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夢のロングバケーション

タイトル:夢のロングバケーション

▼登場人物
●炭屋泰三(すみや たいぞう):男性。40歳。独身サラリーマン。根っからの無精者でやる気が無い。
●上司:男性。60歳。泰三の会社での上司。一般的なイメージでOKです。
●本庄百合子(ほんじょう ゆりこ):女性。35歳。泰三と同じ会社で働く。泰三が密かに片想いしていた。
●井佐棟 里奈(いさむね りな):女性。30~40代。泰三の理想と欲望から生まれた生霊。

▼場所設定
●泰三の自宅:都内にある一般的なアパートのイメージで。
●カクテルバー:同じく都内にあるお洒落なカクテルバー。泰三と里奈の行きつけ。
●某会社:泰三達が働いている。一般の商社のイメージで泰三は一応営業課。

▼アイテム
●Motivation in Reality:里奈が泰三に勧める特製の栄養ドリンク。これを飲むと現実での生活に覇気を持ち、夢に向けて前進できる。但し効果は3カ月。
●Permanent Vacation:里奈が泰三に勧める特製のカクテル。これを飲むと現実での夢が眠って見る夢の中で永遠に叶えられる。

NAは炭屋泰三でよろしくお願い致します。

イントロ〜

皆さんこんにちは。
ところで突然ですが、あなたは仕事を休みたいですか?
ゆっくりまったり、一生を楽して暮らしたいと思いますか?
おそらくこれは誰もが持つ夢でしょうか。
今回は、そんな休みに取り憑かれた
ある男性にまつわる不思議なお話。

メインシナリオ〜

ト書き〈カクテルバー〉
 
(電話)

上司「お前、今日も休んでたなあ!私的事情、私的事情って、お前の事情は一体いくつあるんだ!こんなに休んでちゃアレだぞ!お前の将来はもう…」

泰三「あ、はい!はい!分りました、絶対来週からは行きますんで!はい、よろしくお願いします!…ふぅ…」

俺の名前は炭屋泰三。
今年、40歳になる独身サラリーマン。

この会社で働き始めて7年目。
もう仕事が嫌で嫌で堪らなくなっていた。
別にいじめに遭っているわけではなく、
仕事が極端に嫌になったわけでもない。

つまり五月病にでも陥ったかのように何にもやる気がなくなり、
ただ休みたい…仕事も何もせずに楽して過ごしたい…
そう思うようになってしまったのだ。

泰三「はぁ…。来週からまた仕事かぁ…ヤだなぁ…」

今日は適当な理由をつけてズル休みした。昨日もそうだった。
今日は土曜日で半日の仕事だったがそれも休んだ。
来週からまた仕事に行かなきゃならない。

俺は行きつけのカクテルバーに居座りながら
ただずっと落ち込んでいた。
すると…

里奈「フフ、お1人ですか?よければご一緒しません?」

と1人の女性が声をかけてきた。

彼女の名前は井佐棟 里奈。
都内でライフコーチやメンタルヒーラーの仕事をしているようで、
どことなく落ち着きがあり上品な人だった。

別に断る理由もなかったので
俺は隣の席を空け彼女を迎えた。

暫く喋っている内、何となく不思議に気づく。
彼女が昔どこかで会った事のあるような人の気がしてきて、
その点で少し更に心が開放的になり、
自分の悩みを彼女に打ち明けていた。

里奈「まぁ、ずる休み?」

泰三「あ、あははwええ、まぁ」

仕事をしたくない…
最近ではもう何もしたくなくなった…
そんな正直を全て伝えていた。

里奈「そうですか。まぁそんな方は現代に多く見られるようですね。別にあなただけじゃありませんよ?」

彼女はヒーラー教室を開いている傍ら、
そんな人の悩み相談を受け持っていた。
そこに来る顧客の内に俺のような人も多かったと言う。

泰三「えぇ?!な、悩みを解消してくれるって…?」

里奈「ええ。もしあなたさえよければ、こちらをお試し下さい」

そう言って彼女は持っていたバッグの中から
1本の栄養ドリンクのようなものを取り出し、
それを俺に勧めて来た。

里奈「これは『Motivation in Reality』と言うまぁ特製の栄養ドリンクで、それを飲めばきっとあなたの悩みは解消されます」

里奈「そのドリンクは先ずあなたの心に活気を宿し、生活におけるメリハリを取り戻させて、将来の夢に向かって歩いていけるようあなたを整えるでしょう」

里奈「いかがです?お試しになられてみますか?今回はボランティアでお仕事をしていますのでお代は頂きません。まぁそれを試してもあなたにとって失うものは無いでしょうから、試される価値はあるかと思いますよ?」

