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音楽ドキュメンタリーが持つ“映画性”に酔う。

先日、ある権利元様とお話していて、ドキュメンタリー映画の面白さについて盛り上がりました。映画部の宮嶋です。

ドキュメンタリーって“テーマに沿って事実を撮影する”っていう、どちらかというと「報道」に近いイメージがあったりするのか、ドラマ性とは無縁のように思われているフシもあるけれど、実は撮影対象への視線や距離感、膨大な素材からどういった部分をフィーチャーしていくか…って、映像作家というひとりの人格のフィルターを通してできあがったものは結果的にとても強いドラマ性をはらんでいて、完全にクリエイティブな作品、「映画」なんですよね。

そんな私が最近映画館で観たドキュメンタリー映画がこちらの2本。

たまたま音楽ドキュメンタリーが続いたので、今日はこのテーマでお届けいたします。(音楽以外のドキュメンタリー映画も大好きなので、いつかご紹介しますね!)

ALL OF THOSE VOICES(※限定公開終了)
2016年に活動休止になった「ワン・ダイレクション」のメンバー、ルイ・トムリンソンが、ソロアーティストとして活躍するようになるまでの軌跡を追ったドキュメンタリー。


デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム(劇場公開中)
世界的ロックスター、デビッド・ボウイの人生と才能に焦点を当てたドキュメンタリー。


とはいえ、ひとくちに「音楽ドキュメンタリー」って言っても、いつ、どの局面を切り取るかでまったく違うフォーマットの作品になる。加えて先ほど書いたような作家性も加味されますし。

この2本でいうと、ルイの『ALL OF THOSE VOICES』は本人インタビューを軸に、ワン・ダイレクション時代の映像から家族とのプライベート・ビデオ、コロナ禍を経て2022年に行われたワールド・ツアーのパフォーマンスと、バンドメンバーとの舞台裏でのわちゃわちゃも盛り込まれていて、1Dの活動休止から大きな葛藤を経てひと皮むけた感のある彼のこれからの活動への期待が高まる内容もあり、何よりソロアーティストとしてのひとくぎりを記録として残すイヤーブックのような感じ。4月の日本公演から今年のツアーにむけてファンの熱量が上がり始めるタイミングでの限定公開、しかもちょうど同じタイミングで同じくワン・ダイレクションのハリー・スタイルズの東京公演があったこともあり、いいタイミングでファンにアピールしてきたなぁ!という感じ。

ボウイの『ムーンエイジ・デイドリーム』はドキュメンタリーというにはあまりにもアーティスティックな、彼のデビュー当時から晩年までの音楽性と美意識の変遷がそのまま映像になったような内容。音楽性も色彩も映像表現もとても豊かで、これ自体がアート映画のようでした。実は私、どちらかというと彼に対しては音楽よりも出演映画の側面からふれてきていたクチなので、楽曲自体は有名なものしか存じ上げなかったのです。が、「デビッド・ボウイ財団初の公式認定映画」「全40曲で構成」というパワーワードに「本作こそ追加料金を払うところ…!」とIMAXで拝見してぶちあがってまいりました。

そんな感じにまったく違う2本の映画。でも、ドキュメンタリー作家(監督)の目を通して描かれている対象(ルイ・トムリンソンとデヴィッド・ボウイ)の人生が、それぞれに大きなものを背負っていて、それぞれに何かを成し遂げているからこそ、ドラマチックで映画的なのですよね。

そして実は彼らを映し出した過去の映像作品と、いわば「続編」であったり、あるいは「スピンオフ」のような関係性で観られるのもまたドキュメンタリーの面白いところのように思います。

たとえばコレ。当時これを観て1Dを好きになった思い出…。

ワン・ダイレクション THIS IS US(2013)好評配信中
世界的スーパースターのワールドツアーに密着。知られざるメンバーの素顔が明らかに。


また、デヴィッド・ボウイに関してはドキュメンタリー作品だとこの映画での発言がとても興味深くて、『ムーンエイジ・デイドリーム』での彼のパフォーマンスを裏付けるものとして観ると面白いかもしれません。

天才たちの頭の中 世界を面白くする107のヒント(2018)好評配信中
世界で活躍する人たちに、「なぜクリエイティブなのか」を問うドキュメンタリー

この作品はボウイ以外にもさまざまなクリエイターが語っていますので、ご興味があればぜひ。


U-NEXTでは、映画というコンテクストでドキュメンタリー映画も楽しんでくれたら嬉しいなぁ、という思いでこのジャンルもたくさん配信しています。もし「もう観てるよ!」というかたがいらしたら嬉しいです。もしまだ観たことがない、というかたがいらしたらぜひチェックしてみてください。

サービス自体にドキュメンタリーというジャンルもありますし、洋画・邦画それぞれのジャンルから「ドキュメンタリー」というカテゴリに入って頂くと、劇場映画フォーマットのドキュメンタリー作品が並んでいます。直リンク貼っておきますね。

洋画 > ドキュメンタリー
邦画 > ドキュメンタリー

最近とみに劇映画には「実録ミュージシャン映画」ブームもありますし(E・プレスリーの『エルヴィス』、クィーンの『ボヘミアン・ラプソディ』、エルトン・ジョンの『ロケットマン』など)、そういう気分で音楽ドキュメンタリーに手を伸ばしていただくの、おすすめです。きっとますますそのアーティストが好きになってしまうはず。

ピックアップした特集もありますので、ぜひ。
特集:ミュージシャンたちの栄光と素顔(洋画)
特集:ミュージシャンたちの素顔と軌跡(邦画)


最後に、せっかく音楽ドキュメンタリーのお話になったので、ちょうど配信がはじまったばかりの、私が大好きなアーティストのドキュメンタリーを紹介させてください。劇場映画ではないのですが、あのHBOmaxによる作品なのでクオリティはお墨付き。

Love, LIZZO(2022)好評配信中
世界を変えようと奮闘するグラミー賞アーティスト・リゾの半生を追うドキュメンタリー。

ちなみに私、開始30秒でなぜか号泣、冒頭の2分間を観るのに涙で3回映像を止めなければ観続けられなかったので、むしろ劇場じゃなくてよかった…と変な安堵w
音楽ドキュメンタリーは、「劇場でいい音で観る」とおなじくらい「ヘッドフォンで爆音で観る」のも心に沁みる、ということを改めて感じた次第です。



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