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クレーム

タイトル:(仮)クレーム

▼登場人物
●美澄加奈子(みすみ かなこ):女性。19歳。1人暮らしの女子大生。
●鳥谷俊也(とりたに しゅんや):男性。30歳。加奈子の隣の部屋に住んでる独身サラリーマン。気難しい性格で何かとうるさい。クレーマー。
●箱田幸三(はこた こうぞう):男性。60歳。アパートの大家。
●川上千鶴(かわかみ ちずる):女性。40歳。鳥谷の隣に住んでる。

▼場所設定
●某アパート:加奈子達が住んでいる都内のアパート。
●加奈子の部屋:一般的なイメージでOKです。
●大家の部屋:暖かそうな印象でお願いします。

NAは美澄加奈子でよろしくお願いいたします。
(文字数シナリオのみ:ト書き・記号含む=2993字)

イントロ〜

皆さんこんにちは。
皆さんは今実家住みですか?
それともアパートやマンション?
「我が家が1番」という言葉をよく聞きますが、
それは本当かもしれません。
アパートやマンションに住んでる方は、
くれぐれも用心するべき注意事項があるようです。

メインシナリオ〜

ト書き〈自分の部屋〉

私の名前は美澄加奈子。
今年19歳になる女子大生。

私が今住んでるのは都内のアパートで、
ここへ引っ越してきてまだ間もない。

やっと一人暮らしできたーなんて喜んでた私だが、
今早速、新たなトラブルに出くわしている。

それは…

鳥谷「オイうっせぇぞ!静かにしろよ!」

隣に住んでる鳥谷さんとの関係。

鳥谷さんは30代の独身男性で、
とても神経質なのか、ちょっとした物音に凄く敏感で、
部屋でうるさくしてるとすぐ文句を言ってくる。

加奈子「すみません、すみません!」

隣ながらドアを出るとすぐに鉢合わせ。
顔を合わすたび私は謝ってばかりだった。

鳥谷「ふん!」

そう言って謝る私を尻目に、
鳥谷さんはいつも不機嫌に立ち去る。

別にそれ以上何かしてくるでもなかったから
私はとりあえず「こうして謝っときゃ良いか」
なんて構えていたのだが、でも…

加奈子「最近はそんなにうるさくしてないのになぁ」

なんて腑に落ちない所も確かにあった。

確かにこれまで私は友達を家に呼び、
朝までドンチャン騒ぎなんて事もしていたが、
最近はもうずっとそんな事はしていない。

それどころか鳥谷さんの事が気になって、
日常生活でも厳かに、物音立てず
静かに歩き回っているようなそんな生活だ。

加奈子「こんなに静かにしてるのにうるさいだなんて…」

なんでそんな執拗に言ってくるのかよく解らなかったが、
とりあえず私はそれを難癖と受け取り、
ここの大家さんに相談しに行った。

(大家の部屋)

箱田「おお、そうでしたか。いやぁあの鳥谷さんって人はあなただけじゃなく、他の人にもいろいろクレームをつけて困らせてるんですよ」

加奈子「え、そうだったんですか?」

箱田「ええ。だからそろそろその事をあの人に言って、立ち退いて貰おうかなぁなんて事も考えてんです」

やっぱり鳥谷さんはクレーマーだった。
いろんな人にそんな事を言って相手を困らせ、
きっとその成果をあとで楽しんでるんだ。

(また1人部屋で)

加奈子「冗談じゃないわ!なんで私の生活があんな人に脅かされなきゃなんないのよ!」

その日から私は強気に出た。

もう静かに部屋の中を歩き回る…なんて事はしない。
当たり前の生活を送る上、また普段の生活を取り戻そう…
変な気構えだけど、そんな調子で私は又
自分本来の生活を送るようにして行った。

まぁただ迷惑になるような事は一切せず、
騒音を立てないように一応は配慮して、
生活音レベルなら大丈夫だと自分に言い聞かせて行く。

加奈子「部屋を歩く時の音とか、レンチンの音とか、料理の音とか、そんなの全部生活音じゃない。人が生活してたらそんな音ぐらい当たり前に出るわよ!」

もう変な遠慮はしない、

確かに実家に住んでた頃は
こんなトラブルもなかったが、
これもアパートやマンションに
住む時の鉄則とも言うべきものか。

一人暮らしを始めれば、こんな宿命が誰にでも付いてくる。

(ある夜)

それから2日後の真夜中の事だった。

その日は仕事疲れでクタクタになっており、
私は部屋に帰ってお風呂に入り、
ご飯も食べずにそのままベッドへバタンキュー。

加奈子「はぁ〜疲れたぁ〜、うーん眠い…ムニュムニュ…」

そんな感じですぐ眠りについた。

でも寝てからすぐに目が覚めて、
喉が渇いてる事に気づき、ベッド横のテーブルに
置いていた麦茶を手に取って飲もうとした。

その時…

ガシャアアン!!

