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悔い改めのエデン

タイトル:(仮)悔い改めのエデン

▼登場人物
●明野田 信夢(あけのだ のぶひろ):男性。40歳。独身サラリーマン。世の女に絶望している。
●エヴァ:女性。年齢不詳だが若く見える。可愛らしく純粋無垢で良き伴侶。
●イザベル:女性。年齢不詳だが若く見える。お色気たっぷりで美貌の持ち主。
●近裏紀美野(ちかうら きみの):女性。30~40代。信夢の夢と欲望から生まれた生霊。

▼場所設定
●信夢の自宅:都内にある一般的なアパートのイメージで。
●『Eden of Hope』:都内にあるお洒落なカクテルバー。紀美野の行きつけ。
●楽園:エデンの園をイメージしてます。

▼アイテム
●One Way Ticket to Paradise:紀美野が信夢に勧める特製の栄養ドリンク。これを飲んだから不思議な夢の世界へ舞い込んだ形。

NAは明野田 信夢でよろしくお願い致します。

イントロ〜

あなたは、この人間の世の中が嫌いですか?
人間不信、失恋、不倫、背徳、争い…。
様々なしがらみがこの人の世の中にはどうしてもあり、
それと向かい合わなければならない時がある。
これは誰にでもあって、それが嫌で、
「もうこの世界から逃れたい」とし、
そのまま本当にこの世を去ってしまう人もある程です。
今回はそれと同じように悩み続けた、
或る男性にまつわる不思議なお話。

メインシナリオ〜

信夢「はぁ。…やっぱりこの世は、絶望的か…」

俺の名前は明野田 信夢(あけのだ のぶひろ)。
今年で40歳になる独身サラリーマン。

これで最後と決めて、ちょうど今日で4年付き合ってきた女と別れた。
理由は彼女の浮気だった。

俺も過去には惚れたハレたを繰り返し、浮気をした事も確かにあったが、
いっときから自分なりに悔い改めて、
そういう事はもう一切せずに、
ただ神様が与えて下さった結ばれるべき人とだけ結ばれる…
それを信じ、夢見て、その時からこれまでを生きてきた。

でも、やっぱり駄目だった。
駄目と言うのは人間の側の問題の事。
誰にも欲望があり、それで幸せを無くしてしまう。

信夢「…よし、今日でもう、この世の恋愛からはおさらばしよう」

そう決めて、この先は生涯独身を貫き通す決意をした。

ト書き〈カクテルバー〉

でもそれから何日も経たない内にまた人恋しくなり、
恋人のような存在・伴侶のような存在を求め始めた。

でもその時でも「この世の人はもういい」と突っぱねる気持ちは確かにあって、
いわゆる俗世の女と付き合う気にはどうしてもなれない。

そう、俺は別の存在を自分の伴侶にしたいと思い始めていたのだ。
理想だけはどうしても残る。

天使なら良い。
蛇に誘惑されないエバなら良いのに。
そんな感じで。

そんなある日、俺は会社帰りに行きつけの飲み屋街へ立ち寄っていた。
その時…

信夢「ん、新装開店でもしたのかな」

全く見た事のないバーがある。
名前は『Eden of Hope』。

ちょっと変わった店でもあったので、俺は少し興味を惹かれ
そこに入り、カウンターについていつものように1人飲んでいた。

すると…

紀美野「ウフフ、お1人ですか?もしよければご一緒しません?」

と1人の女性が声をかけてきた。

もちろん初対面だったが、彼女にはどこか不思議な魅力があった。
彼女の名前は近裏紀美野(ちかうら きみの)さんと言い、
都内で恋愛コーチやライフヒーラーの仕事をしており、
どこか上品ながら、心を安らげる人。

それに大きな魅力だったのは、
「昔どこかでいちど会った事がある人?」
と言う不思議な感覚を投げかけてくる事。

そんな流れで心が開放的になったのか。
俺は今の自分の悩みを全て彼女に打ち明けていた。

紀美野「あらまぁ、世の中の女性みんなに絶望していると?」

信夢「え、ええ。ハハ、こんな事、女のあんたに話す事でもないですけど、でも正直言ってそうなんです」

言いながら気づく。
女と話す事すら抵抗があったその時の俺なのに、
彼女に対してだけはなぜか別の姿勢を取れてしまう。

気持ちが素直になると言うか、
「彼女だけは他の女と違う…」
俺の妄想がそう思わせ、行動させる。

信夢「あなたはなんだか不思議な人ですね」

すると彼女は俺の悩みに応えてくれて、
その悩みを何とか解決してみよう…と持ちかけてきた。

信夢「え?コレ、なんですか…?」

紀美野「フフ、それは『One Way Ticket to Paradise』と言う、少し名前は長いですけど特製の心のサプリメントでして、栄養ドリンクの形で皆さんに愛用されている不思議な飲み物です」

