見出し画像

心の診察

タイトル:(仮)心の診察

▼登場人物
●木下裕人(きのした ひろと):男性。43歳。精神疾患者(ドクターを装う)。
●川畑百合子(かわはた ゆりこ):女性。40歳。心療内科の看護師。
●崎田恵美(さきた えみ):女性。32歳。心療内科の看護師。
●梶川由美子(かじかわ ゆみこ):女性。35歳。心療内科の看護師。
●謎のストーカー:正体は裕人(分からない形でOKです)。

▼場所設定
●A心療内科:裕人が通院し百合子達が働いている。
●街中:必要ならで一般的なイメージでOKです。

NAは木下裕人でよろしくお願いいたします。
(イントロ+メインシナリオ+解説:ト書き・記号含む=2677字)

イントロ〜

皆さんこんにちは。
皆さんは心を病んだ事はありますか?
いわゆる精神疾患ですが、現代、精神的に追い詰められて
この様な精神疾患を抱えてしまう傾向はかなり多いと聞きます。
今回はそんな心療内科にまつわる意味怖のお話。

メインシナリオ〜

ト書き〈心療内科〉

私の名前は木下裕人。
この心療内科に勤めているドクターで、
もうここに通い始めてから数年が経っている。

裕人「次の方どうぞ」

恵美「すみません、よろしくお願いします…」

今日もこの医院は大忙しで、
ひっきりなしにやってくる患者の診察で
時間を忘れる程に働かされる。

川畑「先生、そろそろ午前診は終わりですので休憩なされては?」

裕人「そうか。いやぁ〜今日も多いねぇ患者」

川畑「そうですね。この心療内科ももう少し規模を大きくしなきゃなりませんわね」

彼女が私の片腕として働いてくれてる看護師で
川畑百合子君と言う。

川畑君はいつも俺の事を気遣ってくれて、
「余り無理しないように」
なんて優しい言葉を投げかけてくれた。

この心療内科は総合病院と提携しており、
基本的に個人経営だがそれなりに設備は整っている。

でも今この医院では通院がメインで、
午前診と午後診に分かれて診察している。

だからそのうち総合病院の方にも心療内科を設け、
多くの患者に対応できるよう設備を整えていこうと
今からそんなプランも立てられていた。

私は今日、午前診だけでそのまま帰宅。

(電話)

そして翌日。

川畑「先生、お待ちしております」

今日も川畑君から連絡が入り俺は出勤。
この日も患者が多かった。

その日は少し目をかけている患者が居て、
今我々としても彼女のサポートに尽力していた。

裕人「最近どうですか調子のほうは?毎日誰かに監視されてるなんて以前おっしゃって居られましたが、少しは落ち着かれましたか?」

由美子「ええ、最近は少し。でもまだ誰かに見張られているような気がして…」

裕人「うむ、そうですか。ではもう少し服薬治療を続けてみますか?」

由美子「はい、お願いします」

彼女は統合失調症患者で、
一時期、妄想から幻覚症状が現れた事もあり、
その挙句、
「いつも誰かに監視されてる…」
そんな被害妄想が多く見られてきた患者だった。

誰かに見張られている、盗聴されている、
悪口を言われている、誰かに自分が操られている…
そんな事まで考えてしまう日々を過ごしてきたのもあり、
今は服薬治療や生活リハビリで改善を企図しているが、
それもなかなか難しいものだ。

まぁ時間をかけてゆっくり治していくのが大事だろう。
こんな時に大事な事は焦らない事。

そして私はその日も午前診を終えて帰宅。

ト書き〈数日後〉

そして数日後。
また川畑君から電話が入り仕事へ向かう。

今日も統合失調症で悩んでいるあの患者、
由美子さんの診察だ。

でもこの日、嬉しい転機がやってきた。

裕人「そうですかぁ、それは良かったですね」

由美子「ええ、本当にどうも有難うございます!これも先生のお陰です♪あれから誰かに見られてるとかそんな気配も感じなくなりまして、どうやら私の思い込みだった事が分かりました」

