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料理初心者の僕が弁当男子になった理由

食に全く興味がなかった

僕の彼女は「食」関係に強い。栄養系の大学を出ていることもあり、知識量がふつうの人に比べると圧倒的だ。

正直にいうと、彼女との同棲が決まってから料理とかキッチン周りは全て彼女に任せようと思っていた。が、それが幻想だと知るのはそう遠くなかった。

いかんせん、僕は食に全く興味のない人間だった。高校時代はランチ代を切り詰めて書籍代にあてたり、一人暮らしを始めた大学生のときはいかに食費を切り詰められるかチャレンジに奮闘していたりした。

彼女とは食の考え方の違いで衝突を起こすことが何度もあった。彼女は美味しいごはんにはお金を使うのが当たり前だと考え、僕はできるだけ食費を抑えて(それなりに)美味しい食事ができたら満足だと考えていた。

そんな2人がスーパーで一緒に買い物すると何が起きるかというと、お察しの通り。彼女が(あくまで僕の感覚からみてだが)高価な食材を手に取ると「それ買うの?」と僕が横から茶々を入れてしまい、彼女の気を悪くさせてしまうのだった。気を悪くした彼女から「今夜は個食にしよう」と打診されたことは数え切れない。

そして、僕は料理を始めた

これまで人生でチャーハンと焼きそばしか作ったことがない男が、大抵の料理を感覚で作れちゃう彼女と食について話が合う訳がないと気づいたのは、同棲して2ヶ月が経った頃だった。

僕は料理を始めた。彼女の気持ちを理解するために。

言い訳はできない状況だった。というのも、家にはフライパンや鍋などの料理器具は揃っているし、調味料の類もなんでも用意されている。アレがないから作れないといったことはほぼない。作る意志さえあれば、なんでも作れる恵まれた環境だった。

それに、料理中はヘルプを出せば近くにいる彼女がサポートをしてくれた(最近はあんまりしてくれなくなったが)。手順が分からなくて挫折することはなく、果敢に料理に取り組める。これは一人暮らしのときとは大きく違うことだった。

彼女は僕がどんな料理を作っても「おいしい」といって食べてくれる(彼女曰く、「本当においしいからそう言っている」とのこと)。好きな人に褒められると、また次に作るモチベーションに繋がる。そうして一人暮らしだと作らなかったポテトサラダや麻婆豆腐が僕のレパートリーに追加されていった。

コンビニに食べたいものがない

料理をするようになって、だんだん考え方が変わってきた。

食べ物を提供する人のこと、食材を作っている作り手のこと、食べ物の栄養のこと、食文化のこと、食器のこと、などに想いを馳せるようになっていった。

そういう事情も関係してか、ここ最近コンビニに行っても食べたいものが見つからずに5分くらい立ち往生することがよくあった。平日の昼食は近くのお店でランチか、コンビニで弁当やパンを買うのが常だった。

この「昼食何食べるか問題」にはしばらく頭を悩ませていたのだが、その解決策がお弁当にあると閃いた。

早速、僕はお弁当を作って会社に持っていくようになった。まだ要領が掴めなくて、おかずは冷凍食品に頼っている状況ではあるけれど、僕にしては大きな変化だった。僕は朝に強い方なので、いずれは朝が弱い彼女の分のお弁当も一緒に用意しようかなと画策している。

衣食住を大きく占める食のこと。これまで考えて来なかった分、僕にはまだまだまだ伸びしろが残ってる。幸い、料理雑誌は家に無数に置いてある(彼女は料理系の出版社に勤めている)。勉強できる環境は十分整っている。言い訳はできない。


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