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開幕直前!どこよりも詳しく東京六大学野球2021年秋季リーグの見どころ伝えます!

こんにちは、シュバルベです(*'ω'*)

今月9月11日から我々東京六大学野球ファンが待ちに待ったリーグ戦がスタートしますね。今年の春季リーグ開幕前に書いたこちらの記事。

これがありがたいことに多くの方に読んでいただけました。Twitterでは「初めて東京六大学野球を観に神宮球場に行くんです」と仰って頂ける方もいらっしゃり、まさに書き手冥利に尽きるというものです。

各大学、HPやブログ、インスタグラムなど精力的に発信はしておりますが、既存の六大学野球ファン以外の方には届きにくいという点で、私のnoteにも価値を見出していただけているのかもしれません。ありがたいことです。

春季リーグ終了後の総括記事も書いておりますので、ぜひご覧ください笑

さて、今回の記事では各大学の秋季リーグの展望を書いていきます。

各大学の春季リーグの順位ならびに、春季リーグ振り返りnoteにも書いた投打の簡易指標をこちらに掲載しておきます。

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めっちゃざっくりですが、各チームの状況が分かるかと思います。

1.慶應大学

春季リーグで優勝を果たし、勢いそのままに6月末の大学野球日本選手権でも優勝を飾った慶應大学。その戦いぶりをまとめると次のようになります。

・森田/増居の左右ダブルエースがリーグ戦を通して安定した働き
・支配的な投球のできる生井&橋本達の速球派リリーフ2枚のクロージング
・福井章吾の圧倒的キャプテンシー
・得点パターンが豊富なタイプの違う好打者揃いの打線

ただただ強いですね。春季リーグではチーム防御率2.33に対し1試合当たりの平均得点は5.6点。優勝するのも当然でしょう。

こちらは8月以降に行われたオープン戦の結果です。

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北海道で行われるタンチョウリーグにも参加するなど精力的に試合をこなし、8月だけで17試合と五輪によるインターバルのあったプロより多くの試合数をこなしています笑。対戦チームも社会人野球の強豪チームが目白押しですが、強打は健在で1試合平均5得点。8月末のセガサミー戦・東京ガス戦で大量失点を喫しているので1試合当たり3.9失点ですが、8/11~25にかけて7連勝を飾るなど強さを見せています。

ですが、リーグ戦は何が起きるか分かりません。現広島の森下投手が明治大学在籍時でも、春季リーグは圧倒的な強さを誇りましたが秋季リーグは5位に沈みました。オープン戦でも7連勝がストップした後は5連敗を喫しています。

以下、投打の秋の見どころをご紹介しましょう。

1-1.慶應大学投手陣

先発は変わらず4年生右腕の森田晃介投手(慶應④)、3年生左腕の増居翔太投手(彦根東③)の2人が主戦になるでしょう。

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二人の春の防御率を見てみると、森田投手が1.57、増居投手が2.10。リーグでトップ2を取っており、先発の左右ダブルエースを抱えているアドバンテージは大きいです。ともに球速よりも制球や投球術に注目したい投手で、変化球の使い方や球速が出なくても差し込まれるストレートをぜひ見て頂きたいなぁと思います。

夏季オープン戦では、春にリリーフを務めた生井惇己投手(慶應③)、橋本達弥投手(長田③)、渡部淳一投手(慶應③)、小林綾投手(松本深志③)ら3年生が先発起用された試合もありますが、これは来年を見据えたものでしょう。

リリーバーの中で生井投手と橋本投手の二人はぜひ覚えておいて欲しい選手で、ともにストレートの力と落ちるボールのキレは必見です。特に生井投手は春のリーグ戦で150km/hを計測している速球派左腕で、私としては来年先発で見られる日が来ると思うと楽しみでなりません。

