70年代ポップが映えるバルセロナのトルティーヤ店 Flash Flash
バルセロナで美味しいトルティーヤ(スペイン風オムレツ)を求めて有名店をめぐるシリーズ。
初回は、Galvany地区のMantequeries Pirenaiquesに行きました。
今回は同じくGalvany地区でも中心に近いFlash Flash。外観や内装が奇抜なので前から気になっていました。
Flash Flashの華麗なる歴史
このお店は、写真家・広告マンのLeopoldo Pomésと彼の奥さんでモデルのKarin Leizが1970年にオープンしたトルティーヤ専門店で、トルティーヤのほかにハンバーガーなどもあります。
なんでもハンバーガーはニューヨークの老舗PJ Clarke’sでレシピを教えてもらったそうで、バルセロナを訪れた亡きハリウッド俳優のポール・ニューマンが「今までの人生で食べた中で一番美味しいハンバーガーだ!」と言ったとか。(彼は自国アメリカで自分のソースやドレッシングを販売していて、彼のバーガーレシピも有名なのでこの発言は塗り替えられているはず。)
1970年と言えば、スペインは独裁的なフランコ政権下。当時は0時過ぎまで開いているレストランやバルはほとんどなく、エルトン・ジョンやブルース・スプリングスティーンなどがコンサートを終えてから遅い夕食に訪れたそうです。そのほか、シュールレアリズムの巨匠サルバドール・ダリや現スペイン国王なども足を運んだとか。
開店当初はこの周辺(特にTuset通り)は広告会社がひしめき合いとても賑やかだったそうで、場所柄、広告業界やインテリなどのパーティーがこのお店でよく開催されたそうです。
70年代ポップがなぜか新しい店内
お店に入ると、内装は真っ白。椅子や壁、テーブル全て白で統一されています。開店当初の写真を見ると内装はほぼそのまま。
ウェイターは白のフォーマルなユニフォームを着ていて、アメリカのダイナーのようなカジュアルな内装でありながら、フォーマルなところもある不思議な雰囲気です。テーブルクロスは今はありませんが、開店当初はテーブルクロスがかかっていたそうです。
壁一面には女性がカメラで写真を撮っているところが描かれています。
カメラのフラッシュの部分が実際の照明になっていてユニーク。なんでもこれらは、写真家でもあるオーナーの旦那さんが撮った奥さんなのだそうです。
トイレは真っ赤!
内装から最近できたレストランだと思ったのですが、70年代のままでもモダンに感じるから不思議です。
名物トルティーヤ
メニューには50種類弱の様々なトルティーヤが並びます。オーナーの奥さんのレシピで、彼女はレシピ本も出版しています。
スタンダードなジャガイモと玉ねぎのトルティーヤとバスク風パプリカとタラのトルティーヤにしました。
まずはバスク風トルティーヤから。タラはぷりっとして全体的に淡白。普通に美味しいです。
ジャガイモと玉ねぎのトルティーヤは一段上でした。玉ねぎがトロトロでダシも効いていて美味しいです。スペイン風オムレツよりは具が少なめで薄く、どちらかというと朝食のオムレツに近いです。
好き嫌いは好みで分かれそうですが、私は「あり!」でした。
Flash Flashの今
現在のお店周辺は、クラブなどナイトライフのお店が何件かあるので夜は意外と賑やかなようです。ただ、70年代の全盛期の頃のような雰囲気はなく、昼間はバルセロナの他の通りと何ら変わりはありません。
そしてお店のお客さんもどちらかというと若いころから通っている常連と思われる人たち。
特に値段が高いということもないですが、高級時計をしている高齢者の男性が1人でインテリアに目もくれず黙々と食べていたり、ちょっとドレスアップした高齢者女性が友人と訪れていたり、近所のビジネスマンが同僚と来ていたり、ポップな内装とのギャップが激しい現在です。