裕人「どうやら治療の成果も出てきたようですね。まぁ念の為、あと数日分はお薬を出しておきますから、その間は服用を続けて下さいね」

由美子「はい、分かりました♪有難うございます」

本当に良かった。
実は由美子さんと言うこの彼女、
当院で看護師をしてくれている女性だったのだ。

ほとんど時間外診察の形で私は彼女を診てあげていた。
でもまだ彼女には精神疾患の傾向が残っている。
またそのうち私は彼女を診なければならなくなるだろう。

そして私は川畑君に連れられて…

川畑「じゃあどうぞ」

診察室へ入って行った。

解説〜

はい、いかがでしたか?
それでは簡単に解説します。

木下裕人は心療内科のドクターとして登場します。
そして多くの患者を診察しており、
看護師や患者からの信頼も厚いようでしたね。

しかし裕人は本当にドクターだったのでしょうか?

実は彼、この心療内科のドクターでも何でもない、
実はこの医院に通っている精神疾患者だったのです。

それが解るヒントがストーリー中にいくつかありました。

まず冒頭のセリフ。

「この心療内科に勤めているドクターで、
もうここに通い始めてから数年が経っている」

裕人はこの様に自分の事を紹介します。
普通ドクターなら「通い始めて」なんて言わず、
「働き始めて…」と言うでしょう。

つまり裕人はこの医院で働いていたのではなく、
通院していた訳です。

次に電話。

裕人が仕事に行く時、必ず電話が入ってましたよね?
しかも電話の相手は医院の看護師、川畑百合子。
普通ドクターが仕事に行く時、電話なんか入りません。

つまりこれは、診察の時間を知らせる電話だったのです。
その診察を受ける患者は文字通りに裕人。

実は、裕人は病院側に協力してもらい、
治療の一環として診察風景を醸し出してもらった上、
そこで気の済むまで自分のしたい事に従事し、
ストレス発散の為の環境リハビリをしてもらっていました。

そしてその診察に付き合っていたのは当院の看護師達。
1人めの患者、2人めの患者と人を代え、
雰囲気も出していました。

そして2人めの患者として登場した由美子を診察した時。
彼女は統合視聴症と診断された上、まだ現役の看護師として
その当院で働く設定にありました。

そもそも重度の統合失調症を患ってる看護師が、
治療しながらまだ働いてると言う事もないでしょう。
この点にもピンと来た方は居るでしょうか。

そしてラストの場面では、そうした環境リハビリによる
診察治療を終えたから、次は自分が診察される番になり
裕人は看護師に連れられて診察室へ入って行ったのです。
まぁこの日は経過確認の為の診察日だったのでしょうね。

更に実はもう1つ意味怖がありました。

それは後半の、
「またそのうち私は彼女を診なければならなくなるだろう」
と言った裕人のセリフ。

なぜこのように断定できたかと言えば、
それは実際に裕人が由美子をストーカーしてたから。

つまり由美子は環境リハビリの診察治療をしていた傍ら、
本当に誰かの視線を感じ、監視されてるような
そんな生活を送って居たのでしょう。

由美子がその前に
「視線を感じなくなりました」と言ったのは、
裕人がそのストーカー行為をやめていたから。

これは一時的にやめていた訳です。
その期間が数日間。

またストーカーを始めれば由美子は視線を感じ
その診察室へやって来る。

裕人はそう言ってましたが、
もちろんそのとき由美子を診るのは裕人ではなく、
まともなドクターとなるのでしょう。

こんな形ながら、何か事が起きる前に
そのストーカー行為が解決すれば良いのですが。

動画はこちら(^^♪
【怖い】【ホラー】【意味怖】【精神】【喫茶店で上映されてる映画の感覚☕】【YouTubeドラマ小説】【サスペンスの夕暮れ広場・心理ストーリー】心の診察 #意味怖 #サスペンス #心療内科

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?