彼女はやはり不思議な人だ。
他の人に言われたって信じない事でも、
彼女に言われると信じその気にさせられる。
俺はその場でそのドリンクを受け取り一気に飲み干していた。
無料と言うのも魅力だったし。

ト書き〈変わる〉

それから数日後。
俺の生活は本当に見違えるほど変わっていた。

上司「やぁ〜最近は毎日出社して、その仕事ぶりも大したもんだなぁ!もっと早くそのやる気を見せてくれたら私も嬉しかったんだよ♪これからもその調子で、どんどん頼むぞ!」

泰三「あ、はい!こちらこそどうぞよろしくお願いします!」

俺は別人のように仕事に没頭し、生活に夢を持ち覇気を持ち、
本当に輝く人になれていた。

そんな俺に対する周りの目も変わってきて…

百合子「あ、あのよかったら、ディナーご一緒しませんか?」

泰三「あ、こんな僕でよかったら、ぜひ!」

将来を約束する相手も現れてくれた。
事務課で働いていた本庄百合子さん。
密かに片想いしていたその人。
まさかその人からこんな風にお誘いを受けるなんて。
本当に夢のような生活が続いていたのだ。

ト書き〈カクテルバー〉

そんなある日の事。
俺はまた会社帰りに1人であのカクテルバーに立ち寄っていた。

そこで…

泰三「あ、里奈さん!」

前と同じ席に座って飲んでる彼女を見つけ、
そばに駆け寄り、この前のお礼も兼ねてまた楽しく談笑していた。

泰三「いやぁ〜本当にどうも有難うございました!僕の生活、見違えるように変わりましたよ!全てあなたのお陰です!本当に有難うございます!」

里奈「そうでしたか♪それはよかったです。私も嬉しいですよ♪」

彼女も自分の事のように喜んでくれた。
でもこの時1つだけ、彼女は俺に忠告してきた。

里奈「泰三さん。この前お伝えするの忘れてたんですが、あなたが飲んだあのドリンクの効果は、実は3ヶ月限りなんです」

泰三「え?」

里奈「つまり3ヶ月経てばあのドリンクの効果は薄れ、あなたはまた元の自分を取り戻す事になります。まぁ言えば、あのドリンクはあなたの人生をそうして変える為のきっかけ・土台と言うものになるでしょうか」

里奈「あなたは今の経験をバネにして、今後は自分の力で将来を切り開き、明るいものに変えて行って下さい。まぁそれが人の本来でもあり、正直な生活の姿になるでしょうから」

いきなり聞かされたので少し驚いた。
俺はあのドリンクの効果がずっと続くと思っていたのだ。

泰三「そ、そうでしたか…」

ト書き〈3ヶ月後〉

それから3ヶ月後。

泰三「ああ…やっぱり、会社に行きたくねぇえぇ…!」

俺は元に戻っていた。
これまで通りの自分。
今までの生活が夢のように過ぎていく。

でもせっかく掴んだ第二の生活だからと
それからも懸命に働こうとした。生活を変えようとした。

でも仕事は空回りして、生活も崩れ始め、
上司からはまた叱られる毎日の上…
「やっぱり部屋の中でじっとしてたいなぁ…」
「本当に、楽して何もせずに金を稼いで、生きていく事が出来たらイイのに…」
そんな風に思うようになった。
前の自分と同じだ。

ト書き〈カクテルバー〉

泰三「はっ、すいません!ええ、今日はどうしても事情がありまして…」

俺はまた会社をズル休みして、あのカクテルバーに来ていた。
最近少しだけ会社で活躍していたのもあり
その信頼をもとに上司も仕方なく信じてくれて
その日は無難に休む事ができた。

