〉

NA)
今朝方未明、人気歌手がビルの屋上から飛び降り自殺した。
昔、ポップの女王と呼ばれたシンガーソングライター。
しかし現代ではもう、彼女の活躍する場所が無かった。
時代の変遷と共に、彼女の名を知る者すらいなくなっていた。
更にプライベートでもトラブル続き。
長年連れ添った恋人兼マネージャーに裏切られ、多額の借金を背負った。
これが決め手となり、彼女は死んだ。
彼女の名前は森永春奈(もりながはるな)。享年58歳。
その死を悲しむ者は、少数の彼女のファンだけだった。

ト書き〈PS企業〉

NA)
私は宇田井益代(うたい ますよ)(30歳)。
ここPS企業で働いている。
私は歌が大好き。週1でカラオケに行く。
今日は金曜日。そろそろ・・・

友香)「ねぇ益代ー、今日カラオケ行かない?浩平達も行くって♪」

NA)
こんな感じでいつも誘ってくれる。
この子は只野友香(30歳)。私の同僚。
しかし私には、1つだけ大きな悩みがあった。
それは・・・

ト書き〈トイレにて〉

益代)「なんで私だけこんな歌がド下手なのよぉおぉ!」

NA)
私は超音痴!
とにかく歌が下手なのだ。

益代)「はぁ。友香や浩平はいいなぁ、普通に上手いし・・・」

NA)
カラオケが好きなのに歌が下手。
最近になって「もっと歌が上手くなりたい」と言う気持ちが膨らんで来た。
どうせ行くなら上手いほうがいい。
そんな悩みを抱えつつ、私は今日もカラオケへ行く。

ト書き〈GBカラオケに会社のグループで行く〉

友香)「いやっほー♪さぁ今日も歌うわよ~!」

浩平)「イェーイ!」

NA)
いつも通りに歌ってる。
やっぱり友香も浩平も抜群に上手い。
他の皆もそれなりに上手い。

益代)「はぁ。いいなぁ・・・」

NA)
私の番が回って来ると、それまでの空気が変わってしまう。
ほとんど誰も聞いてない。歌本で次の歌なんか探し始めてる。
友香と浩平だけが聴いてくれていた。
情けなくなる。ホントは歌が好きなのに・・・

ト書き〈帰り〉

益代)「はぁー。アタシもう今度から皆と行くのやめよかなぁ」

NA)
カラオケの帰り。私は友香と浩平と一緒に帰った。
他の皆と別れた後、愚痴りながら本音を言った。

浩平)「そんなの気にすんなよ。カラオケなんて発散できりゃイイんだからさ」

友香)「そーよう!この前アンタもそう言ってたじゃない」

NA)
2人とも慰めてくれた。
でも「自分だけ下手」というのはもう嫌。
ずっと浮かない顔の私。

友香)「・・・じゃあさ、今度3人だけで行って練習しない?」

益代)「え?」

浩平)「あ、それいいな。そうしようぜ。他の連中がいるからそっちに気を取られて、カラオケそのものを楽しめなくなっちゃうんだよ。気心知れた3人だけならさ、とことん気が済むまで歌えるぜ♪練習だって出来るじゃねーか」

友香)「ね?そうしようよ!」

益代)「う、うん」

NA)
2人は優しい。
私は嬉しくなって、次回は3人だけで行く事にした。

ト書き〈バー「トランス」へ〉

NA)
翌日の会社帰り。
私は1人で飲みに行った。

益代)「うーん、練習用のカラオケ店、他にどっか無いかなぁ・・・」

NA)
いつも行く「GBカラオケ」はダメだ。
会社の連中が結構来る。
練習してる事がバレてしまうと体裁悪い。
私はどっか都合の良いカラオケ店がないか探していた。
そんな事を考えながらいつもの飲み屋街を歩いていると・・・

