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ストーリーを伝えよう。~古いものを守るということ~

古いものを守りたいと1口に言っても、その方法は沢山あると思う。

①発見する
②研究する
③発信する
④購入・使用する
⑤修理・リメイクする

実際に作る立場ではなく、消費者としての行動のみに絞ると、ざっくりこの5つに分けられるだろう。
①②は大学時代に特に力を入れて取り組み、③にも取り組んではいたが、形になるまでやりきることは出来なかった。
④は好みのものであったり、実際に生活で使うものであれは買うと言った具合で、新しいものの方が使い易ければ新しいものを購入している。
⑤はまだ未知の世界であるが、最近では金継ぎなど興味のある分野もでてきた。

古いものがなぜ古いものになるのか。当たり前の答えではあるが、機能性やデザイン性、手入れのしやすさ、コスパの良さなどを上回る新しいものがどんどん作られているからだ。それはもちろん世の中が便利になり、住み良くなるには必要なことで、決して悪いことではない。
高度経済成長により、数えきれない程の物事が変化してきた。そのあまりのスピード感に、変化していった物たちの”歴史”や”ストーリー”といった、側面が置き去りにされてきたように思う。
近年ではその反動からか、老若男女問わずその商品の”ストーリー”を求める消費者も増えてきているとよく耳にする。

去年、卒業論文の資料の1つとして200人に対してアンケートを実施した。その中で、

「商品に”職人さんか一つ一つ手作りしています”という文章が添えられていたら、購買意欲は増しますか?」

という質問をした。その回答結果は、増すと答えた人が約60%、変わらないと答えた人は約40%だった。回答者は同年代が半数以上であったことから、若年層も商品のストーリーに興味があることが分かった。

また、「ご自身の出身県の伝統工芸品を知っていますか?」という問いには、知らないと答えた人が5割であったが、知っていると回答した人の割合は圧倒的に若年層が多いという結果だった。

その他にも、学校で学ぶ機会があったと答えた若年層も多く、教育的には日本の文化や工芸品を知る機会が増えてきていることが分かった。

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これらのことから、商品にその商品のストーリーを添えるというのは、消費者に①発見させ、④購入・使用を促す最適な販促方法だと考えられる。そして、口コミによる②発信まで促すことが出来れば、その商品の売上を伸ばすサイクルを作りやすくなるように思う。

現在私は、広報の仕事をしており自社のことはもちろんのこと、京都の情報(寺社・カフェ・イベント...etc)を発信する事に重きを置いている。商品を製造販売する立場ではあるが、日本のものづくりを伝えていくために消費者の目線にたって商品を発信していけたらと思っている。

コロナ禍の只中である今、店頭でのストーリー発信は正直難しい部分もある。しかし、現在ではインターネットやSNSなど非常に様々な手段を選ぶことが出来る。

今こそ日本全国のものづくりに携わる方々は心を込めて作っている大切な商品のストーリーを発信し、消費者に発見してもらういい機会ではないのだろうか。日本全体が一丸となって、ものづくりを守り伝えて行くことが出来ればと心から願っている。

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ヘッダーの写真は、とある工房を訪れた時にお話した職人さんの手です。一つ一つの手の動きが流れるようで見入ってしまいます。職人さんの手はふかふかで、包み込まれるよう...。


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