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【真言宗立教開宗1200年記念特別拝観・東寺のすべて】タイで見た仏教と密教とヒンドゥー教のあれこれ
京都・東寺(真言宗総本山 教王護国寺)で2023年10月9日から10月31日まで開催中の真言宗立教開宗1200年記念特別拝観【東寺のすべて】に行ってきました。
![京都・東寺(真言宗総本山 教王護国寺)で2023年10月9日から10月31日まで開催中の【東寺のすべて】のパンプレットには真言宗立教開宗1200年記念特別拝観と普段は非公開の仏像や曼荼羅などが掲載されています。](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/118635052/picture_pc_4fb474ee15bac48df21c746a498dff41.jpg?width=1200)
特別拝観の時にしか公開しないお堂や曼荼羅図などがあり、とても興奮しました!
タイとは異なり、日本のお寺はどこもかしこも撮影禁止なのでテキストが多くなることをお許しください。
両界曼荼羅とはなんぞや
講堂の立体曼荼羅、宝物館の両界曼荼羅図は鳥肌が立つほど素晴らしかったです。
![京都・東寺(真言宗総本山 教王護国寺)で2023年10月9日から10月31日まで開催中の【東寺のすべて】の拝観できる講堂は釘を使わず組み立てられた大きなお堂で屋根が複雑な作りになっています。](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/118676528/picture_pc_3673ce130debab192ae131868979f116.jpg?width=1200)
パッカーンと明るいタイの寺院とは異なり、日本の寺院はひんやりと薄暗いお堂の中に仏像が祀られているため、より畏怖を覚えます。
そもそも両界曼荼羅とは何なんや?については色んな解説を読んでもイマイチよく分からない、というのが本音です。
ざっくりと説明すると、金剛界(こんごうかい)曼荼羅と胎蔵界(たいぞうかい)曼荼羅をセットにしたもので、金剛界は悟りへの道筋を表し、胎蔵界は慈悲の広がりを表すとされています。
そして各主要メンバーは大日如来の化身らしい。
この【アバター】の要素もヒンドゥー教由来なんだろうな。
ただ、個人的にはこちらの記事を読んで、腑に落ちてる感じです。
密教でも【みな等しく救う】という仏教の本質は同じ。
世の中のものは全て、極限まで小さくしたら素粒子やねんから等しいよなって思ってます。
私も、猫も、机も、一緒。
地球上のモノ・コトは素粒子からできていてみんな平等なんやで、という宇宙の理についてを現しているのが曼荼羅なんじゃね?
と勝手に解釈してます。
乱暴だけど。
ぜひ曼荼羅好きの彼女に両界曼荼羅図の解説記事を書いて頂きたい!
密教で使う法具のこと
今回の特別展では、東寺のシンボルでもある五重塔の最下層も公開されていたのですが、こちらには柱や壁、天井にもびっしりと鮮やかな絵が描かれています。
経年劣化で色褪せたり、消えてしまっている部分もあるとはいえ、圧巻でした。
![京都・東寺(真言宗総本山 教王護国寺)で2023年10月9日から10月31日まで開催中の【東寺のすべて】では普段非公開の五重塔の1階部分が公開されています。京都・東寺の五重塔は平屋のお家が5段重なったような構造で屋根が5段あるように見える高い塔です。](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/118676619/picture_pc_29f95767f957c9ef0178ae95777c9453.jpg?width=1200)
京都に来たなぁと感じるものNo. 1
真ん中の柱を大日如来とし、ここでも立体曼荼羅が展開されています。
で、ここで一番気になったのが、密教で使われている法具がたくさん描かれていたことです。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/118642375/picture_pc_04dfe6b3bf46854f347bae375dadb926.png?width=1200)
【金剛杵(こんごうしょ)】という法具なんですが、サンスクリット語で「ヴァジュラ」といい、もともとは古代インドの神々が持つ武器でした。
この武器を「煩悩を打ち払う菩提心」のシンボルとして、密教法具に取り入れました。
この法具はガネーシャが持っているのをよく見ます。
![東寺は密教のお寺です。密教ではさまざまな法具を使用するのですが、そのうち先が3本の鉾のようになっているものがあります。色は金色です。](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/118645132/picture_pc_48ca5f431c33e7ebdf9ab31236b7d13b.jpg?width=1200)
武器持ちがち。
インド密教がヒンドゥー教の要素を適度に取り入れてうまくやっていこうぜ!のつもりがヒンドゥー教との明確な違いが曖昧になって廃れてしまった一方で、中国に渡り、そして日本にやってきたことがよく分かりますね。
印相の宝庫・立体曼荼羅
タイではそんなに印相(ムドラ)が重視されている印象はありません。
というのも、メインで祀られている仏像は降魔印のものがほとんどだからです。
あっても5つくらいだと思います。
![上座部仏教のタイでは仏像の手の形はあまり種類がありません。印相という手の形で言いたいことを表したり出来事を伝えるものが仏像にはあります。](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/118647704/picture_pc_496de505b1fe946e0d642ac38242bb93.jpg?width=1200)
こちらを読んて頂ければ分かるのですが、密教で印相が多いのもインドの影響のようです。
立体曼荼羅は印相の宝庫なので、言葉を発さない代わりに印相で語る仏像達をぜひご覧頂きたいです。
ガルーダもおりますえ
観智院(かんちいん)は客殿にある日本庭園や建築をじっくりと拝観できます。
客殿南側の枯れ山水の庭は、唐から帰朝する際に遭難しかけた空海が法具を海に投げると海神が現れ、海が静まったという様子などを表現しているそうです。
