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負け犬の遠吠え 大東亜戦争33 マーシャル諸島の戦い

米軍の反転攻勢の1年となった1943年は、米軍によるギルバート諸島の陥落によって幕を閉じました。

米軍の次なる標的は、第一次世界大戦以後、日本の委任統治領となっていた「マーシャル諸島」です。

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マーシャル諸島は多数の「環礁」から構成されています。

環礁とは、サンゴ礁が輪のように連なった状態の事で、火山島の中央部がプレート移動によって海中に沈降してゆき、かつて島だった部分を縁取っていたサンゴ礁が残った状態の事を言います。

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ここで重要な問題は、米軍は「どの環礁を攻略すべきか」日本軍は「どの環礁の防御を固めるべきか」です。

米軍のニミッツ提督は、マーシャル諸島東側よりも、中央に位置し日本軍の司令部が置かれているクェゼリン環礁を攻撃対象に定めました。

対する日本軍は、ギルバート諸島に近い東端の環礁から米軍が侵攻してくると予想し、兵力を送りこんでいました。

1944年1月30日、米軍はマーシャル諸島全域を空襲、この地域の日本軍の航空戦力は壊滅してしまいます。

さらに海上からの艦砲射撃によって、地上施設、船舶なども使用不可能となりました。

クエゼリン環礁はいくつかの島によって構成されており、米軍はまずルオット=ナムル島やクェゼリン島攻略の足がかりとなる小島を次々と攻撃していきます。

2月1日に始まったこの攻撃で各小島を守備していた日本軍は全滅、島には米軍の砲台が築かれてクェゼリン環礁の水上交通は封鎖されました。

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2月2日、ルオット・ナムル島へ米軍の上陸が開始されます。

事前砲撃によって守備隊の指揮官、山田少将はすでに戦死しており、日本軍はすでに壊滅しており、ルオット島では残存兵による銃剣突撃が行われて玉砕、ナムル島ではヤシの木の丸太に隠れて少数の日本兵による反撃が行われましたが、火炎放射によって焼き払われました。

ルオット・ナムル島の占領は翌日には完了し、米軍による飛行場の運用が開始されました。

日本軍の戦死者は2540名、捕虜は11名でした。

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ルオット・ナムルへの上陸が開始された2月2日と同日、米軍はクェゼリン島へも上陸を開始していました。

米軍は、上陸部隊が海岸線にたどり着くまで砲撃を繰り返し、日本軍の反撃を一切許しません。

夕方までに1万人の兵力を上陸させて米軍でしたが、夜になると日本軍の反撃が開始され、米軍は内陸部へ進むことができなくなります。

夜襲によって一度は米軍を海岸線まで押し戻すほどでしたが、隣のエニブーシ島からの砲撃によって大損害を受け、その勢いも止められてしまいました。

2月5日、残存兵力による突撃攻撃が行われ、日本軍は玉砕、掃討戦も翌日には完了してしまい、クェゼリン環礁は米軍の手に堕ちました。

クェゼリン環礁での戦死者は4000名にものぼり、日本兵達はサンゴ礁の島で逃げ場もなく焼き尽くされ、この世に跡形を残すこともなく消え去りました。

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マーシャル諸島北西に位置する「エニウェトク環礁」は、マーシャル諸島とマリアナ諸島の中間地点にあり、米軍にとっては中継地点として重要な位置にありました。

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米軍はここへ1万の兵力を派兵します。迎え撃つ日本軍の兵力は非戦闘員を合わせても3500名ちょっとでした。

2月18日、米軍による激しい事前砲撃が行われます。
エンチャビ島には6765発、エニウェトク島には5432発、メリレン島には11740発の砲弾が撃ち込まれ、各島の日本軍は抵抗力を失いました。

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2月19日、エンチャビ島で始まった上陸作戦は、わずか1時間後に日本軍のバンザイ突撃による玉砕で幕を閉じます。

2月20日、エニウェトク島に上陸した米軍は、日本軍守備隊の散発的な反撃に苦戦し、占領までに3日間を要しました。

この失敗を繰り返さないために、メリレン島には更なる艦砲射撃が加えられました。
2月23日に上陸した後は火炎放射器で日本軍陣地を徹底的に焼き払い、夕方までには同島の占領が完了します。

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マーシャル諸島の戦いにおいて、米軍が上陸した島は徹底的に焼き尽くされましたが、その侵攻ルートは実に効率が良く、侵攻拠点として重要な島にのみ戦力を集中させ、日本軍の防御が硬い島は孤立化させる「飛び石作戦」でした。

マロエラップ環礁には3330名の日本兵が配備されていましたが、米軍の攻撃対象にはならず、日本兵たちは飢餓と絶望に晒されながら終戦を迎えることになります。

このような環礁では、上陸はされなかったものの米軍の軍事演習に利用され、空襲や艦砲射撃が行われて多くの戦死者が出ました。

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美しい海に囲まれたサンゴ礁の楽園が、かつては「逃げる場所も隠れる場所もない灼熱地獄」だったことを、心に刻んでおきたいと思います。

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