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春のリーグ戦で登板したのは既に挙げた6選手だけで、秋も基本的にこのメンバーで投手のやり繰りを行うことになります。誰かが離脱/不調に陥った際にも昨年4試合に登板した右サイドスローの長谷川聡太投手(慶應④)が控えているほか、下級生にもフレッシュリーグで活躍した谷村然投手(桐光学園②)や森下祐樹投手(米子東②)と楽しみな選手がいます。

PICK UP PLAYER:橋本達弥投手(長田③)
闘志を全面に出す慶應の新クローザー。140km/h中盤のストレートに、鋭く落ちるフォークボールの組み合わせで28.0K%と奪三振を取りまくる姿はまさに抑え向き。春季リーグ開幕前に増居・生井の両投手から当時リーグ戦1登板ながら注目選手に挙げられ、8試合に登板し自責点1。8回からマウンドに上がり、8・9回と2イニングを回跨ぎでシャットアウトする制圧力は必見。

1-2.慶應大学野手陣

春季リーグと比べた時に最も大きな違いは4番を担うドラフト候補の正木智也選手(慶應④)のポジションです。

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既に登録メンバー表で外野手に戻っているように、春は一塁手として全試合出場しましたが、秋は昨年までの主ポジションであるライトでの起用になります。センター渡部遼人選手(桐光学園④)が攻守の要であることから、ただですら激しかった外野手ポジション争いはレフトの1ポジションを争うことになりました。

筆頭は春のレギュラー橋本典之選手(出雲④)ですが、夏のオープン戦では若林将平選手(履正社④)も多く起用されており、これに新美貫太選手(慶應④)も加えた4年生3人による最後の秋から目が離せません。

逆に空いた一塁手には3年生の北村謙介選手(東筑③)が最有力候補ではないでしょうか。春のリーグ戦ではいい当たりも正面を突き6打席ノーヒットに終わりましたが、日本選手権ではスタメンに入って素晴らしいヒットを放っておりその打力は春のレギュラー陣に割って入るに十分なものです。

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登録メンバーで気になっていることとしては、スラッガー廣瀬隆太選手(慶應②)の守備位置です。OP戦8月末になってもDH起用が続いている一方で、メンバー表の登録上は三塁手から遊撃手に変更となっています。1年時は一塁レギュラー、この春は二塁のレギュラーで、この秋~来年にかけてどこをどう守るのか楽しみです。

また、リーグ戦未出場の2年生宮崎恭輔選手(國學院久我山②)が初めて登録メンバー上で背番号が掲載されました。春は同級生の善波力選手(慶應②)が背番号を貰っており、キャプテン福井章吾選手の後をどちらが受け継ぐことになるのか、その争いの一端が垣間見えるシーズンとなるでしょう。

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春に捕手登録ながらショートのレギュラーだった朝日晴人選手(彦根東③)が遊撃手登録に変更になっています。下級生時代からリーグ戦に出場してきた3年生の古川智也選手(広島新庄③)・宮尾将選手(慶應③)も二遊間に控え、層の厚さはやはりリーグ随一でしょう。

PICK UP PLAYER:福井章吾選手(大阪桐蔭④)
慶應の精神的支柱であり、チームの中軸打者かつ扇の要でもある。試合を観に行けば代わる、その視野の広さと声がけの的確さ。小柄ながらフルスイングする姿は西武森友哉選手を彷彿とさせ、コンタクト力も両立させる部分もまたかの選手のよう。現中日の郡司裕也選手が卒業した後の捕手という仕事は本当に大変だと思うが、3年春から3季連続で打率3割越え、通算でも打率.315と安定感を誇る。彼が2人に分裂し、プロに行く福井選手と社会人に行く福井選手を観たかった…という選手。