![京都・東寺(真言宗総本山 教王護国寺)で2023年10月9日から10月31日まで開催中の【東寺のすべて】で公開中の観智院には白い砂利が敷き詰められた中に島のように木や苔を植えている枯山水という庭があります。砂利は鋤で波を表現していて、木々は日本を表しているそうです。](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/118664243/picture_pc_8fd1d1968a3ab6d24c35b90d2a2aebf5.jpg?width=1200)
![京都・東寺(真言宗総本山 教王護国寺)で2023年10月9日から10月31日まで開催中の【東寺のすべて】で公開中の講堂はいくつもの部屋があり、その前には廊下があります。古い日本家屋の造りで木造建築です。](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/118664244/picture_pc_9401814f8d28b2337b1f1053ed12a70c.jpg?width=1200)
![京都・東寺(真言宗総本山 教王護国寺)で2023年10月9日から10月31日まで開催中の【東寺のすべて】で公開中の講堂の日本家屋は小さな庭を囲むように造られています。その庭は小さいですが四方どこから見ても正面になるように設計されています。](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/118664246/picture_pc_85401c0005bb232cbc11a7e0e6f78648.jpg?width=1200)
この中に、【五大虚空蔵菩薩坐像(ごだいこくうぞうぼさつざぞう)】が祀られています。
これがなかなか面白くて5体の仏像が獅子、象、馬、孔雀、迦楼羅(がるら)に乗っています。
ここも例によって写真は撮れないのですが、500円の喜捨で【五大虚空蔵菩薩坐像御影】が頂けましたのでご覧ください。
![京都・東寺(真言宗総本山 教王護国寺)で2023年10月9日から10月31日まで開催中の【東寺のすべて】で公開中の講堂では五大虚空菩薩坐像があり、500円でA5程度の大きさのお札のようなものがもらえます。そこには五大虚空蔵菩薩坐像の絵が黒色で描かれています。真ん中に東寺の印が赤で押されています。](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/118664687/picture_pc_98814763524ed91b109baaa0de02f434.jpg?width=1200)
このうち右上が迦楼羅、つまりガルーダに乗っていらっしゃいます。
ガルーダはヒンドゥー教ではヴィシュヌ神の乗り物です。
タイでは切妻部分の装飾でよく見られます。
![菩薩が乗っているガルーダはタイの寺院でもよく見られ、人間と鳥が混じったような形をしています。屋根の装飾に使われていることが多いモチーフです。](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/118665225/picture_pc_c8f5dd9dcd56146607469aed18e1f2d4.jpg?width=1200)
持っています。
これらの仏像は中国からやってきたそうで、このように鳥獣に乗っているものは珍しいとのこと。
あまりに珍しいので比較対象が無く、年代が正確に分かっていないというのも面白い話です。
考古学研究の難しさをよくあらわしていますね。
象も日本にはいない頃の話なので、当時の人達はどんな思いでこれらの動物を見てたのかな?
と思いを馳せます。
土門拳の写真がすごい
写真家・土門拳の東寺写真展も同時開催されているのですが、これが見応え抜群です。
究極のリアリティと言いましょうか、仏像が生きているかのようなんですよね。
頬を触ればふわんとしているんじゃないかという錯覚におそわれます。
ご本人も、毛穴が見えるくらいで撮る、とおっしゃっているので納得です。
力強さの中にも色気があり、肉眼で見たあの仏像をこう撮るか!と、純粋に感動してしまいました。
空海から最澄にあてた手紙
私は、おかざき真理さんの漫画【阿・吽】を全巻持っていて、作中では空海の文字が生きているような表現がたくさん出てきます。
今回の展示の中でも楽しみにしていたもののひとつが空海から最澄にあてた手紙・風信帖(ふうしんじょう)
![京都・東寺(真言宗総本山 教王護国寺)で2023年10月9日から10月31日まで開催中の【東寺のすべて】で公開中の空海から最澄にあてた手紙が展示されています。風信帖は手紙の始まりが風信という言葉なので風信帖と呼ばれています。](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/118651526/picture_pc_5a2efd90f01a32d074612955993200a3.png?width=1200)
私は書に明るくないのですが、思っていたより柔らかく濃淡のリズムのあるさざなみのような美しい書体でした。
空海はバイタリティ溢れた頭の切れるやり手だったから、もっと力強い字体なのかなと想像していたので意外でした。
簡単に行き来できない時代ですから、書体でどんな人かを想像していたのかも。
僧侶でありながら軍師のような智慧も持っていた空海なら、敢えて柔和な書体で良いイメージを与える戦略もあったのかも、と天邪鬼な私は思ってしまうのです。
この特別展は期間が短いので、関西にお越しになられる際にはぜひお立ち寄り頂きたいです。
真言宗立教開宗1200年記念とあって、気合が入ってます。
パンフレット自体が拝観券になっていて、拝観スタンプを押してもらえます。(別に何ももらえないですけど笑)
![京都・東寺(真言宗総本山 教王護国寺)で2023年10月9日から10月31日まで開催中の【東寺のすべて】ではパンプレットがチケット代わりになっていて裏面にスタンプを押すところがあります。黒・赤・青・緑・紫のスタンプを各拝観スポットで押してもらえます。](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/118666562/picture_pc_6c84fd1774897ffebdcea7176221dad7.jpg?width=1200)
御朱印を集めていらっしゃる方は、最後の食堂(じきどう)で頂けますので、御朱印帳を忘れずに。
詳しくはこちらをご覧ください。
▼真言宗立教開宗1200年記念特別拝観「東寺のすべて」公式ホームページ▼
東寺へは近鉄に乗り換えてもいいですし、JR京都駅から歩いても15分程度です。
のんびりと京都の街並みを眺めながら行かれるのも良いと思います。
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