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映画マラソン企画vol.1「サザエさん」シリーズ~後編~

こんにちは!映画部・齊藤です。

マラソン企画のファンの皆様、大変お待たせいたしました。
前回から期間がだいぶ空いてしまいましたが、後編をお届けいたします。

改めまして、サザエさんシリーズは全10作品。

サザエさん』(1956年)
続・サザエさん』(1957年)
サザエさんの青春』(1957年)
サザエさんの婚約旅行』(1958年)
サザエさんの結婚』(1959年)
サザエさんの新婚家庭』(1959年)
サザエさんの脱線奥様』(1959年) 
サザエさんの赤ちゃん誕生』(1960年)
サザエさんとエプロンおばさん』(1960年)
福の神 サザエさん一家』(1961年)

こちらをイッキ見(マラソン)してそのレビューをお届けするという企画。
前編では『サザエさん』シリーズの解説と1~3作目までを振り返りました。
今回は4~10作目を駆け抜けて、総括とさせていただければと思います。

では早速参りましょう!!


4作目:『サザエさんの婚約旅行』(1958年)

法事でもお転婆ぶりを発揮し、親戚からコテンパンに叱られる

・本作から画角がワイドに!当時「シネマスコープ」の人気に応えて、東宝が独自で開発した「東宝スコープ」というオリジナル画角だそう。技術的特徴はシネマスコープとほとんど変わらず、アスペクト比も同様の「2.35:1」とのこと。勉強になります。
・波平への相変わらずのハゲいじり。ハゲネタはいつの時代でも鉄板。
・九州への婚前旅行中、マスオへやきもちを焼いて不安になってしまう乙女サザエ。
・「僕が好きなのはサザエさんだけだよ」とマスオからささやかれ、それに対するサザエの表情がしおらしい。


5作目:『サザエさんの結婚』(1959年)

サザエもいよいよ結婚だ!万歳!万歳!!

・折り返し地点まで来た。完走もここまでくれば夢じゃない。
・なんとワカメ役の松島トモ子が降板…!嘘だろ…。
・両親の銀婚旅行や、旅先での新婚夫婦など様々な夫婦像をふんだんに見せつけられ、今作でついに結婚式を挙げると思いきや、、、挙げない。どこまで引っ張るんだ。

6作目:『サザエさんの新婚家庭』(1959年)

二人きりの生活を夢見て、悶々とする二人

・ついに結婚したみたいで本作は新婚生活から始まる。夢に見たマスオとの新婚生活も磯野家での同居のため、カツオ&ワカメのいたずらでろくな毎日を過ごせず…。
・カツオのいたずらが度を過ぎていて苛立つ。サザエのことを大好きなのはわかるけども。
・社宅が当選し、二人きりの夫婦生活がようやく始まる…!というところで終幕!

7作目:『サザエさんの脱線奥様』(1959年)

このあたりからサザエさんのヘアセットがマイナーチェンジ

・脱線奥様?なんだその日本語。不穏なタイトル。
・社宅での生活も束の間、大阪出張中のマスオに呼び出され物語の後半はほとんど大阪で繰り広げられる。
・回を追うごとにサザエからマスオへの愛情表現が大きくなっている。
・やっとのことで奈良へ二人きりでデートができるとなったのに、修学旅行のカツオを鉢合わせる。どこまでついてくるんだカツオ。


8作目:『サザエさんの赤ちゃん誕生』(1960年)

タラちゃんです~

・磯野家のアイドル・タラオがついに誕生!ご近所の方々も一目見ようと集まり、町は祝福ムード!
・タラオにつきっきりのサザエに対して、「僕に構ってくれない…」と拗ねて酒を煽るマスオ。どこと張り合っているんだ。見損なったぞマスオ。
・毎度恒例のミュージカルシーンでは赤ちゃん服に身を包んだサザエとマスオの狂気的なシーンが繰り広げられる。
・あともう少しでマラソンも完走か…。


9作目:『サザエさんとエプロンおばさん』(1960年)

長谷川町子ユニバース作品

・同じ原作者の長谷川町子氏による『エプロンおばさん』が『サザエさん』に登場。まさかのMCUならぬ、HCU(ハセガワシネマティックユニバース)が実現!
・タラオは急成長し3歳に、そして社宅から磯野家住まいになり、誰もが知る国民的アニメと同様のフォーマットとなる。
・大阪出張からなかなか帰ってこないマスオ。どうやら土地の立ち退きを巡って「エプロンおばさん」と揉めているとのことで、サザエが一肌脱ぐことになる。

10作目:『福の神 サザエさん一家』(1961年)

ありがとう、江利チエミ

・マスオが部長に昇進、サザエは仲人として夫婦成立させ、みんなハッピー!という少々乱暴なパワープレイで幕を閉じた。
・長かったマラソンもついに終幕。



これにて本数10本、総尺860分の『サザエさん』マラソン、無事完走いたしました。ご声援ありがとうございました。
昭和歌謡界をけん引した江利チエミというスターを「サザエさん」のフィルターを通じて知ることができました。
この企画がなければ、三人娘のことも、ましてや江利チエミのことも知る由もありませんでした。
終始お転婆で暴走気味のサザエさんも、ミュージカルシーンではサザエさんではなく、大スター「江利チエミ」に転身するそのギャップがたまらなくかっこよかった。

また高度経済成長期の真っ只中における市井の人々や街並みも楽しみつつ、
一方でお見合い結婚や家父長制など昭和の古き風習や思想が根強く、そして当たり前に描かれていて戸惑いを感じた部分もありました。


U-NEXTには往年の名作アーカイブ作品がたくさんあり、埋もれている作品もまだまだございます。
マラソン企画を通じて、こうやって皆様に少しずつご紹介できればと思います。
次回も乞うご期待ください!


©1958 東宝
©1959 東宝
©1960 東宝
©1961 東宝


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