2.立教大学

春は2位につけた立教大学。春の戦いぶりをまとめると次のようになります。

・池田陽投手をショートスターターとした継投によるゲームメイク
・“黄金世代”の3年生を中心とした得点パターンの創出
・大砲東の覚醒

前年まで多くのイニングを担っていた選手が卒業し、特に投手が苦しむという想定でしたが、目先を変える継投の妙と、ワンチャンスをものにしていく野手陣の奮闘で勝てる試合を落とさずモノにした結果の2位だったという評価をしています。投打の指標として傑出した数値は無いものの、3年生を中心に一体感を感じられるチーム作りは立教大学らしいかなと思います。

8月以降の夏季オープン戦の結果はこちら。

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緊急事態宣言などの影響もあり試合数は限られ、8月は未勝利に終わっています。

以下、投打の秋の見どころをご紹介しましょう。

2-1.立教大学投手陣

春に8試合で先発した右腕池田陽佑投手(智弁和歌山②)がスターターの軸になるのは変わらないでしょう。33イニングで7四死球という制球力で、無駄なランナーを出さずにゲーム序盤を作る役割を担ったと言えます。

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継投の肝となるのは4年生右腕の栗尾勇摩投手(山梨学院④)と3年生左腕の宮海土投手(國學院栃木③)です。ともに防御率2点台、特に宮投手は球速が増して15イニングで18三振と支配的なピッチングが出来るようになってきています。春は終盤の慶應戦・明治戦で失点を喫してしまい、疲れも見えていました。彼らの疲労の回復具合とともに、それ以外の投手がどれだけ台頭できるかが秋は肝になります。

春のまとめ記事に書いた左腕の野口裕斗投手(東海大相模②)は期待される選手の一人で、この春8試合10イニングに登板しました。投げっぷりの良さと、長打は許さない左腕らしい投球術が見どころの好投手です。

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春に初の先発登板を果たした右腕の荘司康誠投手(新潟明訓③)は、その試合で151km/hを計測した速球派。今の立教投手陣にいないタイプで、今の東京六大学にも欠けているスピード型の先発右腕としてこの秋注目でしょう。

PICK UP PLAYER:溝口監督
左右豊富な投手の枚数は揃っているので、あとは溝口監督の起用に掛かっています。既に挙げた2年生・3年生は5回以上任せても投げられるだけの素材を持っている投手だと私は見ています。春のような継投前提の投手運用にするのか、明確な先発の柱を立てていくのか。やはり各選手のイニングは少なくても登板数の多さは気になる部分ではあるので、投手マネジメントを見せて欲しいなと思っています。

2-2.立教大学野手陣

春はスタメンに4年生がキャプテンの太田英毅選手(智弁学園④)と東怜央選手(福岡大大濠④)の2人ということもあったほど、立教大学は3年生野手陣が豊富です。

その筆頭は1年時にベストナインを獲得した山田健太選手(大阪桐蔭③)。

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すでに通算6本塁打で打率.308、パワーもコンタクトも優れた貴重な右のパワー型二塁手です。春は打率.316ですが長打は1本塁打のみで11三振と課題も見えました。4番に座っている割に打点に物足りなさはあるので、この秋は彼が打ってランナーをどれだけ返せるかが注目ポイントの一つでしょう。後ろに座る東選手の長打力が春3本塁打でリーグトップタイの12打点と開花しているため、4番とはいえ山田選手で勝負をする場面も増え、そのバットにかかる期待も大きくなる1年になります。

内野はファースト東選手、セカンド山田選手、ショート井上剛選手(佐久長聖③)は固定で、サードを佐藤元(福岡大大濠③)・柴田颯(札幌一③)・吉岡広貴(広陵③)の三人の3年生選手で争う形になりそうです。

外野はキャプテン太田選手と春にセンターのレギュラーを奪取した3年生道原慧選手(駒大苫小牧③)、山田選手と高校・大学の同級生宮崎仁斗選手(大阪桐蔭③)が揃い、盤石の体制です。特に背番号1番を背負い、打順としてもトップバッターを務める道原選手の活躍は素晴らしく、打率3割越え、盗塁5個、守備も上手いと三拍子揃った好選手であることを示しました。

