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花と夢

タイトル:(仮)花と夢

▼登場人物
●西田 夢(にしだ ゆめ):男性。30歳。一般のサラリーマン。奥手。
●花野琴芭(はなの ことは):女性。27歳。器量・容姿はごく普通(それほど美人じゃない)。花が大好き。花言葉に精通している。
●横槍楯夫(よこやり たてお):男性。30歳。夢の友達。軽い感じ。
●香西美和(こうざい みわ):女性。27歳。経理部で働く。超絶美人。
※夢、楯夫、美和は同じ会社で働いている。

▼場所設定
●花屋「フラワー・ランゲージ」:一般的な花屋のイメージで。
●会社や街中:一般的なイメージでOKです。

NAは西田 夢でよろしくお願いいたします。
(イントロ+メインシナリオ+解説=3418)

イントロ〜

皆さんは、お花を育てた事、お花を好きになった事はありますか?
今回は、花が大好きな或る女性と一般男性との恋愛譚です。
2人の間に起きた、少し不思議な意味怖物語をお届けしましょう。

メインシナリオ〜

ト書き〈出勤途中〉

俺の名前は西田 夢。
女みたいな名前だけどれっきとした男だ。
今年30歳になる、どこにでもいるサラリーマン。

こんな俺は今、花屋で働く女性に恋をしている。

ト書き〈店・フラワーランゲージ〉

琴芭「いらっしゃいませ〜♪」

(陰から覗いている)

夢「はぁー、いいなぁ琴芭ちゃん…。今日もやっぱりキレイだなぁ…」

俺はこうしていつも、花屋の店先から少し離れた電柱の陰で、
彼女の接客の様子や、その美貌をずっと眺めているだけ。

俺はもともと奥手な性格。
本命の女子なんかと面と向き合えば、たちまち何も言えなくなる。

でも彼女と付き合いたい。
自分の存在をなんとかアピールしたい。
そんな想いでずっとモヤモヤしていた。

楯夫「よぉ西田ぁ♪なんだなんだお前!またあの子のこと眺めてんのかよ♪」

夢「ちょ…ちょっとやめろよ!そんな大きな声で!」

こいつは横槍楯夫(30歳)。
大学から一緒で、今は同じ会社で働いている。
俺はすぐ楯夫を電柱の陰に隠し、彼女にバレないようにした。

楯夫「なんだよお前、本気であの子に惚れてんのか?」

夢「あ、ああ…!本気で惚れてちゃ悪いかよ」

楯夫「え~~~だってお前、あの子の一体どこがいいんだよ?器量もスタイルも良くねーし、あんな程度の女ならそこら辺にゴロゴロしてんだろう?」

夢「そ、そんな言い方やめてくれよ!俺はあの子に真剣なんだ」

楯夫「はぁーー。恋は盲目って言うけど、まさかそれを地で行く奴がホントに居るとはなぁ♪ま、俺は先に行ってるからよ!お前も遅れずに来いよ~」

通勤途中でいつも見かけるあの子。
確かに楯夫の言う通り、彼女は他の人から見れば普通かも知れない。
器量もスタイルも普通。
取り分け目立つ魅力がある訳でもない。

でも俺にとっては今、彼女が最高だったんだ。

ト書き〈告白〉

それから数週間が経った或る日の事。

夢「う〜ダメだ!告白しよう!でなきゃ、きっと俺はずっと後悔する!」

俺はダメ元で、琴芭に告白しようと心に決めた。

(休みの日、花屋で)

夢「こ、こ、琴芭さん!ぼ、僕と付き合って下さい!お、お願いします!」

琴芭「え…!?」

琴芭は、初めビックリしたような顔で俺を見た。
店内に誰も居ないのを見計らい、告白した俺。

でも次の瞬間、奇跡が起きた。

琴芭「…(クス)ええ、私でよかったらぜひ♪」

夢「…え…え…?えぇ?!」

もう信じられなかった。
琴芭はなんと、2つ返事でOKしてくれた!

夢「ほ、ほ、本当に!?」

琴芭「ええ♪私も実はずっとアナタの事が気になっていたの。毎朝この前の道を通勤で通られてますよね?ですから私、あなたの事は知っていました」

夢「は、はは、ははは…そ、そうだったんですか♪」

俺は天にも昇る気持ちで喜んだ。
でも琴芭は続けて俺に言ってきた。

琴芭「でもお付き合いする前に1つだけお願いがあります」

夢「お願い?」

琴芭「お願いと言っても、私の正直な気持ちになります。お付き合いする以上、私は捨てられたくありません。絶対に心変わりしないと約束して下さい」

夢「……そ、それがお願い?」

琴芭「ええ」

そんな小さなお願いをしてくる琴芭を見、
俺は彼女の事が更に無性に可愛く見えた。

夢「そ、そんな事ある訳ないですよ!僕は本当に心の底から惚れてるんだ!」

琴芭「(クス)♪そうですか。それなら嬉しいです」

夢「はは、ははは…♪」

この瞬間、俺は琴芭と付き合う事になったのだ。

ト書き〈メール交換〉

と言っても彼女は、どことなくお嬢様育ちな所がある。
デートは大体、週に2回。
まだお互いの体に触れてもいない。
何と言うか、とても堅実な感じの交際だった。

それに彼女はメールが大好き。
夜にはお互い何度もメール交換をしていた。
今ではもう恒例になっている。

(メール内容)
私はあなたにシラーのお花を送ります♪
そのお花をあなたの心の中で、
サボテンに置き換えて下さいね❤

彼女のメールはなんだか独特だ。

夢「シラー?…サボテンに置き換えるって…?どゆこと?」

(メール内容)
うふふ、シラーのお花はね、
「変わらぬ愛」って意味があるの♪
で、サボテンにはね、
「枯れない愛」って意味があるのよ。
だから、私の愛を枯れさせないように、
あなたがずっと育てていってね…
ってこと♪