でもこんな事いつまでも続けてられない。当然の事。

泰三「はぁ…どうしよう」

そう思っていた時、またふと顔を上げると
前と同じ席に座って飲んでる里奈さんを見つけた。
俺はゆっくり席を立って彼女の元へ行き、
その時の悩みを打ち明けていた。

里奈「まぁ、またずる休みされたんですか?」

泰三「え、ええ、あははw」

里奈「ふぅ、呆れましたねぇ。そんな事じゃほんとに辞めさせられますよ?よく今までサラリーマン勤めて来られましたね?」

彼女は明るく笑ってそう言ったが、
心にはなんだかズシンとくる言葉。

その反動もあってか、俺は彼女に無心するようになっていた。

泰三「ねぇお願いしますよ!またああゆうお薬くれませんか??あ、栄養ドリンクでしたね…?ああゆうのが欲しいんですけど、もうないんですか?!」

すると里奈は…

里奈「あのドリンクは今手元にありません。それに結構入手するのも難しいものでして。…ねぇ泰三さん。もう1度自力で働いてみる気にはなりませんか?自分の人生を変えようと言うその気概は…?」

そう言って俺を嗜めてきた。

泰三「ダメなんですよ!これまで実は、何度も自分の生活・人生を変えようと努力してきたんです。本当に繰り返してきました。でもダメだったんです。僕には元々ああゆう社会生活が向いてなかったのか…そんな事も思いながらそれでも稼がなきゃならないので、何とかやってはきたんですけど…。でも、もう…」

彼女は親身になって話を聴いてくれた。
そして俺の悩みが相当深いのを知ってくれたのか、
彼女は別の形で俺を助けようとしてくれた。

里奈「…そうですか。それなら仕方ありません。では、こちらを試してみられますか?」

そう言って彼女が勧めてきたのは、そこでオーダーしたカクテル。

里奈「これは『Permanent Vacation』と言う、これもまた私が特別にオーダーした特製のカクテルでして、これを飲めばおそらくあなたの今の悩みは解決されます」

泰三「えっ!!本当ですか!?」

やったと思った。
でも…

里奈「但しこれを飲めば今までのあなたの生活は一変する上、見方によれば全てが失われてしまう…そう見る事もできます。それでも良いと、その覚悟が今のあなたにおありなら、ぜひお飲み下さい。強制は致しません。あなたの人生です。あなたがどうぞお決め下さい」

と少し怖い事も言う。

しかし俺は「今の悩みが解消される」
というその言葉1つの響きを心で膨らませた上、
それだけを信じて一気に飲んでいた。

ト書き〈2度目に変わる〉

それから数日後。
俺は再び変わる事が出来ていた。

上司「おぉ〜素晴らしい!君の営業成績は我が社ナンバーワンだよ!これからもどんどんその調子でやっていってくれたまえ!」

泰三「はい!有難うございます!益々精進致しますのでどうぞよろしくお願いします!!」

(結婚)

百合子「ウフフ、私、あなたと一緒になれて幸せ…これからも2人で幸せになりましょうね♪」

泰三「ああ♪決まってるさ」

仕事は極めて順調。
生活も安定し、俺はその春、百合子と結婚する事もできた。

今までの俺の人生が何だったんだと思える程、今の俺は輝いている。

これからもどんどん輝き続けて、
この夢のような生活を百合子と2人で守っていこうと
つい昨日の夜、決めたばかりだ。

ト書き〈泰三のアパートで〉

里奈「よく眠ってるわねぇ…。よっぽど楽しい夢を見ているのね。仕事は順調で、百合子さんとも結婚できた!…みたいな顔してるわね」

里奈「私は泰三の理想と欲望から生まれた生霊。その夢を叶える為だけに現れた。彼はまさに今、その夢を見ているところ。そんなに休みたいんなら、永遠におやすみなさい。あなたはその夢の中で、暖かな将来を迎えるの」

里奈「私がここでずっと世話をしてあげる。あなたにとっては夢のような生活になるわよね?」

動画はこちら(^^♪
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