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登録メンバーが発表され、1桁背番号が春→秋で数人変更になりました。背番号6は井上剛選手、背番号9は吉岡選手にわたり、ともに4年生から3年生の選手に変更となっています。厳しいレギュラー争いの一端を物語っているように思えますね。

PICK UP PLAYER:道原慧選手(駒大苫小牧③)
春にレギュラーを掴むと打率.316でランニングホームラン1本を放ちました。速いスイングから長打も打て、それでいて三振6に対し5四死球と選球眼も持ち合わせています。5盗塁とスピードにも優れ、肩も素晴らしい真の5ツールプレイヤーだと私は大きく期待しています。同じ右投左打外野手で楽天にドラフト1位で入った辰己選手のように、世代の外野手TOPを狙える選手だと思っているので、この秋も更なるアピールを立教の核弾頭として果たすことを楽しみにしています。

3.明治大学

打率.500の首位打者2人を輩出するなど春はリーグで突き抜けた打力を発揮した明治大学。その戦いぶりをまとめると次のようになります。

・エース竹田の安定したゲームメイクと2戦目先発の不在
・チーム平均打率/出塁率/長打率すべてリーグ1位の圧倒的打撃力
・1年生~4年生まで活発すぎるほどのレギュラー争い

春は慶應大学に2連敗を喫してしまったのが大きく響き3位で着地しましたが、逆に1つでも取れていたら優勝していたのは明治大学だったかもしれません。春季リーグにもかかわらず1年生選手の起用も目立ち、昨年のレギュラーがポジションを奪われるなどチーム内で戦国状態です笑。東大戦で2試合28点取ったことが打撃成績に大きく関与していますが、とはいえチームOPS.846は異常値に近いものです。

8月のオープン戦の結果はこちら。

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試合数が少なく内容も公開されていないので何とも言えませんが、日本通運相手に7点とっているのは流石ですね。
以下、投打の秋の見どころをご紹介しましょう。

3-1.明治大学投手陣

エースは1年生からマウンドに上がり通算34試合登板している4年生右腕の竹田祐投手(履正社④)。この春は球速も終盤になっても衰えず140km/h台中盤を計測。課題だったスタミナを克服し慶應大学戦を除く先発4試合で7回以上投げており、37イニングで防御率は2.89(5位)。プロ志望届を出すのかにも注目が集まります。

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一方で、春は2戦目の先発投手に苦しみました。同じ4年生の高橋聖人投手(小諸商④)・磯村峻平投手(中京大中京④)がともに不調で、最終戦の先発マウンドには1年生左腕の藤江星河投手(大阪桐蔭①)が立ったほどです。4年生にとっては最後のこの秋、個人としては磯村・高橋の両投手が有終の美を飾ることを期待しています。

リリーフには力感ある右腕の渡部翔太郎投手(千葉黎明③)や2年生左腕の石原勇輝投手(広陵②)ら既に複数回リーグ戦のマウンドを経験している投手が控えており、実績ある投手も複数いるので繋いでいく継投は大崩れしにくい部分だと思っています。

PICK UP PLAYER:竹田祐投手(履正社④)
法政三浦投手と並ぶ私の推し投手です笑。今年の神宮球場のスピードガンは厳しく、スワローズ戦をみていても他球場に比べて2~3km遅く表示が出る中、終盤になっても140中盤を叩くスタミナを身に着けたことは大きな成長だと考えています。パワーカーブ、カットボールなど現代の投手らしい持ち球で、NPBに入れてもすぐに投げられそうな雰囲気の有る投手です。3年時にホームランも放った打撃の良さも含めて「明治大学のエース」らしい選手なので最後の秋を楽しみにしています。

3-2.明治大学野手陣

冒頭に首位打者二人と書いたように、春は陶山勇軌選手(常総学院④)と山田陸人選手(桐光学園③)がともに打率.500でフィニッシュしました。特にドラフトイヤーとなる陶山選手は1本塁打に加えて5盗塁をマークしており、春に続いて秋も最後のアピールをできるか気になっています。