益代)「あれ?こんな所にバーなんかあったっけ?」

NA)
全く見慣れないカクテルバーがあった。

益代)「バー『トランス』か。・・・まぁいいや、入ってみよ」

NA)
中は静かなムードでお洒落な感じ。
カウンターに座って1人飲んでいた時・・・

亜夏瑠)「こんばんは。ご一緒してもいいかしら?」

NA)
急に1人の女性が声を掛けて来た。
見た所、私と同年代くらい。
名前は詩尾亜夏瑠と言った。
なんでも悩める人のカウンセラーをしてるらしい。
結構、綺麗な人だ。
それに不思議なオーラが漂っている。
昔から知っていたような、そんな感じ。
彼女といろいろ喋った。
そしていつの間にか話題はカラオケになった。

益代)「はぁ。ホントあたしって歌が超下手なんです。これ、どうにかして直んないかなーなんて思ってるんですけど、どうにもならないんですよね」

益代)「今度、友達と一緒に練習しようって事になったんですけど、でも本当に上手くなれるかどうか・・・。音痴ってなかなか直らないんですよねぇ・・・」

亜夏瑠)「うーん、でもカラオケって気分を発散できればそれでイイんじゃありません?大声出して歌ってるだけでも、結構ストレス発散になるでしょう」

益代)「同じこと友達にも言われました。でもダメなんですよ!あたし、本当にもっと上手くなりたいんです。超上手くならなくても、せめて友達と同じくらい上手くなれれば・・・なんて思ってるんです!何か方法ないですかねぇ」

NA)
すると彼女は・・・

亜夏瑠)「成る程。それでは益代さんにピッタリの、初心者向けの練習に丁度いいカラオケのお店をご紹介しましょう。きっとお気に召すと思いますわ」

益代)「え?」

亜夏瑠)「益代さん、今までに憧れてた歌手とかいました?」

益代)「憧れの歌手・・・?あ、森永春奈さんです!彼女のCDとかDVDとか今でも沢山持ってますし、コンサートにも何度も行った事あります!カラオケでも彼女の歌ばっかり歌ってるんです。実は彼女の歌がアタシの十八番で」

亜夏瑠)「そうですか」

NA)
いろいろ聞いた後、彼女は・・・

亜夏瑠)「このカラオケ店に行ってぜひ練習してみて下さい。部屋番号は7番を使ってみて下さい。その部屋は練習に丁度いい環境が揃っていますから」

NA)
いきなりそう言った。
勧められたのは、カラオケ店「ステップモーション」。
聞いた事も無かったが、彼女が教えてくれた場所へ行くと確かにあった。

ト書き〈カラオケ店「ステップモーション」前〉

益代)「ここですか?」

亜夏瑠)「ええ。ぜひここで練習してみて下さい♪きっと上達する事でしょう」

益代)「・・・?」

NA)
よく解らなかったが、取り敢えず頷いた。
それに7番の部屋を指定して来るなんて、ヘンだなぁとも思った。
でも私は歌が上手くなりたい。
それを一心に願っている。
どうせダメ元!
上手くなれるんなら何でもいいと、友香と浩平を誘って行ってみる事にした。

ト書き〈カラオケ店「ステップモーション」〉

NA)
そして週末の金曜日。
私は友香と浩平だけを誘って、亜夏瑠に勧められたカラオケ店へ来た。
「ステップモーション」の7番の部屋。
私達が行った時、偶然7番の部屋が空いたのだ。
しかしここで驚くべき事が起きた。

友香)「すっごい!益代、アンタ何でそんなにいきなり上手くなったのォ?!」

益代)「え?」(歌ってる途中に振り向く感じで)

友香)「アンタ、森永春奈にそっっくりじゃない!」

浩平)「すげぇ・・・」

益代)「え?そんなに上手いアタシ・・・?」

友香)「上手いなんてモンじゃないわよ」

浩平)「ホント、森永春奈そのものだよな・・・」

NA)
産れてこの方、初めて聞いた言葉。
私の歌が上手い?
私は心底喜んだ。
それからいつものように、森永春奈の曲を連続で歌った。
そのたび友香と浩平は目をまん丸くしている。
しかしその内2人は、私を不思議なモノでも見るかのように見始めた。
私の声が余りにも、森永春奈の声にそっくりなのだ。