加奈子「キャッ!しまった…」

寝ぼけ眼で取ったグラスが手から落ち、
床に粉々に砕け散って割れてしまった。

加奈子「あちゃあ〜、やってしまった…」

(壁を蹴る音)

その直後、
ドン!ドーン!!と壁を蹴ってくる音がした。

加奈子「キャッ!」

まただ。
あの鳥谷さんが激怒して隣の部屋から壁を蹴ってきている。

実は、こんな事はこれまでに何度もあった。

特に夜中。
夜中に物音を立てたり何かを割ってしまったり、
変な音を立ててしまうと速攻で怒って壁を蹴ってくる。

いつもは「うるせえ!」なんて
蹴った後に怒鳴ってくるのだが、
その日は何度も叫ぶのに愛想が尽きたのか。
怒鳴ってはこなかった。

加奈子「ひぃぃん、こわいよぉ」

やっぱり私も女。
誰もいない夜中にこんな風に
責め立てられたりするとやっぱり怖い。

ト書き〈翌日〉

箱田「そうでしたか、昨日も…」

加奈子「もうホントにどうにかして下さいよあの人!ちょっと物音を立てただけでメッチャ怒ってくるんですから!何も壁まで蹴らなくたって良いと思いません?」

箱田「おぉ、そうですよねぇ可哀想に。まぁどうぞお茶でも飲んで気を落ち着けて。私が何とかしますから。何か困った事があったらいつでも私に言ってきて下さい」

大家の箱田さんはいつも優しい。
私がそうやって悩み相談に行く度に
優しく包み込むように慰めてくれる。

ト書き〈トラブル〉

そして又その翌日の真夜中。
トイレの水を流したのに反応したのか、
それをうるさいと感じた鳥谷さんはまた壁を蹴ってきた。

加奈子「ちょっとホントもうイイ加減にしてよね!」

幾ら何でもトイレの水がうるさいなんて言われたら
生活なんて出来やしない!

でも夜中に鳥谷さんの部屋に行くのはさすがに怖かったから、
朝になるのを待ち、
それから反論しに鳥谷さんの部屋まで行った。

でもドアが閉まってる。
更に中には誰も居ないようなそんな気配?

そのお隣の川上さんが出てきて私に教えてくれた。

「鳥谷さんは4日前から旅行に出かけている」と。

解説〜

クレーマーの鳥谷にずっと悩まされていた加奈子。

生活音がうるさいと隣の部屋から壁を蹴り、
蹴った後には必ず「うるせぇ!」と怒鳴っていた様子。

自分の方がうるさいのに関わらず、
まさに自分本位・自己中心的なとんだクレーマーですよね。

でもラストの場面から3日前の夜に
加奈子はグラスを割って壁を蹴られていましたが、
その時いつもの怒鳴り声は聞こえませんでした。

そう、ここに今回の意味怖ヒントがあったのです。

そのいつもと違った理由はラストの場面でリンクします。

「鳥谷さんは4日前から旅行に出かけている」

川上さんのこのセリフから分かるのは、
壁を蹴られたその夜、鳥谷には部屋に居なかったと言う事。
旅行に出かけてるのだから当然ですよね。

つまり壁を蹴った人物は別人で、
そいつは鳥谷と入れ替わっていたのです。
その正体は大家の箱田でした。

部屋にはマスターキーを使って簡単に入れます。

なぜこのような事をしたのかと言えば、
それはストーリー中の展開で解る人には解ったでしょうが、
箱田が代理ミュンヒハウゼン症候群だったからです。

これは特定の相手を傷つけて、他人の目を意識した上、
その相手を介護する事に幸せを感じる障害です。

つまり加奈子がそんなクレームに悩まされているのを知り、
それを利用してもっと加奈子を悩ませ、
加奈子が自分の所に相談に来るのを待っていたのです。

箱田が加奈子に対し妙に優しかったのはその為。

だから問題は解決されず
ずっとそのままの状況にあり、
加奈子は悩み続けなきゃならなかった訳です。

箱田にその問題を解決する気など、
さらさら無かったでしょう。

知らない内に二重苦を味わわされて居た加奈子。

真相を知れば怒りを通り越し、
恐怖を覚えたかもしれませんね。

動画はこちら(^^♪
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