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明治大学の野手の見どころは余りにも熾烈なレギュラー争いでしょう。既にその一端はメンバー表から垣間見えています。

前述の山田陸人選手は春の背番号15から背番号4に変更。3年生の内野手はポジション変更もありそうで、春にセカンド登録だった村松開人選手(静岡③)は遊撃手に変更、遊撃手登録だった日置航選手(日大三③)は三塁手に変更となっています。村松・日置に加えて昨年のレギュラーの西山虎太郎選手(履正社③)、さらに1年生ながら春に8試合出場した宗山塁選手(広陵①)の4人で二遊間を争う構図が繰り広げられるでしょう。

外野の見どころは何といってもキャプテン丸山和郁選手(前橋育英④)の守備範囲の広さで、このままプロに行ってもセンターを任せられるほど打球判断・球際に優れ、左中間にも右中間にも長打を明確に減らすことのできる守備は早々見られるものではありません。必見です。

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明治は1年生の抜擢が著しく、秋は宗山選手・横山陽樹選手(作新学院①)・杉崎成選手(東海大菅生①)・直井宏路選手(桐光学園①)の4人に背番号が振られています。個人的にはフレッシュリーグでバックスクリーン弾も放った杉崎選手がとても気になる存在で、明治大学がこれまで得意としてきた俊足アベレージヒッターとは全く異なるスラッガータイプなだけに大注目です。

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こうした下級生の突き上げが盛んで、チーム内でタイトル争い含めた競争が行われるからこそ、明治大学はNPBに最も多くの選手を輩出する大学になっているのだなぁと感じます。

PICK UP PLAYER:植田理久都選手(高松商④)
3年秋に掴んだ捕手レギュラーの座、どっしりと構える姿は頼もしく映りました。チームの副キャプテンとしてチームを束ね、ベンチ出場でも大きな声で声援を送る姿を何度も見ているので応援したくなる選手です。5番打者としては選球眼に優れ、通算で三振の数≦四死球の数少ない選手です。広角に打ち分けるバッティング、手を抜かない走塁のおかげで春は二塁打4本。攻守に一生懸命な姿はきっと見る人の心を打つでしょう。

4.法政大学

攻め手に欠いた印象の強い春の法政大学。その戦いぶりをまとめると次のようになります。

・エース三浦投手を筆頭とした盤石の投手陣
・線にならなかった打線
・細かなミスが目立ってしまった守備

投手力ではリーグトップでチーム防御率2.28。K/9に至っては9.41と次点に来る慶應大学の7.58と2個近く差をつけています。一方で打撃は出塁率・長打率ともにリーグ5位に沈みました。8月のオープン戦でも平均1.7点とやはり得点力不足に苦しんでいます。

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さらにリーグ戦3週間前にこちらの報道が…。

コロナクラスターが発生するなど厳しい状況ですが、本当に見たいチームなので良い報告を待ちたいですね。

4-1.法政大学投手陣

エースでキャプテンの三浦銀二投手(福岡大大濠④)は春の初戦にノーヒット1ランを優勝校の慶應大学相手に達成。

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39イニングで44奪三振とイニングを超える三振を奪い完全復活を果たしました。平均球速こそ140km/h台前半ですが、カーブもスライダーもフォークも自在のコントロールでいつでもストライクゾーンに投げられるため、常に投手有利のカウントで勝負できる能力は貴重なものです。投球フォームも綺麗なのでぜひ横から・前から見てください。

188cm/100kgの大型左腕の山下輝投手(木更津総合④)はこの春に第二先発としてシーズンを全うしました。140km台後半をマークするストレート以上にスライダーのキレと制球の良さがストロングポイントだと私は思っています。大型左腕で先発もできることを春は証明したのでドラフトを賑わせる投手になったでしょう。