紀美野「おそらく今あなたが持たれているそのお悩みは、そのドリンクを飲めば解消されるでしょうか。私はそう確信して居るのですが、まぁあなたの心次第。あなたが信じるならその救いはやってきて、信じなくてそれを飲まないなら、これまでと同じその生活に帰る事になるでしょう」

信夢「…は?」

紀美野「フフ、まぁこんなこと言われて信じられない気持ちもわかりますが、でもどうか信じてみて下さい。それは無料で差し上げますよ?いかがです?今のあなたにとって失うものは無いでしょう?だったら1度ぐらい試してみる価値はあると思いますが?」

やはり不思議な人だ。
他の人に言われたって絶対信じないような事でも、
彼女に言われると信じてしまう。
ふっとその気にさせられ、
俺はその場でそのドリンクを受け取り、一気に飲んでいた。

ト書き〈夢の世界へ〉

紀美野「フフ、よかった。私もあなたのお役に立てて何よりです。…じゃあ、そろそろ行きましょうか?」

信夢「ふぅ。…え?ど、どこへ行くって?」

俺がドリンクを飲み干した後、
彼女はいきなりそう言って俺の手を引き、店を出て、
見た事もない森の中へと連れて行った。
そこはかなりの郊外で、もちろん1度も来た事はなく、
これは直感だったが、なんだか不思議な空気が流れている場所…
そんなふうに思えた。

そして更に森奥へと彼女は俺を連れてズンズン入って行く。

信夢「ちょ、ちょっとどこまで行くんですか?ねぇ!」

俺は明日も仕事があったので少し焦り始め、
勝手に俺を連れて行こうとする彼女を窘めた。
でも彼女は…

紀美野「フフ、もうすぐそこですよ?それに明日の事を気にする必要はもうありません。今の事だけを見て、心をこちらへ集中させて下さい。…ほら、見えてきました」

「不思議な事を言うなぁ」と思いながら前を見ると…

信夢「え?…あ、あれ、なんですか?」

真っ暗だった森の奥に、
どこから来ているのか分からないスポットライトが当てられており、
そこだけとても明るく、その明るい中には草原が広がっていた。

信夢「…な、なんだここ…?こんな場所があったなんて…」

実に不思議な空間だ。

紀美野「どうぞこちらへ。あの草原の奥に家が建ってるでしょ?あれが今後のあなたの住まいとなる一軒家」

信夢「えぇ?」

紀美野「そしてほら、あの木の陰に誰か居ますよ?そう、あなたの伴侶となる人です。さぁどうぞ、ここからはあなた1人で行って、あなたと彼女の幸せを紡いで行くのです。どうぞその未来をあなたの手で勝ち取って下さい。私はここで邪魔にならないようにおいとま致しますので…」

信夢「ちょ、ちょっと待って下さいよ!僕は誰とも付き合う気は無いんですよ!あれもこの世の女でしょう!?どんなキッカケでどんな条件で付き合ったって、この世の女と付き合えば絶対裏切られてまた同じような目に遭う!」

信夢「俺はもうそんな事の繰り返しが大嫌いで、浮気したくもされたくもない!裏切りたくも裏切られたくもないんだ!あなた、さっき何聞いてたんですか!?」

彼女が余りに一方的だったので俺はつい怒ってしまい、
声を荒らげてそう言った。
でも彼女は…

紀美野「フフ、どうかお気を鎮めて下さい。あなたはこの世の女だから嫌なんでしょう?でもその心の正直は伴侶を求めている。これはさっきあのバーでも言われてましたよね?『蛇に誘惑されないエバ』実はあの木陰で座ってるあの人がそうなんですよ」

信夢「…はぁ?な、何言ってるん…」(遮るように紀美野が喋り出す)

紀美野「良いですか?まずは自分に正直になる事です。あなたはエデンの園を引き合いに出されましたが、私もその辺りの知識はあるんです。先程も言いましたが、あとはあなたが信じるかどうか、これに尽きます」

