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重なり合う世界。

「 唯一無二 」
そうとしか表現のできない存在

お互いに何を考え、感じているのかがわかる
なんなのだろうこの感覚は

今まで誰とも理解しえなかった繊細な部分
心を通わせあえることの幸せ

魂が震える
そんな人が本当に存在した…この私に

✴︎

私と彼が実際に顔を合わせる事になるのは
イベントの少し後

彼の研究室へ呼ばれた娘に付き添う形で、この時初めて顔を合わせ、言葉を交わす事になる

それまでの間に
娘にどういう流れでこうなって?
事実なの…?と聞くほかない私

「わからないけど、多分そう。声をかけられたから断れない」

そう話す娘自身も、母である私も

なにか、有無を言わせないような猛烈な勢いの後押し、というようなものに背中を押され続けるがまま進むしかなかったし、もちろんこの時思考は全くおいついていなかった

娘が実際に、本当に目をかけてもらえたとして。個人で習いたい、習わせてもらえることになったとして

それは娘自身のこれから先の未来=音楽の道へ進む事を指すことでもあり

音楽の道って、正気?
好きなことだけで進めるほど甘くない
そもそもそんな余裕なんかないのわかってるよね?

イベント時は参加生徒数も多く、皆と一緒に全体の中で彼から指導を受けていたわけで
一対一での会話も少ししかなかったらしい

「もっと上手な子は沢山いた」
なぜ私が声をかけられたのかはわからないと言う

音楽(ここではクラシックに限定)に携わり仕事としている人なんて、裕福な生まれと恵まれた人達で、表現者=感性で生きてるから諸々普通の感覚じゃない(私達から見ていた世界。それは今でもさほど変わらない事実だと思う。)

実際に当時娘2人ともピアノとバレエを習っていたけれど、その先生方もまさにそうで。

多くの人は私と同じ感覚だと思うのだけれど、本気の音楽や芸術、そこに関わる人はわたし達とは別の世界の住人だとはっきりと認識していた。

当時、自己肯定感がマイナスだった私達は
どうせ彼の一時の思いつき、暇つぶし、冷やかしなんだろう、そんな疑心に覆われながらも

その一方で、泥の中で溺れているところに射し込んだ天の梯子みたいな、導く光、蜘蛛の糸のようにも感じていた

✴︎

娘自身が彼とやり取りをしていたけれど
なにせ音楽しか興味のない世間知らずの中学生

そもそも彼とやり取り、意思疎通できているのか?それに有名な学校、強豪校でもない娘が見出される?とか本当にそんなことあり得る?

諸々の不安や疑念の中、保護者として実際に伺う前の挨拶として私からメールを送ることにした

内容は、イベント時の指導の御礼と最終日にあった発表演奏の感想。そして今回本当に娘が伺ってもいいのか、声をかけていただいた事は誰かと間違えていないでしょうか、そういったことだったと思う(最初から失礼&疑い全開だな…と今更思う。苦笑)

返事がくるのかもあやしいと思っていたし、それならそれで信頼できないとも思ったし

返事がきたとして、定型文的な社交辞令な返事が短くくるのだろう、なんて思っていた

すると彼からきた返事は予想に反して
美しく丁寧で、こんなにも真摯で、繊細に連なった言葉を受け取ったのは初めてだった

開いて読み進める内に、気づいたら内側から込み上げたのか、涙が溢れて胸が苦しくなっていた

なんなのこれ
なんなのこの感覚

あなたは一体なに…?

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