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同じ4年生リリーバーで速球派右腕の古屋敷匠眞投手(八戸工大一④)と大きなインステップが特徴の平元銀次郎投手(広陵④)も十分ドラフト候補に入るような好投手で、やはり法政大学の投手の強度は慶應大学と比べてもリーグでNo.1だと言えるでしょう。

PICK UP PLAYER:古屋敷匠眞投手(八戸工大一)
3年秋の登板で投じられたストレート、その強さに1年後はドラフト1位候補になるのではと心が躍ったのを覚えています。投げているボールは凶悪と言えるほど強く、150km前後のストレートを投げる右腕はリーグに不足している分、より強烈な印象を与えます。彼の“剛球”を目に焼き付けて卒業を見送りたいと思います。

4-2.法政大学野手陣

既に書いたように、春は打撃不振に喘いだ法政大学野手陣。副キャプテンの岡田悠希選手(龍谷大平安④)を筆頭に、3本塁打を放ち打率.342をマークした齊藤大輝選手(横浜③)など好打者もラインナップされています。

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メンバー表が出ましたが現在割り振られている背番号はかなり驚きで、副キャプテンの後藤克基選手(滋賀学園④)、三浦投手の専属捕手だった舟生大地選手(日大山形④)、4番を担った小池智也選手(八戸学院光星④)ら多くの4年生が背番号なしとなっています。正捕手の3年生大柿廉太郎選手(健大高崎③)も割り振られていないのには驚きました。

代わりに2年生でリーグ戦未出場の久保田碧月選手(高川学園②)、内海貴斗選手(横浜②)、浦和博選手(鳴門②)の3人に背番号が割り振られています。もちろん、試合ごとにメンバーを入れ替えられるのでこのままとは限りませんが、秋はリーグ戦初出場の選手も多く見られそうです。

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まだこれまで結果が出ていない野尻幸輝選手(木更津総合③)なども控えているので、新たなメンバーで法政らしい打ち勝つ野球復活に向けた秋となるか注目です。

PICK UP PLAYER:齊藤大輝選手(横浜③)
セカンドを守る右の強打者で、同じ3年生の山田健太選手とはライバルが好敵手となったシーズンを春は過ごしました。目標とする選手に山田哲人選手を挙げ、強いスイングから春は3本塁打で打率.342に加え10打点。盗塁も5つ決め、まさにNext山田哲人。神宮球場に映える橙がよく似合う選手で華のあるプレーはぜひ見ていただきたいです。

5.早稲田大学

まさかの5位に春は沈んでしまった早稲田大学。その戦いぶりをまとめると次の通り。

・エース徳山の不調と西垣の独り立ち
・クローザー山下の安定感
・好調だった上位打線と、5番以降の打者の不振

初戦の東大戦で1勝1分と苦戦したことで波に乗れず、3勝6敗と本来の力を出しきれないままシーズンを終えてしまった感はあります。1勝をあげた早慶戦での戦いなどを見ているとやはり地力はあるチームなので、前半が勿体なかったなぁと。

夏は多くのオープン戦をこなしています。

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軒並み接戦で、強い早稲田大学が還ってきそうな雰囲気がすごくないですか?8月1日ではありますが、都市対抗優勝チームのHondaにも接戦で勝っているなど力はやはりあるチームなんですよね。

5-1.早稲田大学投手陣

春最大の誤算はエース徳山壮磨投手(大阪桐蔭④)の不調でした。140前半しか球速も出ず、28イニングで11四死球と制球も乱して防御率は3.54でフィニッシュ。しかし、この夏のオープン戦を経て復活模様との報道…!