紀美野「信じて幸せを勝ち取ろうと思うなら、どうぞあの女性のそばへ行って下さい。でも信じたくないなら、今すぐ私があなたを現実の世界に戻しましょう。あなたの人生です。どうぞあなたがお決め下さい」

ここでも俺は彼女の魅力にやられて居たのだろうか。
又ふっとその気にさせられ、信じさせられ、
俺は木陰に座ってるその女性のそばに行ったのだ。

エヴァ「あ、信夢さん?来てくれたんですね!ずっと待ってました」

信夢「い、いや、あの…」

彼女はどうも俺の事を知ってたようだ。
もう全部が不思議の世界。
自分が今どこに居るのかもよく解らなかった。

でも俺は今、目の前の幸せを掴もうとして居る。
そしてその事は成った。

木陰に座って居た彼女の名前は文字通りのエヴァ。
エヴァはとても可愛らしくて綺麗な上、
本当にそれまで関わってきた俗世の全ての女を忘れさせる程、
何の穢れも無い女に見えた。

そして彼女とずっと居る内、
俺のそれまでの心も段々変わってきたのだ。
彼女なら一生、いや永遠に共に居られる。
彼女こそ、俺が心の中でずっと求めてきたその存在だ。

そう思えるようになり、
俺はそれからその楽園のような場所で彼女と2人、
ずっと暮らし続けて行った。

1日… 1週間…数ヶ月…1年…2年… 3年。
もうどれぐらい時が経ったのか分からない。

もちろん俺はもう会社にも行かず、
俗世間そのものから遠く離れたようになり、
時間を忘れ、とにかく彼女と一緒に過ごす。

ト書き〈トラブルからオチ〉

そして、あれからどれぐらい経った頃だろうか。
その楽園で俺の前に、別の女が現れたのだ。
これは不思議な現象だった。

そう、それまでその楽園は、俺とエヴァの2人きり。
俺達だけの楽園だったのに、そこに別の女が現れ、
何か侵略者に侵略されてゆくような、そんな奇妙な心も知った程。

でも俺は何を思ったか。
エヴァの目から隠れ、彼女が居ない時に
その新しく現れた女・イザベルという美貌の持ち主と
一夜を明かしてしまった。

俺とエヴァの2人だけながら、誰もそれを邪魔する者は無かった。
いや、それから少しした後だったが、1人だけ居た。

イザベルと暫く会うようになってから、
また夜にエヴァと2人で住むその家に帰ろうとした時…

紀美野「フフ、こんばんは。お久しぶりです」

信夢「はっ!?あ、あなたは…」

もう忘れかけていた存在。
紀美野がいきなり俺の背後から現れそう言ってきた。

紀美野「どうでしたか?彼女、エヴァさんは?1度もあなたを裏切る事なく、蛇にも誘惑されて居ませんでしたよ?」

信夢「い、いや、あの…」

紀美野「誘惑されたのは、あなたのほうでしたよね。蛇に誘惑されるアダム、あなたはそれを実践したんじゃありませんか?」

信夢「いや…その…」

紀美野「あなたに、ここに住む資格はもうありませんね?それはあなた自身がよく解ってる筈です。あの話を持ち出したあなたの知識が、今あなたの心を説得した筈です。そしてあなたは納得して居る。お帰りなさい。別に咎めはしません。あなたは元々、そう言う生き物なんですから…」

そして紀美野が指をパチンと鳴らした瞬間、俺の意識は一旦飛んだ。

(オチから信夢のアパートへ)

そして次に目が覚めたら、それまで住んでいた都内の自分のアパートに寝ていた。

信夢「…なんだ…夢だったのか…」

ト書き〈アパートを外から眺めながら〉

紀美野「フフ、いいえ。夢じゃないわ。あなたはこの現実で、あの楽園を体験したのよ?これで解ったでしょ?たとえエバが蛇に誘惑されなかったとしても、あなたが証明したように、同じ目に遭えばアダムも蛇に誘惑されていた?」

紀美野「もちろんそれも含めて、聖書にある以上の事を人が知る事は無いけれど、あなたは自分の欲深さ・罪のあり方を思い知った筈。決して他人の事をとやかく言える資格なんて無い。あの女性・イザベルは、あなたの欲望が造り出し、自分の元へ引き寄せた存在だったの」

紀美野「私は信夢の夢と欲望から生まれた生霊。自分がどれ程のものかを彼に教える為に現れた。信夢に必要なのは自分自身の罪への悔い改め。他人じゃなくて、自分を非難し、悔い改めるその心なのよ」

動画はこちら(^^♪
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