ト書き〈マイクを調べる2人〉

友香)「ね、ねぇ益代、ちょっとアンタのマイク貸して」

益代)「え?」

NA)
マイクは全部で3つ。
それぞれが1つずつ持って歌っていた。
私が使ってたマイクを友香と浩平は調べ出したのだ。

友香)「・・・やっぱ普通のマイクよね・・・」

NA)
そして友香は私のマイクを使って歌い出した。

友香)「どう、浩平?声変ってた?」

浩平)「ううん。いつもの声・・・」

友香)「ふぅん・・・。おかしいわねぇ」

NA)
「マイクにボイスチェンジャーでも入ってるんじゃないか?」
どうも2人はそんな感じに疑っていたらしい。
甚だ失礼だが、2人は真剣だ。
その2人の様子を見ていると、私も段々不思議な感じがして来た。

ト書き〈数日後〉

NA)
そして数日後。
今度は他のメンバーも一緒に「ステップモーション」へ来た。
また部屋は7番。
他の部屋は満室だった。

男)「オイオイ、マジかよこれ・・・」

女)「て言うかこれ、完全に森永春奈じゃない・・・」

友香)「ね?そうでしょ!?」

NA)
私が歌い出すと、全員が私に注目。
そして口々に言い出す。
「これは益代の声じゃない、森永春奈の声だ」と。

女)「・・・て言うかさ、なんか不気味な感じしない?」

浩平)「・・・だよな。ここまで似て来ると・・・」

NA)
そして次の瞬間・・・

謎の声)「もっと歌いたかったぁあぁ!アタシは死んだのだぁあぁ!」

NA)
マイクが勝手にそう叫んだらしい。
私の耳には聞こえなかった。
いつも通りに森永春奈のデビュー曲『恋の箱舟』を歌い終えようとしていた。

友香・女)「きゃああぁ!」

浩平・男)「うわぁ・・・!」

NA)
周りは騒然とした。
皆、私を見て怖がっている。

益代)「ん?・・・皆どうしたの・・・?」

ト書き〈「ステップモーション」を見上げる感じで〉

亜夏瑠)「あの7番の部屋は生前、森永春奈がよく1人で歌の練習に使っていた部屋。益代に彼女が乗り移り、益代の声は森永春奈の声そのものになっていた。他のカラオケ店で歌えば、益代の声はいつも通りの声に戻るだろう」

亜夏瑠)「私は、益代の『絶対に歌が上手くなりたい』という純粋な願いから生まれた生霊。その願いをいっときでも叶える為に現れた。彼女がずっとファンだった森永春奈の霊を呼び寄せて、その声をちょっと貸してあげた・・・」

亜夏瑠)「でも気軽にそんな事するモンじゃないわねやっぱり。春奈はつい自分の本音を、マイクを通して皆に聴かせてしまった。これでもう2度と皆、あのカラオケ店『ステップモーション』には行かなくなってしまうだろう」

亜夏瑠)「益代にとっては一瞬の夢だったけど、歌の実力を見せるのは一瞬で十分。これからは周りの皆の益代を見る目も、少し変わってくれるでしょう」

亜夏瑠)「歌を歌っている本人は自分の声がどんなものかよく知らないもの。その歌ってる最中の声が全く別の人の声にすり変ってたり、全然違う事を言ってたりする事も偶にある。こういうのは他人のほうが先に気付くもの。歌ってる時に違和感を感じたら、あとで反省して確認してみるといいわね・・・」

動画はこちら(^^♪
【ホラー】【意味怖】【喫茶店で上映されてる映画の感覚☕】【ドラマ小説】【サスペンスの夕暮れ広場・本怖・生霊系 心理ストーリー】歌がプロ級に上手くなった私?!でも実は・・・🎤 #カラオケ #夢#生霊 (youtube.com)


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