元々神宮でのマウンドが合いにくいのでは、と個人的に感じている投手の一人で、この秋最後のアピールで上位候補に返り咲けるか楽しみです。

二戦目エースで徳山投手のライバル西垣雅矢投手(報徳学園④)は魔球スライダーと大学4年間で精度を上げたチェンジアップが魅力で、ぜひバックネット裏からその軌道を見て欲しい選手です。春の早慶戦では初戦の先発を任され、長らくライバルだった徳山投手と切磋琢磨してきた真価を見せるシーズンとなりました。

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この先発右腕二人に、クローザーとして強いストレートを持ち味とする山下拓馬投手(早大本庄④)がいて、3年生には変則左腕の原功征投手(彦根東③)や、春3登板の右腕加藤孝太朗(下妻一②)がいるので個人の能力ではリーグ上位クラスなんですよね。

メンバー表では夏オープン戦で先発も任されたらしいリーグ戦未登板の二年生右腕ユエン賢投手(セントジョセフ②)も背番号を背負っており、どんな投球を見せるのか楽しみです。

PICK UP PLAYER:徳山壮磨投手(大阪桐蔭④)
春季リーグ戦前はドラフト一位候補にも名を連ねた早大のエース。昨年秋の故障、この春の不調などでアピールしきれていないが、昨春や昨秋の復帰登板のようなピッチングを見せれば自ずとスポットが当たる好投手。兎にも角にも球速、それが戻ってくればピッチングも大きく変わるはず。全力で投げる徳山壮磨を見たすぎます。

5-2.早稲田大学野手陣

チーム打率.211でまさかのリーグ五位に終わった打撃陣ですが、上位打線は強力です。

トップバッターの鈴木萌斗選手(作新学院④)は初の規定到達で3割、三塁打3本と持ち前の走力で長打を生み出しました。3番蛭間拓哉選手(浦和学院③)・4番岩本久重選手(大阪桐蔭④)はともに春3本塁打ずつ放った長距離ヒッターです。

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課題は5番以降で、特に2年生の熊田任洋選手(東邦②)と野村健太選手(山梨学院②)の二人は他大学から研究され完全に抑え込まれてしまいました。特に野村選手は打率.040とこれまで経験したことが無いのではないかと思われるほどの不調で、まず打球が上がらないという春季リーグでした。高校時代はSBデスパイネ選手をもじり「ノムパイネ」とも呼ばれたスラッガー候補だけにその復調が待たれます。

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上位打線は放っておいても打つので、5番以降でどれだけチャンスを創出し、ランナーを返せるか。本当にこれだけだと思います。自力は滅茶苦茶あるチームなので、秋に一転優勝しても不思議ではないです。

PICK UP PLAYER:蛭間拓哉選手(浦和学院③)
3番ライトで3年生ながらチームの主砲。既に来年のドラフト1位候補として騒がれつつあり、その豪快で速いスイングから生み出される打球は六大学野球と言えどなかなかお目に掛かれない。左投手も苦にせず、蛭間選手らしいスイングを貫けるのが何より魅力。今のうちに見ておけば来年に至る成長の過程を見守れます!

6.東京大学

64連敗という長いトンネルを止めた記念すべき春季リーグ。その戦いぶりをまとめると次のようになります。

・エース井澤を中心に球速の伸びて来た投手陣でゲームメイク
・圧倒的機動力で少ないチャンスで得点機会を創出
・他大との差を埋めるデータアナリストの存在

絶対的に個々の能力は他大に劣りますが、それを埋めるべく走塁でかき乱し法政大学から白星を、早稲田大学からは引き分けを掴んだのは大きな自信となりました。

夏のオープン戦の結果は次の通り。

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苦戦していますが、明治安田生命や駒澤大学といった強豪チームから点を取れているのは良いですね(超ポジティブ!)。さて、この秋の投打の見どころをみていきましょう!