夢「あー、なーるほど!そうゆう事か♪」

どうやら花言葉に自分の気持ちを込め、俺に送ってくれたようだ。

ト書き〈数ヵ月後〉

それから数ヶ月が過ぎた。

楯夫「よぉ、お前まだあの子と続いてんの?」

夢「え?ああそりゃ続いてるよ♪結婚の約束までしてるから俺達♪」

楯夫「ほぉ〜!お前にしちゃ上出来だなぁ♪でもよ、お前知ってっか?ほら経理部のあの美人の美和ちゃん、なんだか最近お前にご執心のようだぜ♪」

夢「え?美和ちゃんって、あの美和ちゃん!?」

彼女は「会社で1番の美人」と噂の超絶美女。
その彼女が俺の事を好きになってくれている!

有り得ない事だと思った。
でも俺はその日の夕方、会社が終わってから美和ちゃんに話し掛けてみた。
確認してみたのだ。

美和「あ、あの、前からずっと好きでした!」

夢「な、なぬぅうぅ!?」

噂は本当だった。
驚いてる俺に彼女は更に迫った。

美和「あの、私じゃダメですか?私、西田さんとお付き合いしたいの」

思い詰めたような表情で迫って来る彼女。
俺はもうタジタジになってしまった。

ト書き〈数日後〉

楯夫「西田ぁ、もう花屋のあんな子やめてよぉ、美和ちゃんにしたらどうだ?絶対彼女の方が可愛いって!チッ、まぁ俺からしたら羨ましくてムカつくけどよ、もし俺だったら花屋の子はやめて、美和ちゃんと付き合うけどな!」

俺はこの数日間ずっと迷っていた。
確かに琴芭より美和の方が数段可愛い。

もし結婚するんなら、美和の方が良いに決まってる。

やはり本当の美人を目の前にすると男は変わるもの。
それまで盲目的に良く想ってた女の事は一気に色褪せてしまう。

大揺れに揺れた末、俺は美和と付き合う事にした。

俺だって女に捨てられた事はある。
その時、きっとその女も俺が今してる事と同じ事をした筈だ。

ト書き〈逆襲〉

その日を起点に、俺は琴芭と殆ど連絡を取らなくなった。
メールが来ても返さない。
既読スルー。
着信が入っても電話を取らない。

もっぱら美和とだけ連絡するようになった。

しかし或る日、琴芭からのメールをふと覗いた。
そこに少し、不思議な内容のモノがあったのだ。

(メール内容)

あなたとの間はコリウスの花のよう
あなたは私にハナズオウの花を送ってくれた
私の心には今ローダンセの花が咲いている
あなたの心には今、桑の実が咲いているかな?
今夜、私はあなたにスノードロップを送ります
あなたは今まで私にトリカブトを与えてきたのですから…

あなたの気持ちはもう分かりました。
私も、気持ちが無い人のもとには居たくありません。

今夜お別れいたしますので、
ぜひ、ここへ来て下さい。

彼女は落ち合う場所に、
普段からひとけの無い公園を指定してきた。

別れ話だから、人目が付く場所を避けたのだろう。

俺は最低限の礼儀として、琴芭の気持ちに応えようとした。
メールや電話等、遠隔操作で別れを告げるのは礼儀違反だ。
じかに会って口で別れを告げる。
俺はすぐに彼女に会いに行った。

解説〜

はい、ここ迄のお話でしたが、意味怖の内容に気づきましたか?
それでは簡単に解説行きます。

今回のテーマは花言葉でした。

ラストの場面に注目しましょう。

琴芭は自分に気持ちが無くなった夢の様子を見、
別れを仄めかすようなメールを送ってきました。

でもその内容は不可解なもの。
色んな花の名前が挙げられています。

そう、このメールこそ、
「花言葉で意味を解読する内容」
だったのです。

・コリウス…叶わぬ恋
・ハナズオウ…裏切りをもたらす花
・ローダンセ…変わらぬ思い
・桑…共に死のう
・スノードロップ…あなたの死を望む
・トリカブト…あなたは私に死を与えた

この6つの花の意味により、メールを解読してみましょう。

あなたとの間は叶わない恋
あなたは私に裏切りをくれた
私の心には今「変わらぬ思い」がある
あなたの心には今、私と一緒に死ぬ勇気がある?
今夜、私はあなたに死を送ります
あなたは今まで私に死を与えてきたのですから…

このようになるでしょう。

さてこのあと彼は、琴芭のもとから無事に生還できたのでしょうか?

動画はこちら(^^♪
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