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さよならは沈む

タイトル:さよならは沈む

▼登場人物
●上木 翔(うえき しょう):男性。35歳。妻帯者。サラリーマン。浮気性。浮気相手は菜穂子(なほこ)。
●妻:34歳。翔の妻。一般的な貞淑な妻のイメージで。
●志奈尾 真素世(しなお ますよ):女性。30代。翔の夢と欲望から生まれた生霊。

▼場所設定
●上木宅:都内にある一般的なマンションのイメージで。
●カクテルバー:都内にあるお洒落なカクテルバー。真素世の行きつけ。

▼アイテム
●Chastity in reality:真素世が翔に勧める特製のサプリドリンク。現実での貞操観念が強くなる。でも効果は3カ月。
●錠剤:真素世が翔に勧める特製の錠剤。これは特定の相手に飲ませる。無味無臭。恐るべき効果を秘める。

NAは上木 翔でよろしくお願い致します。

イントロ〜

あなたはこれまでに浮気をしたことがありますか?
心の中の浮気まで数え挙げれば、おそらく誰にとっても何度か経験があり、
枚挙に暇がないほどキリがないものになるでしょうか。
でもいつしかそうした背徳が、この世ではマンネリ化しているようであり、
その罪の意識に疎くなっているところもあるかと思います。これは男女共に。
でも罪は罪であり、そのまま行けば必ず恐怖に出遭う事。
これを覚えなければならないと言うのを体感した、或る男性にまつわる不思議なお話。

メインシナリオ〜

ト書き〈カクテルバー〉

俺の名前は上木 翔(うえき しょう)。
今年35歳になる妻帯者。
早めに結婚したのが運の尽きだったのか、
他の女がよく見えて仕方がない。そう、俺は今浮気している。

翔「ふぅ、どうすればこの性格が治るのか…」

そう、一応、罪の意識は俺にあった。
でもそれが本当になかなか治せない。
そんな時、不思議な人に出会った。

真素世「フフ、お1人ですか?ご一緒しませんか?」

彼女の名前は志奈尾 真素世(しなお ますよ)さん。
都内で恋愛コーチやメンタルヒーラーの仕事をしていると言う。

でも彼女は何となく不思議な魅力の持ち主で、
「昔どこかでいちど会ったことのある人?」のような印象を漂わせ、
だからか心が開放的になり、今の自分の悩みを全部打ち明けさせられた。
これは不思議な体験だった。

浮気を辞めたい、悩みを一言で言えばそれである。

真素世「そうですか。でしたらこちらをどうぞ♪」

と言って彼女は液体薬を差し出した。

真素世「これは『Chastity in reality』と言う特性のサプリドリンクで、きっとあなたの役に立つでしょう」

真素世「但し、効果は3ヶ月。あなたはその3ヶ月の経験を生かし、自力でその性格を治す事に努め、奥さんとの明るい未来を手にするのです」

彼女はそう言って俺を嗜めてきた。
「結局その性格を直すかどうかはあなた次第」と言葉を添えて。

ト書き〈3ヶ月後〉

それから3カ月間、俺は本当にピュアになれ、1度も浮気しなかった。
これが当たり前なのだろうが、この時の俺にとっては奇跡的なもの。

「これも全てあの人のお陰なのか?」と思いつつ、
それでもやはり3ヶ月が経ってしまえば、俺の中に又、
「誰か他の人と恋がしたい…」なんて欲望が渦巻き始めた。

ト書き〈カクテルバー〉

でもせっかく治りかけていたのだからそれでは成らないと、
俺はどうしても救いを求め、又あのカクテルバーに駆け込んでいた。
あの彼女と会ったカクテルバー。

この時あの彼女、真素世さんに対するもう1つの魅力に俺は気付いた。
彼女に対してだけは、恋愛感情が全くわかない。

これも不思議な経験だったが、おそらく身内感覚、
あの「昔どこかでいちど会ったことのある人?」
と言うその感覚が俺をそうさせて、純粋なままで居させてくれたのかもしれない。

真素世「仕方がありません。ではこちらを試されますか?」

そう言って今度は錠剤を俺に差し出してきた。

真素世「この錠剤はあなたではなく、奥様に飲ませて下さい。無味無臭なので、コーヒーかお茶に混ぜて飲ませれば、きっと奥様は気づかないでしょう」

まさか毒薬!?と思ったがそうではないとはっきり彼女は言う。
また俺はそこで信じさせられ、彼女の言う通りにしようと思った。

真素世「良いですか?今度もし浮気をすれば、あなたは今の奥様を通して、その罪の代価を味わう事になります」

真素世「分かりますね?あなたの背徳行為は、奥様をも不幸に陥れると言うことです」

よく解らなかったが、俺はとりあえずうなずいた。
そしてもらった錠剤を、気づかれぬまま妻に飲ませた。

ト書き〈オチ〉

それから3ヶ月。また俺は浮気をせずに済んでいた。
でもまた前と同じで、それだけ月日が経てば刺激欲しさで浮気してしまった。

俺が浮気していた相手は同じ女。昔から交流があり、今となっては都合の良い女になってくれていた。
だから浮気を繰り返す事ができていたのだ。
そしてだからこそ、俺は浮気に身近だった。

浮気相手の女の名前は菜穂子(なほこ)。
いちど、菜穂子との浮気が妻にバレかけた事もあり、
それをごまかすのは結構大変だった。

だから妻は菜穂子の存在を一応知っていた。
俺はもう2度と浮気をしないと妻に誓っていたから、
妻もその点で安心していたのだ。
でも妻はこれまでの経過で、菜穂子の居場所を知っていた。

(夕食)

その日の夕食は豪勢だった。俺の大好きなミネストローネも食卓に並んでいた。

妻「さぁ召し上がれ」

妻はその日、いつになく上機嫌。
「いただきま〜す」とそのミネストローネを食べた時、
何か歯にカリッ!と硬いものが当たった。

翔「痛てッ!な、なんだこれ?!」

と口からその硬い物を出して見ると指輪。
「え…」俺はその指輪に見覚えがあった。
過去にふざけて「じゃぁ婚約指輪ちょうだいよ」
とねだってきた菜穂子にプレゼントしていたもの。

そしてふと、スープの中をスプーンでかき混ぜて見ると、
今度はそのスープの中から女の指が出てきた。

ト書き〈マンションを見上げながら〉

真素世「分かったかしら?自分にやってきたその悲惨な運命が。あなたは自分が愛して居たはずの奥さんですら、その罪によって不幸に陥れたのよ」

真素世「私は彼の夢と欲望から生まれた生霊。その夢の方だけを叶えてあげたかったのに、彼は欲望でその夢を殺した」

真素世「『それは奥さんの罪じゃない。あなたの罪なのよ』今あなたにはそう言ってあげたいわ…」

動画はこちら(^^♪
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