6-1.東京大学投手陣

昨年2年生ながらエース格の働きをした3年生右腕の井澤駿介投手(札幌南③)が春に続いて秋も主戦投手になるでしょう。前年までの主戦投手が卒業した中で現れた新エースはこの春も規定に到達し、勝利の日にはリリーフでも登板しました。

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2戦目はやはり3年生の西山慧投手(土浦一③)と、法政大学戦で勝ち投手となった4年生右腕の奥野雄介投手(開成④)のどちらかが担うことになりそうです。いずれもストレートの平均球速は130km/h台前半ですが緩急を使ったピッチングで打者のタイミングを外していくスタイルです。奥野投手はオフに140km/h台も出しているようで、これまでのようにリリーフに回って制圧するポジションに入る可能性もあります。

リリーフの筆頭は4年生の左サイドスロー小宗創投手(私立武蔵④)で、春の早稲田戦での6回無失点ピッチングなどロングも行ける貴重な枠となっています。

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下級生でも2年生の鈴木健投手(仙台一②)や松岡由機投手(駒場東邦②)の二人が春にリーグ戦初登板を果たすなど、フレッシュリーグで活躍している投手が着々と力をつけて出てきています。

他大の打撃が強力なだけにシーズンを0に抑え続けるのは難しいですが、先発がある程度ゲームメイクできれば継投策で使える枚数は増えているのでまた勝機を見出すことが出来そうです。

PICK UP PLAYER:小宗創投手(私立武蔵④)
昨秋にアームアングルをさらに下げて左サイドスローに生まれ変わった。今春の早稲田大学戦で、1-1の引き分けをもたらす6イニング無失点ピッチが今も記憶に強く残っている。14イニングで11三振と貴重な三振の取れる投手で、この秋もリリーフ/クローザーとしてマウンドで輝く姿を目に焼き付けたい。

6-2.東京大学野手陣

打撃指標は何を見てもリーグ最下位だが、それでも1勝を手にしたのは機動力故。リーグトップの24盗塁は東大野球部史上に名を刻むものでした。

今春、機動力野球を体現していた選手の一人が1番打者にも起用された3年生の阿久津怜生選手(宇都宮③)。打率.114ながら6盗塁を記録しており、打撃でも目が慣れていったシーズン後半の立教戦・法政戦ではヒットを放ちました。6盗塁はやはり東大の水越健太選手(明和④)に並ぶリーグトップタイでした。まだ3年生ということもあり、この秋はリードオフマンになれるか楽しみにしたいと思います。

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昨年から今春にかけて3季続けて東大はホームランが出ていませんが、長打に期待をかけたい選手もいます。一人はキャプテンの大音周平選手(湘南④)、もう一人は副キャプテンの井上慶秀選手(県長野④)です。大音選手は2年生の春に1本放っていますし、井上選手はチームで最も打球が速く角度さえつけば狙えるのではと思っています。

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チームの方針として低くて強いライナーを打つことに重きが置かれ、そしてそれは概ね正しいと私も考えていますが、17年の東大が勝利を多く上げた年はホームランバッターと言えるような選手も複数人いたので4年生の卒業シーズンに一発を餞に見たいなぁと。願望です笑。

いくらでも見どころは出てきますし、やはりこれだけ力の差のある他のチームに食らいつく東京大学野球部は見ていて野球の面白さを感じられるのでお勧めです。

PICK UP PLAYER:隈部敢選手(浅野④)
上では挙げられていませんでしたが、4年生で走塁長の隈部選手は伸長160cm。しかし塁に出すと、法政戦では三盗を決めるなど相手投手をその足で大いに乱します。走塁面に関してチームで最も信頼を置かれているなと感じますし、バットを短く持って剛球に立ち向かう姿もイイんです。この選手が六大学の並み居る投手の脅威となることに野球のおもろさが詰まっているので、ぜひ代走で出たら応援してください!

7.最後に

長々と書きました。短くまとめたつもりが12000字越えです笑

今秋は9月11日(土)から開幕となる東京六大学野球。5,000人を上限とした有観客ですのでぜひ多くの方に足をお運びいただきたいなと。面白さは保証します。

まずはリーグ戦が無事開幕することを心より祈っております。そして、多くの選手がその力を発揮できますように。

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