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スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?

スターバックスはなぜ値下げもテレビCMもしないのに強いブランドでいられるのか?
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1990年以前に成人した米国人にとって、コーヒーは眠気覚ましに飲む程度の物でした。
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そんな中、1971年に3人の米国人によってヨーロピアンスタイルのコーヒーを提供する「スターバックス」を設立しました。
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スターバックスの魅力に取りつかれたハワード・シュルツ(後のスターバックスCEO)は、スターバックスのマーケティングと営業責任者になりましたが、その後独立し「イル・ジョルナーレ」というエスプレッソカフェを始めました。
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そこから1年も経たずにスターバックスを買収し、今では世界40ヵ国以上に11000店舗を構えるほどに成長しています。
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スターバックスのビジネスを築き、スターバックスというブランドを築いたものがルールです。
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本書では、スターバックスの46のルールについて紹介されています。
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●マーケティング&ブランディング
・商品ではなく体験を売る
・ニーズではなくウォンツを満たす
・自分たちのこだわりには時間もお金も惜しまない(深煎りコーヒー)

スターバックスは、豆からカップ1杯のコーヒーになるまでのストーリーを、商品パッケージやパンフレット、店内ポスター、セミナーの開催で伝えています。

スターバックスのマーケティングでは、ありのままのストーリーを伝えています。しかし、作り話の表面的な宣伝をする企業もあります。これは消費者に話を聞くとわかるそうです。

ありのままのストーリーを聞いていれば、その人は製品やサービスについて語ります。作り話を聞いた人は、CMについて語ります。
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【価格戦略】
低価格戦略をとっている企業のひとつに、米国大手スーパーマーケットチェーンのウォルマートがあります。米国の消費者1人あたりの支出の8%近くを占め、93%の世帯が過去1年間に商品を購入しているほどです。
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しかし、スターバックスは低価格戦略とは真逆の戦略をとっています。実はスターバックスが販売するドリンクには90%以上の十分な利幅があるので、顧客の体験に力を入れることができています。
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低価格戦略をとった企業は、価格こそがお客様へのアピールになるので、専らコスト削減に従事するしかなくなりますし、1度低価格にすると、上げることが難しくなります。
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スターバックスは、初めて来店したお客様に最高の1杯を提供する(体験)ことに専念しているので、バリスタがエスプレッソを1杯1杯作っていた頃は、抽出時間が18〜23秒以内に収まらないと破棄していたそうです。それほど1回の手違いでお客様が離れるとこを知ってるといことです。
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【売り上げを伸ばす3つの方法】
①新規顧客を獲得する
スターバックスは毎年、総顧客数1/4にあたる新規顧客を獲得しています。今まで1度もスターバックスで商品を購入したことのない人は、スターバックスのオープニングイベントやテイスティングサービス、口コミで知ったそうです。スターバックスは、足を運ぶきっかけになるよう、コーヒーの苦手な人のためにアイスティーベースのドリンクや、フラペチーノなども多数揃えています。
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②既存の顧客にもっと多く、もっと頻繁に購入してもらう
多くの企業では、巨額を投じて広告キャンペーンを展開していますが、この予算が尽きると、広告が打てなくなってしまいます。
スターバックスには、週に4000万人、1人あたり平均6回来店しています。その理由は、スターバックスが来店した顧客のために、新製品のテイスティングやイベントを実施しているからです。
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③価格を高めに設定する
スターバックスの客単価は平均4ドル弱で、経費の増加を相殺するために2〜3年おきに5セントずつ値上げしています。特に、新製品は期間限定のプロモーション用なので、高めの価格設定をするそうです。
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以上をまとめると、
・新規顧客の獲得
・既存客の購買意欲への働きかけ
・高めの価格設定
焦点を絞ることで販売戦略は単純化できます。
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【最大よりも最高】
スターバックスの店舗展開は、出店する度に1店舗目を展開する気持ちで行われてきました。スターバックスは最大のコーヒー企業になりたいのではなく、最高のコーヒー企業を目指しています。
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「最高になるから、結果として規模が最大になる」という考え方です。
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これはいろんなところに応用が効きそうです。目の前のことにベストを尽くしていけば、結果的1番良い状態になるので、細かいことろを手を抜かないことがポイントだと思いました。
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【特徴ではなく効用を】
マーティングの入門講座では、「商品を宣伝するときは、機能ではなく特徴を伝えることに焦点を置きなさい」と習います。
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例えば、通信無線LAN機能の付いたノートPCを宣伝する場合、機能だけを宣伝すると商品についてばかり説明することになります。そうではなく、無線LAN付きのノートPCの特徴は、インターネットにコードレスで接続できることであり、宣伝はそのことを強調しなさいというわけです。
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しかしスターバックスは、さらにその先、特徴から得られる効用を伝えることに専念しています。ここでいう効用とは、使用体験から得られる感情などを指します。つまり、その製品を使用するとどんなメリットがあるのか、さらにはどんな感情になるのかを伝えるとよいということだと思います。
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●サービス
【親切であれ、清潔であれ】
スターバックスの熱狂的なファンを生み出した重要な要素は、上質なコーヒーではなく、親切なバリスタと清潔な店舗です。この結果は、社内調査で何度も得られているそうです。
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つまり、何かを提供したければ、あなたの人間性を磨きなさいということだと思います。人間は、物が良いだけでは行動しません。心を動かされた時に行動するので、接客が1番にきている点は納得です。僕も、あの店は接客がいいからって理由で行くこともありますし、スターバックスは接客が良い印象を持っています。
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●人材育成
【スターバックスの文化】
無批判に会社に従わせる環境を助長する企業があり、そういった企業は人を育てることではなく、操り人形にしようとすることもあります。
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一方スターバックスのパートナーにとって、会社は目的を達成する手段ではなく、いい人生を勝ち取るための手段です。
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こうした社内文化が浸透し、現在でも維持されている理由は3つあるそうです。
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1つ目は、「世界中のコーヒーの飲み方、味わい方、コーヒーにまつわる体験を変える」という共通のビジョンを持っているため。
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2つ目は、社員同士の交流を奨励しているため。
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3つ目は、適材確保/迅速解雇をしているため。向いている人材には時間をかけ、向いてないと判断された場合は迅速に解雇します。解雇する理由は、やる気がなかったり態度が悪いと、他の従業員に伝染するためです。
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3つ目ができる企業はあまりないと思います。心理学でも、人間は隣にいる人間に良くも悪くも影響を受けると証明されているので、注意して改善されない、もしくは接客が向いてない場合は、辞めていただくのは適切な判断だと思いました。
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【待遇】
スターバックスは、従業員をパートナーと呼びます。お客様との大事な繋がりを作るのはパートナーということを理解しているからです。製品は真似をできても、働く人は真似をできない、そんな理由から人材育成や人材確保には力を入れている企業のひとつです。
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会社は人で成り立っていて、自分の仕事に満足している人がいる会社は成功します。そこでスターバックスでは、従業員にそれぞれの基本給に応じた自社株購入権が与えることで、自社の成長や成功に興味を持ってもらうよう取り組んでいます。とても従業員を大切にする企業という印象を持ちました。
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スターバックスが好きで通われている方はぜひ読んでもらうと、さらにスターバックスが好きになると思います。

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