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【細見美術館2024年秋季特別展示】展示方法も必見!浮世絵の醍醐味・春画展

テストも終わり、チートデーは京都の美術館・博物館めぐりをしてきました。

本日の博物館めぐりのメインはこちら。
2024年9月7日から11月24日まで細見美術館で開催中の「美しい春画-北斎・歌麿、交歓の競艶」

細見美術館は細見家三代で収集した琳派や伊藤若冲の作品が多く、所蔵品の展示だけでも見応え抜群なのですが、日本展示会初の北斎作、肉筆春画もあるというので行ってきました。

「春画」と聞くだけで、なんとなく背徳感があって見に行くのをためらってしまう方も多いのでは?

でももっとあっけらかんとした世界です。
確かにブツは異常に誇張されていてちょっと驚くかも。

でも離れてみたり、近くから見たりすると
まろみのある表現と色や想像力の豊かさ、そしてむつみあう場面を美しく際立てる技術や描画、彫りの精密さにきっと驚くと思います。

江戸時代の「奢侈禁止令」による浮世絵への弾圧に抗い、むしろ幕府を挑発するかのような絵師・技術者達の超絶技巧と豪華な色彩の数々を楽しんでみてください。

今日は画像はありませんがいくつか印象に残った作品についてお話ししたいと思います。


いずれも有名な作品ですので、国際日本文化研究センターの「艶本資料データベース」で画像をご覧いただけます。

濃密な緊迫感 鳥居清長【袖の巻】

浮世絵にはめずらしい横長の画面を用いたレイアウト。
男女ふたりの全身を描かず、あえて上下を切り取り余白を少なくしているのが、濃密な愛の時間の躍動感を感じる迫力抜群な作品。

すごく斬新でかっこいいし、この余白と見切れを用いたデザインは今のクリエイティブでも良く見かけます。

こういうのを見ると、浮世絵はマスメディアであったのだなぁと実感します。
春画もしかり浮世絵は床の間に飾ったりするものではないですもんね。
(飾ってた人もおるんかも知らんけど)

悦ぶ女性の顔は美しい 月岡雪鼎【四季画巻】

個人的には浮世絵の男女は表情に乏しく、人形のような顔つきなのも過激に感じない要素のひとつかなと思っています。

そんな中、唯一悦びとも苦痛とも言いがたい絶妙な女性の表情を描いていたのがこちら。
一本一本丁寧に描かれた、千々に乱れた髪の表現も生々しく、息遣いまで聞こえてきそうな作品。

柔らかく耽美な色合いで描かれた愛の悦びをあらわした美しい女性の顔に、他の春画よりも湿度を感じました。

京都の歴史上最大の火災・天明の大火の際に、焼けずに残った蔵の中に雪鼎の春画があったという逸話が広まってから、雪鼎の春画が火伏せのお守りとなったというのも面白い話。

クスッと笑える漫画仕立て 鈴木春信【艷色真似ゑもん】

お仙・お藤の化身から霊薬を授かり、豆粒大になった浮世之介が、名を「真似ゑもん」と変え、好色遍歴の旅に出かける12話の春画帖です。

絵毎に吹き出しのような場所にストーリーが付いていて、ほんとに漫画みたい!
真っ最中の男女の前で猫も交尾してたり、真似ゑもんが隠れて覗いている場所も面白い。
ちょっとウォーリーを探せっぽい。

みんなめっちゃ真面目に見てる中、ひとりでクスクス笑ってしまいました。

日本初公開!葛飾北斎【肉筆浪千鳥】

本展示会での目玉のひとつ、北斎による肉筆の春画です。
肉筆は版画と異なり、色も鮮やかで生き生きとしています。

特に肌の表現が素晴らしく、熱を帯び桃色に染まり上気した肌を頬や手足から感じることができます。
雲母の効果もあるのでしょうが、着物の色・柄も鮮やかで、こういう場面をさらに艶っぽく見せるためか赤や紫が多かったのが印象的でした。

版画の【富久寿楚宇】と、輪郭線のみ版で摺って筆で彩色した【浪千鳥】と比較できるような展示になっています。
版画だと着物の柄などが肉筆画と全く異なるため全体の印象の違いなどを楽しめて良いです。
それにしても、彫師や摺師も、陰毛を再現するの大変やったやろうな…と遠い目になったよ…


肉筆画がたっぷり見られるのもこの展覧会の良さかなと思います。

輪郭を外側にぼかしてふわりと光が立つように描く【外隈】や、輪郭を取らずに描くことで淡く柔らかい印象を与える【没骨】など、たくさんの技法を凝らして描かれていてとても楽しい!

中国語ですが没骨の技法が分かりやすい動画があったので貼っておきます。

細見美術館の構造もとても良くて、3つの展示室が全て分割されており、3階から順に階段を下りて自動ドアを開けて展示室へ入るのですが、そのワクワク感も楽しんでほしいです。

今回は大好きな絵師・歌川国芳のユーモアあふれる【逢見八景】の展示が無くて残念なのですが、後期もぜひ行きたいと思っています。

みなさんもぜひ機会があれば行ってみてください。


おまけ

博物館めぐりに愛用しているメモ帳

博物館の展示室内でメモを取る時は、シャーペン・ボールペン厳禁なので、小さな鉛筆付きの【ダイゴー・すぐメモ】を使っています。

図録はよっぽどでないと購入しないので、気になる作品や特徴など鑑賞メモを取ります。

見ている瞬間に感動する作品もあれば、後からジワジワと効いてくる作品もあるので、メモを取るのはオススメです。
今は博物館所蔵品のデータベース化も進んでいるので「あの作品どんなだっけな」と改めて調べる時に役立ちます。

ただ色が少なくてダサいから、ミュージアムショップアイテムとして販売して欲しい。
かわいいやつが欲しい!

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